マイ「艦これ」「みほ3ん」(第参部)EX回:第16話『諜報活動』 |
「いま、誰かに見つかったらどうするんだ?」
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マイ「艦これ」「みほ3ん」(第参部)
EX回:第16話『諜報活動』
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Bar Adomiralでは、重巡の祥高さんがキッチンに入り込んで提督から、いろいろレシピを教授されていた。
美保の食堂も海が見えるしオープンデッキもあるから解放的ではある。
それでも軍隊の施設と言う感じは、どうしても拭えない。
ここブルネイも構内だけを見れば一般的な鎮守府のという雰囲気だ。
ところが、このBar Adomiralに入ると別世界が広がっているのだ。
アダルトなムード満点で、まさに大人向け。そこは提督の人柄なのだろう。
しかしBarではムードとは裏腹に他の艦娘たちが飲んだり食べたりしている。ホントお前ら、よく食うよな!
いや食べるだけでない。しっかり口も動かして会話に夢中だ。だいたい金剛と比叡は、よく喋る。
だからこそ……だ。私は店内をチラッと見回した。
ここに居ない美保の連中を私が探索するのにも好都合だ。
今、ムードから浮いているのは日向と寛代。ちょうど良い按配(あんばい)に二人はコーナーで少々暗くなっている。
私はグラスを片手に、さりげなく二人の側へ席を移動した。
ちょうど日向と寛代が並び、その横が空席になっていた。
私が近づくと日向は軽く会釈をした。私も頷くと寛代の隣へ着席した。
そして周りの様子を警戒しながら彼女にさり気なく耳打ちした。
「あの技術参謀と青葉さんたちが今どこにいるか? 一番、極秘性の高い通信かレーダーで分かるか?」
寛代は黙って頷くと窓辺のほうを向き聞き耳を立てるような仕草をする。
私たちの気配を察したのか日向は少し腰を浮かせて若干、ブルネイメンバーたちからの視界を遮った。
彼女は意図的に私と視線を逸らせているが、その口元は少し笑っていた。
(何て察しが良いんだ)
私は彼女の行動に感心した。
その傍らで寛代はブツブツと独り言のような会話を始めている。誰かとつながっているようだ。
提督は祥高さんにレシピを教えたり他の料理を作るのに夢中になっているが時折こちらをチラチラ見ている。私たちの挙動を見て若干、疑念を抱いている感じもある。しかし彼も料理に意識を集中しているから、それどころではない。
因果なものだ。
彼と私は、お互い帝国海軍の軍人。しかも私たち美保鎮守府のメンバーが別の時代から来ているとすれば、怪しい以上の立場だ。
軍人である以上、状況分析は不可欠だ。それが友軍であっても相手に聞いて得られた情報に価値はない。自らの兵隊を使って調べるのみだ。
それは相手も同じだ。彼が祥高さんを厨房に招き入れてレシピを教えながらイロイロ聞き出そうとしている。
だが祥高さんもガードは固い。簡単に必要以上の情報は漏らさないだろう。
いつの間にか私自身、軍隊の指揮官としての行動パターンが染み付いてしまったようだ。
「私が軍人で無ければ、こんなことはしなかった」
ふと呟いた。
「それは避けられません」
日向が意外な反応を示す。
「ああ……」
思わず彼女の顔を見た。戦艦クラスになると感情面でもかなり幅が広くなるようだ。
もっとも私も友軍に危害を加えるつもりは全く無い。そこは「大人」の対応だ。
お互いに、本音は言わずとも、うまく腹の探りあいをして済ませたいものだ。
やがて寛代は通信を終わった。それを見た日向は再び椅子に深く腰をかけた。
私は聞いた。
「あいつらは、今どこに居るんだ?」
「……」
寛代は無表情でボーっとしている。この艦娘は相変わらず直ぐに反応しないよなあ。
私が軽いため息をついてグラスを傾けると彼女はボソッと言った。
「……工廠」
「えぇっ、まさか」
思わず大声を出してしまった。日向も少しビクッとしている。申し訳ない。
私は慌てて提督を見たが……彼はレシピを教えるのに夢中で大丈夫そうだった。
そのカウンターの脇では、彼の目を盗むように、うちの赤城さんが炊飯釜を抱えて直接食べている。そうか彼女は最初からそれを狙っていたんだな。
いつの間に捕獲したんだよ……ったく。
まだ周りが大丈夫そうなのを見て私は寛代に聞いた。
「工廠に居るのは、ウチの誰だ?」
「技術参謀と青葉、夕立」
今度の寛代はボソボソと即答した。
「なんだ全員……ってか、参謀は何を出歩いているんだよ?」
私は呆れて頭をかいた。
ま、彼女はきっと出歩くだろうとは思っていた。でも、よりによって相手(ブルネイ)の工廠に入り込むなんて大胆すぎるよ。
友軍といえども、それはチョッと拙い。
まさか技術将校でありながら本当に諜報活動しているのか?
「……ったく、何考えているんだ? あの参謀」
思わず寛代に向かって呟いてしまった。当然、彼女は無表情のまま。
だからボヤくには都合が良かったが。
カウンターを見ると提督は、うちの夕立の「提督さん、お肉食べたい」という勝手なリクエストに応えている。申し訳ないな。
「しかし……」
私は腕を組んだ。
「参謀たち、まさかヤマシイことは、していないよな?」
また目の前の寛代にボヤいてしまった。
すると意外に彼女がボソッと応えた。
「大丈夫、してない」
「え? ……あ、そうか」
私は思わず苦笑した。
「はは、そうだよな」
わたしはグラスの残りを飲み干して座り直した。
「軍令部付きの参謀だからな。間違ったことはしないだろう」
しかし、こんな接待されている陰で私たちは一体、何やってンだろう?
良心が痛む。
技術参謀め。そもそも何を探してるのか知らないけど。さっさと退散してくれないかなあ?
「いま、誰かに見つかったらどうするんだ?」
「……」
思わず、また寛代に呟いていた。
「……」
今度の彼女は無言。
「せっかく提督と良い関係が築けているのに、すべてぶち壊しになってしまうよな」
「そうだね」
また前向きな反応をする彼女。この子の反応振りにも驚かされる。意外にシッカリしているよな。
まさかとは思うが、ふっと祥高さんに似たものを感じた。
しかし、さすがにこんな未来の海外の地で憲兵さんに捕まるのだけは勘弁して欲しい。
私は不安を紛らわせるように目の前のグラスを一気に飲み干した。
「司令」
思い出したように口を開く日向。
「どうした?」
私が顔を向けると彼女は少し周りを気にするように声のトーンを下げて言った。
「この場から寛代ちゃんに通信をさせたのは拙かったかも知れません」
「え? でも」
私は少し焦った。見ると寛代も不安そうな顔をしている。
だが彼女は私たちを見て微笑んだ。
「いえ、通信が傍受されても友軍ですから……ただ、不慣れな外地での必要以上の発信は控えるべきかと」
「でも寛代のはステルスモードで……」
意外に寛代が食い下がってきた。
日向は相変わらずニコニコしている。
「分かるわ寛代ちゃん。そのモードを持っている艦娘はあなたと祥高さんくらい……あとは、大和級の艦娘だけね」
そこで彼女は一呼吸置いた。
「まだこのブルネイには、どんな艦娘がいるのか分からないから……特殊な無線だったとしても油断できないです」
そして彼女は少し視線を落としながら、自分の腕を軽く撫でて言った。
「仰って頂ければ瑞雲という手もありましたが」
「あ……」
思わず妖精の『ハル』を思い出した。正直、あの妖精とは、あまり相性は良くないが能力は高い。
そこまで聞いて私は頭を下げた。
「そうだな、ちょっと早まった」
「いえ……」
物静かな彼女だが『もっと私を認めてくれ』と言う主張を感じた。
駆逐艦娘は割と使いやすいのだが、重巡、さらに戦艦クラスになると、いろんな意味で正直、抵抗感が出てくる。
そうは言っても私は指揮官だ。この感情を持つ個性的な艦娘たち一人ひとりの能力を、常に意識して使いこなさなければ責務怠慢だなと、つくづく反省するのだった。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中〜(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第参部」の略称です。
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提督が料理を振舞ってくれる陰で、司令は技術参謀たちが諜報活動をしていることに驚愕する。そして…… | ||
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