Dear My Friends!第2期 第8話 めぐみの真意
[全8ページ]
-1ページ-

(午後5時過ぎ インタネ共和国内 城塞都市クリアン 最高裁判所・会議室)

 

 会議室には結構な人数がいたのですが、テルがめぐみの真意を聞きたいと提案した時から、静かになってしまったのでした。この中で、世界の事を一番知っているのは、程度はともかく“めぐみ”だろう、そう全員が思ったとき、ヤマト国の“内戦状態”という物騒な現実をリンクさせると、真意を聞くことには“悪い予感”しか付いてこなかったのです。

 

めぐみ:皆さん、これからの事は“真意”とは言っても“事実”ではありません。私が調べて学歩の情報を取り入れた結果出てきた、“推測”、に過ぎません。ただ私が皆さんに“不安”をかけないように、オブラートに包むなり、嘘を言ったり、そう言うことをしないという意味での“真意”ということです。なので、ショッキングな内容が入ってくる事もありますので、ご覚悟を

 

ルカ姫:ワクワク

テル:私の推測と一致“しなければ”いいのだが…

-2ページ-

めぐみ:まず、ハッキリさせて置くことは2点。1つは勿論“真意”ですが、もう1つ、“テル達を尾行している人物の素性”です。ただこの素性の推測をするためには、真意を語っておく必要がありますので、そこから行きます

テル:(尾行している連中の素性?)

 

アペンド:ちょ! テル! なんでそんな大事なこと、先に言わないの!

テル:あ、ああ、すまん。簡単に言うと、ミクさん達の世界にあった機械と似た装置を持った三人組に、途中で簡易な検査を受けて、そのお礼としてイアがバッジを貰ったのだが、どうやら消えない発信器だったらしく、連中の姿はそれから見ていないのだが、どうもずっとツケられているらしい、という事なんだ。イアに興味を持っていたようで、イアに渡した事から考えても、連中の目的はイアだろう、と。めぐみさんには話してあり、警戒を強めて貰っている

アペンド:ちょっと、イアちゃん、大丈夫なの?

イア:単なる発信器ですから、問題は起きていません。それより、めぐみさん、その連中の素性の予測って、今回と関係あるんですか?

 

めぐみ:予測通りなら、関連があると考えられます。ただこちらの“旅”の事を事前に知った上で行動したのではなく、まさにテル達と偶然に会ったことから始まったのでしょうね。それより、まずは私の“真意”を語ります

 

全員:ごくり…

-3ページ-

めぐみ:今回も真意の結果から最初に入ります。はっきり言います。“私たちの世界”と“ミクさん達の世界”は、全く違う世界ではない、そう思いました

 

全員:え!?

アペンド:つ、つまりどういうことですか?

 

めぐみ:もし私の真意通りだったら、の話になりますが、“ミクさん達の世界”と“私たちの世界”は、そもそも同じ。違うのは、“時間だけ”、ということです。勿論、“確率論で言うところの『平行世界(パラレルワールド)』”も入れての事ですが

 

テル:(・・・・・やはり同じだったか・・・・)

 

ルカ姫:??????????・・・・・つ、つまりどういうこと?

 

めぐみ:わかりやすく言うと、私たちは、ミクさん達の先祖か子孫、どちらかということです。ただ、この“どちらか”も第2弾の推測で語りますが

-4ページ-

アペンド:ちょ・・・・・ちょっと! それって、まさか、“対応する人物がこっちと向こうに必ずいる”って言う、前回の魔法陣事件と関係大ありって事じゃないですか!

めぐみ:大ありです。まさに、今回のヤマト国の情報と、テル達を尾行している連中の機材と、そして前回の事件の事、全部繋がっていると思っています。それが私の真意の真髄です。しかも“対応する”なんて抽象的な事ではなく、“繋がっている最も血の濃い人物”が、向こうの世界から自動選出された、そう考えるべき事だった。そうでしょうね

 

アペンド:そ・・・・・そんな・・・・・・

 

めぐみ:それと、もう1つ、推測としてはっきりさせて置くべき事は、“どっちが先祖か?”ですが、これは今、テル達を尾行している連中の持っていた“ギア”の事からおおかた予測できます

リン:『ギア』?

めぐみ:“魔導装置”ではないと予測できる機械を、法的にはそう言う風に呼んでいます。イアさん、その連中が持っていた“装置”は、ミクさん達の世界の機械に似ていたんですよね?

イア:は、はい、こちらの世界の通信室で見られるような『魔導装置』ではなく、明らかに、私たちの世界の“ノートパソコン”と“サングラスや3Dメガネ”のような装置でした。それに電源コード類も無かったから、おそらくバッテリー駆動だったのだと思います。クリプトン王国での事を考えると、どうやって“充電”していたのか不思議ですから、おそらく“モバイル発電器”を持っているのでしょうね

 

めぐみ:私が裁判官の職的に見てきた“装置”に、そんなものは1つもありませんでした。だから、“魔導装置以外の装置”を、全部ひっくるめて『ギア』と総称しているんです。そして、イアさんは・・・・確か、向こうの世界の“アキバ”出身ですよね?

イア:はい。正確には、“日本国の秋葉原”ですが

めぐみ:つまり、その三人組は、こちらの世界のアキバ、要するにヤマト国出身と思います

学歩:え!? そ、それは行きすぎの推測だと思うでござるよ? 拙者の出身、つまり“サホロ”近辺では、そんな装置、見たこともないでござるし、そんな文化、なかったでござるよ!?

めぐみ:・・・イアさん、学歩の出身の“サホロ”、ヤマト国の北の方ですが、“サホロ”って言葉に似た地名、そちらの世界にありましたか?

イア:え、えっと・・・あ、あります! “北海道の札幌(さっぽろ)”!

 

 めぐみは協会から貰った、ヤマト国の地図を広げ、サホロの下のエリアを指さしました。

-5ページ-

めぐみ:ここは、『トゥ・ホック』というエリアです。この名前は?

イア:たぶん、“東北(とうほく)地方”の事だと思います

 

 更にその下のエリアの数カ所を指さしました。

 

めぐみ:ここはおそらく内戦の中心地だと思いますが、ヤマト国の首都近辺で、“カスミ”という所です。これに心当たりは?

イア:首都だし、ここだと、“霞ヶ関”の事だと思います。首都である“東京”の地名です。昔は“江戸”って呼ばれてました

めぐみ:ビンゴです。このエリアは経済特区だった“オーエド”という地区です。他に“ナガタ”って所もありますが、どうですか?

イア:どうですかも、なにも、そこ、多分、政治の中心地の“永田町”ですよ!

めぐみ:地理的に言って、今は、ここは、激戦地でしょうね。この地図では、これより以南の箇所ははっきり書かれていないので、これ以上は割愛します。それと、さっきの“『ギア』を持つ三人組がヤマト国出身”の事ですが、ウラは取れてます。さっき、門番に連絡してみたら、ヤマト国の証明書を持っている三人組が、午後に門をくぐっていった、とのことです。ヤマト国はそもそも辺鄙な島国、しかもこのタイミングで三人組、証明するには十分でしょう

 

テル:あいつら、やはりツケていたか…

 

 めぐみはそろそろ真意をまとめることにしました。

-6ページ-

めぐみ:これらの情報から考えられるのは、ヤマト国には『ギア』があって、首都付近では内戦状態。北の方は平穏でむしろ学歩などの“サムライ”などの姿をしている人が多い。そしてそれらをひっくるめて、コッチの世界とミクさん達の世界は、そもそも同じ…。争点は“どっちが先祖か?”

 

イア:あの…、その『ギア』の事ですが、あのコンパクトタイプは、そもそも私たちの時代からそれほど離れていない時期に、商品が作られているので・・・・・・

 

めぐみ:そう、あの『ギア』は、少なくてもイアさんの世界の時代より前には作られていない・・・・・・

アペンド:なっ・・・・ま・・・・・まさか・・・・・

 

 まさに、その答えを想像するのは容易いことだった。しかし、その仮定を“思いつく”事は難しいことだった。

 

めぐみ:そうです。我々の先祖はミクさん達と考えられるんです

 

全員:!!!!!

-7ページ-

めぐみ:我々が持っている記録には、ヤマト国の事はどういう訳か、その推測のウラが取れる事が書かれているのに、ミクさんたちの未来世界である同じ世界の人間である“私たち”の事や国の歴史の記録がないのですよ。イアさん、こっちの世界が未来だとして、ここら辺の国に似た、他の国って、ありましたか?

 

イア:その・・・・東欧諸国の“昔”のお城とかなら、“遺産”として残っている可能性は考えられるんですが、未来世界なのに“生活文化”としてこういう形を維持している“ガイコク“は、ちょっと考えられないんです。もし、ここが”アメリカ“とかだったなら、少なくても、ノートパソコンとかサングラス位は、普通の生活物品として残っていてもおかしくないと思うんです。異端な機械『ギア』なんて呼ぶこともないだろうし…

 

めぐみ:私の真意と推測は、ヤマト国の現状から導いた物ですから、我々のこの文化が、どうしてこうなったのか、それはわかりません。もしかすると、内戦状態とはいえ、ヤマト国の人が知っているのかも知れません。いずれにしても、私たちがヤマト国に行く目的がちょっと変わりましたね

 

テル:そうだな。めぐみさんの推測の真偽を確かめることは、それほど変わらないが、もう1つ、我々の生活圏の過去を教えて貰う事も入ったわけだ。しかし、もう1つ、“入ってしまったこと”、が増えたな

アペンド:そうですね、『戦中をくぐり抜けて、必ず無事に帰ってくる』。冒険なら当たり前の事だが、向こうは戦争中。言ってみれば、闘う相手は、自然やモンスターだけではなく、人間や『ギア』も入ってくる。生半可な事では実現しそうにないですね…

 

めぐみ:正直、こんな危険な事になるとは思ってなかったので、謝罪の言葉すら浮かばない状態ですが、少なくても、回避しないと行けない二人はいます。その一人である“イアさん”ですが、申し訳ないですが、やはり同行して貰いたいのです。ミクさん達の時代の情報源として、どうしてもいて欲しいのです

 

 これは切実なことだった。イアは“重要人物”なのです。

-8ページ-

イア:当然です。私は行きますよ、私たちの国の未来がどうなっているのか、確かめたいですから

 

めぐみ:すみません。それともう一人、イアさんの同行がある関係で、無理強いする必要がなくなった方がいます

ルカ姫:・・・・私ですよね

テル:そうだな、アキバの“情報”だけならイアさんに聞けばいいし、ルカ姫はそもそもお姫様だ。普通の冒険だけならいざ知らず、こんな超危険なことに巻き込むことになったら、カイト王とメイコ王妃になんて謝ったらいいか…

 

ルカ姫:・・・・私は行きますよ。ミクさんやルカさんの“あの街”と“あの国”がどうなったのか、どうしても知りたいですし、最初の“どうしてもルカ姫に来て欲しい”って約束は、絶対守って貰います!!!

 

 当然と言えば当然の事だったりする。ワクワクして招待された人間を、事情で追い返すなど、出来るはずがないことだ。それに、最初のイアとの一件で、そういう扱いをされることに、ルカ姫がピーキーになっていた、とも思えたのでした。

 

めぐみ:・・・・そういうと思っていました。一応確認取っただけです。でも、本気で危険ですから、我々も頑張りますが、ルカ姫自身も最大限の注意を払って下さいね

ルカ姫:冒険の鉄則ですから、そんなことは解ってます

 

 パーティメンバーは決まった。しかしこれから、この壮大にして最大限の危険を伴う“冒険”について、めぐみの推測結果を前提に、再度練り直す必要が出てきたのでした。

 

(続く)

 

CAST

 

イア:IA-ARIA ON THE PLANETES-

ルカ姫:巡音ルカ

魔導師アペンド:初音ミクAppend

魔導師テル:氷山キヨテル

僧侶リン:鏡音リン

勇者レン:鏡音レン

 

異国の剣士 神威学歩:神威がくぽ

裁判官 勇気めぐみ:GUMI

 

ヤマト国からの旅人三人組

瑞樹(ミズキ):VY1

勇馬(ゆうま):VY2

兎眠りおん(りおん):兎眠りおん

 

その他:エキストラの皆さん

説明
※今回からの新シリーズは、前作「Dear My Friends! ルカの受難」の続編です。ナンバリング的には2期になります。
現在ピアプロで連載投稿中の最新シリーズとなっております。

☆当方のピアプロユーザーネーム“enarin”名義で書いていました、ボーカロイド小説シリーズです。第16作目の第8話です。
☆今回も1話分を短めにした、ファンタジーRPG風味の長編です。現在もピアプロに続きを連載投稿しており、完結しておりません。     

☆2期では、”イアさん”と”ルカ姫”のW主人公で行っていますが、シナリオによって、軸が変わっているところもありますので、そこら辺はご愛敬で…。
☆今回はファンタジー以外にも、ちょっと違った要素も入れてます。

***

☆めぐみさんが推測した結果の“真意”の話です。第1期を含めた、とんでもない事が飛び出しました!

☆さて、これからどうなるのやら…

☆今回、ヤマト国の地名として、第7話のGRYPHUSδ様のコメントの内容を参考にさせていただきました。有り難うございました!
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
894 894 0
タグ
巡音ルカ IA Append 氷山キヨテル 鏡音リン 鏡音レン インタネボカロ VY1 VY2 兎眠りおん 

enarinさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com