恋姫無想 擬人劉璋伝 「占術」
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霊帝を上手く話しにのせ

益州の州牧の地位を確保した劉焉は

2万余の手勢を引き連れ 益州へと向かう

 

 

劉焉 「そろそろ出立の用意が整う頃ですかな」

董扶 「さようですな 門前に集結しておることでしょう」

劉焉 「……(よもや この御人と共に行くことになるとはな……」

 

 

劉焉が霊帝の下知を受けた次の日

彼の元を董扶が訪れた

 

 

董扶 「劉焉殿 某も同道してよろしいかな?」

董扶 「益州は某の生国でしてな 案内いたしましょう」

 

 

劉焉は耳を疑った

劉焉ほどではないとはいえ 董扶も高い地位を持つ官吏であったからだ

 

 

董扶 「なに……もともと好きで勤めておったわけでもなし」

董扶 「何進殿にどうしてもと言われ 参内いたしたが」

董扶 「これ以上 留まっては身の破滅を招きましょう」

 

 

劉焉 「……(まさか ワシは利用されたのか?)」

 

 

劉焉 「で、では 職を辞して参られたのですか?」

董扶 「いや それがですな」

董扶 「どうあっても辞して郷里に帰ると申したら」

 

 

( 荷進 「では せめて蜀の地の官職を……」)

 

 

董扶 「……などと言われましてな」

董扶 「今の役職は 蜀郡の都尉 といことに」

劉焉 「なるほど 何進殿も 随分と粘ったようですな」

董扶 「ありがたいことでは あるんですがな……」

 

 

何進もまた野心の強い男 董扶の高い名声を 手放したくはなかったのだろう

 

 

董扶 「次のための手付け……ですかな」

劉焉 「そのようなものでしょうな」

 

 

董扶 「さて 某は少々寄る所もありますゆえ」

董扶 「先に出立しておいてくだされ 街道で追いつきますゆえ」

劉焉 「お待ちしております」

 

 

そのまま踵を返し 洛陽の街中へと入ってゆく董扶

思わず「天子の気」という言葉に疑問を持ったが 今となっては 後の祭り

劉焉は あえて気にしないことにした

 

 

その時

 

 

?? 「そこのお方 ちと お待ち成され」

 

 

何者かが劉焉を呼び止める

若いような 年老いているような 男のような 女のような…………

 

 

奇妙に心に引っかかるその声に釣られるように 劉焉は路地を覗き込んだ

 

 

 

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奇妙に心に引っかかるその声に釣られるように 劉焉は路地を覗き込んだ

 

 

薄暗い路地

 

 

ここは洛陽

暴政で荒れているとはいえ 人通りは多く 行商のものも多数いる

 

 

劉焉 「……(それなのに 何故 オレは路地を覗いたのか……)」

 

 

自分の行動の不思議さに 思わず眉をひそめる

目を凝らし 奥を眺めると 水晶の玉を抱えた 小さな人影がある

背を丸め 椅子に座ったその姿は 子供にも年寄りにも見えた

 

 

歩み寄って 声をかける

 

 

劉焉 「ワシを呼んだのは 貴様か?」

?? 「いかにも」

劉焉 「ワシの衣服を見て臆せんとは 良い度胸だ」

劉焉 「して、何の用だ?」

劉焉 「出立寸前のワシを呼び止めるからには それなりの用件があるのであろうな?」

 

 

特にこれといって思うところはないものの 変に見くびられるわけにもいかない

劉焉は あえて険悪な物言いを以て この奇妙な者を威圧する

 

 

?? 「ワシ名は管輅 世で一番の占い師じゃ 用件は当然 占いにきまっておる」

劉焉 「占いだと?」

 

 

劉焉は内心で呆れていた

この邑では 高位の官吏に対し 迂闊に声をかけただけでも咎められることがある

それを占いだと?

 

 

劉焉 「……(物も言えんとは このことだな)」

 

劉焉 「して その占い師が何だというのだ」

劉焉 「ワシの先に凶兆でも見たか?」

 

 

劉焉は今や益州を統べる(予定の) 益州の王

その劉焉に対し 凶兆など 口が裂けても言えるはずはない

内容によっては獄につなぐもやむなしか そんなことを考えていると……

 

 

管輅 「益州に満ちる天子の気は 世に御使いをまねくであろうよ」

 

 

劉焉は 一瞬 なにを言っているのかがわからなかった

ふざけた物言いをする

そう判断し 衛視を呼ぼうかと背後を向いたが 気になる言葉が 劉焉を振り向かせた

 

 

劉焉 「天子の気 だと?」

管輅 「さよう……循環している気が 集積され充満し 御使いを導く道標となるだろう」

劉焉 「……さっきから言っている御使いとは……なんだ?」

 

 

管輅は一旦会話を区切った

顎をすいっとあげ 陶酔したかのように半眼になり 歌を紡ぐように 言の葉を紡いだ

 

 

管輅 「黒天を切り裂き 天より白き光が降臨す 東方より飛来せし流星は 乱世を納める使者の乗り物なり」

管輅 「平和を誘うは天の使者 乱世を鎮静し 世に安寧を招くだろう」

 

 

その いかにも演技めいた物言いに 劉焉は呆れ果てて 何も言えなくなる

 

 

劉焉 「……………………はっ」 頭を軽く振りながら 管輅の占いを笑い飛ばす

劉焉 「楽しいとは言えないが この邑にしては それなりの余興であった」

 

 

多少の文銭を管輅に投げ渡し 待たせてある兵士たちの元へ歩き出す

 

 

管輅 「ふふふ……お手並み拝見 だ」

 

 

その背を見つめる管輅のまなざしは 期待に満ちて輝いていたが

その性は好しなのか? 悪しなのか? ……判別することはできなかった

 

 

 

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劉焉 「ええいっ! 豪族共めが 欲をかきおってぇ!」

 

 

益州 広漢郡 綿竹県

 

 

董扶の生家があるこの邑に劉焉は着ていた

拠点を設けるに当たって 董扶の名声は この上もなく使えたからだ

その綿竹の郊外 兵士達が駐屯する野営地内の大天幕に 大声で罵倒する劉焉の姿があった

 

 

宮廷においては強権を有する劉焉の威名も 片田舎の益州では通用しなかった

ここは山西の奥地 交通の便は悪く 咎めようにも容易には入ってこられぬ峻険の地

 

 

それゆえ彼等にとっては、朝廷の命令よりも

自分たちの権益、自らが支配者であるというプライドのほうが強かった

 

 

劉焉 「このままでは王国どころか、ワシの身も危ういわ……」

兵士 「劉焉様、いかがいたしましょう?」

劉焉 「それを考えておるのだ、少し黙っておれ」

兵士 「はっ 失礼いたしました」

 

 

平伏する兵士を下がらせ、一人思索にふける

劉焉 「……(強欲な太守ばかりだ そう易々とは組みこめそうにないな)」

 

 

黙考する劉焉

額には深くしわが刻まれ 顎に添える手にも 砕けよと言わんばかりに力が篭る

 

 

劉焉 「……(今後……匪賊共の勢力は さらに大きくなるだろう)」

劉焉 「……(絶対に奴等の手には負えなくなる ねじ伏せるとしたら……その時期をおいて他にあるまい)」

劉焉 「……(問題は……いかに信服させるかだな)」

 

 

考えがまとまるにつれ、その表情からは険がとれてゆく……しかし

 

 

劉焉 「兵もない、心から信服させるに足る大義もない……ないない尽くしで嫌になるな」

劉焉 「朝廷の威光が、こうも届かぬとは……」

 

 

後漢王朝で随一を争う野心家である 劉焉でさえも 思わず天を見上げてしまう

 

 

劉焉 「董扶殿の言に従い益州へと繰り出したが……八方ふさがりか」

 

 

その時 天を眺める劉焉の目に 白く眩い尾を曳く一丈の流星が映った

東の果ての天空より 此方の方角へと 緩やかに流れていた

劉焉の右の頬が引きつるように持ち上がり 自嘲的な笑みを浮かんでくる

 

 

劉焉 「…………ふ 星に願いを、か……童でもあるまいに……」

 

 

 

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劉焉 「…………ふ 星に願いを、か……童でもあるまいに……」

 

 

劉焉は軽く頭を左右に振ると 背を向けて歩き出す

考えても結論は出ないと悟ったからである

 

明日もまた豪族達を相手に説得を続けねばならない

今日はもう休んで明日への英気を養おう そう心に決めた

 

 

寝所を設けている天幕に入りかけた その時 劉焉を一人の兵士が呼び止める

 

 

兵士 「りゅ、劉焉様……」

 

 

その兵士は 劉焉の目先を追ったのか 今なお天を眺め続けていた

 

 

劉焉 「なんだ!? ワシは明日を思うと頭が痛くてならんのだ くだらない用件ならば……」

兵士 「いえ! 違います!  あれを!……りゅ、流星がっ!」

劉焉 「あん?」

 

 

いぶかしみながらも劉焉は思う 流星……先ほど見た流星は たしかに美しかった

 

 

時によってはいくつもの流星が落ちる時もあるというし 滝のごとく星が落ちたか?

だとしたら珍しい見物ではある……ある、が……

 

 

劉焉 「……縁起の良いものとも 限らんのだがな……」

 

 

人が没する時も星が流れるという

さては乱に飲まれ、どこぞで街が燃え落ちたか……

 

 

劉焉 「我にあるは 吉兆か……それとも凶兆か……?」

 

 

苦笑を浮かべたまま天を見上げる

 

 

劉焉 「一体何があるというの……だ……?」

 

 

流星は流れていた

美しくたなびく尾を引き連れ 消えることなく 燃え尽きることなく

 

 

少しずつ 在りし様をいや増すそれは あきらかに 劉焉が佇むこの地へと向かっていた

 

 

劉焉 「な ん……だと? 直に落ちるというのかっ!?」

兵士 「劉焉様! どうすればよろしいのでっ!」

劉焉 「ワシが知るかっ! 全軍に知らせ……ま、間に合わんか!?」

 

 

もはや目の前まで来ていた

 

 

白き輝きが周囲を照らす 小さな太陽とも思える流星が 劉焉達を飲み込もうとしていた

 

 

劉焉 「く……来る!」

兵士 「う、うわぁぁぁ!」

劉焉 「…………ふ、伏せろー!」

 

 

瞬間 光が弾けた

 

 

 

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瞬間 光が弾けた

 

 

劉焉 「うおおおおおおっ……!」

 

 

劉焉は投げ出すように身体を地に没した

爆発的に広がった光は あたかも昼間のように周囲の山々を照らし

強力な烈光が劉焉の双眸を焼く

 

 

劉焉 「ああああああぁあああああぁあああああ!!!」

 

 

劉焉は恐怖した

 

今にも響き渡るであろう轟音を

身を吹き飛ばすであろう衝撃を

 

音を弾けよと言わんばかりに 身を震わせ 絶叫した

 

 

……だが しかし

身を震わす轟音も 体を弾く衝撃も 光以外のものは何一つ感じられなかったのである

 

 

 

劉焉 「…………………………………………??」

 

 

風も吹かず、虫も鳴かず

耳が痛いほどの静寂が支配する最中

劉焉は、己が生きているのだということに気がついた

 

 

今 自分は身体を地に横たわらせている

うずくまるように身体を丸め 身が震えるほど 全身に力を籠めている

 

 

劉焉 「……(……なんだ? 落ちたのか? 落ちていないのか……?)」

劉焉 「……(光はあった 現にオレの目は今も焼かれたままだ)」

劉焉 「……(だが音がしない 地を震わす衝撃も……伝わってこない)」

 

 

劉焉は黒く墨を落としたかのように塗りつぶされた目を開く

 

 

まだよく見えない

痛みと共に流れる涙を手で拭いつつ 周囲の者に声をかける

 

 

劉焉 「なんだ? いったいどうなっている!?」

劉焉 「……衛兵! いるなら返事をしろ!」

兵士 「……くっ  は、はっ! ここに!」

 

 

劉焉 「貴様見ていたか!? 何があった!?」

兵士 「す、数里先の山裾に……星が落ちたように見受けられました……が」

兵士 「申し訳ありません 光に目をやられ、現状の確認は行えておりません」

 

 

劉焉 「……(幻覚ではないということなのか……)」

 

 

劉焉は緊張でこわばった身体を 解きほぐしながら立ち上がる

そして

痛む目を押し開き 落ちたと思われる山裾を 射抜くように睨んだ

 

 

 

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( ゚Д゚)……

( ゚ Д゚)……どうすんべ 主人公が出てこねぇ

 

 

こんなに一刀も女の子も出てこないSSって……ないよなぁ Orz

 

 

とりあえず次回予告

『神様 仏様 桔梗様』

『拝み倒そうと思ったらホントに神が降りちゃった?』

『益州黄巾 馬相!』

 

……の3本です♪

                  ああ もっと上手く書きたいなぅ

 

 

 

 

 

 

説明
まずいですじゃ
次回には出るって書いてたのに
今回も叔父様ばっかりになってしもうた

唯一でてくる娘はアレだけじゃし…………
物を書くのは難しいですな Orz

今度こそ一刀登場! となるはずが
途中で力尽きたので (あ、飽きたわけではないですぞ!
劉焉オヂサマが洛陽を出てから
地面を転げまわるあたりまでを書いており申す
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コメント
最近は見なくなって久しいんですけどねw サザ○さん(リアルG)
あうち 訂正しておきます^^;(リアルG)
サザ〇さん風次回予告ですね。(ブックマン)
誤字報告です。『荷進』正しくは『何進』です。(三好八人衆)
タグ
恋姫 劉焉 劉璋 管輅 

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