Mくん |
昔の子供だった頃のお話をします。
私はまだ小学生ぐらいでしてその頃は家も今住んでいるところとは違うところでけっこうな田舎の方にすんでいました。
田舎なものですからあまり子供が少ないものでして小学校のクラスも各学年に1クラスしかなかったです。
あと、そういえばよく遊んでいた子達の中に二歳年下のMくんという子がいました。
Mくんはお父さんは単身赴任で家にはいないようでお母さんと一緒に暮らしているそうですがそのお母さんもパートで家に帰るのは夕方遅くになってからだったみたいで、いつもMくんはお母さんが帰ってくる時間になるまで小学校の放課後には私たちと遊んでいました。
Mくんはお調子者でイタズラをしては大人に叱られたりよく無茶な遊びをしてケガをしたりして泣きついてくるような子でしたが、次の日にはけろっと忘れて懲りずにイタズラをする子でした。
私とMくんが仲良くなった経由はMくんの学年には同級生が数人しかおらず、Mくんが夕方遅くまで遊んでいるとその前に同い年の子達はみんな先に家に帰ってしまうため、その間一人で遊んで時間をつぶしているところに私が声をかけたのです。
それから私とMくんはよく遊ぶようになりました。
ほぼ毎日よく遊んでいたのですが、そういられたのも私が中学校に上がる前まででした。
私が住んでいたところには中学校がなかったため、電車を使って中学校へ通っていたのですが当時の私は中学校で会った新しい友達たちと遊ぶことに夢中になると同時にMくんと遊ぶことは少なくなっていき、終いにはしばらく会わない日が続いていきました。
会わなくなった間、私はとくにMくんはどうしているのかなどと考えることはなく日常を過ごしていましたが、そんなある日親伝いからMくんが亡くなったと聞かされました。
死因は川での溺死だったようで、私は昔通り無茶な遊び方をした結果足をつったのか溺れてしまったのだろうと思いました。
知らないうちにあっけなく死んでしまったもので、あまり会うことはなくてもいつでも会えるだろうと思っていたのにもう二度と会えないとは。
私はMくんの葬式に参列したあと親の都合で引っ越してしまい、以降それからというものMくんの墓参りにも田舎に行くこともありませんでした。
それから10年程経って、この間夢を見ました。
私が小学生だった時のMくんと遊んでいる夢でした。夢の中だとは気が付かないもので私は普通に遊んでいましたが、ふと目が覚めると夜中の2時頃。
なつかしさが身を染みながらそういえば今はお盆だったからかな、Mくんが亡くなった日は丁度夏の暑い日の今ぐらいの時期だったな、なんて思い出しながらもう一度就寝しました。
また夢を見ました。夢の内容はさっきと同じで私はまたMくんと遊んでいました。今度は私は夢の中にいるのだという自覚がありました。
あの時のいつも通りに川沿いで遊んでいるとMくんが転んで泣き出しました。
私はそばによってMくんの背中をさすりながら大丈夫?血は出てない?などと声をかけていたのですが、次第にあまり遊んであげなくてごめんね、もっと一緒にいればよかったよね、などと別の言葉が出てきていました。
言いながら私まで泣き出してしまい、そこであの時最後にMくんと遊んであげてなかったことをとにかく後悔していたんだとわかりました。
ごめんね、絶対に忘れないからね、今度お墓参りに絶対に行くからね、とぼろぼろと泣いていると、Mくんは泣きながらいじけているようにボソボソと忘れちゃえばいいのに、と言ってきます。
私は理解できずにどうして?なんでそんなことをいうのかと尋ねました。
Mくんは涙でぐずぐずな目をこちらに向けて、
Yが生きているのがうらめしいから。
その言葉に悪寒が走り思わず泣くのをやめた私は先ほどまで泣いていたはずのMくんの顔がまったく泣いておらず、恨んでいるような目で私を見ていたのです。
Mくんの黒い目が怖くなり私はその場から離れようとしたところで夢から覚めました。
Mくんは、私を恨んでいるんでしょうか。
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本当にあったら怖いはなし | ||
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