初心者のための小説講座(小説の書き方)
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■文章を書く時の基本■

 

 

■行頭を1文字空ける

文章の段落の行頭は、1文字空けます。

ただし、「」()などが行頭にくる場合は、1文字空けずに書き始めます。

 

 

■句読点について

句読点とは、「句点(。)」と「読点(、)」の事です。

文章を読みやすくしたり、あえて間を取って次に来る文字を強調するために使用します。

 

 

●句読点が全くないと読みづらくなる

前の文字と後ろの文字が繋がって見えてしまうため、長文をひと呼吸でしゃべっているように感じてしまったり、言葉の意味が違ってしまったりします。

 

文章を読み返して違和感があったら、音読してみると良いでしょう。

 

句読点がない場合

「随分前だけど僕もその話をきいた事がある本当かどうかわからないけど」

 

句読点がある場合

「随分前だけど、僕もその話をきいた事がある。本当かどうかわからないけど」

 

 

●間を持たせる事で、文章の中の特定の部分を強調できる

サラっと言ってしまうよりも、「間」がある方が言葉の印象が強くなります。

 

 

句読点(間)がない場合

もし僕が勝ったらみんなにした事を謝ってもらうぞ。

 

 

句読点(間)がある場合

もし僕が勝ったら、みんなにした事を謝ってもらうぞ。

 

 

■記号の表記について

 

●かっこについて

キャラクターのセリフは「」で囲みます。

キャラクターの心の声は()で囲みます。説明にも使う事があります。

 

 

強調したい言葉は『』で囲みます。

セリフの中に出てくる他の人のセリフも、『』で囲みます。

「お父さんが『明日は7時に起こしてくれ』って言ってたよ」など。

 

 

「」や()などの、かっこの中の文字の文末には「。」を付けずに閉じかっこをします 。

「明日、遊びに行きます」

(もっと早く来ていれば)

 

 

●「?」と「!」について

「?」「!」や記号の後は、1文字開けます。

2つ並べる時は、半角にして横並びにします。「!!」「!?」

 

 

●三点リーダーについて

三点リーダーとは「…」の事です。

「待って……」などの弱々しさや、沈黙などを表現するのに使われます。

三点リーダーは、必ず偶数(2、4、6…)で使うルールになっています。

沈黙の場合は、「…………」のように、主に4つ並べて使われます。

 

 

●ダッシュについて

ダッシュとは「―」の事です。

「僕は空を見上げた――流れ星だ」など、間を表現するのに使われます。

ダッシュは、必ず偶数(2、4、6…)で使うルールになっています。

 

 

●二重引用符について

二重引用符とは「“」の事です。

「“ファイアーボール”」など、強調するために使われます。

 

 

■指示語について

指示語とは、「それ・これ・あれ」などの前に出た物事を指す言葉です。

指示語は正しく使わないと、何の事を言っているのかわからなくなる可能性があるため、注意が必要です。

 

書いた後は、指示語が間違っていないか、「それ」の部分に指し示している名詞を当てはめて確認してみましょう。

「それを取ってくれないか」→「ライターを取ってくれないか」

 

 

 

●単数か複数か

単数の場合は「これ」になりますが、複数の場合は「これら」になります。

1つしかないのに、「これら」と書いてしまうと、複数あるのかと読者を混乱させてしまいます。

 

 

●距離感

指し示す言葉は、距離により変化します。

 

これ・それ・あれ

(近い → 遠い)

 

手が届かないほど遠くにあるのに、「これ取って」と書いてしまうと、近くにあるのか遠くにあるのかわからなくなり、読者を混乱させてしまいます。

 

 

 

■体言止め

体言止めとは、体言(名詞・代名詞)で文末を終える事です。

リズムが良くなったり、余韻が感じられるようになる効果があります。

 

 

●普通の文章

「物陰から男が見ている」

「この世のものとは思えない光景だった……。」

 

 

●体言止めの文章

「物陰から見ている男」

「この世のものとは思えない光景……」

 

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文章を読みやすくする方法

 

■禁則(禁則処理)について

禁則とは、特定の記号を前に送ったり、後ろに送って読みやすくするためのルールの事です。

 

 

●行頭に置いてはいけない記号

文字数の関係で行頭にきてしまった場合は、1つ前の行末に書きましょう。(ぶら下がり)

 

閉じかっこ )」

句点 。

読点 、

感嘆符 !

疑問符 ?

 

 

●行末に置いてはいけない記号

文字数の関係で行末にきてしまった場合は、次の行頭に書きましょう。(追い出し)

 

かっこの始まり (「

 

 

 

■一文の長さ

一文の長さをあまりに長くしてしまうと、読みにくくなってしまいます。

 

日本語は、結論が文章の最後に来るため、結論が出るまでは何を伝えようとしているのかが確定しないためです。

 

 

音読してみて違和感を感じたら、短くまとめられないか、2つに分割できないかを考えてみると良いでしょう。

 

「今日、学校で体育があったんだけど、体操服を忘れてしまったから、隣のクラスの○○の所に借りに行ったんだけど、○○も持ってきてなかったから、別のクラスの○○の所まで借りにいったよ」

 

「今日、体育があったんだけど、体操服を忘れてしまったから○○に借りたよ」

「隣のクラスの○○が持ってたらよかったけど、○○も持ってなかった」

 

 

■段落の分け方

 

段落を分けずに書いてしまうと、本(画面)が文字で埋め尽くされてしまい、非常に読みにくくなってしまいます。

 

また、「。」が来るごとに段落を分けてしまうと、スカスカになってしまいます。

 

段落分けにもルールがあり、それを守る事で読みやすくなります。

 

 

○場面・時間が変わったら段落を分ける。

 

○人物や視点が変更したら段落を分ける。

続けて書いてしまうと、誰の視点で見ているのか混乱してしまうため。

 

○強調するために段落を分ける。

前と後ろを開けて、注目するように使う事もあります。

 

○スピード感を出すために段落を分ける。

短い文ごとに段落を分けて、次々に文章を目で追わせる事でスピード感を感じさせる事ができます。

 

 

■二重表現に気をつける

二重表現とは、「頭痛が痛い」のように「頭痛」自体に「頭が痛い」という意味があるのに、さらに重ねて「痛い」と書いてしまう事を言います。

 

他にも、「一番最初」「最後の結末」など、意外と使ってしまいそうな言葉があります。

 

 

■同じ音を何度も繰り返さないように気をつける

「となりのトトロ」は「の」が1回なので違和感はありませんが、

「となり町の学校の校庭の木の上の鳥の巣」と、「の」がたくさん入ると読者に違和感を与えてしまいます。

 

同じ音が何度も入ってしまわないように、自然に感じる文章を考えてみましょう。

 

 

■文末が何度も同じにならないように気をつける

「〜した」や「〜だった」など、同じ文末が繰り返されると、読者に違和感を与えてしまいます。

 

今日は何もする事がなかった。

突然電話が鳴った。

友達の○○だった。

 

などのように同じ文末が続いてしまうと、小学生が書いた日記のようになってしまいます

 

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文章を書く時に気をつける事

 

 

■「てにをは」に気をつける

「てにをは」とは、単語の後について動詞や形容詞との関係性を表す「は・が・も・を・に」などの事です。

 

「てにをは」が正しく使えていないと、意味が変わってしまったり、読者に違和感を与えてしまいますので、たった1文字ですが気をつけて使いましょう。

 

「私はがんばって手伝った」

 

「私ががんばって手伝った」

 

「私もがんばって手伝った」

 

「私をがんばって手伝った」

 

 

■ら抜き言葉

ら抜き言葉とは、「食べられない」を「食べれない」のように「ら」を抜いて書く事です。

 

しゃべっていると省略する事もありますが、文章では「ら」を省略してしまうと「文法としておかしい」という事になってしまいます。

 

ただ、「言葉の変化」として、「ら」がない方が自然に感じる事もあり難しい所です。

 

プロのラノベ作家でも、知ってか知らずかわかりませんが、ら抜き言葉になっている事があります。

 

 

■オノマトペ(擬音語・擬態語)について

オノマトペとは「擬声語」の事で、「音を表現した擬音語」と、「状態を表現した擬態語」があります。

 

一般的な小説では、オノマトペを使う事はありませんが、ライトノベルの場合は、読みやすさを優先しているため、直感的にわかりやすいオノマトペを使用する事もあります。

 

ただし、あまり使いすぎると文章が稚拙になってしまうため、バランスを考えて使いましょう。

 

●擬音語

ワンワン、トントン、ゴーン

 

●擬態語

スリスリ、ポヨンポヨン、グリグリ

 

 

■顔文字や、インターネットで使用されている表現について

顔文字(^▽^)や、(笑)、笑いの「w」などの表現は、インターネット上やメール上では違和感を感じませんが、小説内に出てきた場合、読者に違和感を感じさせてしまうため、ストーリーでメールの文章を書くなどの必要な場合を除き、できるだけ使わない方が良いでしょう。

 

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「視点(一人称・二人称・三人称)」と「地の文」について

 

■一人称について

一人称とは、主人公やメインになっている人の視点で物語が進みます。

 

読者は主人公とシンクロするように物語を体験する事ができます。

臨場感があり、世界観に入り込みやすくなります。

 

「僕は〜した」のような文章が使われます。

大きな特徴としては、主人公が気を失ったりした場合、意識のない間のできごとは読者も知る事ができなくなります。

 

ただし、別の人物の視点を使うと、主人公の意識がない間も物語を見る事はできます。

 

別の人物の視点に変える時は、急に視点を変えてしまうと誰の心情なのか、読者が混乱してしまう可能性があるため、章や段落を変えて明確な区切りを作る必要があります。

 

初心者の場合は、三人称よりも書きやすいため、一人称で書く事をオススメします。

 

 

■三人称について

主役やそこにいる誰かでもなく、客観の視点で物語が進みます。

 

読者は、登場人物の誰になるでもなく、テレビを見ているような距離感で物語を見守ります。

 

主人公などの人物に視点を縛られないため、主人公の意識がない時や、主人公のいない遠い場所の出来事でも、読者に物語を見せる事ができます。

 

「(人の名前)は〜をした」のような文章が使われます。

 

現在の状況や人物の動き・考えなど、物語の全体を常に把握しておく必要があるため、一人称に比べて難しくなります。

 

 

■二人称について

小説は大抵、一人称か三人称で書かれている事が多いため、二人称はあまり見かけませんが、二人称もあります。

 

二人称は、主人公が読者に語りかけるような変わった視点で物語が進みます。

 

「君(読者)にも伝えておこう。私の冒険の全てを……」のような文章が使われます。

 

 

■一人称と三人称の複合について

通常は三人称で進みますが、人物の心情を伝えたいシーンでは一人称になります。

 

扱いが難しいため、小説を書く事に十分に慣れてから挑戦してみましょう。

 

 

■「地の文」について

地の文とは、会話文以外の文章の事です。

地の文は会話文以上に、小説全体の雰囲気に大きく影響を与えます。

 

「一人称」で少年視点の場合は、「少年の心の声」になるため、「僕は〜です」や「僕は〜だ」など少年の口調になります。

 

「三人称」の場合は、第三者が見ている視点のため、「○○は〜です」「○○は〜だ」「○○は〜である」など、第三者の口調になります。

 

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「語感」について

 

「語感」とは、その文字から受ける印象の事です。

 

小説では、文字から受ける印象をうまく使って、より多くの情報を読者に伝える事ができます。

 

文字を読む時や書く時に、語感を意識してみましょう。

 

 

 

■漢字の開き閉じ

「漢字の開き閉じ」とは、「漢字」にするか「ひらがな」にするかという事です。

 

漢字で書ける言葉を、ひらがなで書く事を「開く」と言い、漢字で書く事を「閉じる」と言います。

 

漢字にできる文字を全て漢字にしてしまうと、漢字だらけになり読みづらくなってしまいます。

 

また、漢字の多い文章は印象が硬くなってしまいます。

 

 

作品の雰囲気やシーン、セリフならしゃべっている人物の印象も考えて、漢字にする割合やどれを漢字にするかを考えましょう。

 

「ボクは恐る恐る中を覗いた」→「ボクはおそるおそる中をのぞいた」

ひらがなで書いた方が柔らかい印象になります。

 

「助けてくれて有難う」→「助けてくれてありがとう」

日常的にひらがなでよく見ている文字は、ひらがなのままの方が読みやすくなります。

 

 

■「音による語感」について

音によって、丸い印象を与えたり、鋭い印象を与えます。

 

●丸い印象を与えやすい音

母音が「あ・う・お」の音。

伸ばし棒ーのある音。

 

●鋭い印象を与えやすい音

母音が「い・え」の音。

小さい「っ」の入る音。

 

 

■「表記による語感」について

表記によって、柔らかい印象を与えたり、硬い印象を与えます。

 

ひらがなは柔らかく、カタカナや漢字は硬い印象を与えます。

 

ひらがな 「ありがとう」 (柔らかい印象)

 

カタカナ 「アリガトウ」 (硬く、カタコトな印象)

 

漢字 「有難う」 (硬く、かしこまった印象)

 

 

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「テーマ」について

 

 

テーマとは、「作品を通して読者に伝えたいもの」の事です。

 

テーマがしっかりと決まっていないと、ストーリーが散漫になり、「この主人公たちは、一体何がしたいんだ?」という状態になってしまいます。

 

テーマは、「命の大切さ」や「人生」などの重くて難しいものでなくても構いません。

 

「弱かった少年が成長し、最後は強くなる」や「のんびりした日常」でも良いのです。

 

テーマを決め、それを常に意識してストーリーを書く事により、「必要なエピソード」と「ない方が良いエピソード」がわかりやすくなります。

 

 

テーマが「のんびりした日常」の場合、「家が火事になる」や「友達が重病になる」などの「のんびりした日常」からは程遠いエピソードを入れてしまうと、読者からは「なんだこの話」と感じてしまいます。

 

「のんびりした日常」を表現したいのであれば、「家が火事になる」などの重いエピソードを省いて、代わりに「好きなお菓子の話についてのんびりしゃべる」などの日常的なのんびりしたエピソードを入れると良いでしょう。

 

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「プロット」について

 

■プロットについて

 

プロットとは、小説を書き始める前に、物語の出来事を大まかに決めておく設計図の事です。

 

書き方は、自分がわかりやすい書き方なら、どういう書き方でも構いません。

「箇条書き」や「四角の中に出来事を書いて、矢印で繋いでいく」という方法もあります。

 

また、大まかに書いたプロットから、さらに細かい出来事を書き込んだものは、「メタプロット」といいます。

 

 

■プロットを書くメリット

書き始める前に、始まりから終わりまで一通り計画を練る事ができる。

 

全体がイメージしやすいので、書きやすくなる。

 

伏線がたくさんある複雑なストーリーも、プロットを書けばわかりやすくなる。

 

ページ数の配分がしやすくなる。

 

書き始めた後、プロットを見ながらやると、方向性を見失ったり、脱線したりしなくなる。

 

必要な要素、必要ではない要素がわかりやすくなり、整理しやすくなる。

 

 

■プロットを書かないデメリット

プロットを書かない場合、頭から書き始めて盛り上がってきた頃に、これからどう書き進めていいのかわからなくなる事がある。

 

途中でつじつまが合わない事に気付いたり、すでに書き終わった部分を修正したくなった場合、かなりの時間のロスをしてしまう。

 

複雑な伏線がある物語の場合、プロットを書いておかないと回収し忘れたり、混乱してしまう。

 

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「帰納法」と「演繹法」について

 

■帰納法について

帰納法とは、ストーリーを作る際に、先に「結末」を決めて、その結末に向かうように逆に考えていく方法です。

 

これから物語の向かう未来がわかっているため、そこにいたる道を考える事で物語が作られていきます。

 

帰納法で書くと、すでに結末が決定していてブレる事がないため、整合性のあるストーリーを書く事ができます。

 

 

■演繹法について

演繹法とは、ストーリーを作る際に、物語の始まりから順に考えていく方法です。

 

結末が決まっていないため、書いている途中に思いついたアイデアを盛り込んで書いていく事ができます。

 

書き始める前にイメージしていたものと大きく変わってしまう事もありますが、予想を超えたストーリーになる事があります。

 

しかし、「風呂敷を広げすぎてたためない」という状態にならないように、気をつける必要があります。

 

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「起承転結」と「序破急」について

 

「起承転結」と「序破急」は、このスタイルに必ずなっていないといけないというものではありませんが、物語をどう作って良いのかわからない初心者の人は、このスタイルで書いてみると良いでしょう。

 

昔から使われている「物語の基本スタイル」ですので、多くの物語で見る事ができます。

 

 

■「起承転結」について

起承転結とは、古代中国の詩の構成方法が起源になっている、ストーリーの基本スタイルです。

 

 

●「起」

物語の導入部分です。

物語の世界観、登場人物、現在の状況を読者に伝えます。

 

 

●「承」

物語を発展させていく部分です。

「起」で伝えた内容をふくらませて、物語の魅力を伝えます。

 

 

●「転」

物語に大きな変化が訪れる部分です。

平和だった日常が壊れたり、絶体絶命のピンチに陥ったりと、「物語の問題点」が発生します。

 

大きなピンチは物語を大いに盛り上げます。

 

 

●「結」

物語を締めくくる部分です。

「転」で起こった問題を解決して、物語を終わらせる大事な部分になります。

 

ここがうまくできていないと、全てが台無しになってしまいます。

 

 

さらに、「起承転結」の「起」の中、「承」の中にも、小さな起承転結があります。

 

「起(起承転結)」

「承(起承転結)」

「転(起承転結)」

「結(起承転結)」

となって物語は作られています。

 

 

■序破急について

序破急とは、舞楽や雅楽などの構成方法が起源になっている、ストーリーの基本スタイルです。

 

 

●「序」

物語の導入部分です。

物語の世界観、登場人物、現在の状況を読者に伝えつつも、読者をおもしろさで物語の世界に引き込みます。

「掴み」に当たるため、とても大切です。

 

序で興味を持ってもらえない場合、それ以上読み進めてもらえない可能性があります。

 

 

●「破」

物語に大きな変化が訪れる部分です。

物語が広がっていき、事件や問題が起こり、大いに盛り上げていきます。

 

「序」で読者の興味を引いた後は、「破」で自分が表現したい物語を伝えます。

 

物語の情報量が一番多くなる部分でもあります。

 

 

●「急」

物語を締めくくる部分です。

「破」で起こった事を収束させ、物語をしっかりと終わらせます。

 

「物語を読んでよかった」と読者に思わせられるようにする事が大切です。

 

ここがうまくいっていないと、「読んで損した」と思われる事になり、全てが台無しになってしまいます。

 

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「5W1H」について

 

■「5つのW」と「1つのH」

「5W1H」とは、文章がちゃんと相手に伝わるために必要な「5つのW」と「1つのH」の事です。

 

 

●5H

「Who (誰が)」

「What (何を)」

「When (いつ)」

「Where (どこで)」

「Why (どうして・どのような目的で)」

 

 

●1H

「How (どのように)」

 

文書内に、「誰が、何を、いつ、どこで、どんな目的で、どのようにしたのか」がちゃんと入っている事で、読者に伝えたい事が正確に伝わるようになります。

 

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「メインになる登場人物の数」について

 

メインになる登場人物の数は、あまり多くならないように気をつけましょう。

 

漫画の場合は、常に視覚的に外見を見る事ができるため、ある程度人物が多くても覚えておく事ができますが、

 

小説の場合は、登場する度に外見的特長を書くわけにはいかないため、物語を通して人物の特徴を知って覚えてもらう必要があります。

 

 

一度に登場する人物が3人だと、まだなんとか違いを覚える事ができますが、一度に5人も10人も出てきてしまうと、読者は人物の特徴がごちゃ混ぜになってしまって覚える事ができません。

 

特徴を覚えきれずに誰が誰だかわからなくなってしまうと、もう一度読み返さないといけなくなったり、めんどくさいと感じてしまったりします。

 

人物を多く出したい場合は、読者がちゃんと把握したのを見計らって、新キャラとして少しずつ登場させると良いでしょう。

 

ただし、人物を多く出すほど、一人に使えるページ数が減る事になるため、一人を深く掘り下げる事ができなくなる事は頭に入れておきましょう。

 

人物の上手な増やし方は、ハーレム系のライトノベルが参考になります。

 

主人公にとって側にいて当たり前になっている幼馴染の女の子が最初に登場します。

次に主人公の憧れているクラスの女の子が登場し、しばらく主人公と女の子二人で物語が進みます。

読者が、登場人物の3人に慣れて来た頃に、二人より目を引く特徴を持っていたり、トラブルを起こすような3人目が登場したりします。

 

最初から大勢登場するタイプの小説もありますが、書き慣れるまでは少人数で書いてみると良いでしょう。

 

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「キャラクターの役割」について

 

■「キャラクターの役割」とは

「キャラクターの役割」とは、物語上でそのキャラクターが必要となる理由の事です。

 

極論を言うと、役割のないキャラクターは作る必要はありません。

 

物語を盛り上げるため、しっかりと役割を考えて必要なキャラクターを作りましょう。

 

 

●主人公

主人公については、『「感情移入」と「憧れ」と「欠点」について』をご参照ください。

 

 

●恋人

三角関係だと二人、ハーレムモノだと複数人になる事もあります。

 

 

●仲間

主人公とよく一緒にいる人物です。主人公を助けるために行動します。

 

 

●脇役

主人公の家族やクラスメイトもこれに当たります

 

 

●ライバル

主人公が越えないといけない相手です。

 

バトルモノだと倒すべき相手だったり、恋愛モノだと恋敵だったりします。

 

主人公にないものを持っていたりするため、強くもあり、魅力的でもあります。

 

ただの敵ではなく、勝った後は仲良くなったり仲間になったりします。

 

 

●ザコ敵

主人公が力を示すためのザコとして登場します。

倒しても仲間にならない敵です。

 

知能のないモンスターや、力はあるが頭が悪いなど、主人公の敵でない事がほとんどです。

 

主人公がその敵を簡単に倒したり、余裕で一騎当千する事で、主人公の持っている力を読者に示すために役に立ちます。

 

 

●ボス

仲間と協力して乗り越える必要のある、力を持った敵です。

 

簡単にはクリアできず、主人公たちはピンチになります。

 

「トラブル」という形で、主人公の行く手を邪魔するイベントもここに入ります。

 

 

●ラスボス

最後のボスです。

これをクリアすれば、物語はエンディングを迎えます。

 

今までの集大成ですので、主人公たちに全力で挑ませましょう。

 

ラスボスが弱いと、主人公たちが全力を出す必要がなくなってしまうため、盛り上がりに欠けてしまいます。

 

主人公たちの力や魅力が最大限発揮できるように、ラスボスはよく考えて設定しましょう。

 

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「感情移入」と「憧れ」と「欠点」について

 

■「感情移入」について

小説は、一人称の場合は特に、主人公目線で物語を読み進めるため、主人公に感情移入できるかどうかが重要なポイントになります。

 

主人公に感情移入できない物語は、主人公が感じている事や言っている事が理解できず、「この主人公は何を言ってるんだ」という気持ちになり、酷い時には不快感すら覚える事があります。

 

主人公を考える場合は、感情移入ができるかどうかをしっかり考えて作りましょう。

 

 

■感情移入に必要な事

 

●自分に近い。

年齢や性別、生活環境など。

 

読者が中学生だった場合、一児の父が主人公で子育てに困っていたら、共感する部分がないため、感情移入する事ができません。

 

 

●自分と考え・気持ちが似ている。

かわいいヒロインのしぐさやセリフに、主人公がかわいいと感じた時、読者もかわいいと感じていると感情移入します。

 

 

●親しみを感じる。

超エリート学校に通い、友達との友情よりも勉強時間を取り、企業する事が目的という主人公の場合、実際にクラスにいたら仲良くなれるかどうか考えてみても、「僕は忙しいんだ。話しかけないでくれ」と言われそうで、親しみを感じるどころか取り付く島もない気がします。

 

逆に、普通の学校に通い、成績も平均的で、クラスでも特に目立たず、休み時間には男3人でラノベや漫画の話をしている主人公の方が、親しみを感じる人は多いと思います。

 

 

■憧れ・魅力

感情移入がしやすいだけの主人公は、平凡でどこにでもいそうなキャラになってしまい、憧れや魅力を感じにくくなってしまいます。

 

憧れとは、「自分が持ってないものを持っている存在に、自分もなりたいと思う気持ち」です。

 

主人公に感情移入した読者は、憧れている主人公になってうらやましく思うような状況を、主人公を通して体験します。

 

物語を読むと、「憧れている存在に自分もなれる」という事で、物語を楽しんで読み進めてくれるようになります。

 

 

■憧れやすいもの

たくさんの女の子と一緒に学園生活を過ごしていて、みんなから好意的な目で見られている。

 

誰よりも強く、悪い敵をかっこよく退治できる。

 

自分しかない特殊能力を持っている。

 

大豪邸に住むお金持ち。

 

 

■「欠点」について

「憧れる人物」は自分にないものを持っている存在で、「感情移入する人物」は自分に近い存在となり、真逆になってしまいます。

 

「たくさんの女の子と一緒に学園生活を過ごしていて、みんなから好意的な目で見られている」をそのまま使ってしまうと、いつも女の子にモテモテという存在になってしまい、自分がモテモテでない場合、共感しずらく感情移入する事ができません。

 

そこで、この人物にマイナスになる要素「欠点」を加えます。

 

「人と話すのが苦手で、休み時間はいつも一人でいる」という欠点を加えると、人と話すのが苦手な人や一人でいる事が多い人は、共感して感情移入しやすくなります。

 

つまり、「人と話すのが苦手で、休み時間はいつも一人でいる」主人公が、何かをきっかけにして「たくさんの女の子と一緒に学園生活を過ごしていて、みんなから好意的な目で見られている」ようにする事で、感情移入させた状態で女の子にモテモテの学園生活を疑似体験してもらえるようになります。

 

相反する「憧れ」と「感情移入」は、「欠点」を入れる事で繋がるようになります。

 

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「メインキャラはその他大勢と同じ行動をしない」性格にする

 

メインキャラは、その他大勢と同じ行動をしない性格にする必要があります。

 

メインキャラが他の人と同じ行動を起こしてしまうと、目立つ事がなく、ドラマも起こりません。

 

家が火事になっている。

中には子供がいると、泣きながら叫んでいる母親がいる。

大勢の人は救急車に連絡した後、ハラハラしながら様子を見ている。

 

 

「主人公は、水を被って家の中に飛び込む」

 

この時、主人公も大勢の人と一緒にハラハラしながら様子を見てしまっては、ドラマになりません。

 

 

また、主人公の性格は、「火事になっている家の中でも飛び込む」ような主人公に設定しておく必要があります。

 

もし主人公が物静かな性格で、面倒事やトラブルは見て見ぬフリをするような少年だった場合、「家の中に飛び込む」行為は不自然になってしまいます。

 

この主人公でも不自然に見えない方法は、過去に自分も同じ状況で助けられた経験があったり、自分を変えたいとずっと悩み続けてきたというエピソードが、火事の前に語られていれば不自然にならずに行動させる事ができます。

 

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「人物に特徴を作る」「似た人物はいらない」

 

小説は、文章で人物を把握するため、似た特徴を持つ人物が複数登場してしまうと、読者は誰の事を言っているのかわからなくなり混乱してしまいます。

読者にちゃんと覚えてもらえるように、登場させる人物はしっかりと特徴をつけて存在感を出させるようにしましょう。

 

 

■外見的特長が似ている人物はいらない。

外見的特長とは、肌の色や髪の長さと色、背の高さ、体付きなどの事です。

(声色もここに含めても良いかもしれません)

 

外見的特長も、似てしまわないように注意する必要があります。

 

例えば、登場する女の子が3人とも「髪が金髪ロング」だったとします。

 

物語の中で、「金色の長い髪が風になびいた」などの表現をした場合、3人の内の誰を見て表現したのか、読者にはわからなくなってしまします。

 

どうしても、3人とも同じ「金髪ロング」にする必要がある場合は、「似た部分を使った表現は使えない」という事を頭においておきましょう。

 

 

■内面的特長(性格・考え)が似ている人物はいらない。

現実の世界でも、双子のように同じ性格で考え方をする他人というのは、まず出会う事はありません。

 

同じお菓子が好き、同じ趣味、同じ人が好きというのはあるかもしれませんが、全てが同じという事はまずないでしょう。

 

小説の登場人物も、「全く同じ」や「似ている」人物にならないように気を付けましょう。

 

「全く同じ人物」というのは狙ってでもない限りやらないと思いますが、作者一人で複数の人物の考えを書く必要があるため、小説を書きなれていない場合、「似た考えをする人物」を作ってしまう事があります。

 

小説の場合は、常に外見が見えない分、性格や考え方など内面的特徴がその人物を見分ける重要なポイントになります。

 

ですので、似た性格・考え方をする人物が複数いた場合、「どちらか1人いれば十分」となってしまいます。

 

 

例えば、4人の人物がいて、目の前にある時限爆弾の赤いコードか青いコードを切ろうとしているシーンを想像してみてください。

 

AもBもCもDも頭が良く沈着冷静で取り乱す事なく、爆弾を分析をした後、「赤いコードを切ろう」と一致してしまうと、「そうしよう」とすんなり話が進んでしまい、何もドラマが生まれなくなってしまいます。

 

しかし4人の性格がバラバラだった場合は、

A「2択か・・・・・・。 よし、赤を切ろう。今日のラッキーカラーは赤だったんだ」

B「バカ! 適当な事いってんじゃねぇよ! 命かかってんだぞ!」

C「二人とも静かにしてください。言い争ってる場合ではありませんよ」

D「マジマジやばいよぉ〜。あと1分しかないって! もうダメだ〜!」

と、それぞれの性格と考え方の違いから、どちらを切るのか揉めつつ決断をするというドラマが生まれます。

 

また、そのシーンまでに小説を読んみ進めてきた読者は、Aの性格を理解しているため、かっこの前にAなどの名前がなくても、Aならそう言うだろうなと他の人物と間違う事なく、スムーズにAが言ったセリフとして読んでくれます。

 

 

もし、双子の人物で「全く同じ反応をする二人」を登場させたい場合は、「二人で一人という特徴」になりますので、同じような二人を登場させても問題ないでしょう。

 

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「キャラクターのギャップ」について

 

■「キャラクターのギャップ」とは

ギャップとは、いつも見せている姿とはかなり差がある姿の事です。

 

有名なものだと、「ツンデレ」があります。

 

いつもはキツイ対応をしてくるが、時折しおらしくなったり、物語の最初はキツイ対応だが、後半で好意的になり優しくなったりします。

 

 

●ギャップがある事によって、近寄りがたいキャラも親近感が沸く

とても強い大男が、犬が嫌いで小さな犬でも怖がる。

 

容姿端麗、成績優秀、家は財閥でお金持ちの生徒会長は、漫画やラノベが好き。

 

 

●親近感を感じるキャラが、特別な能力を持っていると憧れを感じる

背が低くて幼い雰囲気の少女が、実は天才で名の知れた大魔法使い。

 

優しそうで笑顔の男性が、実は裏では組織の暗殺者。

 

ギャップがあるキャラは、裏表がない人物より魅力的に感じる傾向があります。

 

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「口調」に特徴を付ける

 

性格や考え方が違えば、口調にもそれが反映されます。

 

学園の生徒会長でみんなの手本になるような人物の場合は、目上の人には礼儀正しく丁寧語や尊敬語を使って話ますが、

 

強さだけを求めて日々ケンカばかりしてる格闘しか頭にない人物の場合は、目上の人に対しても丁寧語を使わないで話すかもしれません。

 

 

また、ライトノベルには、特徴的なしゃべり方をする人物がとても多く登場しますが、それは「〜は言った」のような説明を入れなくても、「口調だけでも、しゃべった人物がわかるようにするため」の工夫です。

 

「〜なのですよ」

「〜ですわよ」

「〜じゃのぅ」

「〜なんだポン」

など現実には使わない口調ですが、この3人が同じ人物だとは思わないでしょう。

 

口調からその人物のイメージが付く事もありますので、口調はよく考えて決定しましょう。

 

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「物語の冒頭」と「物語の形式」について

 

小説は、物語の冒頭で読者の興味を引く必要があります。

 

1冊読むのに2時間〜4時間ほどかかる小説は、冒頭を数ページ読んで「読むかどうかを決める事」があるからです。

 

ここで「おもしろそう」と感じさせられない場合、読者は読むのをやめてしまいます。

 

物語の冒頭は、よく考えて書きましょう。

 

 

■物語のよくある形式

 

●「起承転結」

起承転結にすると、緩やかな日常から始まり、だんだんと盛り上がって最後に一番大盛り上がりをして終わりを迎えます。

 

長編に良く使われる方法ですが、盛り上がるまでに時間がかかってしまいます。

 

 

●「承転結」

「承転結」にすると、最初が「承」になるため、盛り上がってる場面から始める事ができます。

 

「起」は「承」の中に含まれ、盛り上がりの邪魔にならない所で役割を果たします。

 

TVアニメや漫画の1話をイメージしてみてください。

「最初は何気ない日常のシーンで流れますが、1話の真ん中あたりでいきなり事件が起こり、盛り上がってきてこれからだという所で2話へ続きます」

 

1話で盛り上がるシーンを入れる事でお試しで見た人の心を掴み、盛り上がったまま2話に引っ張る事で、読者に2話も見たいと思わせる事ができます。

 

 

●「転・起承転結」

「転・起承転結」にすると、冒頭から衝撃的なシーンから始められます。

 

最初の「転」で読者にインパクトを与えた後で、「1年前……」というように時系列の最初から始まります。

 

 

TVアニメや漫画をイメージしてみてください。

「1話の冒頭でいきなり主人公(少年)が少女の刀で刺されて倒れてしまいます。主人公は少女を見上げながら意味深なセリフを言って気を失います」

 

その後、オープニングの歌や表紙を挟みます。

 

「歌や表紙の次のページは、何事もなかったかのように1年前とテロップが出て、日常が始まります」

 

物語は「最初の転」に向けて進んで行き、「最初の転」を迎えた後、「本当の転」でさらに衝撃的な展開を目にします。

 

 

●「結・起承転結」

「転・起承転結」とほぼ同じですが、主人公が物語を振り返っているように「過去形」でモノローグが入りします。

 

「この時の僕は、あんな事になるなんて微塵も感じてなかった……」などのように、この先の不穏な展開を予感させるモノローグが入ったりします。

 

物語の始まりは、全てが終わった静かなシーンから入り、過去を振り返るように「起」に戻ります。

 

TVアニメや漫画をイメージしてみてください。

「戦争が終わり、立てかけてある写真に向かって穏やかにしゃべっている主人公。セリフは写真のみんながすでに死んでいなくなっている事を予感させます」

 

「歌や表紙の次のページは、1年前などに戻り、死んだと思われる人たちが登場して物語は進みます」

 

物語の最初に「結果」を見せる事で、どうしてそうなったのかを見ていく事になります。

 

 

-19ページ-

 

「物語の時系列」について

 

「物語の時系列」とは、物語の時間の流れの事をいいます。

 

「起承転結」の場合は、「現在−現在−現在−現在」となり、物語の時系列は順当に進んでいます。

 

「結・起承転結」の場合は、「未来−現在−現在−現在」となり、物語の時系列に変化を与えています。

 

 

時系列に変化を与える事で、インパクトを与えたり、興味を引いたり、余分な所を省いたり、テンポを良くしたりする効果があります。

 

 

■順当に進める

一番シンプルな物語の書き方は、「物語が始まった所から、物語が終わるシーンまで」順当に書いていく方法です。

 

ビデオカメラでの撮影を例にすると、「ビデオカメラの録画ボタンを押した後は、一切編集なくずっと取り続け、最後まできたら録画を止める」ようなイメージになります。

 

とても書きやすい方法ですが、「最初から最後まで」を全く編集なしで読者に見せるような形になるため、単調で平凡になりやすいので注意が必要です。

 

桃太郎を例にすると、「おじいさんは芝刈りに行き、おばあさんは川で洗濯に出かける所から始まり、流れてきた桃を拾い、桃太郎が生まれて成長し、鬼の話を聞いて鬼退治に出て、犬たちを家来にして、鬼が島までの道中があり、鬼が島に到着して、鬼と戦って勝利する」までを書いたような形になります。

 

 

■書いた物語を編集してみる

「最初から最後まで」を順当に書いた物語が平凡になってしまった場合は、編集をする事でガラリと印象が変わります。

 

 

●物語のスタート地点を変更する

もし冒険モノなら、「冒険に出る前の主人公が弱い地点」からスタートさせていた物語を、思い切って「ある程度冒険に慣れて、強くなった地点」からスタートさせる方法もあります。

 

この方法だと、主人公が弱いシーンをごっそりとカットする事ができ、その分、強くなってからのページを多く増やす事ができます。

 

弱い主人公が、小さなトラブルに悪戦苦闘してるシーンよりも、ある程度強くなった主人公が、それでも苦戦するシーンの方が盛り上がります。

 

 

●途中で回想シーンをはさむ

「回想」とは、過去にあった事を思い返す事です。

「物語のスタート地点を変更する」で、「主人公がなぜ冒険に出たのか」という部分もごっそりカットしてしまいましたが、それを語るべき時期がきたら、回想シーンという方法で物語の中に挿入します。

回想シーンにする事で、「なぜ冒険に出たのか」という部分だけをピックアップして読者に表現して、その後のずるずる間延びする部分を省いて、先の物語を進める事ができます。

 

 

●いらない部分をカットする

平凡だったり、間延びしていると思うシーンは、思い切ってカットしてみましょう。

 

主人公が冒険中に大怪我をして、冒険に出られなくなったとします。

「その間の主人公が何をしていたか」というエピソードは、読者にとっておもしろいものかどうか、よく考えてみてください。

 

あとあと意味が出てくる重要なシーンの場合は必要ですが、省いても問題がない場合は、入院や療養中のシーンはカットします。

 

 

■「順当」で書いた物語を編集してみる

桃太郎の物語を例にすると、以下のようにする事もできます。

 

桃太郎が犬たちと旅してる途中からスタートします。

 

旅の途中で、犬たちになぜ鬼退治にいくのかと聞かれ、

「自分が桃から生まれ、おじいさんたちが育ててくれた事や、恩返しのために鬼退治をするために旅に出た事」

を回想シーンとして表現します。

 

鬼が島にたどり着き、鬼とバトルをします。

 

前半をばっさりカットした分、ラストシーンにページを割きます。

 

桃太郎たちは鬼との戦闘に苦戦し、桃太郎のピンチを犬たちが身をていして助けます。

 

倒れる犬たちを見て、桃太郎は犬たちとの出会いや旅の間の出来事を思い出します。

ここも回想シーンとして表現します。

 

怒りで奮い立ち、最後の力で桃太郎は鬼を倒します。

 

その後、桃太郎は犬たちを手当てし、おじいさんたちの元へ帰ります。

 

-20ページ-

 

「説明・設定」は読みやすくなるように工夫する

 

説明や設定は、何の工夫もせずに書いてしまうと、読者は大量の文字を淡々と読む事になり、苦に感じてしまいます。

 

小説を読んでいるというより、辞書や教科書を読んでいるような気分になります。

 

説明や設定など、読者が読みづらいものも、工夫をする事で読みやすくする事ができます。

 

 

■説明は会話文にする

何かを説明する時に、その件に詳しい人物を登場させます。

 

その人物が、知らない人に解説をする事で、会話を使って説明する事ができます。

 

この知らない人は、読者がわからない事や聞きたい事を「これはどういう意味なんですか?」と代弁してくれます。

 

 

■設定は実体験で見せる

「この世界がどういう世界で、魔法が使えて、魔法使い同士は争いあっている」という事を地の文で説明してしまうと、単調でどうしてもチープな印象になってしまいます。

 

設定は、イベントという形で実体験してもらうと、読みやすくなり、イメージもしやすくなります。

 

文章を使った「百聞は一見にしかず」のような形です。

 

 

例えば、

主人公が旅をしており、主人公の目から見た世界を軽く表現します。

(主人公を通すと全ては「体験」となり、イメージしやすくなります。)

 

急に魔法による攻撃を受け、それを主人公は魔法によるバリアで防ぎます。

(こうする事で、設定を説明する事なく「主人公も敵も魔法が使える」という事が読者に伝わります。)

 

敵と会話をする中に、「魔法使い同士が争っている事」を感じさせるセリフを入れておきます。

 

その後、敵を圧倒的な力で倒した場合、主人公の強さを読者に伝える事もできます。

 

 

■様々な情報源を使う

事件などが起こった場合、「お前知ってるか? 昨日の○○事件の事」と友人などが教えてくれるやり方もありますが、毎回このパターンだと不自然になってしまいます。

 

その世界観にあった情報源を使う事により、設定や説明の表現の仕方に多様性を出す事ができます。

 

TVのニュース、新聞、ラジオ、張り紙、手紙。

 

SNS、掲示板、チャット、メール。

 

逃げ惑う人の叫び、野次馬のセリフ。

 

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「情景の表現(情景描写)」について

 

主人公がいる場所を読者に伝える事は、とても大切なポイントです。

 

情景描写をおろそかにして話を進めてしまうと、読者の周りのイメージが曖昧なままになってしまい、今どんな場所にいるのかわからなくなり、どんどん意味がわからなくなってしまいます。

 

また、場所をしっかりと表現する事で、主人公の行動に説得力が出たり、読者も感情移入をしてくれます。

 

 

主人公が足元に注意しながら一歩一歩慎重に足を進めていても合、情景描写がないと何をしているのかわかりません。

 

ですが、

 

『少しでも足を踏み外せば、即死は免れないであろう高さの断崖絶壁を、右手で岩肌をつかみながら、足1つがやっと乗る到底道とは言えないような場所を進んでいる。

 

見てはいけないと思いつつも地上を確認してみると、かすむほど遥か遠くに川が流れているのが見えるが、さすがに落ちて「下が水で助かった」では済む事はない事は試さなくてもわかる』

 

というように表現すると、地上何百メートルほどの高さにいて、「落ちたらどうやって助からない」という事を読者に伝える事ができます。

 

 

表現一つで高さの印象も変わります。

自分のイメージが、ちゃんと読者に伝わる表現の仕方を考えてみましょう。

 

ただし、曖昧すぎる表現をしてしまうと、人によってイメージに大きな差ができてしまうため注意が必要です。

 

例えば、「落ちたら死にそうな高さ」と表現してしまうと、即死する高さをイメージする人もいれば、大怪我はするがギリギリ死なない高さをイメージする人もいるかもしれません。

 

その表現がどう伝わるか、何パターンか予測してみると良いでしょう。

 

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「人物の表現(人物描写)」について

 

人物が登場した際、その人物の容姿が読者にわかるように、文章で表現する必要があります。

 

 

■容姿を直接的に表現する方法

「黒くて長く切りそろえられた髪に、透き通るような白い肌」などのように女の子のパーツを直接表現し、どういう容姿をしているのかを読者に伝えていきます。

 

注意が必要なのは、多く盛り込みすぎないという事です。

 

「髪はこうで、肌はこうで、目はこうで、マユはこうで、口はこうで、体形はこうで・・・・・・」と、つらつらと長く書いてしまうと、読者はくどく感じてしまいます。

 

文章から読者がイメージしやすい部分を的確に選んで、くどくならないように表現しましょう。

 

 

■容姿を抽象的に表現する方法

重要人物の場合は、作者の思い描くしっかりとしたイメージを読者に伝える必要がありますが、重要ではない人物は読者が勝手にイメージしても問題がないため、抽象的な表現のみにして読者にゆだねます。

 

店員が一人の場合は「店員」だけで良いですが、複数の店員がいて、区別する必要がある場合は、「メガネの無愛想な店員」「背の高い爽やかな店員」などと抽象的に表現します。

 

ちなみに、重要でない人物も細かく表現してしまうと、読者が読み疲れてしまいます。

 

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「会話文」について

 

ライトノベルは、人物同士の会話により物語が展開していくため、会話文はとても大切です。

 

会話文を使う事で、読者がテンポ良く読み進められたり、人物の魅力が増したり、情景や状況が伝わりやすくなります。

 

 

■会話文で気をつける事

 

●セリフを長くし過ぎない

1つのセリフが長文になってしまうと、読者がとても読みづらくなってしまうため、適度に区切り、間に人物描写を入れましょう。

 

 

●間に地の文を入れる

複数の人物が会話している場合、長い間セリフだけでやり取りしていると、誰がしゃべっているのかわからなくなってしまう可能性があります。

 

また、どういう表情をしているのか、どんなしぐさをしているのかなど、人物の情報がないために状況がイメージしづらくなってしまいます。

 

セリフの間には適度に地の文を入れて、話している人物たちの情景がイメージできるようにしましょう。

 

 

●「〜と言った」を多用しない

セリフがある時点で「言った」のはわかりますので、それ以外の情報を入れましょう。

 

「髪の毛をかきあげた」や「○○は僕の顔を覗き込む」など、情景を入れる事で、セリフも引き立ち、魅力的な会話や人物になります。

 

 

●口調や会話の内容で、誰が話しているのかわかるようにする

複数人の人がいて、誰がしゃべっているのかわからなくなると、読者は混乱してしまいます。

 

しっかりと人物を書き分け、口調や会話の内容で誰のセリフか、読者がちゃんとわかるようにしましょう。

 

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続きについて

 

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