Triangle Goddess! 第18話「雷神マグナ=トール」 |
その頃……。
「はっはっはー! やっぱりミッドガルドっていい場所だなー!」
オーディンの子、トールが下界を歩いているところでした。
トールはかなりの下界かぶれであり、この服装も下界の人間のものを真似しているのです。
「しかし人間っていうのは本当に面白い奴だな」
人間は、神と比べて寿命も力も遥かに劣っています。
しかし、適応力が非常に高く、この広い下界の隅々まで広がって生活をしています。
また、完全な存在である神と違い、人間は不完全故に「成長」する力も秘めています。
それがトールにとって一番興味深い事なのでしょう。
「さーて、どんな人間が来るかなー?」
トールが、人間が来るのを待ち望んでいた、その時でした。
―シュン
「うおっ!?」
彼の目の前に、ジャンヌ、ゲール、バイオレット、使者、レオーネがやって来ました。
「あんた達、下界に落ちたばかりの見習い三女神かい?」
「いえ、今はジーン、ゲルダ、ヴィアという人間として活動しています」
「だそうだ」
ジャンヌは、あくまで自分達は人間として振る舞っている、とトールに話しました。
「つまんない奴だなー。まぁ、その方がいいがな」
「ええと、どういう意味ですか?」
「まぁあんたらはそのまんま、人間として振る舞えばいいさ!」
トールのあっけらかんとした態度に、バイオレットははぁ、と溜息をつきました。
しかし、かなり人間臭い神である事もまた、事実です。
「そういえば、なんであんたらは下界にいるんだ?」
「話は長くなりますが……」
そう言うと、ゲールはトールに自分達三女神が下界に落ちた理由を話しました。
「あ〜なるほどね。だからあんたらは冒険者の人間となってここにいるのか」
「うん、そうだよ」
「しっかしマザー教団か……。オレ達の敵になる事は確かだな」
トールはあまり頭は良くありませんが、何故か頭の回転は速いのです。
「そんなわけで、オレもあんたらに協力していいか?」
「えっ? いいのですか?」
「いいってもんよ! 同じ神なんだからな!」
トールはあっけらかんとした表情でそう言いました。
「だから使者さんとそこの海賊さん、早く帰ってな」
「えっ!?」
「何故だ!?」
「ここから先は危険な戦いになりそうなんでな。女神さんもまだ見習いらしいし。
だから、これからオレが女神さんを守るってわけさ」
「……」
使者は黙りました。
当初は三女神を神界に連れ戻そうとした使者でしたが、
現在三女神が帰れない今、その役目は果たせません。
「何故、私を置き去りにするんだ」
「おっと、ここから先は神の領域だ。お前のような人間が入れる場所じゃねぇよ。
それとも人間やめるか?」
「……」
トールの言葉を聞いたレオーネは黙りました。
人間をやめれば、人の心が失われてしまうかもしれないからです。
「なら、とっとと家に帰るんだな。オレが言える事は、それだけだ」
「……分かったよ」
トールに促されたレオーネは、使者と共に船に乗りました。
「それじゃあお前達、そいつのところでも頑張るんだよ!」
「運命に負けるなよ、三女神……」
「はい! ありがとうございます!」
「必ず、マザー教団を壊滅させてみせます!」
「そのためには絶対に、負けたりしない!!」
三女神は手を振り、船に乗った使者とレオーネを見送っていきました。
「さあ、オレ達はマザー教団をぶっ潰しに行こうぜ!」
「はい!」
ジャンヌ、ゲール、バイオレットは、トールという新たな仲間と共に、
マザー教団を倒しに行くのでした。
(……あれ? どうしてトールが下界に……?)
少しの疑問を持ちながら。
説明 | ||
ここから主人公側の人間キャラが少なくなっていくつもり……。主役は神ですからね。 | ||
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