Dear My Friends!第2期 第6話 ほのぼのな旅路 |
(明朝 インタネ共和国との国境の村 ブライタン村の宿の前)
アペンド、レン、ルカ姫の3人は、昨日の夜に国境の“ブライタン村”に到着し、チェックを済ませてから村の宿で一泊し、事前に予約していた馬車に乗るため、早朝に起きていた。無論、ルカ姫はたたき起こされたのだが。
ルカ姫:ね・・・・・ね・・・む・・・い・・・・
アペンド:はいはい、ルカ姫、今日中にめぐみさんの所に到着させるから、今日は早めに出発するんです。シャキっとしましょう!
レン:ところでルカ姫、髪くらい櫛を入れようよ…。せっかくのピンクのロングが台無しだよ…
ルカ姫:むにゃ・・・・・馬車の中でアペンドに手伝って貰う…
アペンド:わかりましたから、そろそろ馬車に乗りましょう
こうして3人は馬車に乗り、宿の人に作ってもらった朝食のサンドイッチをつまみながら、アペンドはルカ姫の髪をとかし、レンは警戒を怠らずに、インタネ共和国の“勇気めぐみ”のいる“最高裁判所”を目指していた。
当然だが、インタネ共和国内は開けた国家であるので、アペンド達とテル達のこれからのルートは、石畳の道路と平原と町と都市で構成された、治安も良く、距離を稼げるルートだった。そのため、テルたちよりクリプトン城を6時間ほど遅れて出発したアペンドのパーティが夕方遅くまでに、テル達のパーティが昼過ぎに到着できる場所に、勇気めぐみの最高裁判所はあったのである。
目指すは、それがある場所、『城塞都市クリアン』。
(明朝 インタネ共和国との国境の村 ブレシス村の宿の前)
リン:ふぁ〜ぁ…
イア:さすがに、まだ眠いですか?
リン:んーん、大丈夫。昼過ぎ迄に、めぐみさんの所に到着しないとね
テル:そうだな。今回は少々キツキツのスケジュールだが、めぐみさんの所に到着すれば、おそらくゆっくり出来ると思う。話も聞かねばならないし、ヤマト国への船だってそうそう簡単にチャーター出来るとは思えない
リン:そだね。今のヤマを越えれば、ゆっくり紅茶でも飲めそうだね
イア:皆さん、頑張りましょう!
こうして3人は、チャーターして置いた馬車に乗り、綺麗に石が敷かれた道を進んで、『城塞都市クリアン』を目指したのでした。
(明朝 インタネ共和国との国境の村 ブレシス村の別の宿の中)
りおん:(ねむねむ…)
ポコン!
ベッドで寝ていた“りおん”は何者かの手に握られた丸めた雑誌で、ポコンと頭を叩かれたのでした。
りおん:むにゃ…アチシはもう食べられないのだ…
ポコン! ポコン!
今度は二度叩かれた。
りおん:ふにゃ・・・・・それほどでもないのにゃ…ZZZZ
???:はい、パフェお待ちどぅ!
りおん:ぬぉ! パフェなのだ! どこどこ!?
ゆうま:ふぅ、やっと起きたか
ミズキ:二度叩いても起きないから、最後の手段を使ったけど、なんか腑に落ちないわね…
りおん:パフェどこなのだ!?
りおんはあらかた部屋を探し回ったが、それが起こす手段だったことを悟って、諦めてゆうまが観ているノートPCの所にやってきたのでした。
りおん:・・・・・・・ごめんなさいなのだ
ミズキ:ちょっとおねぼうさんかな
りおん:で、アイツラは?
ゆうま:うん、今の軌跡と方向から考えて、有力なのは、『城塞都市クリアン』かな。あそこで誰かと会うか、そのまま近くの港に行って海路を使うか
ミズキ:いずれにしても、少し距離を取って追跡して、クリアンに入ったら“都市部での尾行”に切り替えればいいか
りおん:そだね、街の中での尾行は得意だもんね
ゆうま:そうだな、では、こちらも出発するか。あ、りおん、飯は宿の人に作ってもらっているサンドイッチを持って行って馬車で摘むぞ?
りおん:わ、わかったのだ(ちぇ、ゆっくり朝ご飯食べようと思ったのに…)
ミズキ:それじゃ、しゅっっぱーつ!
りおん、ゆうま:ほいきたさっさー!
こうして三人組も準備を整え、テル達とは時間も距離も取って、馬車で尾行を開始したのでした。
ちなみに、ゆうまが使っている“ノートPCのバッテリー充電”ですが、昼間、横に黒いパネルを張っているので、“太陽電池式”の充電方法を使っているのでした。
(午前10時頃 インタネ共和国内の平原の中を通る道)
テル達の馬車は、快調に平原を通る道を走っていました。昨日危険を察知してテルが張った魔法障壁を使うような身の危険もありませんでした。
テル:リン、私は魔導反応を感じないが、君も感じないか?
リン:ええ、特に
イア:本当にいないか、反応を察知出来ないくらいの距離を取って尾行しているか、どちらかですね
イアの意見はもっともである。慎重な3人だからこそ通じる、正論である。
テル:そうだな。私は反応察知はやめないでおくが、リンとイアは少しくつろいでも良いぞ? クリアンまではもうちょっとかかる
リン:そうですね、ちょっと休ませていただきます
イア:すみません、私も
リンとイアは、少し体制を崩して、楽な姿勢に変えたのでした。
テル:しかし、あの3人、イアの世界の機械は使うわ、尾行しているなら、かなり高性能の専用機械は使うわ、全くでたらめな奴らだな…
イア:私もめぐみさんに事情を話して、警戒は強めにしてもらうつもりです
リン:・・・・やっぱりイアさんが目的なのかな? 私たちが狙われる理由って、特にないし…
テル:私も、あの一件以外は、特にない。あの一件だって、もう裁判で解決したことだ。いずれにしてもイアは守らないとな
イア:宜しくお願いします
こうして馬車の車輪は止まることなく石畳の道路を快調に走っていきました。
(午前10時頃 インタネ共和国内の平原の中を通るテル達とは違う道)
その頃、テル達の随分後ろを、三人組の馬車が尾行しながら走っていました。ルートはミズキ、ノートPCでのマーカーチェックはゆうま、警戒はりおんが担当してました。
ゆうま:うーん、やはり目的地は、『城塞都市クリアン』、で間違いないな。とすると、彼らの目的場所にはさすがに近づけないから、近くの茶店と街道でチェックするしかないな…
ミズキ:やっとこ見つけた“素材”だからな。今度は絶対ロストしないよ
ゆうま:ああ、わかってる。絶対手に入れるからな
ぐぅ〜
りおん:…ごめん、アチシ…
ミズキ:お腹空いたのか…。まぁ早朝でサンドイッチだけだったからね。ホレッ
パスッ
ミズキの手から投げられて、りおんの手に収まったのは、2〜3個のチョコ菓子だった。パッケージには、“漆黒の雷・チョコスナック”と書かれていた。
ミズキ:非常食だ。甘いから少しは腹持ちが良いだろう
りおん:これかぁ〜。美味しいけど、うちの国の非常食菓子なんだよね〜、まぁいいや、いっただっきまーす!
サクッ
こうしてりおんの腹はチョコ菓子で満たされ、とりあえず腹の虫の音は収まったのでした。
ゆうま:さて、クリアンの都市部の施設までで、彼らのルートが終わるとは、あの荷物からして、ちょっと考えにくいな
ミズキ:やはり、その後は“海路”か。って事は、こちらも変装して、その船に乗船しないと行けないねぇ。出来るなら密航は避けたい。定期便か不定期便の一般船であることを祈ろう
りおん:もぐもぐ、ひょうりゃね(そうだね)、へんひょうへんひ(専用船に)ひょふりひょむのひゃ(潜り込むのは)、むふゅかひいからね(難しいからね)
ゆうま:食べ終わってから喋れ
りおん:もぐもぐ、そうりゃね
ミズキ:とにかく尾行を続けて、時間差を付けて、クリアンに入って、それから考えよう
こうして三人組の尾行は続けられ、テル達同様、彼らもクリアンを目指していたのでした。
(正午頃 インタネ共和国内の別の平原の中を通る道)
太陽が真上に来る頃、アペンド達は、平原の中にある“オプニー村”で、1回目の休憩を取ることになりました。馬車に乗っているだけなのだが、これもそれなりに疲労はあるのでした。勿論、馬と運転士の休憩もあるし、食事も取らないと行けない。
村は実に簡単な構成でした。商業区域では、シンプルなカフェと馬用の休憩所、それと小さい宿泊施設、それくらいでした。住民の家はそれぞれ離れたところにあるようでした。
ということで、運転士も含めた全員で、昼食を取ることにしたのでした。とはいえ、カフェでの簡単な食事でしたが。
運転士:私も同席させていただき、まことにありがとうございます
アペンド:いえいえ、今日はクリアンまでの1日、頑張って貰うわけですから。むしろこんな簡単で申し訳ないです
ルカ姫:ひょうれふ(そうです)、ひんひゃで(みんなで)、ひゃくひゃん(たくさん)、ひゃへまひょう(食べましょう)
レン:ルカ姫…、食べ終わってから喋りましょう
ルカ姫:ん、ごくん。そうですね。すみませんです。でも、ちゃんと食べないと、バテますからね
アペンド:それは正論だ。皆さんも遠慮なく食べましょう。軽食ですが、栄養は採れますから
レン:そうですね、僕も食べようっと
こうしてみんなで食事を取り、少し休憩を取った後オプニー村を出発して、一路、城塞都市クリアンを目指したのでした。
(午後1時頃 インタネ共和国内 城塞都市クリアン)
テル達の馬車は、予定通り、正午過ぎに『城塞都市クリアン』の正門にたどり着きました。正門の係員に、馬車の運転手、テル達全員の書類を見せると、係員は頷き、正門の位置から勇気めぐみのいる“最高裁判所”への馬車のルートを教えてくれました。
テル:有り難う、それではめぐみさんに会わせて貰うよ
係員:良い旅路を。あ、それと、少しはここでお金を落としていって下さいよね?
テル:ははは、わかってるよ。夕食はここでしっかり食べさせて貰うよ
係員:感謝します
こうして馬車はゆっくりと正門をくぐり、煉瓦で囲まれた都市、まさに『城塞都市』であるクリアンに入ったのでした。
前の事件の時に、カイト王達を率いて、めぐみさんのいる最高裁に赴いた時は、観光で来たわけではなく、気持ちも下向きだったため、都市部の観光などせずに入って出てしまったので、テルとリンは馬車の中から、少し周りのお店や施設を眺めていたのでした。イアは当然、これが初めてだったので、二人より更に目を輝かせて、周りの光景を目に焼き付けていたのでした。
イア:私の方のアキバも凄いショップが林立してますが、ここはそのもっと目に優しいお店が沢山ありますね、RPGとかで勇者達が立ち寄るような、そんな華やかなお店が一杯!
テル:“RPG”というのはわからないが、まぁこっちの世界では、都市部のお店は、みなこんな感じだな
リン:ここから海路を使って、辺境の地に行くなら、“魔法の元”も、ちょっと買い足した方がいいかも知れないな
テル:その辺はめぐみさんと話し合うことにしよう。いずれにしても準備は必要だ
こうして馬車は、最高裁判所まで、ゆっくり進んでいったのでした。
(午後1時半頃 インタネ共和国内 城塞都市クリアン)
ミズキ達の三人組の馬車も30分程の時間差をつけて、クリアンの正門まで到着したのでした。今回もまた、例の書類を係員に見せたら、係員は国境の時と同じように少し眉をひそめて、三人組を二度見したのでした。
係員:辺境の島の『ヤマト国』から観光ねぇ・・・。まぁここの隣接のジェンド港からの不定期便で帰るんだと思うけど・・・・・まぁいいでしょう。ようこそクリアンへ、良い旅路を
ミズキ:有り難うございます。私たちは徒歩で都市部の観光をするので、馬車との契約はここで切るつもりです
係員:そうですか、ここは治安はいいのですが、それなりに広いのでお気をつけ下さい
ミズキ:ありがとうございます
こうしてミズキ達三人組は、馬車を降り、運転手にお金を払ってから、『城塞都市クリアン』内部に入っていったのでした。勿論、携帯端末を使ってテル達を尾行しながらでした。
(午後2時頃 インタネ共和国内 城塞都市クリアン 最高裁判所受付)
テル達は目的地の“最高裁判所”に到着したので運転手にお金を払って馬車と別れ、テルが受付の女性に話をすると、女性は魔導連絡機を使って、勇気めぐみに連絡をすると、めぐみは、ドタドタっと階段を降りてきて、受付に到着したのでした。
めぐみ:テルさん、リンさん、イ・・イアさん、お疲れさまでした
テル:先発隊、到着しました
リン:後発隊のアペンドさん達は、夕方過ぎには到着すると思います
イア:あ、あの、私とルカ姫の事で、こんな形になってしまって申し訳ないです
めぐみ:いえいえ、錬成したときは、色々面倒な事は付き物ですよ。それでは、会議室に移動しましょう。アペンドさん達にも説明はしますが、先に話して置いた方がいいこともあります
その時、廊下の奥から学歩が歩いてきて、テル達に挨拶したのでした。
学歩:これは久しぶりでござる。今回の一件、宜しく頼みます
テル:こちらこそ、宜しく
こうして、テル達のパーティーのめぐみの所までの旅は終わりました。
しかし、この平穏な雰囲気、はたして後発隊の到着後も持続するのか、かなり疑問である事を、テル達三人は危惧していたのでした。
(続く)
CAST
イア:IA-ARIA ON THE PLANETES-
ルカ姫:巡音ルカ
魔導師アペンド:初音ミクAppend
魔導師テル:氷山キヨテル
僧侶リン:鏡音リン
勇者レン:鏡音レン
異国の剣士 神威学歩:神威がくぽ
裁判官 勇気めぐみ:GUMI
ヤマト国からの旅人三人組
瑞樹(ミズキ):VY1
勇馬(ゆうま):VY2
兎眠りおん(りおん):兎眠りおん
その他:エキストラの皆さん
説明 | ||
※今回からの新シリーズは、前作「Dear My Friends! ルカの受難」の続編です。ナンバリング的には2期になります。 現在ピアプロで連載投稿中の最新シリーズとなっております。 ☆当方のピアプロユーザーネーム“enarin”名義で書いていました、ボーカロイド小説シリーズです。第16作目の第6話です。 ☆今回も1話分を短めにした、ファンタジーRPG風味の長編です。現在もピアプロに続きを連載投稿しており、完結しておりません。 ☆2期では、”イアさん”と”ルカ姫”のW主人公で行っていますが、シナリオによって、軸が変わっているところもありますので、そこら辺はご愛敬で…。 ☆今回はファンタジー以外にも、ちょっと違った要素も入れてます。 *** ☆今回はテル達のパーティーがめぐみさんの所に到着するまでです。 ☆地名は、ボーカロイドエディターのパラメータの名前をもじってます。 ヴェロス(ベロシティ) ダイナム(ダイナミクス) ↓ ブレシス(ブレシス) ブライタン(ブライトネス) ↓ オプニー(オープニング) ↓ クリアン(クリアネス) ↓ ジェンド(ジェンダーファクター) |
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