恋姫の下書きっぽいもの 『荊州争奪戦・その二』
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周瑜の喪が開けたある日の江陵城……

 

 

「し、思春様落ち着いて下さい〜!」

「止めるな亞莎!魯粛の馬鹿を出せ!ぶった斬ってやる!」

「えらい鈴の音がやかましいと思ったら貴方ですか、耳障りだから城内では外してくださいよぉ」

「聞いたぞ魯粛!周都督が命と引き換えに手に入れた江陵を放棄するなど正気か貴様!」

「おっかないですねぇ、そんなに血相変えて詰め寄らないで下さいよ褌女さん、私は至って正気ですよぉ。それと今は私が都督なんだから敬語使え、

 黄祖がやったみたいに冷や飯食わせるぞ」

「グッ、失礼致しました大都督殿、それでは無知で無学な四川の江賊上がりにどうか偉大なるその叡智を御示唆して頂きたいのですがよろしゅうござい

 ますか?」

「欠片も敬意がこもって無いですねぇ、まあいいですけど。亞莎ちゃん、勉強の成果を見せてあげなさい」

「は、はい、江陵は四方に繋がる交通の要地ですが、裏返せば何処からも攻められて守りにくいという難所です。そして現在は北に曹操、南に劉備、

 東を劉璋に挟まれている危うい状態であり、維持は非常に困難な状況。いずれ曹操か劉備に獲られるのは時間の問題ですから、それぐらいなら劉備に

 贈呈して曹操への壁にするべきではないかと……ど、どうでしょうか思春様?」

「(……こいつ、こんなに頭良かったか?)いや、何でもない。江陵の維持が現実的でないのは認めよう、ではその後はどうする?」

「は、はい、まず江陵の兵力を合肥に向けて曹操を引き付け劉備に益州を獲らせる、これが第一。劉備が益州を獲ったら予ての盟約に基づき荊州を

 奪還して兵力を増強、これが第二。益州を獲った劉備に曹操が引き付けられてる隙に全兵力を合肥に結集、これが最終目的です。合肥さえ取れば

 許都まで一直線、中原は目鼻の先……し、思春様何方へ!?」

「いや、もう充分だ。すまなかったな亞莎、お前はもう呉下の阿蒙ではないようだ」

 

 

「意外です、あんなにあっさり引き下がってくれるなんて」

「あの褌女は粗暴ですけど頭は良いですからねぇ、天下二分も冥琳殿より早く言い出してましたし。それはそうと亞莎ちゃん、一つだけ減点ですねぇ、

 劉備に贈呈するんじゃないです、こっそり情報を流して獲らせるんですよ」

「え、何故です?どうせ渡すのなら恩に着せた方が……」

「甘い甘い、あの筵売りが評判通りの大徳だと思うのは甘ちゃんにも程が有りますよぉ。あの女は贈呈したのを盾にしますよ、そっちが譲ったんだと。

 勝手に獲らせれば分捕る時にイチャモンつけれるでしょう?少し開けただけなのに無断で侵入しやがって、と。先の先まで考えなきゃだめですよぉ?」

「べ、勉強になります(……この人には敵わないけど、人として見習っちゃ駄目な気がする)」

「荊南侵攻の準備もちゃんとやっとくんですよぉ?劉備の主な面子は益州侵攻の増援に駆り出されて今は関羽一人、江陵に移れば当然南は手薄に

 なりますからねぇ」

「そこまで考えて!?もう貴方一人で充分なんでは……」

「おやおや、どうも私を過剰評価してるみたいだから言っときますけど、私は実戦はイマイチですからねぇ?私の取り柄は戦略政略の先読みと口八丁、

 戦場の指揮は周都督に亞莎ちゃん、最近山越狩りで名を上げてる陸遜に比べたら一枚落ちますよ。荊南奪取も合肥も亞莎ちゃんにかかってますよぉ、

 もっと自分に自信を持つ事です。貴方は間違いなく呉を背負える逸材なんですから」

「……はい!この呂子明、一層の精進を誓います!」

 

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あとがき:魯粛は戦略謀略外交は超一流だけど戦術は1.5流なイメージがどうしても拭えない。優秀な前線指揮官に困らないこの年代の呉で

     魯粛がそこまでやる必要ないから問題ないっちゃ問題ないんだけど。

 

説明
間が空いてしまってすみません。続きを投稿します。
魯粛のターン!
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