酪農家の娘
説明
私は農業高校に通う16歳
酪農家の家で育ち、牛も馬も小さな頃から慣れ親しみ、毎日日の出前から両親を手伝っていた
朝は手伝い、昼は学校、夕方からは塾に行き、22時には寝る
そんな生活は大変だけど、嫌いな訳ではない
けど、決して好きな訳じゃない
彼女は農学部のある都会の大学への進学を考えているが、アニマルサイエンスではなく食糧化学を学びたがっていた

そんな彼女の父が、大腸がんが判明した
早期発見であった為問題なく治療出来る段階であり、切除し、今では不安そうな顔色も見せない
しかし彼女の父は生来とても丈夫で、彼女は身体の心配などした事がなかった

父は、いつか死ぬんだ
牛達を通して死が遠い存在だった訳じゃない、しかし父は…何というか、無敵だと思っていた
そういう事を意識した彼女は緩やかに反抗期を終え、今日も牛に牧草を与える

彼女はホースを使った掃除が好きだ
と言うより、朝焼けで出来る虹をこよなく愛した

内心、都会の大学に行きたいと思っていた
けど、今はここにもいたい気もする

母に彼氏が出来たら父には黙っておくから教えてね、なんて言われている
地元の農学部がある公立大学もある

父「また日の出を見てたのか」

不意に、後ろから父の声がした

「…うん、今日は虹が出るかな」

父「今日は霧が濃い、無理かもしれないな」

「そう、だね」

このモヤモヤの正体は何だろう、少し前まで反抗期だった私は、今の方が父と話しやすい、はず
そう、そのはずなのに、本当に何だろう
私は父が嫌いなんだろうか?最近色んな事で悩んでる

世の同世代は恋の話ばかりなのに、私はいつもおばさん扱いされてしまう
なんか、色々うまくいかないな

父「…明日はきっと、虹が出る」

ぶっきらぼうに、けど優しく父が言った
私はそんな父の顔を一瞥したけど、返事はしなかった

きっと私は、父に似てる
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
527 527 0
タグ
朝焼け 眼鏡 JKの高校生 地味 SP 

白洋(sir000)さんの作品一覧

PC版|待受画像変換
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com