Triangle Goddess! 最終話「新たなる創造神」
[全1ページ]

 ロキが三女神によって倒され、ラグナロクはようやく終結しました。

 

「……これで、戦いは終わりましたね」

「……でも……」

 戦争の爪痕は消えず、美しかったアールガルドは荒廃していました。

 共に戦った英霊のエルダーも、頼りになった雷神トールも、

 彼の父であるオーディンも、そこにはいませんでした。

 残されたのは、三女神と、戦いの後の空しさだけでした。

「何も残らなかった。トールさんも、エルダーさんも、この美しき世界も……!」

 バイオレットの目から、涙が落ちました。

 ラグナロクで失ったものは、あまりにも大きかったのです。

 

「……わたくし達の上司は、生きているのでしょうか……」

 三女神は、上司である魔法の女神カイアのところに行こうとしました。

 しかし荒廃しているためか、どこにいるのか分かりませんでした。

「……生命を探知してみます」

 ゲールは生命を探知する能力を使い、カイアを探そうとしました。

 しかし、カイアの生命の気配は感じませんでした。

「……何も感じません……」

「という事は、やはり……」

「散ってしまったようですね……」

「なら、生き残りはどこにいるのでしょうか」

 カイアはラグナロクによって散ってしまったのでしょう。

 探すだけ無駄だと判断した三女神は、生き残っている神を探す事にしました。

 

「……おかしい。ここにもいないなんて」

 ですが、いくら探しても、生き残った神や人間は自分達以外に見当たりませんでした。

「なんで……なんでいないんですか……」

「こんなに探したのに……」

 やはり、アールガルドは完全に滅びてしまったのでしょうか。

 このまま永遠に、美しいアールガルドは失われたままになってしまうのでしょうか。

 

「嫌……どうして……どうしてこんな事に……」

「滅びは避けられない……。だけど……! ずっと終わっちゃうなんて……!」

「こんな終わり方……嫌だよぉ……。トールさん……みんなぁ……帰ってきてよぉ……」

 何も残らない終わり方に、三女神は膝をつき、絶望しました。

 三女神の表情に、活気はありませんでした。

 

 その時です。

 

―ジャンヌ、ゲール、バイオレットよ……。

「え……!?」

 突然、天から男性の声が聞こえてきました。

「この声、一体誰なのですか!?」

―本当にこの世界を愛している事が……今、分かったぞ……。

「誰です!?」

―名は言わぬ……。だが、お前達に最も近い者だ……。

「あたし達に……最も近い人……?」

―この世界を愛しているのならば……受け取るがいい、この種を……。

「……!!」

 その声が消えると同時に、ジャンヌの手に光り輝く種が落ちてきました。

「これは……?」

「リーヴスラシルの種といいます。

 世界が滅びを迎えた時、この種を使えば、新たな創造神となる事ができるのです」

 新たな創造神。

 それはすなわち、滅びたアールガルドを再生する事ができる存在です。

 しかし、そう簡単になる事ができるのでしょうか……。

 ジャンヌは自分を信じ、リーヴスラシルの種を掲げました。

 すると、ゲールとバイオレットの肉体が光に変化しました。

「ゲール!? バイオレット!?」

「この種がお姉様を認めたから、光になったそうです」

「あたしの力を、お姉ちゃんに渡してあげる! ほら、行こう!」

 光となったゲールとバイオレットがジャンヌと同化すると、

 ジャンヌの衣装が荘厳なものとなり、また彼女の手に白い杖が現れました。

「これで、世界を再生できれば……!」

 ジャンヌは祈りを捧げ、杖に自らの力を込めました。

 すると、白い粒子が世界中に広がり、アールガルドを包み込んでいきました。

 それは、まるで荒廃した世界に、希望を与えるような光でした。

 

 しばらくして光が治まると、荒廃したアールガルドは元通りになっていました。

「私が……生き返っている!?」

「おおー! オレの傷が治っているぞー!」

「我々ヴァルキリーは力尽きたはずだ……しかし何故……!?」

 オーディン、トール、ヴァルキリーなど、ラグナロクで散っていった神々が、次々に復活しました。

「この力……まさか、リーヴスラシルの種か……!?」

「あいつがやったのか……!?」

 もちろん、三女神の上司であるカイアや、アインヘリアルのエルダーもです。

 

「みんなの声が……聞こえてきます……」

「人間も……神々も……みんな、ここにいるのですね……」

 世界を再生する途中で、ジャンヌは神々や人間の声を聴きました。

 感謝の声や、喜びの声など……。

 ジャンヌ、ゲール、バイオレットは、それを全身で感じ取りました。

 

 世界の再生が終わった後、ゲールとバイオレットはジャンヌから分離し、杖も消えました。

 そして、ジャンヌ、ゲール、バイオレットは、オーディン達のところに駆け寄りました。

 

「……また、一緒に冒険をしましょう!」

説明
これでTriangle Goddess!は最終回です。
初となるオリジナル長編もここまで続けられてよかったなぁ、と思いました。
後、主人公を女神にしたのも、あるゲームの影響&この手の小説は人間男性主人公が圧倒的に多いためです。
では、読んでくださった方々、本当にありがとうございました!
総閲覧数 閲覧ユーザー 支援
385 385 0
タグ
オリキャラ オリジナル 長編 

Nobuさんの作品一覧

PC版
MY メニュー
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。

<<戻る
携帯アクセス解析
(c)2018 - tinamini.com