死ぬ意味を教えて:第二章 |
<二つの綺麗な花>
蝉が鳴き、より一層暑く感じる夏。
ここ毎日ずっと暑くて嫌になる。なんでこうも暑いかな?
「……。」
窓を全開にして扇風機の前に陣取っていても
風が当たるだけで外の暑さは変わらない。
そりゃあそうか。だって、太陽があんなに輝いているんだもん。
「あっつ…。」
何もする気が起きない。
そのくせ、今日は部活の練習試合があるため昼頃には家を出なくてはいけない。
「……。」
ヤバイ。眠くなって…
ブーン、ブーン!!
「!!」
不意に携帯がなった。
メールだ。えっと、送り主は…。
「原村先輩?」
部活の先輩だ。何の用だろう?
『件名:起きてるかい?』
失敬な。ギリ起きてますよ!!((寝かけてた。
『今日の練習相手は県大会出場経験がある鎌谷高校だから気を抜かないでね。
私達は貴女に期待してるからね★』
期待されてもなァ…。
「私は弱いですよ…。」
………………
…………
……
「「お願いします!!」」
暑苦しい防具を付けてから始まった練習試合。
メーン!!ドーウ!!と言う声が剣道場に響く。
「副将、出なさい。」
「はい。」
元気よく原村先輩が返事をして行ってしまった。
次は私か…、気を引き締めて行かなくちゃ。
「メーン!!」
先輩が相手の面を力いっぱい叩く。
「一本!!」
流石は先輩、強い。
もしこれで先輩が勝ったら、二勝二敗。
私にかかってくる訳ですか…。これはキツイな。
「コテ!!」
「一本!!」
気付けば先輩もう二本目取っちゃってるし。
早いなぁ。
「先輩、凄かったです!!」
「憧れちゃいますよ!!」
皆が先輩に集まる。
先輩はそれを適度にかわしつつ、私の元にやって来た。
「頑張って下さいね、特に心配はしていませんけど。」
「心配してくださいよ。」
はぁー。なんで相手がよりによって鎌谷高一の先輩なんだろ。
勝ちにくいし…、てか勝てないし。
「大将、早く出てきなさい!!」
「あっ、はい!!」
お互いにペコリと頭を下げる。
相手は優しそうな人なんだけれどなぁ。
「始め!!」
………
……
直ぐに試合は終わった。
結果→私がメンとコテを取り、大勝利。
後味が悪いなぁ。なにせ相手が私より上の先輩だったからなぁ。
「やっぱり衣(ころも)は強いですね。」
「そうでもないですよ。ただの経験の差ですよ。」
私は幼稚園の時からやってるから、上手いのは当たり前なんですけどね。
なんか、自分で言うのは恥ずかしいや…。
「これから稽古に入るぞ、用意はいいか?」
にこやかに顧問の大前先生が私達に近づいてきた。
鎌谷高に勝てたのがどうも嬉しいようだ。
「せんせぇ、もの凄くだるいです。」
「しっかりせんか。夏はビシバシいくって言っただろ?」
えぇ、確かに言いましたね。そういえば。
「私達にとって来週ある大会は最期の貴重な試合なの。だから優勝目指して頑張りましょう?」
「へーい。」
あぁ、だるい。
「くはー!!」
ベットに倒れこむ。
今日はいつもよりきつかった…。
死ぬかと思ったよorz
「おねーちゃん。」
妹の衣里が夢の世界へ行きかけていた私の目を覚ました。
「なに?」
「ピアノ、教えてよ。」
あぁ、そういえば教えてやるなんて事言ってた気がするなぁ。
「今日はきついから明日にしてぇ…。」
「もぉー!!じゃあ、明日絶対に教えてね!!約束だよ?」
「へーい。」
バタンと扉を閉めて衣里は出て行ってしまった。
やっと寝れる…。
『寝るの?』
「んっ?」
幻聴?今、窓際から声が聞こえたような…。
「起きてもらわないと困るんだけれど。」
幻聴なんかじゃない。一体…
「誰?私の部屋に勝手に入ってくるなんて、泥棒?」
「泥棒って言えば泥棒なのかな?」
ハッキリしないなぁ。
「ハッキリしなさいよ、もう…。」
うつ伏せの状態から起き上がり窓際を見る。
そこには黒い服を着た可愛い少女が立っていた。
「あな、た…、誰?」
「名はマリア、死神よ。」
はぁ、死神ですか。そうですか…、って。
「信じられるか!!」
「衣、うるさい!!」
下から母に怒鳴られてしまった。
「いきなり大声出さないの。異常者に見えるわよ?」
「うるさい!!」
今度は下に聞こえるか聞こえないかギリギリの大きさで目の前にいる少女に言った。
なんなのこの子。
「私は正真正銘の死神よ。」
「その死神が私に何の用よ。私はまだ死なないわよ?この通りまだピンピンだし。」
「貴女じゃない、死ぬのは『原村 玲奈(れいな)』。貴女の先輩よ。」
「えっ…?」
ちょっと待って。今なんて…。
「具体的な日にちは教えられないけれどね。」
「なんで?」
「『なんで』って言われても運命だかr…」
「違う!!」
なんで原村先輩が?あの優しくて、頭がよくて、綺麗で素敵な原村先輩が…。
「『死』って言うものは生きるモノには必ずあるものなの。」
「分かってるよ。でも…」
突然すぎるよ。
あんなに最後の試合、楽しみにしてたのに。
「悲しそうな表情をするわね。」
「悲しくなるのは当たり前でしょ!!」
「『死』って言うのはやっぱり悲しいものなの?」
なんなんの?当たり前じゃない。
身近な人が死んで悲しまない人なんていないよ。
「そんな恐い顔しないで。私、死神故に『死』を知らなくて…。
だから…、ごめんなさい。」
「……。」
疲れなんかすっ飛んでしまった。
もの凄く原村先輩に会いたくなってきた。
「貴女に一つ聞いてもいいかしら。」
「なに?」
「死とは何?」
「へっ…?」
いきなりだ。
その前に死神がそんなこと聞いてどうする訳?
関係なくね?
「だから、死とは何?」
「死について?」
「そう、貴女が感じるままでいいわ。」
突然いわれても…。
「やっぱ、悲しいものなんじゃないかな。
死ぬって事はその人とは二度と会えなくなるって事だから。」
「『死ぬ』と『居なくなる』が成立してるって訳でもないわよ。」
「えっ?」
「死ぬとは消える事、居なくなる事ではないのよ。
貴女はなんで人が死ぬと二度と会えなくなると思っているの?」
そんなこと言われたって…。
死ぬって言うのはこの世から消える事だから会えなくなるって考えるのは常識じゃん。
「そんなの、貴女が勝手に思っているだけよ。
人は死んでも『会っている』、ただ気付いてないだけよ。傍には必ずいるの。
肉眼で見れないからって『消えた』、『居なくなった』って思うのは間違えよ。」
急な説教で少し焦ってしまったけれど確かにそうかもしれない。
勝手な思い込みで『死ぬ=消える』になっているけれど実際には違うかもしれない。
「ちょっと待って。」
「んっ?」
最初の言葉、忘れたりしてないよ。
「先輩が死ぬってどういう意味よ!!」
「唐突ね。そのままの意味じゃない。」
「もし本当だったらなんで私の元に貴女は来たの?
身内ならともかく、私はただの後輩なんですけど。」
「玲奈に頼まれたからよ。」
えっ?先輩に?一体どうして私なんかに…。
「何で私に?」
「それは…」
………………
…………
……
闇夜の風が肌寒い。
私は今、玲奈の家の目の前に居る。
部屋には明かりが付いており、どうも玲奈はまだ起きているらしい。
私にとっては丁度良いのだが...
グッと足に力を込め地面を蹴る。
ぴょんとひとっ飛び。ベランダに舞い降りた。
窓をすり抜け部屋へ入る。
「……。」
なにか悩んでいる。
「おい。」
「?」
ゆっくりと玲奈が振り向く。
…驚かないのか?
「なんですか?」
「なにを悩んでいるの。」
「ただ簡単な事よ。今後の部活の事をね…、ちょっと考えているの。」
「貴女は私が誰なのか聞かないの。」
「一応聞いてあげる。誰?」
…変わった人だ。
「死神のアリス。貴女の魂をいただきに来た。」
「…私、死ぬの?」
口をポカンと開き、聞き返した。
「残念ながら、貴女は死ぬわ。」
「ぷっ…。」
ぷっ?
「あははははっ!!」
「?」
「なーんだ。私、死ぬんだ。」
「アンタ、死ぬと言うのに軽いわね。」
「だって死ぬのは自然の摂理でしょ?生きるものに与えられし宿命。
だから仕方ないじゃない?」
「アンタ変。」
「そう?」
笑い涙を拭いながら玲奈はこちらを見る。
「このこと、衣に伝えてくれない?」
「衣?」
「私の部活の後輩の事よ。強いのよ?」
「そんなことは聞いてない。」
「ごめんごめん。」
「身内にはいいの?その衣っていう人だけ?」
「えぇ。それだけで十分。」
明るいなこの人。
でも、悲しさなどはもとより持ち合わせていないような気がしてならない。
だから死の事なんてどうでもいいのか…?
「なんで衣だけに?」
「理由は簡単。私が選んだから!!」
「はっ?」
思わず声が出てしまった。
「私が選んだから!!」
「二回も言わなくていいわよ。」
「重要だから二回言ったのよ。」
「重要…か?」
「重要よ。」
やっぱりこの人…。
「変…?」
「んっ?なんか言った?」
「いや。…それじゃあ、その『衣』言う人に伝えればいいのね。」
「宜しくー!!」
……
…………
………………
「って事。」
なんかめちゃくちゃな理由ですね、先輩。
「いいのかなぁ?私なんかで…。」
「いいんじゃない?本人がそういってるんだし。」
納得いかないなぁ。
結構重要な事じゃないのかな?
「で、死亡日時だけど…」
☆
次の日。
今日は朝から部活だ。
まぁ、試合一週間前だから当然といえば当然なんだけど。
んー…、なんか納得いかない。
「衣、どうしたの?」
「んー…。なんでもありません、すみません。」
まずい。
『原村 玲奈は死ぬ。』
意識し過ぎなのかな…。
先輩ばかりに目がいってしまう。
「大丈夫?」
「はい…。」
それにしても先輩、いつにもまして元気だなぁ。
今度の試合が楽しみなのかな?
「先輩、元気ですね。」
「そりゃあ、今度の試合が私にとっては最後の試合だからね。」
やっぱりか。
精一杯、私も先輩の為に頑張るかね。
☆
「衣!!」
部活が終わり、帰宅をしようとした私を誰かが呼び止めた。
この声は…。
「先輩?なんですか。」
「ちょっと一緒に喫茶店に行かない?」
何か話す事でもあるのかな?
先輩と喫茶店に行くなんて初めてだ。
「別にいいですけど…」
「ここのチーズケーキ、美味しいのよね。」
チーズケーキを一口サイズに切り、口に入れる。
確かに美味しい。
値段は高いけど、それだけの満足は得られるのでよしとしよう((何様だ
「ところで…」
「んっ?なに?」
二個目のチーズケーキを食べながら先輩は返事をした。
「なにか用があるんですよね?ただ単にココに来たかっただけではないですよね?」
「実はね…」
「とりあえず、チーズケーキ食べるのやめません?」
「食べながら、ってのは駄目?」
「行儀悪いですよ。」
頬を膨らせ、不本意ながらもフォークを皿に置き、先輩が話を始める。
「話ってのはまぁ、全部アリスから全部聞いてると思うんだけど。
私、死ぬんだって。」
「聞きました。軽いですね先輩。」
「自然の摂理よ。人間が抵抗できる領域じゃないのよ。」
先輩が紅茶を啜る。
苦かったのか、砂糖を加えている。
大人っぽいのか、はたまた子供っぽいのか…。
「でも、先輩病気でも患っているのですか?」
「なんで?」
「そうじゃないと死ぬなんて可笑しいじゃないですか。」
目を丸くして私を見つめる。
えっ?なんで?
何故に先輩、驚いて…
「えぇー、だって死ぬんだから死ぬんでしょ?
理由なんていらないじゃない。」
「先輩、やっぱり変ですよ。」
「そお?」
首を傾げる。
私が可笑しいわけじゃないよね?
「死因が不明だったら…」
「死因は車の衝突による頭部の損傷…、だってさ。」
「『だってさ』って…。」
「今更、生きようとも思わないし思いたくも無い。だって、これは確定事項なんだから。」
「……。」
………………
…………
……
夕暮れ道をとぼとぼと帰る。
『今更、生きようとも思わないし思いたくも無い。』
本人が言うのならば本望なのだろうか。
…いいや、違う。
そんな未来、私が阻止してやる。
☆
試合当日。
試合をする場所となった体育館に大勢の生徒が緊張を表に出さずに集まっていた。
「先輩。」
「あら?今日は遅いわね。」
「なかなか寝れなくって…。」
昨日、マリアが来た。
『未来を変えるのは貴女の自由。
でもそれで、別にもう一つ『死への道』が出来てしまう恐れがあるのを心掛けてなさい。』
意味は分からなかったが、私が未来を変えることで違う死者が出るという事なのだろう。
…たぶん。
「貴女は先鋒だから頑張ってね。初めが肝心よ。」
「はい。先輩も副将、頑張ってくださいね。」
「えぇ。」
…綺麗な笑顔だ。
下手すると、これが先輩の最後の笑顔になるかもしれない。
『玲奈が死ぬ日時、それは…』
今日だ。つまり、試合当日。
「あの、先輩…ってあれ?」
先輩が居ない。
さっきまでここに居たよね?
「あの、原村先輩どこに行ったか知りませんか?」
「あぁ、原村なら…」
『原村なら弁当を買いにコンビニ行ったぞ。』
しまった。
これは多分、いや思うに死亡フラグだ。
先輩…。
「ありがとうございました。」
コンビニからビニールを手に出てくる女性…、先輩だ。
よかった。死んでなか…
キキーーッ!!
「!!」
車が先輩目掛け突っ込んでいく。
「先輩!!」
咄嗟に先輩を押して車を避けた。
でも、私は避けることが出来ずに車に衝突した。
『未来を変えるのは貴女の自由。
でもそれで、別にもう一つ『死への道』が出来てしまう恐れがあるのを心掛けてなさい。』
あぁ、マリアの言ってた意味ってこういう事だったんだ。
私って馬鹿だな…。
「衣!!衣!!」
遠のく意識の中、先輩の私を呼ぶ声が聞こえた…。
☆
「(ここは…)」
真っ暗だ。なにも見えない。
自分の手でさえ確認する事が出来ない。
「ここは貴女の心の中。…貴女って本当に馬鹿ね。」
「(マリア?)」
「正解。…とりあえずこの声を聞きなさい。」
「(声?)」
暗闇の中にまるで映画のようにいきなり先輩の顔が映し出された。
涙で顔全体が濡れている。
『貴女を心配させたくなかったから死なんて恐くないって…』
そうか、先輩はこうなる事を予測して。
『あの時に私が貴女に死ぬことを伝えてほしいとマリアに言ったのには理由があるの。
私ね、夢で貴女が私を助けてその結果貴女が死ぬって言う夢を見て…
それが現実になるのが恐ろしくて…
だからマリアに貴女に私の死ぬという事実を伝えてもらって
私は死が恐くないと言う風に見せ、貴女の身代わりになろうと思ったのよ。
でも、それなのに貴女が死んじゃあ意味がないじゃない…』
「本当はまだ、貴女と玲奈のどっちが死ぬのかは確定的ではなかったの。
でも、『確率からして玲奈の方が死ぬ確率が高い』
そう思った私は玲奈だけに死を宣告した。
妙に動揺して貴女が死なないようにね。」
成る程…、ってじゃあ…。
「(この未来はマリアにとって『予測されていた未来』だったって訳?)」
「そう。そういう訳だから…」
突如辺りが明るくなり、目の前にマリアが現れた。
「貴女の魂もらうわよ?」
鎌を私に見せ付ける。
もう、恐くともなんとも無い。
「連れて行けば。天国だろうが地獄だろうが魔界だろうが、何処にでも連れて行けば?」
「クスッ…。」
わら…、った?
ちょ、まっ!!
「なんでか知らないけど、笑うのって失礼じゃない!?
私は、最後はかっこよく死んでやろうと思ったのに!!」
「ごめんなさい。ちょっと笑ってしまって。」
「もう…。」
少しの不安。
「ねぇ、マリア。」
「なに?」
「私って死んだらどうなるの?」
「普通だったら、閻魔の所に行って地獄か天国か決めるものなんだけど…」
言葉が詰まった。
なんか不安だ。
「だけど?」
「貴女、面白いから生かしてあげる。」
「はぁ?」
「これは天使の特権なんだけどね。
病死ならともかく、貴女は事故死。助かる余地は1%でもある。
だから私が貴女を『奇跡的に回復』って言うシナリオを描いてあげる。」
「そんな事して、貴女は大丈夫なの?」
「そうね。もしかしたら、人間にされて人間界に無期限に追放ね。」
マジですか!?
結構大変な事じゃん!!
「でも、多分大丈夫よ。」
「なんで?」
「私には神クラスの知り合いが居るからね。私自身も…。」
急に手に持っていた鎌を消した。
「そろそろ、生き返らせてあげるわ。」
目の前をマリアが手のひらで隠した。
「バイバイ。次、また逢えたら良いわね。」
意識が再び遠のく…。
☆
目が覚めると私はベットの上に居た。
なんか、足辺りが重い…。
「一体なにが…」
そこに居たのは原村先輩だった。
もしかして、ずっと…
「んっ…」
「あっ、先輩。おはようございます。」
「んっ?」
先輩がまぶたを擦りながら私を見る。
先輩の表情がだんだんと変わっていく。
「こ、衣!!」
「どうもです。」
目が潤んでいる。
このパターンは…
「衣ー!!」
やはり抱きついてきた。
全身に激痛がはしる。
「いったーい!!」
「衣ー…。」
どうやら私は長い間眠っていたようだ。
携帯の日にちはあれから十日後の日付になっている。
「先輩、試合は?」
「一次予選で敗退したよ。貴女の代わりに藤堂さんが入ってくれて。」
そうだったのか。
なんか、ものすごく私迷惑かけたんだな…。
「先輩、すみませんでした。私のせいで…」
「謝るのはこっちだよ。私のせいでこうなったんだから…。」
「違います。私が勝手にした事であって先輩は…」
「私が悪いの。」
「私が…」
「私。」
お互いににらみ合う。
けれど…
「ぷっ…」
直ぐに笑いが出てしまった。
「あははっ。じゃあ、今回はお互い様ってことで…」
「そうしましょう。」
貴女のその笑顔が見れて私は幸せです。
生きててよかった。
………………
…………
……
「マリア、本当にいいの?あんな奴を生かして。」
「私の勝手でしょ?」
「そうだけどさぁ…。」
玲奈と衣を見つめるマリア。
二人にはもう、マリアと一緒に居た頃の記憶は無い。
「今回の事は私も黙っておいて上げますよ。」
突如、マリアの背後に白い服を纏った女性が現れた。
「ありがと、ミスティアス。」
「どういたしまして。これで貴女さえ、私達の仲間になればより一層…」
「それはこの前断ったでしょ。」
「いつか貴女も我々の仲間にいれてみせますよ。」
「まぁ、せいぜい頑張りなさい。」
マリアが軽くミスティアスに手を振った。
ミスティアスは霧となって何処かへ行ってしまった。
「さて、私達も行くとしましょう。」
「もう行くの?」
「もうココには用はないしそれに…」
後ろを振り返り病室の二人を見る。
「悲しくなるじゃない。」
「…分かったよ。じゃあ、行こうか。」
二人は大空へ飛び立った。
「さようなら玲奈、そして衣…。これからも元気でね…。」
説明 | ||
【死神マリアの物語】 次の魂はどんな人間なんだろう... その人間はどんな悲しみを周りに与えるのだろうか... |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
628 | 594 | 2 |
タグ | ||
死神 死 マリア | ||
柊 ハクさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |