寂しがりやな覇王と御使いの兄 改訂版 36話
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段珪「黄巾党討伐を讃え、曹操を丞相の官職名を改め司徒に任命する。軍備を整え洛陽に駐屯するようにと帝からの勅命である」

 

張譲の謀を秘めた勅使[段珪]は陳留に到着後、事前連絡もせずに登城。強引に華琳との面会を取り付け、これまた一方的に用件を伝える

 

華琳「…私が洛陽の守護に任じられるのは光栄ではございますが、突然の出来事に戸惑っておりますゆえ、お返事は検討を重ねてからにいたしとうございます」

 

本来であれば、戦場の功績が認められたと喜ぶ場面なのだが、今の朝廷で権力を握っているのは十常侍であり、この勅命に裏があるのは確実。

ここは出来るだけ時間を稼ぎ、この勅命の裏を探るのが最良なのだが、そんな時間を与えるほど・・・十常侍は甘くない

 

段珪「よかろう。配下の者達と充分協議するがよい」

 

意外にも、あっさり段珪は時間を与えると告げられ、華琳はホッと安堵するが、段珪の口からは聞き流す事が出来ない内容が飛び出す

 

段珪「一つ良い忘れていたが・・・・・この勅命を断れば、貴様の母『曹嵩』の命はないぞ」

 

華琳「!?それはどういうことですか!!」

 

段珪「わしが言えるのはこれだけよ。洛陽に赴くか、陳留に留まるか。好きな方を選ぶが良い」

 

段珪は華琳に問いには答えず、華琳の選択肢を潰して会見を切り上げ、洛陽へと帰っていく。

謁見の間に残されたのは・・・顔面蒼白となった華琳と、心配する桂花達のみ

 

華琳「お母様が…洛陽で…生きてる…?」

 

洛陽で兄と一緒に討たれたと思っていた、母・曹嵩の生存

嘘か真か定かではないにしろ、華琳の心は揺れ動いていた

 

桂花「華琳様!これは十常侍の罠です!曹嵩様の事は、私が必ず調べあげてみせます!なので、ここは耐えてください」

 

星「私も桂花と同意見です。十常侍の目的は華琳様の抹殺、火中の栗を拾ってはいけません」

 

反連合の出来事を知る桂花、一刀から華琳を護るように託されている星はなんとか華琳に思いとどまってもらおうと説得する。

危険性を理解する秋蘭だけじゃなく、脳筋の春蘭ですら十常侍の罠だと察知しているが・・・口を開こうとはしない。

 

夏侯姉妹は曹嵩に可愛がられ、夏侯姉妹は曹嵩の事を実の母のように慕っていた。それゆえに、華琳の母親に会いたいという気持ちは痛いほど理解出来る。例えそれが罠だとしても…可能性が少しでもあるのならば、華琳と曹嵩を再会させたい…

その反面、十常侍の策略に自ら飛び込ませるわけにはいかない…

 

夏侯姉妹は板ばさみになっており、どっちに味方する事も出来ないでいた

 

華琳「桂花、星…貴方達が私の事を思って諌めてくれてるのは嬉しく思う。けど…けどね・・・僅かでも望みがあるなら…私は会いたい」

 

失ったと思っていた母親への思いが勝り、華琳は洛陽常駐を決断する。

華琳の決意は固く、翻意は無理だと悟った桂花は険しい表情のまま引き下がる

 

(止められなかった…このままだと連合が組まれてしまう。水関、虎牢関があろうと、将が少ない私達では防ぎきれる保障はない。風からの連絡だと、あいつはいま天水に居るはず。あいつが来てくれるなら・・・!)

 

 

桂花「伝令!天水の呂珂にこの手紙を必ず届けてちょうだい!」

 

伝令「御意!」

 

 

 

 

こっちは私がなんと凌いでみせる。

だから……だから……頼んだわよ、一刀!

 

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