恋姫†英雄譚 双龍伝 第3話 |
偽劉備の騒動が終わった途端、『賊がこの村を攻めに来る』と言う問題が発生した。
桃花村義勇軍は一度、動揺を隠す事が出来なかったが関羽の言葉に士気が最高潮に達そうとしていた。
何故なら北郷一姫こと『白龍の御使い』が存在し、天の加護が我等にあると考えたからだ。
それだけではなく本物の劉備の存在と彼女が1人1人に対する徳ある言葉で空中分解しかけた義勇兵たちも団結する状態にまでなっていた。
これには関羽と張飛も驚きを隠せないが当然だろう。
明らかに腕が立つわけでもなく知略もなさそうな少女がバラバラになりかけた義勇軍をひとまとめにしてしまったのだから。
話を戻して義勇軍は桃花村周辺に陣を構えている。これは桃香本人の意向で村人たちを不安な状態にさせない為だった。
これには一姫と風鈴も賛成したものの、籠城すると言う手段を捨ててしまっていた為ある観方では不利となっただろう。
だが、村の外に出たのは勝つための理由があったのだ。
「地図で言うとここがそうなんですね、風鈴さん。」
「うん、一姫ちゃんが要求した谷が存在するのはここだよ。」
「しかし、谷に囲まれていては我々も自由に動く事は出来ません。」
「それにこっちは義勇軍1万に対して、賊はおよそ3万・・・・差は大きいですよ一姫様。」
「賊もよくもまあ、そんだけ集める事が出来たと鈴々は思うのだ。」
これが一姫と風鈴以外の面子の台詞、普通に考えて当然の台詞だろう。
だが一姫にはある事を知っていた為、不利とは思っておらず有利に感じていた。
「みんなから見ると3倍“も”兵力差があるけど、私から見たら“たった”3倍の兵力差になるかな?」
「“たった”3倍って・・・・」
「なら、一姫ちゃんはこの差をひっくり返す考えがあるのかな?」
「ハイ、私の世界だったら3倍どころか10倍の兵力差で勝利した武将が居ますからね。その武将が出来て私たちに出来ない道理はないです。」
一姫の言葉に一同驚愕したが当然だろう。10倍差で勝利するなんて奇跡とも呼べる所業だからだ。そのまま一姫は言葉を続ける。
「その為にもここに居るみんなの力が必要なの、1人でも欠けてしまったら即敗北へ繋がると思って良い。」
「では御使い様の御考えを教えてください。」
「そうだね・・・・」
一姫はそう言って自分が考えた策を周りに言い出した。
恋姫†英雄譚 双龍伝 第3話 一姫、桃園の誓いをするのこと
本陣での会議終了後早速全員は行動に移していた。
『龍装形態』になっている一姫の目の前には今にも得物に襲い掛かりそうな賊共が沢山群がっている。
一姫の後方には本陣があってそこに桃香と風鈴が居る。
もしもここを抜かれてしまえば桃香たちや村が危ないだろう。そう思うと一姫は不思議と恐怖心は無かった。
一姫が覚悟を決めている最中、後ろから義勇兵の1人が声をかけて来た。
「本当によろしいのですか? 御使い様御一人で攻撃するのは・・・・」
「最初だけはね、途中からは合図が鳴るまでここに居るみんなの力が必要だよ。」
心配してくれている兵士に心から感謝し、自分を鼓舞していく。
目の前から大きな地鳴りが聞こえてきたと思ったら賊たちが一斉にこちらに向かって来た。
一姫は静かに深呼吸をして義勇兵たちに士気高揚の発破をかける。
「これから戦いが始まるわ!! 帰る家の為に、愛すべき家族の為に戦うわよ!!」
言葉が終わったと同時に兵たちは雄叫びを出して士気を上げていく。
確認した一姫は1人前へ進んで『白龍ノ光玉』に手を添えて龍氣を籠めた。
「行くわよ・・・・『白龍ノ胴体』!! 転じて『白龍ノ((聖弓|せいきゅう))』!!」
『白龍ノ光玉』から龍の胴体が出現したと思ったら胴体はそのまま弓の形へと姿を変えた。
義勇兵たちはその様子を見て驚きの声をあげるが同時に疑問が浮かんだ。
弓なのに矢筒がないのだ。矢がないのにどうやって戦うのか疑問に思ったがその疑問はすぐに消えた。
何故なら一姫が弓を引くと同時に白い矢が出現したからだ。
『白龍ノ聖弓』の矢は一姫の龍氣そのもので氣の調節によっては必殺の一撃になり得るのだ。
一姫は矢に氣を集中させて敵の群れを見据える。それは彼女が覚悟を決めた瞬間でもあったのだ。
「喰らいなさい!! 『白矢の雨』!!」
技名を叫び一姫は矢を正面ではなく、上空へと放ったのだ。
大量の氣を送り込んだのか、矢は眩い光を放ちながら上空へと飛んでいく。
すると突然、矢が破裂したと同時に大量の白い矢が雨の様に賊の群れへと降っていく。
突然降って来る矢に賊たちは痛みの声をあげて進軍速度が遅くなっていく。
「まだまだ!! どんどん喰らいなさい!!」
一姫は矢をもう3、4本上空へと放って大量の矢が賊たちへ降り注いでいく。
豪雨の様に降り注ぐ矢によって賊たちは完全に足が止まってしまった。
「さあ!! 全軍突撃よ!!」
一姫は合図と共に義勇軍と一緒に賊の群れへと突っ込んで行った。
所変わって賊の大群の丁度真横あたりに関羽が居て、一姫たちが賊たちに突っ込む様子を見ていた。
「こんな事が起きようとは・・・・」
関羽は一姫の氣でできた矢が豪雨の様に降り注ぐ様子を見て只々驚きを隠しきれなかった。
この様な戦い方は未だかつて見た事が無かった。常識を軽く凌駕する出来事に感じていたのだ。
義勇兵の声で関羽は正気を取り戻す。
「関羽様!! 今が好機かと・・・・」
「いや、まだだ!! 合図が来るまで待機するんだ。」
「ハッ!!」
一姫たちを見て関羽はこう思った。
彼女が敵でなくて本当に良かったと、普通ならある種の恐怖を感じるものだが関羽は感じなかった。
一姫から出す安心感によって彼女の精神は恐怖よりも安心が勝っていたからだ。
「(御使い様。どうか、ご無事で・・・・)」
関羽は心の中でそう呟き一姫の無事を祈った。
さらに所変わって関羽の場所から正反対の位置に張飛の姿があり、純粋な気持ちでこう言った。
「にゃ〜・・・・やっぱりお姉ちゃんはスゴイのだ〜。」
姉にも母にも似た温もりを持ち、自分と関羽が敵とする相手に果敢に立ち向かう一姫の姿は自分たちが思い描く((英雄|ヒーロー))に近かった。
本陣に居る桃香たちにも目を向けて張飛はさらにこう思った。
「(お姉ちゃんたちなら鈴々の蛇矛を預けても良いかもしれないのだ!!)」
桃香の優しさと共に戦おうとする姿勢に張飛は完全に信頼していて、迷いは完全になくなった。
こうなった張飛に最早敵はいない。主に敵対するものは倒すだけと考えていたのだ。
本陣から様子を見る桃香と風鈴は期を見つけたのか義勇軍に指示を出す。
「合図を出してください!! そのまま一姫様が後退するのを援護します!!」
「うん!! 良い引き際だよ桃香ちゃん!! 先生嬉しいわ!!」
“ジャーン!! ジャーン!!”
銅鑼を鳴らし続ける義勇兵たち、それに気づいたのか一姫の部隊は一気に反転して本陣に戻って来る。
賊の大群もそれに気づいたのか一姫たちを追いかけて来たが桃香たちはすぐに次の工程に移す。
「今です!! 矢を放ってください!!」
桃香の合図で義勇兵たちは矢を放つ。矢は一姫の部隊を超えてそのまま賊の大群へと向かって行く。
本陣から来る矢に賊の大群は速度を落としてしまうが、それでも本陣へ突っ込めば敵大将の首を落とせると踏んだのか進軍する事を止めなかった。
だが、これが一姫たちの狙い通りだった事は賊たちの誰もが気付かなかったのだ。
「今です!! もう一度合図を出してください!!」
再び銅鑼が鳴り響く。その瞬間、関羽と張飛の部隊が左右後方から現れて賊の大群へと突っ込んで行く。
一姫も合図と共にもう一度反転して賊の大群に対して攻勢を取り挟み撃ちの状態になった。
「こうして見ると、一姫ちゃんの策は凄いわね。」
「私も驚きましたよ。」
一姫が考えた策はこうだった。
まず、賊軍を谷に誘い込んで包囲殲滅を防ぐ事にした。
そうする事で賊軍は谷で進軍しようにも狭さによって大軍を活かせずに一度に少数の兵でしか攻撃できなくなるのだ。
回り道をしようにも道はこの谷を通る以外方法が無い為、一姫たちは背後から攻撃される心配がない。
賊軍に対して正面に一姫の部隊1000とその後方で桃香たちが居る本陣4000で待ち構える。
これによって賊軍は少数と判断して数で踏み潰せると思い込ませた。
そこに一姫の攻撃で賊軍を混乱させて義勇軍の得意戦法である三人一組での攻撃で犠牲を少なくしつつ攻撃し続ける。
ある程度攻撃したら桃香が居る本陣からの合図で一姫の部隊を後退させて賊軍を引き付ける。
桃香の援護で後退しながら攻撃を続けて賊軍の速度を落とし続ける。
既定位置まで賊軍が進んだら最後の合図で伏兵としていた関羽隊と張飛隊合わせて5000で賊軍の背後から攻撃する。
これによって賊軍は大混乱、義勇軍も挟撃する形で一気に叩き伏せる事が可能なのだ。
それからは蹂躙に近く、賊軍に成す術は無かった。
「我らの勝利だ!! 勝鬨を上げよ!!」
投降するものは助ける事で賊軍3万は攻め滅ぼされ、関羽の号令によって義勇軍の大勝利で幕を閉じた。
義勇軍が桃花村へ戻る時、村人たちは諸手を上げてその勝利を喜んだ。
本物の劉備と天の御使いが居てくれた事によって2人は救世主として見えた村人が大半だったのだ。
一姫と桃香は照れながら村人たちに応対していき、風鈴は微笑みながらその様子を見ていた。
桃の花が咲き誇る中、関羽と張飛はその様子を見て決意を固めていた。
「愛紗、鈴々は・・・・」
「私もだ。我々が真に就くべき主を見つけた。」
2人は一姫と桃香に近づいて臣下の礼をとった。
「御使い様!! 劉備殿!!」
「なっ、何かな? 関羽さん、張飛ちゃん。」
「鈴々たちをお姉ちゃんたちの臣下にして加えてほしいのだ!!」
「劉備殿の志に感銘を受けたのです。どうか我等も戦列の端にお加えください!!」
そう言うと2人は深々と頭を下げ、その様子を見た桃香はすぐに答えた。
「うん、良いよ!! でも臣下よりも仲間になってほしいよ!!」
「仲間・・・・ですか?」
「私たちだって間違いはする。だから間違った事をしていたら止められるように仲間なってほしい。」
一姫と桃香の言葉に呆気を取られるが張飛はすぐに答えた。
「わかったのだ!! 鈴々たちも間違っていたら止めてほしいのだ!!」
「うん!! これで私たちは仲間だよ!!」
桃香がそう言うと関羽と張飛の手を取って立ち上がらせて、自己紹介をする。
「仲間になったから改めて自己紹介しないと私の名は劉備、字は玄徳、真名は桃香だよ!!」
「真名までお預け頂けるとは・・・・我が名は関羽、字は雲長、真名は愛紗。我が真名もお預けいたします。」
「鈴々の名は張飛、字は翼徳、真名は鈴々なのだ!!」
「私は北郷一姫、風習で字と真名は無いけど、『一姫』が真名にあたるかな? よろしくね。」
「ええ!? 御使い様は最初から真名を呼ぶ事を許しているのですか!!」
「風習上ね、でも大丈夫だよ。私の世界だと真名の文化は無くてね。無理やり真名にしている様なものだからね。」
人懐っこい笑顔を出す一姫に愛紗と鈴々は思わず笑みを浮かべていた。
「あと『御使い様』は無しでね。仲間なんだから出来たら名前で呼んでほしいよ。」
「では・・・・『一姫様』と。」
「鈴々は『お姉ちゃん』って呼ぶのだ!!」
仲間が増えて喜ぶ一姫と桃香、仲間を得て喜ぶ愛紗と鈴々。
その様子を見ていた風鈴はこんな事を提案し出す。
「風鈴の提案だけど、これから仲間になったんだから契りを結ぼうよ。姉妹の様に仲が良いんだからさ。」
「そうですね!! 4人で契りを結ぼう!!」
そう言うと桃香は一番大きな桃の木の前に立って自分の剣である『靖王伝家』を引き抜いて構えた。
愛紗と鈴々も釣られて自分の武具である『青龍偃月刀』と『丈八蛇矛』を構えた。
一姫は少し悩んだが、すぐに考えるのを止めて『聖刀・蒼蘭』を引き抜いて3人の元へと向かった。
「(もう考えるのは止めよう。これから一緒に歩く仲間だから!!)」
一姫がそう考えると深呼吸をして3人を見据えた。
「それじゃあ、始めようか!!」
「ハイ!! 我ら四人、生まれし日、時は違えども姉妹の契りを結びしからはっ!!」
「心を同じくして助け合い、みんなで力無き人々を救うのだっ!!」
「同年、同月、同日に生まれる事を得ずとも!!」
「願わくば同年、同月、同日に死せん事を!!」
『我らこの天に誓う!!』
“カシャンッ!!”
それぞれの武具が交差し音を鳴らす。
これが後の世で『桃園の誓い』と呼ばれる三国志における歴史瞬間だったのだ。
今回の登場武具&あとがきの様なもの
『白龍ノ胴体』
龍の胴体を模しているアタッチメントの様な物。
龍氣と他の武具を組み合わせる事で変幻自在のチートアイテムになる。
『白龍ノ((聖弓|せいきゅう))』(組み合わせ:白龍ノ胴体単体)
モンハンの弓に該当する。龍氣の矢を使う曲射や剛射可能な弓。
ビンは無いが龍氣を更に籠めると矢の性質が変化する。
ようやく桃園の誓いが出来ました。
これからようやく本編に進んでいけるので少しばかり安心してます。
真・恋姫†夢想 革命のサイトがオープンしてワクワクしておりますが購入できるかはわからないです。
まあ、買うつもりなので楽しみにしています。
本編通りに進みますのでつまらないかもしれないですがそこはお察しください(;・∀・)
では次回を待て!!
説明 | ||
この作品は、真・恋姫†無双の二次創作です。 キャラの殆どは恋姫†英雄譚から登場します。 オリキャラ等はインスパイア等を利用して出すつもりです。 ハッキリ言って北郷一刀が大幅強化されている物なので受け入れられない方はブラウザバック推奨です。 色々ぶち込み過ぎてカオスな物語になっていますが暖かい目で読んで頂ければ幸いです。 真・恋姫†無双 天下統一伝をプレイしていますが 左慈と于吉、大橋、小橋が弓兵として復帰してます。 しかし、無印でバリバリ格闘していた左慈が弓兵なんて納得いかないゾ(;゚Д゚) |
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2102 | 1968 | 6 |
コメント | ||
島津義弘「呼ばれた気がした」(はこざき(仮)) 一姫はとりあえず蜀ルートのようで…一刀と何時何処での再会になるのか楽しみですね。(mokiti1976-2010) |
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