真・恋姫無双〜項羽伝〜三国編 |
第五章 11話
長安
宮殿の奥
コツーン コツーン コツーン
薄暗い細長い廊下を誰か歩いて来る足音が部屋に響き渡ってきた
そして部屋の前で少しの話声がした後、ギ――――と古い木の扉が開く音と供に
何太后「元気にしているかしら?」
声がかけられたのだった
涼刀「・・・・」キッ
涼刀はうつろな目をしながらも無言で声をかけた何太后を睨みつけた
何太后「元気の様ね。それで、如何かしら此処の暮らしは?何か不便なところはあるかしら?昔ここは、始祖様がお楽しみで使われていたらしいお部屋だから色々揃っているはずよ」
涼刀「・・・・・」
何太后「・・・そう」
何太后言葉を漏らしながら鎖で繋がれた首輪をつけた涼刀に近づいて涼刀にこれで何度目か分からないほど聞いた言葉を投げかけた
可太后「――――――――」
涼刀「・・・・・」
それでも何も言葉を発さない涼刀に業を煮やして来たのか、手を涼刀の顔を沿わせるように動かし首へと持って行き
ドスン
何太后「それで!・・・・それで私の質問に答える気になったかしら?」
何太后は首を掴んだまま壁へと叩きつけ涼刀の首をジワジワと絞めながらそう言った
涼刀「グッ・・・・ケホケホ。何を・・・・何を言われても私は・・・知らない」
何太后「そんなはずないわ。あなたは項羽の娘。見ていなくても、話は聞いたことがあるはずよ!さあ言いなさい!楚の秘宝とまで言われ、かつて呉覇が隠しぬいたのであろう物の在りかを!」
涼刀「知らない物は知らないと・・・・・ヶホ。言っているでしょう・・・それにそんな物誰一人として言葉に出した人は居ないわ。ペッ」
涼刀はうつろだった目に生気少し取り戻し、抵抗しようと唾を何太后の顔に吹きかけてやった
プルプル、プルプル
何太后は怒りで肩を震わせ始めたがフーと一度大きな息を吐き冷静に成り
何太后「・・・・・良いでしょう。あなたがその気なら、こちらも相応の手段を取りましょう」
そう言い捨てた後、部屋を出て行き
可太后「―――もっと薬を―――しなさい!!それに、自白――――!!」
壁越しからだろう飛び飛びに聞こえる声が部屋へと漏れて聞こえた
涼刀「・・・・私は・・・ねぇ・・・あなたは・・・どう・・・・ううん。何でもない・・・」
涼刀は誰も居ない場所に声をかけ、またうつろな目になり意識を失っていった
??「・・・・・誰かお願い。この子を私みたいな思いをさせないで。・・・助けてあげて」
聞こえるはずのない声が、誰にも聞こえない声が部屋に響いたのであった
凪「これは・・・・・・・」
思春「チッ」
凪は目の前の状況にどう表現したらいいのか解らず言葉を無くし、思春はあまりの光景から胸糞が悪くなったって舌打ちをし、顔を背けたのだった
三人、いや正確には四人が目にしているのは長安・・・・現漢の首都と言っていい場所である
しかしそこは決して華々しく美しいとは決して言える場所では無かった
愛紗「酷い・・・・」ギュ
愛紗は一刀の袖をつかみ背中に隠れた
一刀「愛紗・・・目を背けるな。国が滅ぶときはたいていがこの姿になる。お前は俺の娘だ。お前達の代で起きるかは分からん。しかし、上に居る者として知らないといけない事だ。それに・・・・・いや、これはお前次第か・・・何でもない」
最後は口を濁したが、知らなければいけない事は伝えたと言いたいように一刀は愛紗に前を向かせた
そこには大通りにもかかわらず貧しい民だったのだろ死体がいくつも転がり、それを烏や痩せこけた野良犬、そして獣がむさぼり着いている姿。そして、それを気にすることなく裕福な者や兵に商売をする恰幅のいい商人や昼間から酒を飲む兵達の姿があった
凪「それで一刀様。これからどうされますか?」
一刀「まずは情報だ。思春」
思春「はっ」
一刀「お前は盧植のところに居る明命に会いに行け。そこで盧植と明命達から情報を集めろ」
思春「はっ!」サッ
返事とともに姿を消した思春を見送り
一刀「さて、俺達は一時のねぐらを探すぞ」
残った三人は長安の中心から離れていった
そしてたどり着いた場所は長安の端にある古びた建物であった
キ―――
扉が軋んだ音を上げながら開くと中に
ブ―――――――――――ン
愛紗「!!!!」
凪「蠅?・・・・これは酷い・・・・・」
扉を開けてまず目にしたのは大量の黒い霧のようにも見えた蠅の大群が開いた扉に向かって飛びかかって来たのだった
そして次に二人が目にしたのは殆どが骨に変わり残っている肉は腐り未だに蛆が湧いている二つの死体
しかしそれ以上に目についたのは死体の着ていた服である
服は破かれており、遺体の一部・・・・未だに残っている目の部分は故意に潰されているように窺え、顎は外れていた
恐らくは強姦されて死んだのか・・・あるいは死姦されたことが予想できた
一刀「二人とも固まって如何した?」
後から入ってきた一刀が入り口で全く動こうとしない二人に疑問を投げかけながら中の様子を窺った
一刀「これは・・・・・・二人とも。違う場所を探すぞ」
踵を返そうとした時
ドン
一刀の背中が押され一歩前へ進み建物の中に入ってしまい
キ――――――
バタンッ
開かれていた扉が閉まったのであった
一刀「何だ?」
ガタガタ、ガタガタ
取手を引くが一向に開こうとしない
そしてビュ―――――と生暖かい風が一つ吹いた
愛紗「ヒッ」ビク
凪「・・・何だ?」
愛紗は薄気味悪い気配から驚きを見せ、凪は警戒態勢になった
一刀「・・・・・誰だ」
一刀は死体の奥を見ながらそう言った
凪「一刀様、奥に何か居るので「キャッ」如何した愛紗!?」
振り向きながら一刀に質問を投げかけると奥を見ていた愛紗の悲鳴にも似た声が上がった
そしてそこで目にしたのは
死体の上に立っている身体が透けている二人の女性だった
チャキ
凪「誰だ?」
??「「・・・・・・・」」
凪「答えろ!お前たちは誰だ!?それに何故体が!」
??「・・・・お願い」
???「探して・・・・」
??「・・歌を・・・・」
???「姉さんが・・・・・知っている」
??「あなた達には・・・・・」
???「私達みたいな・・・・・」
??「姉妹が別れるのは・・・・・」
??「「・・・・願えるなら姉さんを弔ってあげてください」」
そう言い終えると二人の体は完全に消えてしまった
愛紗「今のは?」
一刀「何か霊的な何か・・・・・強い思いによって最後の願いを伝えたかったのだろうな」
凪「信じるのですか?」
一刀「わからん。しかし・・・あの二人は張・・・・情報としては定かではないが頭の片隅にいれた方がよさそうだな」
そう言いながら改めて扉を動かしたらキーと音を鳴らして開いたのだった
シュタ
思春「一刀様」
一刀「思春か。それでどうだった?」
思春「はっ、やはり城のある場所から警備が厳重になっている場所があるそうです」
一刀「そうか・・・・・それと何か歌について噂がたっていたりしなかったか?」
思春「歌ですか?・・・・・すみません。歌について私は聞いておりません」
一刀「そうか。それで他に何か気になる連絡はあったか?」
思春「気になると言いますか・・・・その、盧植達が一刀様に直接お伝えしたい事があると伝えてほしいと言われました」
一刀「直接にか・・・・・・何か・・・いや、この可能性もあるか。了解した。なら今から向かおうとするか」
あとがき??
すみません
久々書き始めたので中々書き進むことができませんでした
出来る事なら今月中にもう一回投稿したいと思いますのでよろしくお願いします
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お久しぶりです。かなり短いです。お待たせした方々には申し訳ないです | ||
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コメント | ||
忙しいとは思いますが頑張って下さい!応援してます!(はなちゃん) どうやら、張三姉妹も生きてはいないようですね……黄巾党のことを考えれば擁護ばかり出来ないとはいえ、遺体があった場所が……長安はもっと悪辣なのが居る場所、しかもそいつらは今も生きている。黄巾党だって、一部を除けば哀しい敵役だった。なのに、今の「もっと悪辣なの」ときたら……(Jack Tlam) |
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