Triangle Goddess! 最終話「新たなる創造神」 |
ロキが三女神によって倒され、ラグナロクはようやく終結しました。
「……これで、戦いは終わりましたね」
「……でも……」
戦争の爪痕は消えず、美しかったアールガルドは荒廃していました。
共に戦った英霊のエルダーも、頼りになった雷神トールも、
彼の父であるオーディンも、そこにはいませんでした。
残されたのは、三女神と、戦いの後の空しさだけでした。
「何も残らなかった。トールさんも、エルダーさんも、この美しき世界も……!」
バイオレットの目から、涙が落ちました。
ラグナロクで失ったものは、あまりにも大きかったのです。
「……わたくし達の上司は、生きているのでしょうか……」
三女神は、上司である魔法の女神カイアのところに行こうとしました。
しかし荒廃しているためか、どこにいるのか分かりませんでした。
「……生命を探知してみます」
ゲールは生命を探知する能力を使い、カイアを探そうとしました。
しかし、カイアの生命の気配は感じませんでした。
「……何も感じません……」
「という事は、やはり……」
「散ってしまったようですね……」
「なら、生き残りはどこにいるのでしょうか」
カイアはラグナロクによって散ってしまったのでしょう。
探すだけ無駄だと判断した三女神は、生き残っている神を探す事にしました。
「……おかしい。ここにもいないなんて」
ですが、いくら探しても、生き残った神や人間は自分達以外に見当たりませんでした。
「なんで……なんでいないんですか……」
「こんなに探したのに……」
やはり、アールガルドは完全に滅びてしまったのでしょうか。
このまま永遠に、美しいアールガルドは失われたままになってしまうのでしょうか。
「嫌……どうして……どうしてこんな事に……」
「滅びは避けられない……。だけど……! ずっと終わっちゃうなんて……!」
「こんな終わり方……嫌だよぉ……。トールさん……みんなぁ……帰ってきてよぉ……」
何も残らない終わり方に、三女神は膝をつき、絶望しました。
三女神の表情に、活気はありませんでした。
その時です。
―ジャンヌ、ゲール、バイオレットよ……。
「え……!?」
突然、天から男性の声が聞こえてきました。
「この声、一体誰なのですか!?」
―本当にこの世界を愛している事が……今、分かったぞ……。
「誰です!?」
―名は言わぬ……。だが、お前達に最も近い者だ……。
「あたし達に……最も近い人……?」
―この世界を愛しているのならば……受け取るがいい、この種を……。
「……!!」
その声が消えると同時に、ジャンヌの手に光り輝く種が落ちてきました。
「これは……?」
「リーヴスラシルの種といいます。
世界が滅びを迎えた時、この種を使えば、新たな創造神となる事ができるのです」
新たな創造神。
それはすなわち、滅びたアールガルドを再生する事ができる存在です。
しかし、そう簡単になる事ができるのでしょうか……。
ジャンヌは自分を信じ、リーヴスラシルの種を掲げました。
すると、ゲールとバイオレットの肉体が光に変化しました。
「ゲール!? バイオレット!?」
「この種がお姉様を認めたから、光になったそうです」
「あたしの力を、お姉ちゃんに渡してあげる! ほら、行こう!」
光となったゲールとバイオレットがジャンヌと同化すると、
ジャンヌの衣装が荘厳なものとなり、また彼女の手に白い杖が現れました。
「これで、世界を再生できれば……!」
ジャンヌは祈りを捧げ、杖に自らの力を込めました。
すると、白い粒子が世界中に広がり、アールガルドを包み込んでいきました。
それは、まるで荒廃した世界に、希望を与えるような光でした。
しばらくして光が治まると、荒廃したアールガルドは元通りになっていました。
「私が……生き返っている!?」
「おおー! オレの傷が治っているぞー!」
「我々ヴァルキリーは力尽きたはずだ……しかし何故……!?」
オーディン、トール、ヴァルキリーなど、ラグナロクで散っていった神々が、次々に復活しました。
「この力……まさか、リーヴスラシルの種か……!?」
「あいつがやったのか……!?」
もちろん、三女神の上司であるカイアや、アインヘリアルのエルダーもです。
「みんなの声が……聞こえてきます……」
「人間も……神々も……みんな、ここにいるのですね……」
世界を再生する途中で、ジャンヌは神々や人間の声を聴きました。
感謝の声や、喜びの声など……。
ジャンヌ、ゲール、バイオレットは、それを全身で感じ取りました。
世界の再生が終わった後、ゲールとバイオレットはジャンヌから分離し、杖も消えました。
そして、ジャンヌ、ゲール、バイオレットは、オーディン達のところに駆け寄りました。
「……また、一緒に冒険をしましょう!」
説明 | ||
これでTriangle Goddess!は最終回です。 初となるオリジナル長編もここまで続けられてよかったなぁ、と思いました。 後、主人公を女神にしたのも、あるゲームの影響&この手の小説は人間男性主人公が圧倒的に多いためです。 では、読んでくださった方々、本当にありがとうございました! |
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