風の吹くままに・・・ |
??「一体、ここはどこなんでしょうか?」
??「ぐー・・・。」
??「寝ないであなたも考えなさい!!」
??「おおっ!!あまりの手がかりのなさに夢の世界に逃げるところでしたよ。」
??「全く・・・。」
そう言い合いながら、2人の女の子が街中を歩いていた。
ご存知、魏の3大軍師のうちの2人、稟と風である。
この世界へと降り立った2人は、まずは歩こうと言う事になり、とりあえず歩いていた。
闇雲に歩いていても、目的のものは見つからないが、とはいえ手がかりが全くない以上、自分達で探すしかないという結論に達したのである。
稟「しかし、活気に溢れた街ですね。」
風「そうですね。」
人々の笑顔や笑い声が溢れる街。
これを見ていると、一刀の施策によって変貌した街の様子も納得できた。
2人で街の様子を眺めながら、何か手がかりはないかと見回っていると、ここで風が突然脇道に入っていった。
稟「風?どこに行くのです?」
風「この先に手がかりがあると宝ャが。」
宝ャ「おう。俺に任せておけ!!」
宝ャとは、風の頭の上に乗っている人形の事である。
自我があるのかよく分からないが、時々このような行動を起こす事がある。
付き合いの長い稟ではあったが、この宝ャに関しては、いまだによく理解していなかった。
稟「手がかりって・・・。風、待ちなさい!!」
稟の様子などお構いなしに、脇道を奥へと進む風。
仕方ないと思いながら、そんな風を追いかける稟であった。
脇道の奥は行き止まりになっていた。
だが、そこには・・・。
猫「ニャー。」
たくさんの猫が日向ぼっこを楽しんでいた。
そこに風は近づき座り込む。
風「いやいや、皆さん。気持ちよさそうですねぇ。」
猫「ニャー。」
風「ところで、皆さんにお聞きしたい事があるのですが・・・。」
風はまるで猫と会話をしているかのようなやり取りを始めた。
これにはさすがの稟も驚く。
人が動物の言葉など理解できるはずもない。
そう思っていたからだ。
だが、風の様子を見ると、それにも例外があるのではと思い始めた。
風「おおっ、そうなんですかー。」
猫「ニャー。」
時々ではあるが、感嘆の声をあげる風と、それに呼応するかのように鳴く猫。
それを見る限り、そのやり取りは成立しているように見えた。
しばらく、やり取りが続いた後、風が立ち上がった。
風「ありがとうなのですよー。」
猫「ニャー。」
風のお礼の言葉に、猫達も呼応する。
稟は風に近づいた。
稟「何かわかったのですか?」
稟は、この質問をした瞬間、何をバカなと思った。
猫と会話など成立するはずもなく、それで手がかりなど得られるはずないと思った為だ。
だが、風からの回答は、意外なものだった。
風「華琳様とお兄さんの居場所がわかりました。行きましょう。」
そう言って、また脇道を街の方へ歩き出した。
稟「お2人の居場所がって・・・。おーい、風!!」
稟はすかさず風を追いかける。
風は相変わらず、稟の事など気にせず自分のペースで歩みを進めていた。
しばらくして2人は、女子寮の前へと来ていた。
風「ここに華琳様が住んでいるそうです。」
稟「ここに?・・・しかし、変わった建物ですね。」
女子寮は、一般的なデザインの建物だった。
だが、あの世界から来た稟にとっては、変わっているという認識だった。
なによりまず、入り口がよく分からない。
それっぽいものがあるのは分かるが、閉じられていて入れそうもなかった。
だが、そんな稟の戸惑いなどお構いなしに、女子寮へと近づく風。
稟「風っ!!」
風「稟ちゃん。怖がっていては何事も先には進みませんよ。」
稟「怖がってなど・・・。」
怖がっているのではない、戸惑っているのだと稟は言いたかった。
しかしこの状況では、怖がっていても戸惑っていても大して違いはなかった。
なら風の言う通り、一歩を踏み出そう。
そう思い、稟は風と一緒に女子寮へと近づいた。
風は、躊躇なく自動ドアへと近づいた。
そして、ドアが自動で開く。
自動で開く入り口に稟は驚き、後ずさんだ。
風「稟ちゃん。この程度で驚いていては、お兄さんの世界では生きていけませんよ。」
稟「風・・・。」
まるでこの世界に来た事あるかのような風の発言に、稟は違和感を感じた。
だが、その違和感を気にする間もなく、風は女子寮内を歩いていた為、稟もそれに続いた。
風は、ある一角に集まっていた団体のそばに近づいた。
そして・・・。
風「楽しそうに盛り上がってますねぇ。」
その団体に声をかける。
稟は突然話しかける風に驚いたが、その団体の者達を見て納得した。
稟「ええ。」
そう言って、風の意見に同調する。
突然声をかけられ驚く面々。
さらにその相手を見て驚いた。
季衣「あー!!」
最初、季衣が気が付いた。
それは、風達の方向を向いていた為である。
季衣の驚き様に、他の者達も、声のした方向を向く。
そして、一様に驚いた。
風「華琳様・・・。そして・・・。」
風は華琳の方向を向き一礼すると、別の方向に向きなおした。
風「お久しぶりです、お兄さん。」
そう、それは一刀の座る方向だった。
一刀は困っていた。
相手は自分の事を知っていて、しかも華琳と呼ぶくらいだから魏の武将だろう。
確かに、何度か戦場で見かけた事があるような気がする。
大陸平定してから、それぞれの武将と名前の交換くらいはしているはずなのだが、どうにも思い出せなかった。
風「お兄さん、風の事を忘れてしまったのですか?」
一刀「あっ・・・、いや・・・、そんなことないぞ。」
風「それはよかったです。あれだけこの風の未熟な体を弄んでおきながら、忘れられたなんて悲しすぎます。」
この発言に、周りから一気に殺意が生まれる。
桃香「一刀さん・・・」
華琳「一刀・・・、あなたやっぱり・・・。」
愛紗「見損ないましたぞ!!」
孫登「母様・・・、体を弄ぶとは?」
蓮華「そんな事、まだ憶えなくていいのです!!」
凪「やはり、風様と・・・。」
真桜「一刀って、やっぱそっちの方が好みなんか。」
沙和「不潔なのー。」
季衣「なんかよくわかんないけど、お兄ちゃんはいけないことをしたの?」
流琉「季衣・・・。」
そして、稟も・・・。
稟「一刀殿が風の体を弄んで・・・。ブハッ!!」
風「はーい、トントンしましょうね。」
一刀に会えたうれしさからか、今まで殆ど治まっていた鼻血が久々に吹き出た。
一刀は、稟の鼻血に驚きながらも、突然起こった自分への濡れ衣を晴らすのに精一杯だった。
風は、一刀のそんな様子を笑顔で見ながら、近づいた。
風「分かっていますよ。お兄さんは、風達の知っているお兄さんとは違うんですよね?」
一刀「?」
風「でも、風にとってお兄さんはあなただけですよ。久々に会えて嬉しいです。」
そう言って、一刀に口付けをした。
あとがき
稟と風の巻・・・というよりほとんど風のターンでしたね。
どうでしたでしょうか?
ちょっと短すぎたかなと思いますが、少しでも稟と風の感じが出せていれば幸いです。
猫達との会話シーンはどうしてもやりたかったので、それが実現できてよかったです。
あと、なぜ風は現代に来ても驚きがないのかと言うのは、作者なりには色々考えてますが、あえて書きません。
その辺は皆さんのご想像にお任せします。
次も魏の残りの武将にスポットを当てようと思います。
ただ、気分次第で別のものになるかもしれませんので、それはそれでご了承ください(笑
今回もご覧いただきありがとうございました。
説明 | ||
過去作、失われゆく世界の続編です。 今回は、稟と風をメインにしています。 タイトルも深い意味はありません^^; 現代を舞台にしていますので、各キャラの口調が原作と異なっている場合がありますので、ご了承ください。 誤字脱字報告、感想、叱咤激励お待ちしております。 前作はこちら http://www.tinami.com/view/81732 |
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コメント | ||
いやいや・・・やっぱり嫁はいいですねww 風は猫語わからないのでは?(ストー) ちょっと物足りない感じが。でもこれはこれで良かったですよwそして一刀はみんなにフルボッコにwww(ブックマン) 修羅場序章の回でしたね。次回が楽しみです(cyber) 風ってやり方は違えど、雪蓮と同じぐらい唯我独尊ですねwww(フィル) わからない・・僕の想像力では歯がたちそうにない・・・(ノ∀`)アチャー(悪来) あいかわらず風はなんかすげーな。何を見据えているのだろうか・・・かわいいからいいや(motomaru) 次回・・・・それは一刀の危機(いずむ) 風はかならず修羅場をつくりますねwww(もっさん) 次回は修羅場確定ですなwww(brid) 嗚呼・・・・・・これは良いSHURABAが見れそうで愉しみだw(Poussiere) 風達の知っている〜とは恋姫の一刀と真・恋姫の一刀と言う事でしょうか?それにしては凪とかが そして、真恋姫の一刀は何処! 次作期待(クォーツ) 嗚呼、修羅場の予感ww(タンデム) |
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