ポケットモンスター トライメモリーズ 第33話
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第33話:ニューキンセツの暴走を止めろ!

 

フエンのジムバッジを入手したクウヤは今、久しぶりにキンセツシティに到着し次はどこのジムに挑もうか考えていた。

 

「へぇー・・・。

キンセツから川を越えていけばヒワマキシティってところにいけるのか」

 

ポケナビで地図を開き考えるクウヤ。

やっぱヒワマキシティへいくのが一番いいのかと思ってると、とある老人と少女に再会した。

 

「あれ?

テッセンじーちゃんにラカイじゃねぇか!」

「クウヤ!」

 

二人に駆け寄るクウヤ。

 

「クウヤくん、久しぶりじゃの!」

「おぅ!」

「そして君達は友達のようじゃな?」

「はい、そうです」

「ふむ・・・その子の実力はわしも知ってるしの。

ラカイちゃんにお願いしたことを君にも頼みたいがいいかの?」

「なにを?」

 

クウヤの問いにテッセンが彼女に話した内容を説明する。

 

「実はこの街の発電所の様子を見てきてもらいたいんじゃ」

「発電所?」

「ニューキンセツといってのぉ。

どうも最近、電力の暴走が起こっているんじゃ。

わしが行きたいのは山々なんじゃが・・・今もチャレンジャーを5、6人待たせたままでどうしても行けなくなってしまったんじゃよ」

「そこでわたしが、テッセンさんのかわりにニューキンセツの様子を見に行こうと提案してたの」

「そうだったのか・・・」

 

事情を聞き納得するクウヤに対して、テッセンは苦々しい表情を浮かべた。

 

「正直、君達のような子どもにこんな危険なことを頼むのは心配で申し訳ないことなのじゃが・・・。

この子の実力は十分に知っておるし、現状を考えたらこうするしかないんじゃ・・・」

「心配すんなよじーちゃん!

オレ達がなんとかしてやるからよ!」

「そうですよ!」

「じゃあ、頼もうかの」

 

テッセンから鍵を受け取り、クウヤとラカイは110番道路にあるニューキンセツ発電所に向かった。

 

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「ここが、ニューキンセツ?」

「・・・という名前の発電所ね」

 

ラカイが鍵を開け中の様子を確認するとコイルやビリリダマがたくさんいた。

 

「発電所というだけあってでんきポケモンが沢山いるな」

「そうね。

クウヤは確かじめんタイプのポケモンはもってたかしら」

「ああ、ナークがいるぜ」

「念のため出しておいて。

攻撃はしないけどガードになってもらうのよ。」

「わかった!」

 

クウヤがナークを出したのを確認してラカイはヌマクローのラグジーを出す。

 

「じゃあ早くいくわよ」

「お、おお・・・。

(リクガもだけどオレと年違わないのに冷静だな)」

 

ラカイの冷静っぷりに思わず友人を浮かべつつも発電所に入り、奥へ進む。

バチバチと音を鳴らしながらこちらを警戒するビリリダマやマルマインがこちらの様子をうかがいコイルやレアコイルが襲ってくる。

 

「ま、待てよ!

オレはお前らの敵じゃない!」

「コココ、コイルルウ」

「えっ!」

「ここの電波がおかしくて思考が狂ってしまったのね。

あなたの声は彼等に届いてないわ恐らく」

「そんなっ」

「コイールッ!」

 

コイルがおそってきた。

 

「ごめんなさい!

ラグジー、マッドショット!」

 

マッドショットを確実に当て気絶させていき先を急ぐラカイ。

クウヤもその後に続く。

 

「ラカイ、あのさ」 

「なにも言わないで!」

 

クウヤの言葉を遮るラカイ。

 

「わかってる・・・。

例え手加減したとはいえ攻撃した事くらい・・・。

でも、こうしてでも根源を抑えないとここのポケモン達はみんな狂った電磁波で苦しみ続けてしまうの!

どうなるのかわからない・・・仕方ないことなのよ」

「・・・」

 

悔しそうにしてるラカイにクウヤはもうそれ以上はなにも言えなかった。

 

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こうしてる間にもポケモン達は襲い掛かってくる。

 

「ナーク、いやなおと!」

「クウヤッ」

「今は先を急ぐのがこいつらのためだろ!

簡単な足止めだけして傷つけないようにしなくちゃ!」

「・・・!」

 

こんな短時間で自分の言葉の意味を理解できたのか、と目を丸くする。

すぐにいつもの強気な笑顔に戻ると階段を下へ下へとくだっていく。

そのまま走っているうちに、ポケモンや人の・・・生物の気配の感じられない階層についた。

 

「ここには誰もいないようね」

「そうだな・・・。

なぁラカイ・・・みょーにあつくねぇか?」

「確かに・・・そうね。

あ〜〜〜、上着が邪魔だし脱ぐわ」

 

そう言いながら上着を脱ぎそれを腰に巻き頭につけてたバンダナを額に持ってきて前髪をくいっとあげる。

普通の思春期の男ならこれに反応するものだが義兄曰く「永遠に思春期が来ない男」であるクウヤはいつも通りマイペースに彼女のように上着を脱ぐ。

 

「一体この熱さ・・・どこからくるのよ」  

「進んでみようぜ!」

 

二人が進みやがて辿りついた部屋は、炎の抜け道を連想させるかのように壁も気温も熱を持ちあつく、湿度も高かった。

クウヤがドアノブに触れようとすると、激しい静電気が体を走った。

 

「いてぇ!!」

「クウヤ、大丈夫!?」

 

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すぐにゴム手袋を装備したラカイがかわりに扉を開けるとそこにあったのは・・・

 

「うっわぁ〜〜〜!

見てるこっちが暑い〜〜〜!」

「どうなってんのこれ!?」

 

そこにあったのは・・・地獄といっても大袈裟ではない光景だった。

中央にある大きな機械から電気が放電しており、とてもじゃないけど近付けない。

 

「いちち!」

「まいったわね・・・!

多分コレが発電機で根源なんだろうけど、ここまで狂ってるのははっきり言って想定外だったわ」

「あのレバーで一度電気を止めたほうが良いんじゃねぇか!?」

 

クウヤが指さしたのは、発電機の側にあるレバー。

ご丁寧に、電源のオンとかオフまで書いてある。

 

「それが最良の策ね。

ここはポケモンに任せましょ!ラグジー!」

「ナーク頼むぜ!」

 

激しい放電の中ラグジーとナークはひょいひょいとレバーに向かう。

 

「お願いね」

 

2匹はレバーにつくとそのレバーをしっかり降ろす。

しばらくすると放電が収まりその隙を見て2人は発電機に近寄る。

 

「ああなったのはなにか原因があるのよ」

「ああ・・・あっ!」

「どうしたの?」

「レアコイルがコードに絡まって動けなくなってる。

ここの蓋がなんかの衝撃で外れてそこに入っちゃったんだ!」

「そうしてもがいてるうちにこの発電機に電気がたまりすぎてこうなったのね。

かわいそう・・・今助けてあげる!」

「オレも助けるぜ、大丈夫だからな!」

 

クウヤとラカイがレアコイルをつかむ。

ポケモン達も、それを手伝うように機械を外側に押した。

 

「「せぇーの!」」

 

2人と2匹が協力し合ってようやくレアコイルはそこから出られた。

 

「よし!」

「もう大丈夫よ、でももうここには近寄らないでね」

 

レアコイルは嬉しそうにその部屋から出ていった。

 

「じゃ、レバーを戻して帰りましょうか」

「ああ」

 

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クウヤとラカイはキンセツシティに戻るとテッセンにこの事を説明しこの先は多くの整備士たちにそこを任せることにしたのだった。

今回の成功に、クウヤとラカイは喜び合う。

 

「決めたわね!」

「ああ!

ラカイ・・・お前がいなかったら出来なかったぜ!

サンキューな!」

「あら、それはこっちのセリフ!

あなたも頑張ったわよ」

「えっへへ」

 

クウヤの実力を知ったラカイはん、とうなずく。

 

「そのレベルならとうさ・・・センリさんと戦っても大丈夫そうね」

「え、そんなにオレ強くなってんの?」

「自覚なかったの!?

・・・ま、それがあなたらしいのかもね」

 

彼の様子を見たラカイは笑った。

 

「じゃあオレ、トウカジムに挑もうかな!」

「ファイト!勝てるかわかんないけどね」

「なにぉう!」

「うふふっじゃあね!」

 

ラカイは彼から少し距離を置くとモンスターボールからエアームドを出した。

どうやらこれからカイナへ行く予定があるらしい。

再会を約束しラカイはそのままエアームドに乗って飛び去った。

クウヤの目にはもう既に、次のバトルへの闘志の炎が燃えていた。

 

「オレは強くなってるんだ・・・全力でトウカジムへ挑むぜっ!!!」

 

 

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