恋姫英雄譚 鎮魂の修羅24の3
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拠点・雷々、電々

 

 

 

 

朱里「では、お米の関税はこれくらいでよろしいでしょうか?」

 

一刀「ああ」

 

雛里「通行税については、直に廃止しても構いませんか?」

 

一刀「構わないけど、荷物検査は必ずすることと、それらを門番に記載させて月に一度提出させることを徹底するんだ」

 

桃香「え?なんでそんな事をするの?全部通しちゃえばいいんじゃないの?」

 

一刀「おいおい、本当に桃香は幽州で俺と一緒に仕事をしていたのか?」

 

朱里「はい、危ないものを運び込まれる事を防ぐ為にも、荷物検査は重要です」

 

雛里「荷物の記載は、輸出輸入量を確認することと、何が良く出入りして、何が出入りしていないかを知る貴重な資料になります」

 

美花「桃香様、一刀様が幽州でその竹簡や資料に目を通していた事をお忘れですか?」

 

桃香「うう〜、そんな事言われても、一刀さんが読むのが早過ぎるから、何を読んでいるのか分からなかったんだもん!」

 

一刀「だったら聞けばいいじゃないか・・・・・」

 

ただいま、桃香の執務室にて同盟の精査が行われていた

 

朱里と雛里は、思う所があったものの、美花の仲裁で一刀との交渉に踏み出した

 

一刀も平和の為なら、自身の下らない意地やプライドなどいくらでもドブに捨てるつもりでその交渉に快く乗った

 

そんな同盟交渉真っ最中な最中

 

雷々「桃香様〜、皆〜、遊ぼ〜♪」

 

電々「一緒に戦争ごっこしよ〜♪」

 

一刀「なんだか物騒な遊びだな・・・・・」

 

いきなり執務室の扉を開け放ち、アホっ子姉妹が乱入してきた

 

美花「こら、雷々さん、電々さん、今は大事な大事なお仕事の最中ですから、もう暫く後でお願いします」

 

雷々「え〜〜、一緒に遊んでくれないとやだ〜!」

 

電々「遊んでくれないと悪戯しちゃうぞ〜!」

 

桃香「愛紗ちゃんと鈴々ちゃんはどうしたの?」

 

一刀「梨晏と華雄もどうした?」

 

雷々「4人とも街に行っちゃって何処に居るのか分からないよ〜」

 

電々「しんぼ〜くを深めるんだって、何を掘るのかな〜?」

 

美花「親睦ですよ、きっとこの前の試合のお礼をしているのではないでしょうか?」

 

雷々「そっか〜、つまり神木を根っこから掘り起こす作業を一緒にしてるんだよ〜」

 

電々「え〜!?付いて行かなくて良かった〜、肉体労働なんて大嫌いだよ〜・・・・・」

 

美花「うふふふ、違いますよ♪親睦を深めるとは、一緒に食事やお遊戯をして仲良くなることを言うんですよ♪」

 

電々「え〜〜〜!?そうだったの〜〜〜!?」

 

雷々「一緒に行けばよかった〜!」

 

一刀「ま、そういうことだから暫く邪魔しないでくれよ」

 

雷々「うぅ〜〜〜〜〜!」

 

電々「むぅ〜〜〜〜〜!」

 

想いっきり膨れっ面になる麋姉妹

 

一刀達は机に向かい同盟資料を基に交渉を再開するが

 

雷々「(ねぇねぇ、どうしよっか〜♪)」

 

電々「(絶対こっちに振り向かせるんだからね〜♪)」

 

と、ヒソヒソ話であくどい事を話し合う二人

 

そして、コソコソと机の下に潜り込む

 

桃香「ひゃあっ!!?ななな、なに!!?/////////」

 

太ももから変な刺激が来て、桃香は急いで下を覗き込む

 

桃香「・・・・・何も居ない」

 

机の下はもぬけの殻だった

 

桃香「・・・・・気のせい気のせい」

 

再び机に向かうと今度は

 

朱里「ひゃわわ!!?なな、なんでしゅか!!?/////////」

 

今度は朱里の太ももから刺激が来る

 

朱里「・・・・・何もありません」

 

こちらも机の下を覗き込むも何もなかった

 

雛里「?・・・・・どうしたの?朱里ちゃん」

 

美花「如何なされました?桃香様」

 

朱里「な、なんでもないよ、雛里ちゃん!」

 

桃香「こ、こっちも、なんでもないよ!」

 

一体何が起きているのか分からず、不思議な気持ちになる二人だったが

 

雷々「(うひひ、やっぱり悪戯って楽しい〜♪)」

 

電々「(皆の反応が面白いな〜♪)」

 

机の陰に隠れ小悪魔的な笑みを浮かべる二人、その手には鳥の羽が握られていた

 

雷々「(今度は誰にしよっか〜♪)」

 

電々「(電々は、美花お姉ちゃんにする〜♪)」

 

雷々「(じゃあ雷々は、御遣いさんだ〜♪)」

 

そして、素早くも物音一つ立てない足捌きで二人は一刀と美花に近付くが

 

一刀「・・・・・そこだ!!」

 

美花「そこです!!」

 

雷々「わっ!!」

 

電々「ひゃ〜〜!!」

 

と、二人はあっけなく捕まった

 

朱里「あ、雷々さんと電々さん」

 

桃香「何かおかしいと思ったら、二人の仕業だったんだ」

 

一刀「まったく、少しは待てないのか」

 

美花「雷々さん、電々さん、悪戯はいけませんよ♪」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

雷々「だって〜、退屈過ぎて死んじゃいそうなんだもん〜」

 

電々「今すぐ皆と遊びたいんだもん〜」

 

完全に構ってほしくて仕方がないワンちゃんと化した麋姉妹は一刀と美花の腕の中で膨れっ面を見せる

 

一刀「・・・・・はぁ〜〜、分かったよ、遊んでやる」

 

美花「仕方ありませんね・・・・・申し訳ありません皆さん、お時間を頂けますか?」

 

桃香「ううん、いいよいいよ、もう少しで休憩の時間だし♪」

 

電々「それじゃあすぐ行こ〜♪・・・・・・・・・・て、あれ?お姉ちゃん?」

 

一目散に扉に駆けだす電々だったが、いつもなら同じタイミングで同じ行動を取る姉の反応が無い事に違和感を覚え、振り向く

 

雷々「・・・・・あったか〜い♪//////」

 

そこには一刀の腕に抱かれ頬を赤らめている我が姉がいた

 

その腕の温もりに包まれ、一刀の服にしがみ付きさらに密着する

 

電々「あ〜〜、お姉ちゃんズルイ〜!電々も〜!」

 

一刀「分かった分かった、抱っこしてあげるから、喧嘩するな」

 

そして、電々も一刀の腕の中に飛び込んだ

 

電々「・・・・・本当だ、あったかいな〜♪///////」

 

雷々「でしょ〜♪・・・・なんだか眠くなってきちゃった〜♪////////」

 

一刀の腕の中で完全に丸まってしまった二人は、尻尾でも付いていればパタパタと横に振るワンちゃんそのものだった

 

桃香「(うう〜、雷々ちゃん、電々ちゃん、羨ましいよぉ〜)」

 

朱里「はわわぁ〜(私もあんな風にぎゅってされてみたいですぅ〜)////////」

 

雛里「あわわぁ〜////////」

 

美花「(あらあら、私だって一刀様にそんな風に抱き締められたことなんてないのに♪)」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

この場の一同が、一刀に抱き抱えられた姉妹に嫉妬の念を抱く

 

特に美花は、初めては必ず一刀に捧げようと誓っている為、その怨念はこの場の誰よりも深かった

 

一刀「おいおい、遊ぶんじゃなかったのか?」

 

雷々「はっ!?そうだった!電々、早く行こ〜!」

 

電々「気持ちよくって本当に寝ちゃいそうだったよ〜!」

 

危うく一刀の腕の中でお昼寝を決め込んでしまう所だった二人は、慌てて飛び起き一刀の手を引き執務室を飛び出したのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一同がやって来たのは中庭だった

 

 

 

一刀「んで、何をして遊ぶんだ?」

 

桃香「戦争ごっこって言ってたけど、本当に危ないことでもするの?」

 

美花「大丈夫ですよ、当たってもちょっと痺れるだけですから♪」

 

朱里「え?痺れるって、どういう事ですか?」

 

雛里「何かの球遊びですか?」

 

美花「そうですね、似て非なるものです♪」

 

碌な説明もないまま二人の我が儘に付き合ってしまったため、一同は具体的に何をするのか解らなかった

 

雷々「それじゃあ皆〜、そこに立って〜♪」

 

電々「その大きな丸の中だよ〜♪」

 

中庭の中央には大きな円が描かれていて、一同は言われた通りその円の中に入る

 

美花「それでは皆さん、雷々さんと電々さんの掌にご注意してください」

 

朱里「え?掌ですか?」

 

雛里「・・・・・特に何もありませんけど」

 

桃香「うん、何も持ってないよ」

 

目を細め、二人の手を凝視するが何も握られていなかった

 

雷々「電々、いくよ・・・・・天光満つる処に我は在り黄泉の門開く処に汝在り、はぁぁぁぁぁ」

 

電々「うん、お姉ちゃん・・・・・輝く御名のもと 地を這う穢れし魂に裁きの光を雨と降らせん 安息に眠れ 罪深き者、ふぅぅぅぅぅぅ」

 

一刀「なっ!!?」

 

次の瞬間、二人の体から氣が溢れ出す

 

しかし、その氣は一刀がこれまで見た事が無い禍々しさを纏っていた

 

朱里「え、え?なんでしゅか!?」

 

雛里「いったい何なんですか?」

 

桃香「二人共どうしたの!?何が始まるの!?」

 

美花「皆さん、構えて下さい、来ますよ〜」

 

雷々「それじゃあいっくよ〜♪」

 

電々「それ〜〜〜〜〜♪」

 

バリバリバリバリ!!

 

そして次の瞬間、二人の手が放電を開始し

 

ピシャ〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!!

 

桃香「きゃあああああああああああ!!!!!」

 

朱里「はわわわわわわわ!!!!??」

 

雛里「あわわわわわ・・・・・」

 

一刀「マジかよ!!!?」

 

それが一同に向かって放たれた

 

朱里「はわわわわわ!!!??死んじゃう死んじゃう死んじゃう〜〜〜!!!」

 

雛里「ここここ、恐いよ〜〜!」

 

桃香「えええええええ!!!?これが遊びなの〜〜〜!!!?」

 

伏龍と鳳雛は恐怖の余りお互いに抱き合い、桃香は只々必死に逃げ回り、一刀は向かい来る雷を回避していた

 

一刀「おい二人共、これは何なんだ!!!?」

 

雷々「これはね、その円の中で雷々達のバリバリをどれだけ避けられるかを競う遊びだよ〜♪」

 

一刀「そんな事を聞いているんじゃない!!!お前達は氣の使い手でも何でもないはずだぞ!!!」

 

電々「そうだよ〜、電々達は、妖術使いだよ〜♪」

 

一刀「なっ!!!?妖術だって!!!?」

 

かつて張三姉妹が太平要術を用いて黄巾党を立ち上げた事があった為、一刀もこの世界に妖術という奇術が存在する事は知っていたが、どうしてそんなものをこの二人が使えるのか訳が分からなかった

 

一刀「どういうことなんだ!!!?お前達はどうやってそんなものを覚えたんだ!!!?」

 

雷々「陶謙おばあちゃんがね、雷々達に教えてくれたんだ、妖術初級編って本で〜♪」

 

一刀「なんだと!!!??」

 

太平要術は、今では幽州の蔵に厳重に保管してあるはずである、それ以外に妖術書が存在すると言う事は、この世界にとって妖術というのは想像以上にポピュラーな存在という事になる

 

美花「はっ!はいっ!はぁっ!」

 

そして、手慣れたかのように身を翻し美花は二人の雷を華麗に躱していた

 

一刀「おい美花、お前は知ってしたのか!!?この事を!!」

 

美花「はい、陶謙様からお二人のお世話も任されていましたから♪」

 

一刀「それにしたってこれは危な過ぎるぞ!!」

 

美花「大丈夫ですよ、陶謙様も多用は禁物と堅くお二人に言っていましたし、お二人もそれをしっかり守っていますし♪」

 

一刀「だけど・・・・・」

 

バリバリバリバリ!!

 

朱里「しゃばばばば!!!」

 

雛里「あばばばばば!!!」

 

一刀「諸葛亮、?統!!!大丈夫か!!!??」

 

そして、とうとう朱里と雛里が雷の餌食となる

 

もろにくらったので、一刀は二人が感電死してしまったものと思った

 

しかし

 

朱里「はわわ・・・・・あ、あれ、余り痛くない・・・・・」

 

雛里「本当に、ちょっと痺れるだけだね・・・・・」

 

一刀「・・・・・あれ?」

 

雷は、確かに直撃したはずなのに、二人はケロッとしていた

 

電々「はい、朱里と雛里は脱落〜♪」

 

桃香「きゃあああああああ、もう嫌あああああああ!!!!」

 

雷々「はい、桃香様も場外で失格〜♪」

 

恐怖の余り円の外側に逃げ出した桃香はリタイアした

 

電々「残りは、美花お姉ちゃんと御遣いさんだけだよ〜♪」

 

雷々「ちょっと、早く行って見ようか〜♪・・・・・はぁぁぁぁぁ」

 

バリバリバリバリ!!!!

 

そして、さっきの倍近い雷が二人に襲い掛かってくる

 

美花「む、多いですね・・・・・はぁっ!!!」

 

一刀「ちぃっ!!」

 

雷が放たれる時の初動作が全くなく、避ける為には二人の掌が光った瞬間と雷が通る軌道を直感で読むしかない

 

どうやら美花は何度も二人のこの遊びに付き合っているらしく、倍近くなった雷も悠々と躱している

 

一刀「(よし、大分慣れてきた)」

 

一刀も迫り来る雷を躱し続けているうちにその軌道が見えて来て余裕を持って躱す事が出来て来た

 

雷々「わぁ〜、やるじゃん二人とも〜♪」

 

電々「御遣いさんも凄いね〜、初めてでここまで避けられる人に会ったの初めてだよ〜♪」

 

雷々「それじゃあもっといってみよ〜♪」

 

電々「いつまでもつかな〜♪」

 

そして、さらなる雷が二人に襲い掛かる

 

美花「くっ!!これは流石に!!」

 

どうやらここまでの量の雷は美花も体験したことが無いようで、これまで余裕のあった表情が一気に険しくなる

 

バリバリバリバリ!!

 

美花「きゃああああ!!」

 

とうとう美花も雷の餌食となった

 

雷々「はい、美花お姉ちゃんも失格〜♪」

 

電々「残りは御遣いさんだけだ〜♪」

 

そして、美花は円外に移動し、残りは一刀だけとなった

 

縮地を駆使して雷を躱していく

 

桃香「凄い凄い〜、一刀さん〜♪」

 

朱里「はわわ、よくあんなの避けられますね・・・・・」

 

雛里「他の皆さんがいなくなって円全てを使えるようになったのが大きいですね」

 

美花「この遊戯は、人数が少ない方が有利ですからね♪」

 

雷々「・・・・・本当に凄いよ、御遣いさん」

 

電々「うん、電々達のバリバリをここまでよけられたの、御遣いさんが初めてだよ〜」

 

連続で放たれる雷を次々と躱していく一刀に、雷々と電々は感嘆の声を上げる

 

雷々「よ〜〜〜し、それじゃあこれならどうかな〜〜♪♪♪・・・・はああああああああ!!!」

 

電々「避けられるものなら避けてみろ〜〜〜♪♪♪・・・・・ふううううううう!!!」

 

そして、二人同時に両手を突出し雷の量がこれまでの更に倍々に増える

 

一刀「なにっ!!!??」

 

これは最早、360°全方位と言ってもいいくらいの躱すスペースなど無い雷が一刀の周りを取り囲む

 

おまけにこの雷はこれまでのものとは訳が違う、見るからに電流や電圧が桁違いな事が伺える

 

雷々「あ!!?電々ちゃん、これ強過ぎ〜!!」

 

電々「え〜〜!!?止まらないよ〜!!」

 

美花「いけません、一刀様!!!」

 

桃香「一刀さん、危ない!!!」

 

朱里「はわわ!!!??」

 

雛里「あわわ・・・・・」

 

どう考えても回避不能な雷の量に、一同は一刀に訪れる死を予感した

 

しかし

 

一刀「はあああああああ!!!」

 

氣の壁を自身の周りに張り巡らし雷を防御する

 

一刀「はぁぁぁぁぁぁ・・・・・はっ!!!!!」

 

バッチィィィィィィィィィィイイイイイ!!!!!

 

そして、全身の氣を解放し、迫る雷を全て吹き飛ばした

 

雷々「わあああああああ!!!??」

 

電々「ひゃああああああ!!!??」

 

当然、雷の発生元である雷々と電々は、一刀の氣の圧力をもろに受け吹っ飛ばされた

 

一刀「はぁ、はぁ・・・・・嘘だろ、ここまでの気量を持って行かれるのか・・・・・」

 

今の攻防で、一刀は大体4分の1の氣を消費した

 

氣の使い手の自分でさえこの有様では、普通の人間がこんなものをくらえば、その結果は目に見えている

 

改めて、妖術というこの世界の奇術に一刀は戦慄を覚えた

 

雷々「いててて・・・・・本当に凄いや御遣いさん〜♪」

 

電々「あたたた・・・・・うん、電々達のバリバリを受け止めた人なんて初めてだよ〜♪」

 

吹っ飛ばされるも、二人の一刀を見る目はキラキラと輝いていた

 

雷々「御遣いさん〜、雷々は雷々だよ〜♪呼んで〜♪」

 

電々「電々も〜、電々だよ〜♪」

 

一斉に一刀に飛び付き真名を預けてくる二人だったが

 

一刀「あ、ああ、雷々、電々・・・・・なぁ、二人はこの妖術で人を殺したことがあるのか?」

 

雷々「え?ううん、ないよ〜」

 

電々「でも、電々達もいつかは本当に戦争するんだし、もっともっとうまく使えるようにならないと・・・・・」

 

一刀「駄目だ!!!」

 

雷々「え!?」

 

電々「ど、どうしたの〜?・・・・・」

 

いきなり肩を掴み引き寄せられ、真顔で迫る一刀に何事かと二人は戸惑う

 

一刀「いいか、雷々、電々、その妖術は今後一切使うんじゃない、絶対にだ!!」

 

雷々「え〜、大丈夫だよ〜」

 

電々「うん、陶謙おばあちゃんからもあまり使わない様にって言われているし〜♪」

 

一刀「いいか二人共、よく聞くんだ・・・・・強過ぎる力は、例えどれだけ制限を付けようとも使い続けていれば必ず人を酔わせる、必ずだ」

 

雷々「・・・・・・・・・・」

 

電々「・・・・・・・・・・」

 

一刀「特にそう言う強い力というものは、戦争という卑劣極まる行為に利用されてしまうんだ」

 

雷々「なんで〜?戦争って良いものじゃないの〜?」

 

一刀「雷々と電々は、本物の戦争というものを見た事があるか?」

 

雷々「・・・・・無い、けど〜」

 

一刀「戦争というものはな、二人が考えている様な華やかで良いものなんかじゃ断じてない・・・・・雷々と電々は、その妖術で多くの人達の幸せを壊したいのか?」

 

雷々「そんなのやだよ〜!」

 

電々「みんな幸せになってくれないとやだ〜!」

 

一刀「だろ、だから今後一切その術は使っちゃ駄目だ、いいな」

 

雷々「うん、分かったよ〜♪」

 

電々「もう使わないよ〜♪」

 

そして、何か別の遊びを考える為に二人は中庭を後にした

 

美花「・・・・・一刀様、陶謙様はけっして護身術の為にお二人に妖術を教えた訳ではありません、迫り来る乱世に備えてお二人にあの術を教えたのです」

 

一刀「なんだって!!?」

 

美花「陶謙様も分かっていたのです、今ある平和がそう長くは続かないと・・・・・」

 

一刀「馬鹿な!!それであんな年端もいかない子達にあんな危ない術を教えたって言うのか!!?陶謙さんも何を考えているんだ!!?」

 

美花「あのお方は、お二人に妖術の才能がある事を早い時期から見抜いていました・・・・・そして、私にあの二人の妖術の訓練を任せて下さったのです、先程の遊戯はその訓練の一環です」

 

一刀「だけど聞いた話によると、妖術は乱用すると術そのものに精神を乗っ取られるそうじゃないか!!」

 

美花「はい、ですから陶謙様は普段は訓練の時だけ使うように言及したのです、いつか来る乱世で役に立つようにと・・・・・」

 

一刀「・・・・・そんな馬鹿な」

 

そんな物は、現代の中東でのテロリストのやっている事と変わらない

 

子供達にマシンガンやバズーカを持たせ、戦場に突撃させたり、市民を攫い体に爆薬を巻き付け、相手を道連れにする自爆テロ

 

そんな卑劣な行為と何か違いがあるのか?

 

一刀「大丈夫だ、俺がそんな世の中なんて来させない、あんな可愛くて純粋な子達の手が、将来人の血でドス黒く染まるなんて・・・・・させてたまるか」

 

桃香「・・・・・・・・・・」

 

朱里「・・・・・・・・・・」

 

雛里「・・・・・・・・・・」

 

美花「・・・・・・・・・・」

 

『その言い方は卑怯だ』と言いたいが、出来れば自分達だってあの子達にそんな事をさせたくない

 

しかし、これが現実なのだ

 

自分達は、あんな小さな子達にさえ戦と言う負の遺産を強要し押し付けなければならない

 

この時ばかりは、一同も時代と言う理不尽な運命を呪う他なかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、徐州に滞在して三日目、旅立ちの日がやって来た

 

 

 

朱里「申し訳ありません、御遣い様・・・・・」

 

雛里「こんな少ない内容しか結べなくて・・・・・」

 

一刀「いいさ、俺もたった一回で全てが承認されるとは思ってないからな」

 

今回、徐州と結ぶことが出来た同盟内容は、冀州の半分ほどだった

 

朱里と雛里は、その持てる頭脳をフル回転させ同盟の精査を試みたが、そこが限界だった

 

しかし、一刀は今後も粘り強くこういった事を繰り返し、各諸侯を説得していくと決めていたのでなんて事は無かった

 

桃香「それじゃあ、またここに来てくれるの?」

 

一刀「ああ、まだ幽州でも実験段階の政策がいくつもあるからな、その成果も資料に纏めて持ってくるよ」

 

桃香「やった〜♪待ってるね♪」

 

愛紗「世話になったな、梨晏」

 

鈴々「梨晏、また来るのだ♪」

 

梨晏「うん、愛紗と鈴々も元気でね♪」

 

どうやら、この三人はこの三日間で真名を預け合うまでの間柄になったようだ

 

愛紗「華雄殿も、我らを真名で呼んでくれればよいものを」

 

鈴々「そうなのだ、遠慮する事ないのだ」

 

華雄「気持ちはありがたいが、私は真名を持ち合わせていない、預けるものが無い以上、貰うのは矜持に反する」

 

美花「一刀様、またぜひお越しくださいませ♪私達徐州一同は、一刀様のご来訪を心からお待ち申し上げています♪」

 

雷々「ばいばい〜、一刀様〜♪」

 

電々「待ってるよ〜、一刀様〜♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一刀達は徐州を後にした

 

華雄「で、どうだったのだ?今回の成果は」

 

一刀「ん〜〜〜〜・・・・・ぼちぼちと言った所かな」

 

梨晏「そうだね、諸葛亮ちゃんも?統ちゃんも相当譲歩したっぽいけど」

 

こればかりは仕方ない、幽州と徐州は冀州と青州によって切り離されている事もある為、隣接している冀州と同じ条件で結べる筈も無い

 

そこは一刀も譲歩したのだが

 

一刀「でも、一番悔やまれるのは・・・・・徐福に会えなかった事だな」

 

華雄「噂の軍師か?」

 

一刀「ああ、あの諸葛亮と?統も認めるほどの人物だ、きっと今回の同盟の本質を分かってくれると思うんだけど」

 

梨晏「どうだろう、その人も諸葛亮と?統と同じ考えだったら、あまり変わらなかったんじゃないの?」

 

一刀「・・・・・そう、かもな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一刀達が徐州を出発して2日後

 

 

 

雷々「桃香様〜、雫が帰って来たよ〜」

 

電々「雫さんの帰還だ〜♪」

 

雫「桃香様、皆様、ただ今戻りました」

 

桃香「あ、おかえり、雫ちゃん♪お仕事はどうだったの♪」

 

雫「あ、はい、商人達との交渉は滞りなく済みましたが・・・・・なんだか大変御機嫌が良いみたいですけど、何かあったのですか?」

 

朱里「あのね、雫ちゃん、御遣い様がここを訪ねてきて・・・・・」

 

雫「ええ!!?御遣い様がここに!!?今はどちらにいらっしゃるのですか!!?」

 

雛里「ごめんね、二日前に発っちゃったよ・・・・・」

 

雫「・・・・・そんな」

 

この中の誰よりも一刀との邂逅を望んでいた雫の表情は果てしなく暗かった

 

美花「そう残念そうにしないで下さい、雫様、一刀様も雫様と会えなくて残念そうにしていましたから」

 

雫「そうなのですか?」

 

愛紗「ああ、今回幽州と少なからず同盟を結ぶ事となったぞ」

 

鈴々「そうなのだ、お兄ちゃんも雫と同盟の精査をしたかったって言っていたのだ♪」

 

雫「では、締結内容を確認させて下さい」

 

渡された同盟内容に目を通す

 

雫「・・・・・たったこれだけですか?」

 

朱里「うん、ここと幽州は離れているし」

 

雛里「それに、御遣い様の持って来た資料は、殆んどが太平の世の政策だったから」

 

朱里「これから乱世の世が来るから、その締結内容が妥当だと思ったんだけど・・・・・」

 

雫「・・・・・その御遣い様の資料を見せて下さいますか!?」

 

そして、差し出された資料をまるで取り上げるように急いで受け取る

 

静かながらも内側に熱い思いを宿し、その資料に目を通していった

 

雛里「・・・・・どう、雫ちゃん?」

 

朱里「雫ちゃんも思うでしょ、この政策は今の世の中じゃ逆効果「素晴らしいです!!!!」・・・・・え?」

 

普段の雫の声とは思えない音量に一同は呆気にとられる

 

雫「朱里、雛里!!!どうしてこの九鼎と金人の様な内容を蹴ったのですか!!!?」

 

朱里「えええええ!!?雫ちゃん!!?」

 

雛里「だって、この政策は今の世の中じゃ・・・・・」

 

雫「同じ水鏡女学院の生徒として情けないです!!!この資料に書かれた内容の本質を見抜けないなんて!!!」

 

桃香「ちょっと、雫ちゃん!?」

 

愛紗「いきなりどうしたのだ!?」

 

雫「いいですか皆さん、この資料に書かれている政策はですね!!」

 

そして、その後長いこと玉座の間で議論の嵐が吹き荒れたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも、約一か月ぶりの更新となりました

 

一刀と他の者達のギクシャク感を程よくさせる為の辻褄合わせと試行錯誤をしていた結果、短いにも拘らずかなり時間をくってしまいました、申し訳ない

 

雷々と電々の能力に関しては、二人共カミナリ様的な真名の持ち主ですので、電気の妖術使いという自己設定にしてみました、公式設定が謎な部分が多いのでこの鎮魂の修羅ではそういった設定で行こうと思います

 

さて、もう気付いている人も居るかもしれませんが、真直の口調を修正させていただきました

 

それは何故かといいますと、オンラインの恋姫英雄列伝をプレイしている最中、真直が喋るシーンがあったんですけど、他人に対してはかなり丁寧に対応していたんです

 

これまではオフィシャルサイトの新規参戦武将の情報しかなかったため、桂花の様にかなりきつい性格なのかなと勝手な想像で文章を書いていました

 

他の陣営の人間には殿付きで呼んでいますので、稟と被っているのは間違いありませんね

 

では、阿修羅伝スーパー焦らしタイム、早く終わらせなきゃ・・・・・待て!!!次回!!!

説明
徐州拠点(パート3)
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コメント
やっぱり一刀にとっての一番の理解者は雫なのかな(恋姫大好き)
え〜・・・つまり「王と神が授けたような物を何故突っぱねたのか!」って感じの意味でよろしいですか?(スターダスト)
九鼎(きゅうてい)金人(きんじん)、九鼎は古代中国における王権の象徴、金人は仏教における文字通りの金で出来た人、つまりは福の神みたいなもの(Seigou)
う〜ん・・・本質ね〜・・・根本はおそらく「戦争になる理由」自体をなくしてしまうって言う感じだとは思うけど・・・雫は一体どう解釈したんだろうか?かなり気になる! すいません少し質問なんですけど「九鼎と金人」ってどういう読みと意味ですか?調べても良く分からなかったので;(スターダスト)
……森の石松の最期はどんなものだったのか。それを知ってもなお同じ事を糜姉妹に言えるのか、一刀には一度聞いてみたいものです。このままでは、糜姉妹は森の石松と同じ死に方をする事になりそうですから。(h995)
本質、かあ。それが何であるかはおいおいわかるとして。意地やプライドに折り合いを付けて交渉に臨んだのは好ましい。話し合いってそういう事。互いに納得出来るよう、許される限り相応の時間をかけて行うべき。美花が居て本当に良かったですね。十代後半の若造と十代前(ry のはわあわ二大軍師だけだったら、平行線で終わっていたでしょう。(Jack Tlam)
一刀の政策の本質って何だろう?俺も朱里と雛里と同じように思ってたがw(nao)
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