英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜 |
探索を再開したリィン達は再び広間に出た。すると一部の人物達にとっては聞き覚えのある少年の声が聞こえてきた。
〜真・煌魔城〜
「ウフフ……”教授”達を相手にしてきたわりには全然消耗していないね。さすがは”空の女神”率いる精鋭部隊って所かな?」
広間に待ち構えていた少年――――結社の”執行者”―――”道化師”カンパネルラは口元に笑みを浮かべてリィン達を見つめていた。
「男の子の亡霊……?」
「一体何者だ……?」
「先程の”蛇の使徒”を知っているという事は恐らく”結社”の関係者だろうな……」
カンパネルラを見たゲルドは不思議そうな表情をし、ラウラの疑問にリィンは真剣な表情で答え
「あっ!!」
「”執行者”No.0――――”道化師”カンパネルラ……!」
「”怪盗紳士”がいた時点で予想はしていたが……やはりいたか。」
エステルは声をあげ、シャロンは血相を変え、レーヴェは目を細めてカンパネルラを睨んだ。
「ええっ!?じゃ、じゃああの人も結社の……!」
「確か”道化師”は”福音計画”にも”見届け役”とやらで参加していたそうですが……」
「ミントちゃん達はグロリアス制圧作戦の時に会ったんだっけ?」
「う、うん。でもあの時と違って失った片腕もあるよ……」
カンパネルラの正体を知ったエリオットは驚き、プリネは真剣な表情で呟き、ツーヤに訊ねられたミントは不安そうな表情で答えた。
「”道化師”はクロスベルで死んだって話だが……」
「ええ。その人は私とハイシェラ、エオリアさんで討ち取りましたよ。」
厳しい表情をしているトヴァルの言葉にリタは答え
「エオリアまで”道化師”の殺害に関わっていたの!?あんたは”使徒”に一体どういう教育をしているのよ?」
「何故そこで俺を責める……―――それ以前に敵を殺すのは俺達の世界では当たり前だ。ましてや世界中から命を狙われている”神殺し”である俺の”使徒”ならば、そのくらいの覚悟はあって当然だ。」
「セリカ……」
「…………」
リタの答えに血相を変えたサラ教官は責めるような視線でセリカを見つめ、見つめられたセリカは呆れた表情で答えた後静かな表情で呟き、サティアは辛そうな表情でセリカを見つめ、ロカは重々しい様子を纏って目を伏せて黙り込んでいた。
「だからといって君達の世界の常識を僕達の世界に押し付けないで欲しいよ。―――お陰で僕達がそのとばっちりを受ける事になったんだよ?」
「ミント達に仕返しするつもりなの!?」
口元に笑みを浮かべながらも目は笑っていないカンパネルラを見たミントは警戒した表情をし
「くふっ♪お前みたいな雑魚がたかが一人でエヴリーヌ達に一矢でも報いる事ができると思っているの?」
「うふふ、さすがにそんな無謀な事は思っていないさ。だからこちらも”助っ人”を用意させてもらったよ。」
エヴリーヌの言葉に答えたカンパネルラは指を鳴らした。するとカンパネルラの傍にギデオンの亡霊が現れた!
「な――――――」
「ええっ!?あ、あの人は……!」
「”帝国解放戦線”の幹部――――G(ギデオン)……!」
「ど、どうなっているの〜!?あの人はオジサンを憎んでいたのに、何でオジサンの味方をしているの〜!?」
ギデオンの登場にクロウは絶句し、エリオットは驚き、クレア大尉は厳しい表情で声をあげ、ミリアムは信じられない表情で声をあげた。
「うふふ、彼は”鉄血宰相”が暗殺される前に死んだだろう?だから死んでもなお”鉄血宰相”への恨みを残していたみたいでね……その事によってこの世に未練を残していた彼も亡霊と化したんだけどね……亡霊となった”鉄血宰相”を見つけた時に彼に襲い掛かったのだけど、あえなく返り討ちにされて”鉄血宰相”に取り込まれたのさ♪」
「なんですって!?」
「亡霊と化したギデオンを取り込んだ……まさかユミルの墓場でのアルティナの時のようにオズボーン宰相はギデオンの魂を自分の力としたのか!?」
カンパネルラの説明を聞いたサラ教官は血相を変え、リィンは厳しい表情で問いかけた。
「間違いなくそうでしょうね。”霊”は強い”霊”に取り込まれた場合、その取り込まれた”霊”の力の一部にされますから。そして取り込まれた霊は死霊使いが死霊を使役するように、その取り込んだ霊の傀儡と化するのです。」
「ん……その証拠……その人……意識、ない……」
「………………」
厳しい表情をしているリタの説明にナベリウスは頷き、ギデオンの亡霊は虚ろな目をして武器を構えた。
「ギデオン!俺だ!クロウだ!聞こえたら返事しやがれ!」
その様子を見たクロウはギデオンを睨んで声をあげたが
「……………」
「きゃっ!?」
「……あの様子だとどれだけ声をかけても無駄のようね。」
ギデオンは銃でリィン達の足元を銃撃し、それに驚いたエリスは声を上げ、セリーヌは目を細めた。
「アハハ!憎んでいた相手の手駒として使われるなんて、傑作な話だろう?」
「テメェッ……!」
「”教授”並みに随分と趣味の悪い事をしてくれたわね……!」
「外道が……!」
「今度こそ彼に安らかな眠りを与えるためにも今ここで滅するべきですわね。」
声をあげて笑ったカンパネルラをクロウとクロチルダはそれぞれ怒りの表情で睨みつけ、ゼルギウスとシグルーンは厳しい表情をして仲間達と共にそれぞれ武器を構えた。
クク……いい感じに”死合”の空気になったな。
するとその時聞き覚えのない男性の声が聞こえ
「何者……!?」
「ええっ!?こ、この声って確か……!」
「”執行者”No.[――――”痩せ狼”ヴァルター!」
声を聞いたエリゼは周囲を警戒し、声に聞き覚えがあるミントは驚き、ヨシュアは厳しい表情で声をあげた。するとサングラスをかけた男性がカンパネルラの傍に現れた!
「ぬ!貴様は確か”リベールの異変”の際余達メンフィルに討ち取られた”結社”の”執行者”!」
「な、何であんたまでいるのよ!?」
「確か彼は”冥き途”にいるとナベリウスさんは仰っていましたが……」
”リベールの異変”時自分達の前に立ちふさがった強敵であり、メンフィルに暗殺された”結社”の”執行者”―――”痩せ狼”ヴァルターの登場にリフィアは目を見開き、エステルは信じられない表情で声を上げ、リースは真剣な表情でナベリウスに視線を向けた。
「ん………あの人……間違いなく来た……何で………いるの……??」
「恐らく先程の”環の守護者”が現れたように、この城全体にかけられたユリスの力を宿したあの宰相の罠によって具現化したのでしょうね。」
「おいおい、勘弁してや……本格的に”影の国”みたいに何が出てきてもおかしくない状況になってきたやんか。」
「フム……しかし何故私達の前に彼が現れたのだろうね?彼と因縁がある人物は私達と共にいないのに……」
首を傾げているナベリウスの疑問にエイドスは答え、エイドスの説明を聞いたケビンは疲れた表情で呟き、オリヴァルト皇子は真剣な表情で考え込んでいた。
「ハハ、もしかしたらそいつと因縁がある”俺達”が近くまで来たからかもしれないな。」
するとその時男性の声が聞こえ
「へ……」
男性の声を聞いたマキアスは呆けたその時カンパネルラ達の側面から大きな”気”の弾や斬撃波が襲い掛かった!
「おっと!」
「!!」
「…………」
突然の奇襲に気付いたカンパネルラ達は回避行動に移ったが、その瞬間を狙ったかのように短剣や偃月輪、そして無数の法剣の刃と銃弾が襲い掛かり、カンパネルラ達にダメージを与えた!
「今の武器は……偃月輪(えんげつりん)!?まさか……!」
「しかも法剣を分裂させる技(クラフト)も放たれたけど、一体誰が……!」
カンパネルラ達を強襲した武器や攻撃を見たアンゼリカとルフィナが驚いて仲間達と共に攻撃が来た方向に視線を向けるとそこにはリィン達とは別方向のルートからエオリアを含めた多くの正遊撃士達、そしてスカーレットとキリカが姿を現した!
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第646話 | ||
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