Dear My Friends!第2期 第11話 イアの笑顔
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(お昼時 インタネ共和国内 城塞都市クリアン オープンカフェ『ピットセント』)

 

 “話を聞く”事がお互い大前提になったので、テルとリンは杖をテーブルの端に置き、レンは愛剣を納めました。例の3人は、りおんの杖以外、そもそも“一見して武器とわかる武器”を持っていなかったので、テーブルに対峙する形で座り、話を始めることにしました。

 

テル:さて…そちらの言い分と話を聞く前に、そちらに敵意が無く、更に我々の行動を調べていたり、推測していたりしているから、こちら側のメンバーをまず伝えておく

イア:尾行している可能性があったときは、さすがに敵意というか警戒心を持っていたけど、そちらが敵意を持って接触してこなかったから、話すんだからね

 

 ミズキ達3人は、一緒に頷いて了解の意志を伝えたのでした。

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テル:では。私は魔導師のテル、黄色の髪の女性僧侶がリン、黄色の髪の剣士がレン、そして君たちの目的であり、私がその“素材”から錬成したのが“イア”だ

イア:3人は私たち以上に、私の事だけは知っていたみたいですけど、それはおいおい教えて貰いますからね

ゆうま:了解だ

 

テル:それと、こちらのパーティは我々だけではない。この旅の主催者であり裁判官の“勇気めぐみ”、君たちと一緒でヤマト国出身であり“めぐみの友人”の剣士である“神威学歩”、私の妻で魔導師の“アペンド”。それと・・・アキバという今のところ“異世界”と呼んでおく場所に行った事で同行することになったクリプトン王国の姫である“ルカ姫”、この8人がメンバーだ

 

ミズキ:自己紹介だけはこちらも初めにしておくことにします。私はこの3人のリーダーである“瑞樹(ミズキ)”、このノートパソコン使いの男が、“勇馬(ゆうま)”、そしてこの紫髪の女の子が、うちのムードメーカーで魔導師の兎眠(とね)りおん、だ

ゆうま:宜しくお願いします

りおん:宜しくな!

ミズキ:それと、母国のヤマト国にいて、我々の調査結果をまとめているボスの“ミゥ様”、この4名がメインメンバーだ

 

テル:了解した。君たちの“人となり”がちゃんとわかった故、すまないが、めぐみのいる最高裁まで来て欲しい。主催者がめぐみである事もあるが、他の残り半分のメンバー抜きで、我々だけで話を進めるのは、やはりまずいと思ったのでね

ミズキ:そうですね。でも、本当にいいんですね?

リン:尾行の件は、私たちから、めぐみさんにちゃんと説明します。大丈夫です

りおん:で、なにか美味しい物ある?

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 ゴチン!

 

 りおんの頭に、ゆうまのゲンコツが落ちたのでした。

 

ゆうま:りーおーんー、いくら何でも空気読めなさすぎだぞ!

りおん:だってー、あれだけじゃ、あちし、足りないんだもん…

 

くすくす

 

 それは初めての光景だった。無表情か悲しい顔しかなかったイアが、その掛け合いを見て、笑ったのである。

 

テル:な・・なんと・・、ミズキさん達、感謝するぞ! 君たちの漫才で、イアさんが笑ってくれたんだぞ!

 

くすくす・・・にこにこにこ

 

ゆうま:あ、いや、これは漫才ではなく、こいつの“素”なんですが…

りおん:いっったーーーー、ゆうま! 今回は特別痛かったのだ!

ゆうま:おまえ、なんか、イアさんに良いことしたみたいだぞ? よく解らないが…

りおん:そうなのか!? じゃあ、ご褒美にこの店の一番高いメニューw

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 ゴチン!

 

ゆうま:調子に乗りすぎ!

 

 にこにこ・・・キャハキャハキャハ!

 

テル:き・・・・・奇跡だ・・・・

リン:ゆうまさん、りおんちゃん? あなた達、凄いことしたのよ? りおんちゃんには最高裁の食堂でご馳走しなきゃね♪

りおん:やったのだぁーーーー!!!!

 

ゆうま:はぁ〜

 

 そんなこんなで、イアに起きた奇跡の勢いで、テル達とミズキ達の全員は、お店をあとにして、ミズキ達の宿に寄って、彼女たちの荷物を受け取り、一行は最高裁に戻ってきたのでした。

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(昼過ぎ インタネ共和国内 城塞都市クリアン 最高裁判所・受付)

 

 めぐみと学歩は既に帰ってきていました。受付に軽く説明して、最高裁の魔導機械で町中で買い物をしているルカ姫とアペンドを呼び出して貰い、30分後に二人と合流し、会議室に荷物を置いた後、一行はめぐみの書斎に移動したのでした。

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(昼過ぎ インタネ共和国内 城塞都市クリアン 最高裁判所・めぐみの書斎)

 

 まずテルが聞いた範囲のみ、めぐみに説明したのでした。

 

テル:・・・・・・・・・というわけで、彼らの尾行は許して欲しいのだ。勿論我々はとっくに許している

めぐみ:・・・・・まぁ、尾行された当人達が許したのだし、なにより“ヤマト国出身”で“イアの詳細を知っている”というアドバンテージはでかいです。いいでしょう。ここの警戒は後でグリーンに戻しておきます

 

ミズキ:感謝いたします

ゆうま:助かります

りおん:ありがとうなのだ!

 

 だがルカ姫だけが、どうにも納得できずに、彼らに目線を向けたままでした。

 

ルカ姫:じーーーーー。ゆうまさん、それ、私がアキバに行った時に、ルカさんとミクさんの部屋で見かけた機械でしょ? “のーとぴーしー”とかいうやつ

ゆうま:え? ああそうです。よくご存じで

ルカ姫:私、向こうの世界・・・・・めぐみさんの話ではコッチの世界の過去らしいけど、そこの“アキバ”に冒険したことがあるから知っているの

ミズキ:! 本当ですか!

ゆうま:凄いな…、俺達の“国”の過去に行ったことがあるんだ…

りおん:・・・・・そうなんだ、“あの”アチシ達の国の過去へ・・・・・そう・・・・・

 

 りおんはこれまで見せたことがないような、悲壮な顔つきに変わっていたのでした。

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めぐみ:(・・・・こりゃ、“あの国”の事、ちゃんと聞かないとだめそうね・・・・・)

 

ルカ姫:あ、あの、でもりおんちゃん? その国、凄く平和そうだったのよ? ケバブも売っていたし、ルカさんもミクさんも幸せに暮らしていたみたいだし…

 

りおん:・・・・・・・

ミズキ:あの・・・私たちの国とイアさんの事については、これからちゃんとお話しします・・・・その、どうせ外部に漏れても意味が分からない内容なので、出来れば落ち着ける場所がいいかと・・・・

 

めぐみ:そうね・・・・・・その“ギア”、どこでも動かせるの?

ゆうま:? あ、ああ、これ? はい、バッテリー駆動なのでどこでもOKです

めぐみ:そう、なら、屋上のテーブルを囲んでお話ししましょう。少し“晴れた気分”で話したり聞いたりした方が、たぶんダメージは少ないと思うから…

ミズキ:…そうですね、それが最良だと思います。食堂だと、りおんが食べてばかりで話が進まないと思いますし…

りおん:Σ(°д°lll)

ゆうま:まぁ、あとで食べようぜ

りおん:(´・ω・`)

 

 りおんは言葉の文字にならないような表情で残念がっていました。ということで一行は、最高裁の屋上に移動し、大きな白いテーブルの周りにある椅子に“円卓”のような感じで座り、食堂のスタッフが運んできた“めぐみが注文したジュース”を全員で飲みながら、話を進めることにしました。

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(昼過ぎ インタネ共和国内 城塞都市クリアン 最高裁判所・屋上)

 

めぐみ:ふぅ。さて、そちらからのお話を・・・と言いたいけど、まずこちらの事情を話さないとね

ミズキ:そうですね。なんでわざわざ“あの国”に行くのかとか、イアさんが何でそちらにこんな形でいるのかとか…

めぐみ:そうね…イアさんの事から入った方がいいみたいね。テル、お願いします

テル:はい。このイアさんは、知っての通り、君たちが“逆錬金術”を使って入手できるような、『この世界にはあるはずがない素材』から私が錬成しました。その素材は、ルカ姫があっちの世界・・・・つまり“過去の世界”に魔法陣で飛ばされたときに偶然入手してしまった、『イアちゃん人形』という向こうの世界で大人気の“フィギュア”です

ミズキ:尾行中にこの“ギア”で調べたのですが、“完成魔法陣事件”という件の時に入手された残りの素材、ということですね?

テル:そう。あの事件は既にめぐみも含めた全員で解決させたはずだったのですが、まだ1個、この“イアちゃん人形”が残っていたのです。私がそれがバレる前に、人間の形に“錬成”して、消していたんですよ。またあの魔法陣が作られると…

めぐみ:色々面度な事になりますからね。でもヤマト国に行く事になったのは、“イアさんの素性を調べるため”が先ではないんです。私の友人の学歩が、あっちの世界に昔いた“サムライ”に似ている事から、私が調べていったら、ヤマト国にぶつかったのです。そこから色々調べると、ある程度の情報は出てきて、それで…

アペンド:結局、この世界の事を知る上でも、行かないといけない事になったわけです。イアちゃんはヤマト国の前身の“日本”出身で、色々知っているので助かるので、同じくアキバを知っているルカ姫と一緒に、同行して貰う事になったわけです

 

 ルカ姫とイアは、コクッと頷いたのでした。ミズキ達3人も頷き、そして少し間を空けてから、ミズキが語り始めたのでした。

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ミズキ:・・・・・・そうですか、そういう経緯で・・・・・。その学歩さんのお話とか、“こっちに流れている範囲“で調べたわけですから、あの国の中心地域が、今、”内戦状態“、になっている事だけは、ご存じなわけですよね?

めぐみ:ええ。なんでそんな状態になっているのに、ヤマト国以外の地域に、ほとんど情報が流れてこないのか、かなり疑問でしたが…

テル:戦争状態になっていない“サホロ”からのチャーター便は出ていたようだが、そんな状態でよく、“ガイコク”、に出ることが出来た、とか、正直、未だに解らないことだらけだが

 

 ミズキは目を閉じて、1回、大きく深呼吸をすると、“話”を始めることにしました。

 

ミズキ:そちらの状況、よくわかりました。それでは、“こちらが持っている”、情報を開示することにします。覚悟、いいですね?

 

 コクリ

 

 めぐみ側の全員が頷き、そして、驚愕の“事実”が始まったのでした。

 

(続く)

 

CAST

 

イア:IA-ARIA ON THE PLANETES-

ルカ姫:巡音ルカ

魔導師アペンド:初音ミクAppend

魔導師テル:氷山キヨテル

僧侶リン:鏡音リン

勇者レン:鏡音レン

 

異国の剣士 神威学歩:神威がくぽ

裁判官 勇気めぐみ:GUMI

 

ヤマト国からの旅人三人組

瑞樹(ミズキ):VY1

勇馬(ゆうま):VY2

兎眠りおん(りおん):兎眠りおん

 

ミゥ:Mew

 

その他:エキストラの皆さん

説明
※今回からの新シリーズは、前作「Dear My Friends! ルカの受難」の続編です。ナンバリング的には2期になります。
現在ピアプロで連載投稿中の最新シリーズとなっております。

☆当方のピアプロユーザーネーム“enarin”名義で書いていました、ボーカロイド小説シリーズです。第16作目の第11話です。
☆今回も1話分を短めにした、ファンタジーRPG風味の長編です。現在もピアプロに続きを連載投稿しており、完結しておりません。     

☆2期では、”イアさん”と”ルカ姫”のW主人公で行っていますが、シナリオによって、軸が変わっているところもありますので、そこら辺はご愛敬で…。
☆今回はファンタジー以外にも、ちょっと違った要素も入れてます。

***

☆例の3人から語られる、驚愕の事実、の手前の準備の話です。
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巡音ルカ IA Append 氷山キヨテル 鏡音姉弟 インタネボカロ VY1 VY2 Mew 兎眠りおん 

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