ポケットモンスター トライメモリーズ 第57話 |
第57話:グラードンVsカイオーガ
ズシン・・・ズシン
ルネシティで突如大きな地震が発生した。
ゴゴゴゴゴ・・・・
「きゃああああああああああああああああ!!! 」
「うわああああああああああああああああ!!! 」
街の人たちは騒ぎ始める。
地震だけではなくぽつぽつと雨が降り始めた。
「な、何がおきてるんだ!?」
「クウヤ、空っ!」
「え・・・・!?
セイに言われ上空を見上げるクウヤ。
「なんだよこれ・・・どうして・・・
なんだってんだよーっ!?」
空は赤くなったり青くなったりと色を変え風が激しく吹き荒れ、やがて空の色は赤と青が混ざり合い海の中から2体の巨大なポケモンが姿を現した。
「あ・・・あれは・・・」
一方は紅の硬質な体を持つポケモン、もう一方は蒼き鱗をまとったポケモン。
「な、なんだあいつらは?」
その2匹を見てクウヤは唖然とし、セイは驚きを隠せず呟く。
「グラードン・・・カイオーガ!?」
「え・・・あれがっ!?」
「どうやら全て、アクア団にマグマ団の思い通りになってしまったようだ・・・」
「そんな!」
「ここも危ない・・・クウヤ、飛ぼう!」
そう言いネイティオを繰り出すセイに従いクウヤもナークを出し上空に飛び立った。
「「グウウウウウウウゥオオオオオオォォッ!」」
2匹はお互いを認識したのか高く雄たけびを上げいきなり体全体をぶつけ合った。
「とんでもないことになったな」
クウヤ達の逃げた上空にはさらに3つの影があった。
「「クウヤ!」」
「リクガ、ラカイ!
それにジンキにダイゴ、センリのおっちゃんまで!」
「・・・久しいねクウヤ君。
にしてもあの2匹は・・・やはりこのルネにきていたんだな」
「そうみたいだ・・・」
罪悪感を含んだ表情でクウヤに話しかけるリクガとラカイ。
「・・・すまないクウヤ。
ボク・・・なんとしてでもマグマ団とグラードンを止めたかったのだけど」
「わたしも・・・・
そのせいであなたのふるさとが・・・」
「っ大丈夫!
今からでもオレ達であの2匹とめようぜ」
「「「え」」」
「ナーク、はかいこうせん!」
クウヤのナークが放ったはかいこうせんはグラードンとカイオーガに命中した。
――が、その強力な技をもってしても2匹の戦いは治まることを知らず クウヤに反撃のれいとうビームをカイオーガが放つ。
「まずっ!?」
ギリギリのところでかげぶんしんを使い回避したことでクウヤはなんとか一命を取り留めた。
「あぶねー!」
「「「あぶねーじゃねぇよアホクウヤ!!!」」」
呆れつつラグジーを呼び寄せそっちに乗り移るラカイ。
ラグジーの背にいた少年にクウヤは驚いた。
「シグレ!?」
「・・・・ぁ・・・」
「大丈夫、シグレくん」
意識を取り戻した彼にかける言葉を考えるクウヤ。
謝罪の言葉をかけようとしても、なにも口からでない。
(オレはなんていってやりゃいいんだ・・・?)
「クウヤくん・・・」
「そういえば、キミは誰なんだい?」
「・・・ボクはシグレ・・・アクア団の幹部にして頭領アオギリの息子だ・・・」
「!」
「ごめんシグレ!」
驚くダイゴをよそにクウヤはシグレに深く頭を下げる。
「約束したのに・・・お前の願い叶えられなかった・・・お前のとーちゃん止められなかった!」
「・・・ボクの方こそごめん・・・何もしてないくせに何もできないと自分で決めてキミに勝手な重荷を背負わせてしまった・・・」
「・・・」
ズズズウゥゥゥ・・・バァァァンッ
そう会話をしている間にルネの街は破壊されていた。
破壊された建物はいくつもあり・・・無論それはジムも例外ではなかった。
「ルネシティが・・・」
「!!そうだ、アダンおっちゃんは!!!
おっちゃあああああああん!!!」
今は既にもう岩や瓦礫の山と化し海に溺れたルネシティに向かって叫ぶクウヤ。
だが返事がなくクウヤは愕然とした表情を浮かべる。
「・・・」
「クウヤ、大丈夫だよアダンさん達は」
「え?」
「ほら」
セイが指差した先には化身たちより大きいポケモン・・・世界一の大きさとも言われるほどの巨体のポケモン、ホエルオーだ。
「みなさん、私たちはここです!」
その背には沢山の人が乗っていて、あの人もいた。
「おっちゃん!」
「私達は大丈夫です。
誰一人とて死人は出していませんよ」
「よ・・・かったぁ・・・」
「今全国のジムリーダーに呼びかけています。
ダイゴくん、我々の指揮をおとりください!」
「わかりました!」
ダイゴはセンリと共にアダンの元へ向かった。
リクガ達もとりあえず彼の後を着いていく。
「あ・・・」
クウヤはちらりとルネを見た。
「・・・」
人々は全員避難したとアダンは言った。
それは信じていい情報だが海沿いの町並みは海の中へと消え 高い層の建物も崩壊している・・・良い思い出が決して多いとはいえないが自分が育った街がぼろぼろになっていくのは辛いものがあった。
「・・・泣くのはまだあとっ!」
しかし自分よりもっと辛い思いをしてる人がいる、
今は落ち込むよりなにか行動を起こすのが優先だとクウヤは向き直る。
ホエルオーの上に人が増えた。
さらに、各地からここ向かってくる人影がいくつも見える。
「ジムリーダーの皆さん!」
「クウヤさん、お久しぶりですわ」
「ルネのことは任せてよ」
「今ホウエン全体で強い日照りと豪雨が襲ってきてるんだ」
「黙って見過ごすわけにはいかないのよね!」
「・・・私にも守りたいものがある、この命に変えてでも」
「人々を守るのもジムリーダーの勤めだしな」
「わしには家族もおるからな」
「絶対に誰も死なせないって!」
「そのためにも、キミたちの力をお貸し願いたいのです」
彼らの顔を見渡し、クウヤは決意の表情を浮かべる。
「・・・ツツジ、アスナ、フウ、ラン、センリのおっちゃん、ナギ、テッセンじーちゃん、トウキ、アダンおっちゃん・・・。
・・・うんわかった!オレがんばるよ!
絶対にホウエン救ってみせる!」
「ボク達も当然、ね」
「ええ!」
グラードンとカイオーガは依然戦い続ける。
だからここでじっとしているわけには行かない。
それに応えるかのようにエーネはボールから出てきてクウヤのリュックに入っていた月の石に触れる。
「エーネ!?」
「自らの意思で進化したか・・・エネコロロに」
「エネコロロ・・・よーし!」
可愛らしさを残しつつも凛々しい姿へ成長したエーネを見てセイは愛用のノートパソコンを開く。
「アオギリは今はどこにいるかわからないけど、マツブサは発見したよ」
「い、いつの間に!」
「ネイティオの力を借りているんだ」
「何気にすげぇなお前・・・・で、どこにいるんだ!?」
ノートパソコンに表記された場所をそのまま口にする。
「目覚めの祠の最深部・・・アオギリは今から探す」
「よーし、とにかく行ってみようぜ、目覚めの祠!」
「「おおっ!!」」
そう言い3人はルネシティに入っていく。
荒らされた街中でグラードンとカイオーガの飛び火を回避しながら目覚めの祠へ到着した。
中は外の様子とはうってかわって静かでありながらまた別の意味で張り付いた空気が流れている。
内部には壁画がいくつも描かれており、その中のひとつにリクガは目を向けた。
「これは・・・」
赤いポケモンと蒼いポケモンの上にもう一匹・・・緑色のポケモンが描かれているものだ。
「・・・・」
「どうした、リクガ?」
「いや・・・二人に頼みがある。」
「「?」」
リクガはモンスターボールを構え呟いた。
「あいつらには貸しがあるんだ。
マツブサの相手はボクにやらせてほしい」
「えっ!」
「なんでだよ!」
「さっきも言っただろう・・・貸しがあるって。
だから許しておけないんだ。」
彼の赤い目をみて、ふたりはやれやれと言った様子でここのことをリクガに任せることを決めた。
「・・・わかった」
「その代わり負けたらしばくからね」
「!ああ、絶対勝利してみせる!」
そういいクウヤとラカイは出口へ、リクガは奥へ歩いて行った。
最深部、そこは何かを祀るところがありその中心部にいる人物へリクガは睨みを利かせながらその名を呼んだ。
「マツブサ・・・!」
「くくく・・・来たか・・・しかも一人とはちょうどいい・・・。
貴様には散々邪魔されたからな。
たっぷりとその礼をしたいと思ってたところだ・・・」
道中でマツブサと直接対決したことを思い出す。
あのとき、リクガは自分の妹を傷つけた怒りで我を忘れかけていた。
あのときに・・・ダイゴがとめてくれなかったらどうなっていたかもわからない。
「それはこっちの台詞だね・・・!
よくもボクの妹を・・・
アリカにひどいことしてくれたなぁ!」
「我が野望は途絶えぬ!!」
リクガはボールからフーディンをだした。
マツブサもフーディンに有利なグラエナを繰り出す。
「いくぞ!!」
「「勝負!」」
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ついに伝説のポケモン2体が衝突します。 | ||
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