Triangle Goddess! 第31話「烈風剣士リシア」
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 風のリシアを探すため、三女神とトールは町の人から情報を聞き出しました。

「逃げられたのかい、そりゃあ残念だねえ」

「そうなんですよ。できれば先回りしたいのですが、どうすればいいのか……」

「先回り、ねえ。よく注意深く観察するといいよ、相手が相手だからね」

「ありがとうございます」

 町の人から情報を聞いた三女神は、注意しながら風のリシアを探しました。

 

(怪しい行動をしているのは……)

(よく確認しなければな)

 三女神とトールは、町の人達の様子を注意深く見ていました。

 風のリシアは、町の人に変装しているかもしれないからです。

 

 三女神とトールが、町の奥へ進んでいた時、彼女達はあるものを目撃しました。

 フードを被った女性が、男性にナイフを突きつけていたのです。

「よくも、情報を知ったようね……」

「ち、違う! ただ、噂を聞いただけなんだ!」

「問答無用……消えてもらう!」

 そう言い、フードを被った女性が男性にナイフを突き刺そうとした瞬間。

 

「待ちなさい! 風のリシア!」

 女性の目の前に、三女神とトールが現れました。

「ちっ! 三女神か!」

 その声で女性が風のリシアだと判明したため、三女神はすぐに戦闘態勢を取りました。

「今度こそ、あなたを……いえ、お前を倒します!」

「やれるものならば、やってみな!」

 風のリシアは邪魔者を消し去るために、剣を抜きました。

 

「ってわけだ。お前は安全な場所にでも逃げてろ!」

「わ、分かった! ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 男性はトールに言われ、大急ぎで安全な場所に逃げ出しました。

 

「リシアよ、この雷神トールがお相手しよう! 恐れぬならば、かかってこい!!」

 トールはミョルニルを掲げ、自らの名を高々と宣言しました。

 これは、彼が覚悟を決める時に行う行動です。

 それほどまでに、トールは風のリシアを倒したがっているのでしょう。

「トールさん……」

「分かりました、必ず彼女を倒しましょう」

「あたし達は絶対に、負けないからね!」

 彼の覚悟を見た三女神も、全員戦闘態勢を取りました。

「そんなにアタシを本気にさせたいのか? なら、本気を出してやるよ!」

 風のリシアが力を溜めると、彼女の周りに風が吹き荒れました。

「うっ!」

 思わずジャンヌ以外は手をかざして防御しました。

「お姉様、大丈夫ですか?」

「わたくしは風を司る女神。これくらいの風など平気です」

「そうですか、なら大丈……!?」

 激しい風が治まると、風のリシアは柄が緑の剣を持ち、緑の鎧を纏っていました。

「この剣と鎧は風でできているからな、物理攻撃も物理防御も通用しないよ! さあ、来るなら来い!」

「望むところです!!」

 ジャンヌ、ゲール、バイオレット、トール、風のリシアの戦いが始まりました。

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「エアリアルブラスト!」

 ジャンヌは風のリシアに向かって風の衝撃波を飛ばしました。

 しかし、風の衝撃波は明後日の方向に飛んで行ってしまい、風のリシアには当たりませんでした。

「ドレインライフ!」

 リシアもドレインライフを風のリシアに放ちましたが、風の鎧の前に阻まれてしまいます。

「く……凄い強風……攻撃が届きません……!」

「お姉ちゃん、あたしに任せて! シャドウエッジ!」

「くっ!」

 バイオレットが闇の刃を放ち、何とか風のリシアに僅かながらダメージを与えました。

「物理攻撃が通用しないと言っても、属性攻撃なら通用するだろ? ここはオレが行くぜ!」

「ぎゃぁぁぁぁ!」

 トールはミョルニルに雷を纏わせ、風のリシアに振り下ろしました。

 普通に振り下ろすだけでは通用しないと判断したトールは、

 雷の力によってダメージを通す事を狙いました。

 結果はその狙い通り、風のリシアにそこそこのダメージを与えました。

「今度はこちらから行かせてもらうよ! ストームソード!」

「真剣白刃取り!」

 風のリシアが飛び上がり、風の剣をジャンヌに振り下ろしましたが、

 彼女が真剣白刃取りで受け止めた事でダメージは免れました。

「定位置に戻らなければ……」

 ジャンヌは後衛に戻り、敵の攻撃を受けないようにしました。

 トールは打たれ弱い三女神を守るように動きました。

「安心しろ、アンタらはオレが守ってやる。だから安心して、あいつと戦いな」

「はい!」

 

「エアリアルブラスト!」

「ライフドレイン!」

「シャドウエッジ!」

「うあぁぁぁぁぁ!」

 トールに守られながら、ジャンヌ、ゲール、バイオレットが遠距離から風のリシアを攻撃しました。

 彼女達の猛攻により風のリシアの体力は大きく減りました。

「悪いけど、アタシが近接攻撃しかできないと思ったら、大間違いだよ!」

 すると、風のリシアは後ろに下がり、風の剣に力を溜め、それを開放してトールに飛ばしました。

「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」

 トールは風の刃で切り刻まれ、大きなダメージを受けました。

「そのまま消えればいいものを……」

「誰が消えるものか!」

「帰るため、あなたを倒します! テンペスト!」

「ぐうぅぅぅっ!」

 ジャンヌは嵐を起こして風のリシアの急所を狙いました。

 嵐は弾丸となって風のリシアの急所めがけて飛び、命中して彼女に重傷を負わせました。

 ですが、この時ジャンヌは気が付いていませんでした。

 風のリシアが持つ風の剣が、嵐を纏っていた事を……。

「いくよ、ストームソード!」

「きゃあああああああああ!」

 嵐を纏った刃がジャンヌを貫き、彼女は大きなダメージを受けてしまいました。

「お姉様!」

 ゲールはジャンヌに近づき、彼女が攻撃を受けないように別の場所に下がらせました。

「ゲール……」

「お姉様は私が守ります。ライフドレイン!」

「あたしも援護するよ、シャドウエッジ!」

 ゲールとバイオレットは能力で風のリシアを攻撃しようとしましたが、

 風の鎧に弾き返されてしまいます。

「効かない!?」

「だったらこれでどうだっ!」

 トールが雷を纏ったミョルニルを風のリシアに叩きつけました。

 しかしこれも、風の鎧が防ぎました。

「何っ!?」

「アンタ達の攻撃はそんなものかい? アタシの攻撃を与えてやるよ!」

「きゃっ!」

 風のリシアは風の剣でバイオレットを斬りつけました。

 バイオレットはよろめきましたが、すぐに体勢を整えました。

「ああ、どうしても攻撃が届かない! どうすればいいの!?」

「諦めるな! 諦めずに攻撃すれば、いつかは倒れる!」

「そうですねっ、行きましょう!」

 戦闘態勢を取り直した三女神は、自らの能力を全力で放ち、風のリシアに攻撃しました。

「テンペスト!」

「ライフドレイン!」

「ダークネスアロー!」

 ジャンヌの風の能力、ゲールの生命の能力、バイオレットの影の能力が、

 風のリシアが纏う風の鎧を剥がしていきました。

「ぐぅ……このアタシが、ここまで追い詰められるなんて……!」

「悪にはそれなりの報いが与えられるってのが常識なんだよ!」

 そう言い、トールは強力な雷を纏ったミョルニルを構えました。

「や、やめ……!」

「とどめだ! 雷撃衝!!」

「ぎゃあああああああああああああああああ!!」

 そして、ミョルニルが風のリシアの頭部めがけて振り下ろされ、同時に天から雷が落ちました。

 その威力は、風のリシアを倒すのに十分なものでした。

 

「……ぐふっ!」

 風の剣が消えると同時に、風のリシアは息絶えました。

「まったく、結構手間取ったぜ」

「でも、これで四使徒は残り一人になったんですよね」

「そうなるな」

「さて、誰が一体待ち受けているのでしょうか……」

「まずは、宿屋に泊まって休みましょう」

 

 こうして、四使徒は一人を残すのみとなりました。

 果たして、一体誰が三女神とトールの相手になるのでしょうか……。

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物語も終盤に入ってきました。
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