Triangle Goddess! 第19話「ミリオーネはどこに?」
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 雷神マグナ=トールを仲間にした三女神は、土のミリオーネを探すために各地を歩きました。

「それで、お前らが探してる土のミリオーネってのはどんな奴だ?」

「けばけばしいメイクをした、悪魔を操るオカマです」

「なんとなく予測はつくぜ」

 トールはゲールの言葉を聞いて、土のミリオーネがどんな人物なのかをイメージしました。

「んで、どこにいるか知りたいか?」

「ええ、知りたいです」

「じゃあ、オレが勘で調べるぜ!」

「「「え」」」

 勘で調べる、という言葉に三女神は固まりました。

「安心しなよ、オレの勘は8割当たるからさ」

「……」

 トールの言葉を、ゲールは信用できませんでした。

 ゲールは外見相応に、慎重な性格だからです。

「何だよ、その顔は信用してないのか?」

「いやぁ、勘っていうのはあんまり当たらないって……」

「何ぃ!? どういう意味だそれは!?」

 ゲールの言葉にトールは怒りました。

 自分の事がよほど信用できないのか、と思ったからです。

「やってみなきゃ分からねぇだろ! やってみなきゃ!」

「って、先に行かないでくださいよー!!」

 信用しない三女神を置いて、トールは先に行ってしまいました。

 

「……はあ、追いかけるしかないようですね」

「そうだね……」

 三女神はそう言い、トールを追いかけました。

 

 トールにはすぐに追いつきました。

 彼が、下界を回るために「ゆっくり歩いた」(人間が走った時の速度とほぼ同じ)からです。

「勘で探すという割に、寄り道してるじゃない」

「これは、どういう事ですか?」

「だって、いい観光スポットが……」

「土のミリオーネを探すんじゃなかったんですか?」

 ジャンヌは凄みの利いた顔で、トールを脅かしました。

 それを見たトールは竦み、本来の目的を思い出しました。

「あ、ああ、そうだったな! あいつを探すんだったな! じゃ、じゃあ、早く急ごうぜ!」

 そう言い、トールは真っ直ぐに土のミリオーネがいそうな場所に向かいました。

 

「……今度はちゃんと探してくださいよ?」

「まあまあ、お姉様……とにかく、彼を追いかけましょうよ」

「……分かりました」

 

 こうして、三女神はトールを全速力で追いかけました。

 そして5分後、辿り着いた先が……。

 

「どこですか、ここは」

 それなりに広い、土の洞窟でした。

 しかし、入り口からは凄まじい瘴気が溢れ出ていました。

「分かるか? こっからすげー瘴気が出てるんだぜ。明らかに悪魔のそれだ。

 って事は、この中にお前らの探してるミリオーネがいるはずだぜ」

「あっ!」

 トールは、三女神から情報を聞いた時、恐らくはここにいるだろう、とこの洞窟を選びました。

 何故なら、悪魔を操るという事は、瘴気の濃い場所にいると睨んだからです。

「中は瘴気で歪んでるかも知れねぇが……。まぁ、入るしかなさそうだな!」

「ええ!」

「分かった!」

 そして、三女神とトールは、瘴気が溢れる洞窟の中に入りました。

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「……うわあ」

 洞窟の中は、トールの言う通り、瘴気で歪んでいて、まるで迷宮のようです。

 しかし、ここを通り抜けなければ、ボスに会う事はできません。

「ケーケケケケ!」

「ひゃっ!」

 ジャンヌが歩いていくと、下級悪魔のレッサーデーモンに遭遇しました。

 レッサーデーモンが爪でジャンヌを攻撃しましたが、彼女はかすり傷しか負いませんでした。

「ウィンド!」

 しかも、レッサーデーモンは一体しか出なかったので、風の能力で楽に倒す事ができました。

「こんな下級悪魔が一体だけですか」

「でも、奥には中級悪魔とかがいるぜ。気をつけろよ」

「はーい」

 トールの指示で、三女神は洞窟の奥へと進んでいきました。

 

 洞窟の中を歩いていると、

「あっ!」

 バイオレットが、宝箱を見つけました。

 彼女がそれを開けてみると、そこにはたくさんの石が入っていました。

「ただの石か……まぁ、攻撃用のアイテムにならなるが」

「そうですね。持っていきましょう」

 その後、三女神とトールにレッサーデーモン達が襲い掛かってきましたが、

 投石によって全員を無力化させる事に成功しました。

「石の力……恐るべし、ですね」

「一つでは無力だが、無数では強力、といったところだな」

 

「ひゃあん!?」

「お姉ちゃん!」

 途中、ジャンヌが罠にかかって小ダメージを受けたり……。

 

「ライトニング!」

「ウィンド!」

「ギィヤアアアアアアアアア!!」

 中級悪魔が襲い掛かってきたり……。

 

「どうやら、ここにはインキュバスという淫魔がいるらしいぞ」

「うわぁ、それは嫌ですね」

 冒険者から男性の姿をした淫魔、インキュバスがいる事を教えてもらったりして、

 洞窟の中間地点に辿り着きました。

「ふぅ……ここでしばらく休みましょうか」

「そうだな。万全の体制は怠ってはならない」

「大ボスに備えて、しっかり準備はしなければいけませんね」

「頑張って悪魔をやっつけよう!」

 

 そして、休憩が終わり、先に進もうとした瞬間。

―止まれ。

 突然、ジャンヌ達の頭の中に、悪魔の声が聞こえてきました。

「悪魔!?」

 ジャンヌが能力で風の剣を作り出した、その瞬間。

 テレポートで、ジャンヌ達の目の前に悪魔が現れました。

 その悪魔は、デーモンを一回り大きくしたような、筋骨逞しい大柄な体躯をしていました。

 魔界における悪魔の騎士、グレートデーモンです。

「我が名はグレートデーモン。主を守る騎士なり」

「主? なるほど! そこにあなたを召喚した奴がいるという事ですね!」

「左様」

 どうやら、このグレートデーモンは悪魔でありながら正直な性格のようです。

 悪魔にも様々な性格の者がいるという証です。

「私達はここを通りたいんです」

「駄目ですか?」

「……ならば、我を倒せ! さもなくば、ここは通さぬ!」

 そう言い、グレートデーモンは戦闘態勢を取りました。

 

「……なんだかんだで、この悪魔は正々堂々としてるのですね」

「ならば、こちらも正々堂々といきましょう」

「ああ!」

 トールは愛槌のミョルニルを構え、三女神と共にグレートデーモンに戦いを挑みました。

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「やぁーっ!!」

 神々と悪魔の戦いが始まりました。

 彼らの動きはめまぐるしく、人間の目ではとても追えません。

「ウィンド!」

「シャドウエッジ!」

「ミョルニルアタック!」

「ふん……」

 ジャンヌ、バイオレット、トールの攻撃を、グレートデーモンは軽くあしらいます。

「ライフドレイン!」

「ぐぅ!」

 しかし、ゲールのライフドレインは避けられず、その生命力を奪われました。

「闇の者には、正の生命力をぶつけなければ」

「そうですね。ゲール、いきましょう!」

「あたしも能力でサポートするよ!」

「オレはみんなを守るぜ!」

 そう言い、ジャンヌとバイオレットは能力でグレートデーモンを牽制しつつ、

 ゲールをサポートする事にしました。

 トールはミョルニルを構え、三女神を守る事にしました。

 

「食らえ」

「危ない!」

 グレートデーモンの攻撃がゲールを狙いましたが、トールがミョルニルで守りました。

「うぐぉあっ!」

 トールはいくらかダメージを食らいましたが、アタッカーとなるゲールはダメージを受けませんでした。

「アンタが倒れたらこの悪魔を倒せないからな。遠慮なくいっとけよ!」

「分かりました、トールさん!」

 ゲールは杖を構えてやる気を出しました。

 自分が回復役である事を忘れて……。

 

 神々と悪魔の攻防は、何分も続きました。

 人間では1時間もかかるこの戦闘を、神々は数分でこなせてしまうのです。

「砕けろ!」

「はあっ!」

 ジャンヌはグレートデーモンの攻撃を風の能力でかわしつつ、

 風を叩き付けてグレートデーモンを攻撃しました。

 グレートデーモンはその一撃が致命傷となったようで、腕を押さえました。

「ぐ……うっ……!」

「今ですよ、ゲール!」

「分かりました! 清浄なる生命よ、悪しき魔のものに制裁を与えよ! エインセル・ブレイズ!!」

「ぐぎゃあああああああああああ!!」

 ゲールの杖から、凄まじい熱量の光線が放たれました。

 それを食らったグレートデーモンは、肉体の末端から徐々に消滅していきます。

 瘴気を力の源とする悪魔は、正の生命力を受けると瘴気が散ってしまい、肉体を保てなくなります。

 そのため、やがては消滅していくのです。

 そして数分後、グレートデーモンは完全に消滅しました。

 

「……これで、中ボスは倒せましたね」

「うん」

「……少し休んだら、洞窟の奥に行きましょうか」

「ああ、そうだな。立ち止まってはいられないぜ」

 

 そして、四柱はしばらく休憩した後、再び洞窟の奥へ進んでいくのでした。

 それを、一つの影が見ているとは知らずに……。

 

(……神々が地上にいる、だと……!? これは面白いな……)

説明
三女神の四使徒(四天王)探しが本格的に始まります。
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