Triangle Goddess! 第20話「その奥にいたのは」
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「瘴気もだんだんと濃くなっているな」

「悪魔が強くなりつつある、という事ですね……」

 洞窟の奥に進むにつれて、立ち込める瘴気も濃くなってきました。

 悪魔は瘴気を糧とするため、より一層悪魔が強くなっているという事です。

「ここは、慎重にかつ大胆に進まなければなりませんね」

 そう言いながら、ジャンヌは先頭に立って進んでいきました。

 すると、彼女の目の前に、宝箱がありました。

 ジャンヌが罠を確認した後に宝箱を開けると、中にはサファイアチャームが入っていました。

 これは、物理攻撃を軽減してくれるお守りです。

「大事に取っておきましょうね」

「ええ」

 ジャンヌは、サファイアチャームをポケットの中に入れました。

「お姉様、また宝箱ですよ!」

「おっ」

 ゲールが罠を解除した後、宝箱を開けると、そこには銀製の腕輪が入っていました。

 彼女はそれを、打たれ弱いバイオレットに渡しました。

「ありがとう、お姉ちゃん」

「どういたしまして」

 その後、三女神とトールは歩き回りながら、次々と道具を発見していきました。

 ポーションやマジックアンプルなどの回復アイテムや、ポイズンボールなどの攻撃アイテムなど……。

「一体誰が残したんでしょうか?」

「多分、ここで散っていった奴らだろう」

「……」

 トールの言葉を聞いたゲールは、静かに祈りを捧げました。

 

 そして2分後、ついに三女神とトールは洞窟の最奥に辿り着きました。

 そこにいたのは……。

 

「土のミリオーネ……!」

 マザー教団の四使徒の一人で、派手なメイクが特徴的な魔導師、土のミリオーネでした。

「よくアタシの困難を乗り越えてきたザマスね」

 土のミリオーネは高笑いしました。

 それを聞いたバイオレットは苛立ちました。

「あんたが、悪魔を召喚して洞窟をおかしくした奴だね! 許さないよ!」

「許す許さないは勝手ザマス。そ・れ・よ・り・も、これを見るザマス!」

 土のミリオーネは三女神の話を聞かず、懐から杖を取り出し、呪文を詠唱しました。

「翼持つ獣の姿したる悪魔よ、契約者の名において命ず。出でよ! カルキドリ!!」

 呪文の詠唱が完了し、土のミリオーネが杖を振ると同時に、目の前に異形の魔物が現れました。

 角があり、異形の翼を生やした下級の魔神、カルキドリです。

「果たしてコイツに勝てるザマス? ホーホホホホホホ!!」

 土のミリオーネは、カルキドリの後ろに隠れました。

 

「キーーーーーーーーーキッキッキッキッキッ!!」

「……来ますよ!」

 ジャンヌ、ゲール、バイオレット、トールと、カルキドリの戦いが始まりました。

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「将を射んと欲すればまず馬を射よ! エアリアルブラスト!」

「イヤーッ!」

 ジャンヌは、カルキドリを召喚した土のミリオーネを風の能力で攻撃しました。

 土のミリオーネは風に叩き付けられ、大きなダメージを受けました。

「よくもやったザマスね! ファイアボール!」

「危ない! シャドウエッジ!」

 土のミリオーネのファイアボールがぶつかる直前で、

 バイオレットが影の能力を使ったため、その能力は打ち消されました。

「キィーッ! カルキドリ! あの小娘をぶん殴るザマス!!」

「キェーーーーーキェキェキェキェキェキェ!」

 土のミリオーネの指示に従うかのように、カルキドリはバイオレットに襲いかかりました。

「きゃーっ!」

 カルキドリの一撃は、バイオレットにそれなりの傷を負わせました。

 腕輪を持っていたので、僅かにダメージを軽減する事はできました。

「よくもぉ! シャドウエッジ!」

 バイオレットは影の能力で反撃しましたが、カルキドリには傷一つつきませんでした。

「……カルキドリは強い、か。だったら、カルキドリよりもそいつを操ってる奴をぶっ潰さなきゃなぁ!」

 そう言い、トールはミョルニルを構えて土のミリオーネに突進していきました。

「ウィンドカッター!」

「うぐおぁ! だがなぁ……食らいな! 渾身撃!」

 しかし、土のミリオーネが、攻撃が届く前に風魔法を使ったため、

 トールはかなりのダメージを受けました。

 それでも、ミョルニルが土のミリオーネに届き、彼に効果的なダメージを与えられました。

「トール、大丈夫ですか! ヒールライト!」

 ゲールが、トールの減った体力を治癒魔法で回復させました。

 トールは「助かる」と言い、ミョルニルを構え直しました。

 

「しっかし、なかなか攻撃が届かねぇな……」

「ええ……」

「ここは、一気に決めるしかないか?」

 トールが力を溜めようとした、次の瞬間。

「キーーーーーーーーーーーッキッキッキッキッキッキッ!」

「うわおっ!?」

 カルキドリが、トールに魔法を放ってきました。

 トールは反応できずにダメージを受けてしまいました。

「面白い、やってやろうじゃねぇか! はああああっ!」

 トールはミョルニルをカルキドリに振るい、ダメージを与えました。

 

「あいつをぶっ倒せばいいだけだ。集中しな!」

「「「はい!(うん!)」」」

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 三女神とトール、土のミリオーネとカルキドリの攻防は続きました。

 ジャンヌの風の能力を土のミリオーネはかわし、反撃とばかりに魔法をぶつけました。

「ファイアボール!」

「きゃあああああ!!」

 油断したジャンヌは、大ダメージを受けてしまいました。

「だ、大丈夫ですか、お姉様!」

「まだ、踏み止まっています……。ですが、あの攻撃は……」

「カルキドリも土のミリオーネも強いだろ? でもよ……どっちがマスターだか分かるか?」

「あっ!」

「だったらまずは、土のミリオーネを潰さなきゃなあ!」

 そう言うと、トールは土のミリオーネに突進していきました。

「邪魔はさせないザマス! アイスニードル!」

「うぐぁっ!」

 途中、土のミリオーネの氷魔法を食らってダメージを受けましたが、怯まずに突っ込んでいきます。

「なっ! なんで倒れないザマス!?」

「悪いが……オレはちょっとやそっとじゃ倒れないんでね!」

 そして、ミョルニルに雷の力を込め、

「食らいな! 蒼天の……霹靂!!」

 一気に振り下ろして土のミリオーネを攻撃しました。

 

「やったか!?」

 しかし、土のミリオーネはまだ倒れていませんでした。

「よ……よくもやったザマスねぇ……!」

 土のミリオーネのメイクは、ところどころ剥がれていました。

「このアタシの美しい顔に傷をつけるなんて……なんて不届き者ザマス!!」

「不届き者なのはあんたの方じゃねぇか?」

 土のミリオーネは怒り狂いました。

 ですが、トールは動じず、彼を挑発しました。

「何にしろ、相手の体力は残り僅かだ! 一気に攻撃しろ!」

「分かりました!」

 残り僅かな体力のジャンヌは、力を振り絞って風の力を練り上げました。

「風よ……全てを吹き飛ばせ! テンペスト!!」

 ジャンヌは、全てを吹き飛ばす風の力を、土のミリオーネに一点集中させて叩き付けました。

「ぎゃああああああああああああ!!」

 土のミリオーネは防御しようとしましたが、神の力に人間が耐えられるはずがなく、

 土のミリオーネはズタズタに切り裂かれました。

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「よ……よくも、よくも、このアタシを……」

 土のミリオーネはボロボロになりながらも、這いつくばってジャンヌ達のところに近付きました。

「しぶとい……! 今度こそとどめを……!」

「いや、刺す必要はねぇよ」

「何故?」

「ほら、見ろよ」

「え?」

 三女神が見ていると……。

 

「キ……キェキェキェキェ……キェキェキェキェキェキェ……」

「な、何をするザマス……!?」

 カルキドリが、じりじりと土のミリオーネに迫っていました。

 

「な……なんで……!?」

「きっと契約を果たせなかったからだろうな。オレ達を殺す、っていう契約をな」

「じゃ、じゃあ、ミリオーネは……」

 バイオレットが口を開くと同時に、カルキドリは土のミリオーネの体を掴みました。

「い、いや……アタシはまだ……」

「キェキェキェキェキェキェ……」

「生きたいザマスーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 土のミリオーネの叫び声と同時に、カルキドリはテレポートで姿を消しました。

 きっと、魔界に戻っていったのでしょう。

 

「契約を果たせなきゃ、悪魔は召喚した奴を生贄にするんだよ」

「……」

 自業自得だ、とゲールはこの時思いました。

 すると、洞窟の中から瘴気が消えていきました。

「よかった……。洞窟が元に戻りましたね」

「それじゃ、そろそろ戻ろうぜ」

「ええ!」

「……それでは皆様、手を繋いでください」

「分かった」

 ジャンヌは転移魔法を唱え、この洞窟を脱出しました。

説明
いよいよ、四使徒との戦いが始まります。
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