ポケットモンスター トライメモリーズ 第59話
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第59話:のぼりきれ!天空の塔!

 

「空の柱!?」

『ああ、ネイティオの超能力で判明した事実なんだけどね』

 

目覚めの祠を出た二人がセイから聞いた情報はアオギリの居場所だった。

そしてシグレは父を止めるために先にそこへ向かったのだという。

さらにセイはそこの頂上に眠る伝説のポケモンの名を言う。

 

『レックウザは知っているかい』

「レックウザ?」

「レックウザ・・・!

天空の塔にいたのね!?」

 

初めて聞くその名にクウヤは?マークを浮かべるがそれに対しラカイは何かを知っているのか目を丸くする。

 

『そうみたいだよ。

ホウエンでの昔の言い伝え・・・海と陸の化身同士の争いを鎮めたのは空の化身だと言われているんだ。

その空の化身・・・レックウザの力を借りれば、グラードンとカイオーガを止められるかもしれない!』

「「・・・」」

 

クウヤとラカイは顔を見合わせ頷く。

「やる!」という息の合った二人の声を聞きセイはふっと笑い二人に塔の場所を教える。

ちょうどキナギタウンの近くにあった。

 

「キナギタウンの近くにあったなんて、盲点だったわ。

いきましょうクウヤ」

「ラカイ」

「リクガなら大丈夫よ、彼だったらあれくらいならたいしたことないわ!」

「そうだな、アオギリをついでに懲らしめてレックウザ呼び起こそうぜ!」

「おーっ!」

「・・・二人とも」

 

何気に酷いことを言いつつ二人はそれぞれナークとエアームドのムアを出し空の柱へ向かうことにしキナギタウンに一度行ったことがあるというラカイについていく。

 

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しばらく飛んでいくと海に浮かぶ街が見えたが人は一人もいない・・・おそらくジムリーダーが避難させたのだろう。

 

「あそこよ」

 

やがて見えたとてつもなく高い塔に、クウヤは息を呑む。

 

「で・・・でけぇ!」

 

着地できそうなところを探す二人。

 

「レックウザはとても高いところに生息すると聞いたことはあるけれど・・・これは予想以上ね」

「そーいやラカイは知ってるのか?

あのポケモン・・・レックウザのこと」

「ええ。

カイオーガとかグラードンの伝承も聞いたことがあるわ。

といっても、本で見聞きしただけなんだけど」

「そっか・・・」

 

ラカイはそうだ、と思い出したように話を続ける。

 

「クウヤ、気をつけてね?

レックウザは危険なとこに住んでるの、でも」

「でも?」

「これも本とかで知ってるだけなんだけどね・・・」

 

ラカイは知ってる限りの情報をクウヤに簡潔に話した。

 

レックウザはオゾン―O3―という気体の中に生息する。

が、オゾンというのは有毒な気体あり雲より上のところにあるらしい。

危険というのはこれのことだが、ラカイは話を続ける。

いくら伝説といえど延々と飛び回っていればいづれは疲れてしまうもの。

時折どこかで、体を休めているのだという。

 

「でもその話が本当なら、ここにいるというのもうなずけることね」

「まぁ、ここみるからに高いからな」

 

この空の柱の高さだと、頂上は丁度雲の中。

レックウザの安心できる空間になっているであろう。

そう考えればレックウザがここにいるのも納得できる。

 

「ラカイ、あそこから入れそうだぜ」

「よし、いくわよ」

「ああ」

 

塔の中にギリギリ入れそうなところを発見しラカイは話を止める。

クウヤもまた、彼女に続いた。

 

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「うはっ、暗いなぁ。

ピーカ、フラッシュ!」

 

ピーカがしっぽに明かりをともしあたりを照らす。

中は古びており、人や野生ポケモンの気配がない。

 

「・・・本当に誰かがいるの、ここ?」

「え、オレたち?」

「違うわよ」

 

真顔でぼけるクウヤに慣れたのか軽くツッコミを入れて発見した階段を登っていくラカイ。

恐らくこの空の柱が世界一高い塔なんじゃないかというほど真上を見るたび思う。

天井がほとんど見えず階段も長そうだ。

しかし足場が脆く止まってしまえばそこで落ちてしまいそうなので

少しもスピードを緩めず上へ上へ進んでいく。

そうするうちに大広間らしき広い部屋に着くと、衝撃的なものを目にしてしまった。

 

「アオギリ!!」

「くくくく・・・・やはりきたか・・・」

「シグレくんまで・・・」

 

シグレは・・・アオギリに敗北し地に伏せていた。

その体は倒れているぺリッパーたち同様、ぼろぼろだ。

ラカイはすぐにシグレに駆け寄りクウヤはギッとアオギリを睨み付ける。

 

「てめぇこいつの親じゃねぇのかよ!!!」

「・・・・だから、なんだ?」

「なんで、どうしてこんなひどいことできるんだよ!

ホントの家族じゃないのか?!」

「家族・・・ククク、それがどう関係する・・・?

所詮私とこいつは同一人物ではない・・・別の人間なのだ、他人なのだよ・・・!」

「勝手なことを言うなこのクソがぁ!!」

 

クウヤは怒り叫びアオギリに殴りかかろうとする。

・・・が、それを静止したのはラカイだった。

 

「なにすんだよ、ラカイ!」

「クウヤ、あなたはレックウザの元へ向かって!」

「えっ・・・!?」

 

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ラカイはそのままアオギリをにらみ、視線をクウヤに戻して話を続ける。

 

「わたしだってこいつムカツクし、結構借り作っちゃってんのよ・・・!

こいつの相手はわたし一人で充分よ、大丈夫」

「ラカイ・・・」

「家族に、親が子にあんなことするなんて、あんなこと言うなんて絶対に許せない。

だからこいつはわたしが戦って叩きのめす。」

 

アオギリをにらむラカイの目は、あのときのリクガと同じものだった。

 

「・・・わかった、頼むぜラカイ!

オレ絶対レックウザ呼び起こしてグラードンもカイオーガもとめて見せるよ!」

「ふふ、そうこなくちゃ!

さあ急いでよ!」

「おぅ!」

 

そう言葉を交わしあいクウヤは階段を登っていく。

彼を止めようとアオギリはサメハダーを向けるがそれをラカイのラグジーが静止した。

アオギリはラカイのほうを向く。

 

「ククククク・・・・シグレの調査によれば貴様、

トウカジムの娘だな。 

なるほど、通りで貴様の正体が見えぬことよ・・・」

「・・・そこまで知ってるのなら手抜きは一切なしでいいよね」

「オレとて貴様を生きて帰すつもりはない。

オレをここまで邪魔した報いとして、貴様の亡骸を民衆にさらしてくれるわ!!!」

「『オレたち』じゃなくて『オレ』か・・・」

 

ラカイはラグジーに攻撃態勢にはいるよう手で指揮をとる。

 

「息子だけじゃなく他の団員すらあんたの眼中にないのね・・・・!

ここでしばらく眠っていてもらうわよ!」

 

ラカイはキュウコンを繰り出しシグレを安全な場所へ連れて行くよう促す。

そしてラグジーだけでなく自分の全てのポケモンをその場に出した。

 

「死闘、か」

「わたしの一方勝負にしてやるわよ」

 

両者の激しい戦いが始まった・・・。

 

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「まだまだ上か・・・くぅ・・・っ!!!」 

「シャ!」

「おっとっと、さんきゅなアーチ」

 

あれから・・・

 

もう何階上がってきたのだろうか。

未だグラードンとカイオーガは暴れてるのだろうか。

 

「みんな・・・」

 

セイや、ジンキ、ダイゴ・・・ジムリーダー達。

そして人々を救うため駆けつけた四天王たちは無事だろうか。

色々な思いがクウヤの中を駆け巡る。

だからこそか立ち止まらず、時折手持ちのポケモンたちの力をかりながら頂上へ一歩ずつ近づいた。

 

「・・・・?」

 

やがて深い霧に包まれたフロアに辿り着く。 

その先に見えたものにクウヤは今までの疲れを忘れしばし立ち止まる。

 

「・・・・まさか・・・あれは・・・」

 

 

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「ミナモ方面は大雨の、カナズミ方面は日照りの影響がもっとも現れている!」

「こちらキンセツのテッセンじゃ、街の人はみな避難完了じゃ!」

「四天王フヨウ、野生のポケモン達もなんとか助けてるよー!」

 

クウヤが階段を登っている頃、ジムリーダー達は二手に分かれ

ホウエンの人やポケモンを一身に救助していた。

ミナモ方面はダイゴ、カナズミ方面はジンキが指示を担当している。

 

「よし、あとは上手く彼らを守ってくれ!」

「了解です!」

「・・・・・・・」

「セイ君、キミは避難しないつもりだね?」

「ええ、クウヤは必ず来ますから僕はここで待ちます。

希望をつれて・・・」

「・・・ああ、俺もそう願ってるよ」

 

ジンキはボーマンダで再び飛んでいった。

 

「・・・リクガ・・・死ぬなよ」

「ラカイ・・・!

逃げても構わん・・・生きて帰ってきてくれ」

「神よ、クウヤの命を欲すなら代わりに僕の命を・・・」

 

娘の、弟の無事を祈るものたちがいた。

 

その気持ちは奇跡を生む・・・・。

 

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