Triangle Goddess! 第38話「全ての元凶」 |
スルトを倒した三女神は、ラグナロクを止めるために先へ進みました。
「一体、ラグナロクの元凶は誰なんでしょうか……」
三女神が空を飛んでいると、オーディン、トール、そしてエルダーらしき男性が、
巨大な狼と巨大な蛇と戦っているのを見ました。
「トールさん!」
「な、なんですかこの化け物は……!」
「近付くな! こいつはオレと父上が相手をする!」
「見習いの女神が、近づくでない!」
オーディンとトールは三女神にそう言いながらも、かなり苦戦している様子でした。
「……でも、その傷では……」
「ラグナロクでは当たり前に負う傷だ! 貴様らは先へ進むがいい!」
「……分かりました!」
オーディン、トール、エルダーが無事である事を祈りながら、三女神はこの先へ走っていきました。
「さあ、行くぞ! エルダー!」
「……ああ! この剣にかけて!」
「我が槍、グングニルに貫けぬものなど無し!」
オーディン、トール、エルダーがそれぞれの武器を掲げると、
巨大な狼と巨大な蛇に突っ込んでいきました。
―ズシャァァァァァッ!
オーディンのグングニルが巨大な狼を貫きました。
巨大な狼は雄たけびを上げながら暴れ回りました。
「効いた!」
「でりゃぁぁぁぁぁぁっ!」
トールは続けてミョルニルを巨大な狼と巨大な蛇に振り下ろしました。
「ガァァァァァァァァッ!」
しかし、巨大な狼は猛スピードでその攻撃をかわし、さらには巨大な蛇がトールを襲いました。
「速い! なんだよこいつは! ぐぅっ!」
「やはり、グレイプニルが足枷になっていても、フェンリルのスピードは桁外れだ……!」
「フェンリル!?」
オーディンとトールが戦っているこの巨大な狼――フェンリルの右前脚には、
グレイプニルという足枷がついています。
グレイプニルは、凶暴なフェンリルを抑えるために戦神テュールが作り出した鎖です。
今は足枷部分しか残っていませんが、全て無くなった場合、
フェンリルを追う事は神ですら不可能になるでしょう。
「そしてトール、ヨルムンガンドの毒液にも気を付けろ! あれを浴びれば、お前も無事では済まない!」
「チッ……分かってるってぇの!」
ヨルムンガンドもフェンリルに負けず劣らず凶暴な蛇であり、
毒液を浴びると大きく生命力が削られるのです。
そのため、短期決戦に持ち込むために、トールはミョルニルに力を溜めました。
「どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「グォオオオオオオオオ!」
ヨルムンガンドはミョルニルの一撃を浴びて大ダメージを受けましたが、
ヨルムンガンドは素早く動いてトールを締め付けました。
「ぐぅぅぅぅぅ……! 離せ、離せっ!」
「トール! ライトクロス!」
締め付けられたトールを解放するため、オーディンは光魔法でヨルムンガンドを攻撃し、
さらに目くらましさせました。
「よしっ!」
解放されたトールはミョルニルを構え直し、ヨルムンガンドに突っ込んでいきました。
「ミョルニルストライク!」
トールの、魔力をつぎ込まれた雷を纏ったミョルニルは、凄まじい破壊力を生み出します。
それにより、ヨルムンガンドは大ダメージを受け、吹き飛ばされてしまいました。
「よっしゃあ!」
「気を付けろ! まだ一体残っているぞ!」
「まだ一体……っつ!」
トールはその一体、フェンリルの噛みつき攻撃を受けてしまいます。
そこから流れる冷気により、トールの足は凍り付きました。
「動けないっ!」
「ガァァァァァァァァァ!!」
動けなくなったトールに、フェンリルは容赦なく襲い掛かります。
「うぐぁ!」
「トール!」
「サンダーボルト!」
「ガァァァァァァァァァァァァァァ!」
トールは雷を落としてフェンリルを攻撃しダメージを与えますが、
フェンリルが怯む事はありませんでした。
そこにオーディンが投げたグングニルが命中し、フェンリルの動きが止まりました。
グングニルは魔力によって投げても必ず戻ってくるため、すぐにオーディンのところに戻りました。
「ゆくぞ、トール!」
「父上!」
オーディンとトールは、同時にフェンリルに突っ込んでいきました。
「ガァァァァァァァァァァァ!!」
「がはっ……!」
「怯むな……!」
フェンリルの爪や牙がオーディンやトールを攻撃しましたが、彼らは何とか気合で乗り切りました。
その後、フェンリルは間合いを取り、とどめを刺すために構えを取りました。
「ガァァァァァァァァァ!!」
そして、フェンリルがトールに体当たりした、その時です。
「トール!」
「父……上!?」
トールを庇い、オーディンがフェンリルに噛みつかれました。
フェンリルは一瞬でオーディンの体を完全に飲み込みました。
「ち、ち、う、え……」
その瞬間、トールの中で、何かが切れる音がしました。
そして彼の目が光り、ミョルニルも眩い光を放ちました。
「うあああああああああああああああ!!」
トールは狂戦士と化し、目の前の敵とただ戦い続けるのみとなりました。
「あああああああああああああああああ!!!」
今のトールに、理性は全くありませんでした。
それほど、彼の悲しみと怒りは大きかったのでしょう。
トールは見境なく、ミョルニルを振るい続けました。
フェンリルはあまりの勢いに避ける事ができず、身体に大量の傷を負ってしまいます。
トールもまた、防御を考えずに突っ込んでいったため、同じ量の傷を負いました。
「父上の敵だ、父上の敵だ、父上の敵だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
もしもこの場に三女神がいたら、彼女達に止められていたのかもしれませんが……。
そして、三女神が神界の奥へ進んでいくと、そこにはあの青年がいました。
「よぉ、よく来たな」
「あなたは……」
「俺が集めた巨人の軍勢、どうだったか?」
「どうだったか、じゃありませんよ!」
「そのせいで、私達は苦労したんですよ。それ、分からないんですか?」
「分からないが?」
「……やはり、あなたがこの戦争の黒幕だったのですね」
ジャンヌは真剣な表情で、青年を見据えました。
それを見た青年はケラケラと笑いました。
「ああ、そうだが?」
「やはり……」
「俺の名はロキ。不和と裏切りを司る神だ」
「ロキ……」
「お前らが思ってた通り、この戦争を起こしたのは、俺さ」
「……!!」
三女神は知ってしまいました。
このラグナロクが、彼女達の目の前にいる神によって引き起こされた事を……。
「まず俺は、姿を変えて下界に行き、四使徒を言葉で導いた。
人間だから呆気なくついていった。その後にお前らが四使徒を倒した。
ミリオーネ、ナッツォ、リシアはヘルのところに行ったが、
ビカンテはアインヘリアルとして選定されたんだぜ?」
ヘルとは、冥界ニブルヘイムの女王で、ロキの子です。
彼女のところに送られた罪深き魂は、彼女に永遠の責め苦を受けるのです。
「ああ、本当に愉快だ。一人だけ英霊となり、他の三人は冥界行き。これが笑えるかよ」
「な……なんて事を……!!」
青年のあまりの自己中心的な態度に、三女神の怒りはついに頂点に達しました。
「あなたは……本当に、人の心がないのですね……!」
「当たり前じゃないか」
「その罪は、命で償っていただきます!」
「絶対に、あなた……いや、お前なんかに負けない!!」
「「「そして、このラグナロクを止めて見せる!!」」」
三女神は能力によってそれぞれの武器を生成しました。
最早、彼女達に青年に同情する気持ちなど存在しませんでした。
それを見た青年は、ふわりと宙に浮き上がりました。
「いいだろう、ならば相手してやる! 負けるのは……お前らだがな!!」
「……来ますよ!!」
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喉の調子が悪く咳が出まくってますが頑張って小説は投稿しますよー。 | ||
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