Triangle Goddess! 第26話「策には策で立ち向かえ」
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「チリングボルト」

 水のナッツォは、凍てつく矢を魔法防御力が低いトールに向けて放ちました。

「はっ!」

 しかし、トールはミョルニルを振るい、その矢を吹き飛ばしました。

「そっちが策で来るってんなら、こっちも策で行くぜ!」

「いや、それ策じゃないんですけど」

 武闘派のトールが「策」と言ったため、ゲールは思わずツッコミを入れました。

「ふふふ……あなたには策が向いていないと見ました。ポイズン!」

 水のナッツォの手から黒い光が放たれると、それはジャンヌに命中しました。

 ジャンヌの体は、毒に侵されてしまいました。

「ぐ……っ!」

「大丈夫ですか、お姉様! アンチドート!」

 その毒はゲールの魔法によりすぐ治りましたが、ゲールの下に魔導陣が現れました。

 ゲールはその魔導陣から現れた闇に絡め取られ、動けなくなってしまいました。

「しまった!」

「ゲール!」

「う、動けません……!」

「ふふふ……動けなければ、戦力が減るでしょう」

「ならその減った戦力分を補えばいいよ! シャドウエッジ!」

 バイオレットは水のナッツォに黒い刃を放ちました。

「そんなもの」

 水のナッツォはすぐにそれを打ち消しました。

「隙ありぃ!」

「がはぁっ!」

 しかし、彼の頭上から、ミョルニルが振り下ろされました。

 実はバイオレットの放ったシャドウエッジは、囮だったのです。

 

「策には策で、立ち向かいます!」

「卑怯な手にかかって負けたら、戦士の名が廃るからな!」

 

「スリープクラウド」

 水のナッツォが杖を振ると、白い煙が現れました。

 これは、煙で相手を包み込んで眠らせる呪文で、

 相手を無力化させる呪文としては最も一般的なものです。

「かわせ!」

「はい!」

「チリングボルト」

 ジャンヌは素早く飛んでかわしましたが、

 水のナッツォがジャンヌの回避を読んだのか、その地点に凍てつく矢を放ちました。

「ウィンドバリア!」

 しかし、それもジャンヌにはお見通しだったらしく、風の能力で防御しました。

「相手の考えを読んだ方がよさそうですね……シャープネス!」

 ゲールは強化魔法を自分にかけて突っ込んでいきました。

 能力タイプのゲールにとってこの行動は一見すると無駄に見えますが、

 これは水のナッツォに対抗するためのものです。

「せいっ!」

 ゲールは拳を真っ直ぐ突き出し、水のナッツォを殴りました。

「ぐおぉ!」

「はっ!」

 次に、水のナッツォを蹴って浮かせました。

 ゲールもそこからジャンプして、かかと落としで水のナッツォを地面に叩き付けました。

「相手の裏も読むのが、策ってものなんですよ」

「く……っ、ならばこうしましょう! グラビティ!」

「!?」

 水のナッツォが呪文を唱えると、突然、三女神とトールを過重力が襲いました。

 三女神は耐えきれずに膝をつき、トールもミョルニルに支えられて何とか立ち上がっている状態でした。

「う、動けない!」

「周りを重力で覆うとは……アンタらしい卑怯な魔法だな……」

「ふふふふふ」

「だがよ……これくらいでくたばるオレじゃ、ねぇんだ、ぜ……!」

 トールは、ミョルニルを天高く投げつけました。

「そんなもの、私には効きませんよ?」

 水のナッツォはバリアを張り、ミョルニルの攻撃をガードしようとしましたが……。

 

―ガシャーン!

「うわぁぁぁっ!?」

 ミョルニルはバリアを貫通し、水のナッツォに命中して大ダメージを与えました。

 

「トールさん……!」

「へっ、重力を利用したのさ。重力で勢いがついたミョルニルの威力は高まる! ってね」

「よ、よくもこの私に傷をつけましたね……。許しませんよ! ポイズンクラウド!」

 水のナッツォは過重力を解除した後、毒の霧を放ちました。

「あぁ、もう! なんでこんなのばっかりなの……!」

「とにかく相手に近付け! 話はそこからだ!」

「は、はい!」

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 水のナッツォが放つ毒の霧や眠りの霧に悩まされつつも、

 三女神は何とか水のナッツォに近付こうとしていました。

「こんなに補助魔法が飛んでくるなんて……」

「だがよ、本体を叩けばこれでおしまいだぜ、とおっ!」

 トールはミョルニルを強く握りしめ、水のナッツォに突っ込んでいきました。

「食らえっ!」

 トールのミョルニルが、水のナッツォの頭部を狙いました。

 しかし、バリアによりいとも簡単に弾き飛ばされました。

「くっ!」

「私は攻めるより、守る派なのですよ」

「守りを崩すためには……どうすればいいのでしょう……」

 ジャンヌは、水のナッツォの弱点を探していました。

 どんなものにも必ず弱点はある、とジャンヌは思っているからです。

 

「……! ありました!」

 そして、ジャンヌは弱点を見つけました。

「バリアの右端を狙ってください!」

「右端……? そこを狙えばいいのか?」

「はい!」

「……やってみるしか、ないようだな! どぉりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 トールはバリアの右端目掛けて、ミョルニルを振り下ろしました。

 すると、水のナッツォが張っていたバリアに、ひびが入りました。

「なんと!」

「よし! 後はそこを狙うよ!」

 そう言うと、バイオレットはひびの入った場所に闇の刃を放ちました。

 すると、バリアは砕け散りました。

「なっ! わ、私のバリアが……!」

「よーし! 後は総攻撃だ! いっけぇーーーーー!!」

「ウィンドストーム!」

「ライフドレイン!」

「ダークブレイズ!」

「ミョルニル・ブロウ!!」

 ジャンヌ、ゲール、バイオレット、トールは、水のナッツォに向かって一斉攻撃を放ちました。

 神の攻撃に人間が耐えられるはずもなく、水のナッツォはあっという間に倒されました。

 

「よ、よくも、この私を……」

「逃がすものか!」

 水のナッツォはテレポートで去ろうとしましたが、バイオレットの影の能力により縛り付けられました。

「さようなら……これで、とどめよ!」

 バイオレットは影の能力を使い、水のナッツォを切り刻んでとどめを刺しました。

 

―ブゥン

 水のナッツォが死んだと同時に、空間が元に戻りました。

「よし、これで四使徒も二人くたばったな」

「はぁ……嫌な相手だったです」

 あまりにも陰険すぎたため、ジャンヌやゲールは

 彼のような存在を二度と相手にはしたくありませんでした。

 しかし、これで四使徒は「火」と「風」の残り二人となりました。

 

「……帰ったらゆっくり休みましょう」

「そうだな……」

説明
VSナッツォ。かなり難しい戦闘シーンでした……。
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