「何かを掴んだようですね」

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マイ「艦これ」「みほ３ん」（第参部）

　EX回:第17話(改)『お山の大将』

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「済みません司令、出過ぎました」

あまり表情を変えずに淡々と謝罪する日向。

「いや、良いよ日向」

私は空になったグラスを持ち上げながら言った。

「細かいことを気にする司令官だと怒鳴られるだろうけどな」

私が言うと日向はふっと寂しそうな顔をした。

　それを見て不思議そうな顔をした寛代。

　私は日向と寛代に説明するように語り掛けた。

「人間は指揮官の位置に来ると『お山の大将』みたいに暴走する人が多いんだよ」

「お山の大将って？」

また不思議な表情をする寛代。

私は続ける。

「自分勝手な指揮官ってことだ」

「ふーん」

寛代はソフトドリンクを飲む。彼女を見ながら私は言う。

「お前は美保鎮守府以外、あまり知らないだろう？」

「うん」

頷く寛代を見た日向も「ああ成る程」といった表情を見せる。寛代は日向より、かなり若いから経験も少ないようだ。

　私は二人の顔を交互に見て続ける。

「各地にある鎮守府ってのは司令官や提督を中心とした独裁国家みたいなものだよ。温厚な指揮官もいれば、そうでない場合もある」

『……』

寛代と日向は、いつになく真剣な表情をした。

もっとも寛代は単なる軍隊の豆知識を聞いている……といった雰囲気だが日向は違った。寡黙な彼女は、いつも以上に黙り込んで下を向いている。

私は詰襟のボタンを弛めながら言った。

「私は慣れているから気にならない。これが、いつもの日向だからな」

私は改めて日向を見た。

「特に、お前みたいにストレートにモノを言ってくれる艦娘はな、私みたいな鈍い司令官には、とても助かるんだよ」

「へえ」

そんな寛代の砕けた反応にも、だいぶ慣れてきた。

日向は相変わらず下を向いている。

寛代が心配する。

「どうしたの？」

「……いや、何でもない」

ちょっと固い笑顔を返す彼女。……よほど嫌な思い出があるんだな。

ちょっと暗いムードを変えたくなった私は日向の方を見て言った。

「慣れているって言ってもな、私も日向に言われた直後は落ち込むんだぞ」

「へえ、そうなんだ」

いきなり寛代がストレートに反応した。

私は苦笑する。

「ああ」

「司令！」

急に日向が恥ずかしそうに赤くなって口を尖らせた。あれ？　……珍しい。普段の彼女は滅多に見せない表情だな。

私は笑った。

「悪い」

日向も少し微笑んだ。いつものお前に戻ったか。今度は寛代が私たちの顔を交互に見ていた。

　私が下っ端の頃から日向とは同じ鎮守府の近い部隊に属することが多くて何かと縁があった。

　私が作戦参謀になってからも彼女には直言を受けることが多く結果的に何度も助けられたことがある……彼女の、こういう性格が私と相性が良いのだろうか。

　私は何気なくカウンターでメモをしている祥高さんを見た。日向を、もうちょっとソフトな性格にしたら祥高さんになるのかな？

「あら、竜田揚げ？　それなら私が作ったのにぃ」

美保の龍田さんがクネクネしながら言った。彼女はもう酔っているのか？　マイペースな彼女は酒断ちとは無縁だな。まぁ良い。

「残念ながら竜田揚げではないよ。途中までは工程は一緒だけどな」

提督はフライパンを２つ用意して忙しそうだ。

日向は言う。

「そう言えば技術参謀たちが居ませんね」

「技術参謀か」

私はアゴに手をやって呟いた。

「寛代ちゃんが連絡してましたけど本当に大丈夫でしょうか？」

「そうだな」

上官である彼女の行動に関しては私も何も言える立場ではない。だが正直、参謀には危険な行動は謹んで欲しいよな。

そう思うと急にドキドキして冷や汗が出てきた。

　ちょっとシリアスな雰囲気になった私たちと対照的に周りの艦娘たちは笑顔で楽しそうだ。その歓声が、なおさら私の緊張感を高める。

すると寛代が私の横腹をつついてきた。

「参謀が安心しろ、うまくやる……そう伝えろって」

「え？」　……っと思った。

日向も苦笑している。

ふと寛代の、その物言いに技術参謀本人が、そこに居る心地がした。通信に特化した寛代だから、そう感じたのか？　前から不思議な子だと思っては居たが今日はなおさらだな。

「参謀は青葉さんの通信を使ったのかな？」

「いや」

「うまくやるって、何のことだよ」

「……」

寛代は無言。やれやれ良く分からんな。急に無線封鎖したのか？

日向はボソッと言った。

「何かを掴んだようですね」

「そうだな」

きっと美味しい餌（情報）を見つけたんだ。何となくそんな直感じがした。あの技術オタクめ。

……しかし今居る場所が工廠でオタク仲間の夕張さんも同行している。こりゃ厄介な予感だ。彼女は演習の修理の為にと思って連れてきたんだけど結果的に良かったのか悪かったのか。

そうこうしている間にも料理は進む。

「はい、お待ち！『チキン南蛮』だ。タルタルソースは好きな方をかけて味わってくれ」

汗をかきながら提督が大きな声で呼ぶ。リクエストしていた夕立がハフハフ言いながら噛み付く。犬か？　……ちょっとは遠慮しろよ。

でも艦娘たちは美味しそうに料理を味わっている。それを見る提督も嬉しそうだ。

　一方の私は不安で食事が喉を通らない。

　やがて提督は厨房を片付け始めた。そろそろお開きか。窓の外の屋台村も大分片付いたようだな。

彼は言う。

「さて今日は、そろそろ店仕舞いとするか。新米君達も部屋を用意したからそっちで、ゆっくりと休んでくれ。風呂は自由に使ってもらって構わんからな」

私も立ち上がると不安を隠すように深々と頭を下げて礼を言った。

「何から何まで、有難う御座います」

私の態度に提督は、ちょっと感心したような表情を見せた。

「いやいや困った時はお互い様ってね。しかも同業だ、また何かあったら何時でも尋ねて来てくれ」

「はい」

私が外に出ると五月雨が待っていた。

「ご案内いたします」

美保鎮守府の艦娘たちも口々に挨拶をして店から出てきた。

「ご馳走さまでした」

「おやすみなさい」

その向こうで提督がまた感心している。私もホッとした。

「あれ？」

一緒に食事をしていたブルネイの青葉さんが廊下で伸びている。酔いつぶれたのかな？

その傍でブルネイの川内が「大丈夫だ」といった感じで盛んに手のひらを左右に激しく振っている。なるほど訳アリっぽい。そのままスルーしておこう。

ご注意！この後１７話以降は、徐々に第一部、第二部を含めたシリーズ全体に関係する核心部分、すなわち「ネタバレ」的な内容が出て参ります。前シリーズをまだ、お読みになっていない読者諸兄は、いったん読み進めるのは中断し、第一部だけでも目を通される事をお勧めします。判断は皆様に、お任せします。

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中〜(^_^;)

http://www13.plala.or.jp/shosen/

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PS:「みほ３ん」とは

「美保鎮守府：第参部」の略称です。