東方放浪録3〜霊夢と早苗
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東方放浪録3〜早苗v霊夢

 

 【霊夢】

 

 妖怪の山に住むようになった巫女と神様達を懲らしめてからというもの。

その巫女がちょくちょく私の神社に訪れるようになった。

 

「霊夢さん、こんにちわ〜」

 

 そして一度敵として会った相手に無防備な笑顔を向けて来ていた。

 

「あー…もう。なんでそんなしょっちゅう来るのよ…」

 

 最初は警戒していたものの、特に何をするわけでもなく。ただただ私とお茶を

飲みながら異変解決した話しだの、人里の世間話だの。そういう他愛のないことばかり

話していた。

 

「言っとくけど、私とあんたは商売敵なんだからね。馴れ馴れしくしないでよ」

「えー、私はそんなつもりないんですけど…」

 

「あんたにはなくても私にはあるの!」

「まぁまぁ、それは置いといて。遊びに来ました!」

 

「…」

 

 どれだけ言い聞かせても笑顔で返されてそのまま押しきられる形で終わってしまうのが

お決まりの展開になってしまっていた。

 

 そんな毎日が繰り返されるのかと思っていたら、今度はすっかり姿を見せなくなった。

ほぼ毎日来ていたのが、ぱったりと何ヶ月も音沙汰がなかった。

 

 私の中でこれでようやく平穏が訪れるのかと思っていたけれど正体不明のもやもや感が

生まれイライラしていた。

 

 そんな中で魔理沙がいつも通りに飛んでやってきた。

 

「よぉ、霊夢。茶をいただきにきたぜ」

「あっそう…」

 

「悪いな、さっそく頂くぜ」

 

 そう言って箒で掃いている私の横をスッと通り抜けて勝手にお茶を淹れて飲んだ後、

何か物足りないと首を傾げ私の方を見ていた。

 

「霊夢、何かあったか?」

「何がよ」

 

「お前にしては文句もなく大人しいからさ」

「そんなことないわ。いつも通りよ」

 

「そういや早苗、今日も来てないんだな」

「…!」

 

 名前を聞くとあいつの笑顔が脳裏にチラチラ映ってイライラが増していく。

 

「あいつのことは口にしないで!」

「…!? 何をそんなにイラついてるんだ?」

 

 私の言葉に一瞬驚いた魔理沙はちょっと面白そうだという表情を浮かべながら

私に笑いかけてきた。

 

「なんだぁ、早苗のこと気になってるんじゃないか?」

「なんでそうなるのよ…」

 

「お前は気付いてないだろうけど、私から見たら霊夢…お前早苗と楽しそうにしてたぜ」

「え…?」

 

 そんなことあるわけないじゃない。ただ同じように神社建てて客取り合って

迷惑この上ないのに…。でも、なぜか魔理沙の言葉がそれを否定しようとする

私の言葉を詰まらせる。

 

「早苗のこと…実は好きなんじゃないか?」

「バカ…!」

 

「…!」

「そんなことあるわけないでしょ。いい加減にしてよ!

私はあいつのことなんか大嫌いよ!」

 

 反動的に出た言葉は私の中にある気持ちと関係のないものが出ていた。

 

「ごめんなさい…」

 

 すると魔理沙とは違う方向から声が聞こえてきた。最近ずっと私にまとわりついていて

鬱陶しくて目が離せなくて、いないとイライラする相手…。

 

 振り返るといつものように笑顔でいる早苗がいた。

いや、今はその笑顔もぎこちないものに変わっていた。

 

「何で…」

「あ、あぁ〜…。神社の方で最近忙しかったので行かれなくて…」

 

「ちょっと、今のは…」

 

 私が気まずくて早苗との距離を少し詰めると同じ距離だけ早苗は下がった。

 

「迷惑って言われてたけど、それは霊夢さんツンデレのツンなのかなぁとか思っていて。

まさか本気でここまで嫌われてたとは…」

「い、いやツンデレとか意味わからないけど。違うのよ」

 

「もう来ません…ごめんなさい」

「…!ちょっと、待ちなさいよ!」

 

 このまま見逃してしまうとずっと姿を見せなくなる予感がしたから私は必死に

早苗の腕を掴んで引き寄せた。ただ、思いのほか力が入って引き寄せた時

お互いの顔がすごく近くにあって…ドキドキした。

 

「霊夢さん…?」

「さっきのは…嘘なのよ…」

 

 こんなこと恥ずかしすぎて言いたくなかったけど。

 

「あんたがいないと…落ち着かなくなっちゃったのよ…」

 

 これだけ近いせいなのか、早苗から何やらいい匂いがしてくるから困る。

顔が緩んでしまいそうになるけどこいつらの前でそんな顔は見せたくない。

 

「霊夢さん…」

「同じように巫女やってるからって意識しすぎてたのよね…。

あんたも魔理沙とかと同じように思えればよかったんだけどね」

 

「つまり、私は特別に思われてたんですか」

「随分前向きなのね…」

 

「だってこんなにも積極的に私のこと思ってくれていたなんて」

「そして飛躍するのね」

 

 まぁいいわ。変にギスギスするより普通にしていた方が気が楽だし。

そう思いながら溜息一つ。でも不思議とさっきよりはスッキリした気持ちになっていた。

 

 私は早苗から離れて神社の方へ向かって歩き出すと、ささっと私の前に早苗が

回り込んできて私の手を握ってきた。

 

「なによ…?」

「霊夢さん、私と友達からはじめましょ〜」

 

「からって何よ」

「もしかしたらそれ以上の関係になれるかも!?」

 

「バカバカしいわね」

「ふふー。やっぱり霊夢さんはそうでないと」

 

「…変な奴」

 

 早苗の柔らかくて暖かい手に表情が緩みそうになるのを抑えながら

そう一言告げると、不意に私の頬に生暖かい湿った柔らかな感触がした。

 

「!?」

「これは親愛の挨拶です。外の世界の外国では主流なんですよ」

 

「ここは幻想郷なんだけど・・・!」

 

 さすがにこんなことされると顔が熱くなって平常ではいられなくなるではないか。

私は早苗に叱ろうとするも、早苗はわかっていたようで逃げるようにして神社の中に

入っていった。こんな状況でも帰ろうとはしないとか…。変に肝が据わっているというか…。

 

「ほんと…変な奴ね」

「な、面白い奴だよな」

 

 いつの間にか隣にいた魔理沙がからかうような笑みを浮かべて私を見ていた。

ずっと見ていたのだろうか。そう考えると恥ずかしすぎてたまらなくなってくる。

 

「あんたの記憶、消そうかしら…」

「じょ、冗談はやめてくれ。大丈夫だってこのことは私の中だけに留めておくから」

 

「一番信用ならないのよねぇ…」

「お、おい…」

 

 この恥ずかしさを紛らわすために憂さ晴らしとして魔理沙と弾幕勝負を強引に始めた。

そんな私達の様子を神社から覗いていた早苗は対決している私達を見て嬉しそうに

笑っていたのだった。

 

お終い。

 

説明
思いついたのをつらつらと。
唐突なサナレイ
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博麗霊夢 東風谷早苗 東方Project 東方 百合 

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