恋姫†英雄譚 双龍伝 第4話
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桃園の誓いを果たし、仲間を得た一姫と桃香だが今後の進退について決める事になった。

選択肢1はこのまま桃花村に居座って守る続ける事。

このまま桃花村を守り続ける事が可能ではあるが桃花村に限定している為、桃香の理想を実現するには程遠い事だった。

選択肢2はこのまま義勇軍を率いて大陸中に蔓延る弱者を傷付ける者たちを倒し続ける事。

桃香の理想を考えれば当然存在する選択肢ではある。

しかし、義勇軍の1つに過ぎない上、兵糧等の面で限界がある上、難民に近い状況になってしまいかねない為、分の悪過ぎる賭けになってしまう。

悩む4人に対して風鈴がある情報を教えてくれる。

 

「桃香ちゃん、幽州啄郡太守を務めている白蓮ちゃんを頼ってみたらどうかな?」

 

「白蓮ちゃんをですか?」

 

「うん!! 白蓮ちゃんの事だから事情を言えばきっと力になってくれる筈だよ!!」

 

「お姉ちゃん、誰の事なのだ?」

 

「ああ、そうだね。白蓮ちゃんって言うのは私の教え子の1人『公孫賛』の事だよ。」

 

「なるほど、一時的に配下に加わって独立するって選択か・・・・」

 

「よし、それも選択肢の1つに加えよう。桃香様、御決断を・・・・」

 

「私は・・・・」

 

桃香が選んだ道を聞き、すぐに行動に移す事にした。

 

 

恋姫†英雄譚 双龍伝 第4話 一姫、『白馬長史』と『常山の昇龍』に出会うのこと

 

 

風鈴は寺子屋に戻る為に別れて4人は義勇軍を率いて公孫賛が居る啄郡に向かう事にした。

義勇軍は先の戦いでボロボロの状態だったが一姫の技で全員回復した状態で行軍している。

その方法は一姫が『白龍の頭』を装備して((松明|たいまつ))に白い炎をつけて人数分渡して指示を出したのだ。

 

「ハイ、手の空いている者はこれを怪我人に向けて振って火の粉を浴びせて!!」

 

「一姫様、そんな事をしたら怪我人が火傷を負ってしまいます!!」

 

「大丈夫よ愛紗。試しにこの炎に触れてみて。」

 

一姫がそう言うと愛紗は恐る恐る松明についた白い炎に触れてみると驚きの声があがった。

 

「えっ!? 熱くない!! これは一体・・・・」

 

「この炎は『癒しの炎』って言ってね白龍式の技なの。この炎と火の粉は浴びると怪我や病気を緩和したり治したりできるの。」

 

一姫がそう言うと義勇兵たちから驚きの声をあげる。正に彼女が管路の占い通りの『癒しの天女』そのものだったからだ。

 

「欠点として完全に治すのに膨大な時間がかかってしまう事かな? だから緩和程度しか考えてないわ。」

 

「なるほど、よし!! 皆も早速行動してくれ!!」

 

その結果が今の義勇軍であり全快の状態で行軍出来るのだ。

風鈴と別れる際、一姫の事を記した手紙を渡されている。これがあれば一姫の事が怪しまれずに済むと思ったのだろう。

啄郡に向かっている道中、鈴々が桃香からこんな事を質問した。

 

「桃香お姉ちゃん、公孫賛ってどんな人なのだ?」

 

「そうだね白蓮ちゃんはスゴイ努力家で家の事で逆境に立っていたみたいだけど、それを跳ね除けちゃったんだよ。」

 

「『家の事』とは、一体どの様な事が?」

 

「詳しくは教えてくれなかったけど、凄く苦労していたみたいだったよ。」

 

桃香の話を聞いて一姫は史実の公孫賛を思い出していた。

公孫賛は有力豪族の子として生まれたが生母の身分が低い所為で一族として認められず過酷な幼少期を過ごしていたと言う。

聡明で頭脳面が優れていた上、物事の説明も巧みだった事で太守の侯氏から気に入れられて盧植の下で学ぶ機会を得た。

そこに居た学友の1人こそ、今目の前にいる劉備であった。

しかし、その最期は袁紹から攻められ、降伏勧告を無視し、妻子と共に自害したと言われている。

逸話として当時商人を重用し、交易などで多大な成果を上げ、莫大な利益を得ていた上

武勇に優れ白馬に乗っており、降伏させた烏桓族から騎射のできる兵士を選りすぐって白馬に乗せて

『((白馬義従|はくばぎじゅう))』と名づけたので異民族から『((白馬長史|はくばちょうし))』あるいは『白馬将軍』と恐れられた。

桃香の話をまとめると、この世界の公孫賛も史実と同様の事があった事がわかり痛みがわかる人格者と考えた。

かなり甘い判断だがそう言う人ならば桃香の願いを聞き入れる事が可能と一姫は思った。

そうした中、一行は啄郡に到着し、門番から公孫賛に会わせてもらう様に頼む。

しかし、偽劉備の影響なのかやや警戒気味になっていたが兵と共に1人の少女が現れ、桃香を見て喜びの声をあげながら歓迎する。

 

「桃香!! ひっさしぶりだなー!!」

 

「白蓮ちゃん、きゃー!! 久しぶりだねー♪」

 

桃香の反応を見て3人は彼女が幽州啄郡太守、公孫賛である事がわかった。

2人は再会の喜びを全面に出しきる様に抱きしめ合っていた。

少し経ち、2人は離れて公孫賛は桃香の全身を確認してこう言った。

 

「本当に桃香なんだな? 偽者じゃないよな?」

 

「私は正真正銘、劉玄徳だよ。白蓮ちゃん。」

 

「疑って済まないな。桃花村義勇軍の話を聞くと警戒してしまってな。まあ、その事も含めて一緒に来てくれ。」

 

公孫賛がそう言うと案内する様に先導し、それに釣られて一行も公孫賛に付いて行く。

桃香と公孫賛は歩きながらそれぞれ今まであった事を話しながら仲良く会話していた。

城の門前まで着くと4人は義勇兵たちをその場で待機させる。

4人はそのまま公孫賛に付いて行き玉座の間に到着した。

ここで公孫賛は玉座に座って雰囲気を変える。それは太守として4人と接する為であった。

桃香はすぐに風鈴の手紙を公孫賛に渡し、彼女も渡された手紙を真剣に読んでいた。

ちょっとした緊張感の中、公孫賛は発言をする。

 

「そうか、先生は管路の占いで言っていた天の御使いと出会ったのか・・・・」

 

「うん、本当だったよ。」

 

「そして彼女がその片割れの『白龍の御使い』か・・・・」

 

「まあ、私自身は天の御使いと言う自覚はないけどね。」

 

そう言うとお互いがお互いを見ていた。その視線はまるで相手を見定める様に・・・・

すると一姫は何かに気付いたのか、公孫賛の後ろの方に注目してこう言いだす。

 

「後ろに居る人も私たちの事をどう思っているの?」

 

「オイオイ、私の後ろには誰も・・・・」

 

「ふむ、私に気付くとは只者ではないと見える。」

 

「居たよ!!」

 

公孫賛は気付かなかったのか、驚きの声をあげながらツッコミを入れた。

後ろに居た人はそのまま公孫賛の隣まで歩き、その場で一姫を見ていた。

桃香は気付かなかったのか、驚きの表情をして固まって、愛紗と鈴々は一姫が発した台詞と同時に警戒していた。

公孫賛の隣に居る少女は白い衣装に身を包み、蝶の様な姿をした人で桃香以外の3人はすぐにかなりの手練れと考えた。

一方、少女は一姫を見て少し懐かしむ様にこう言った。

 

「なるほど、北郷殿によく似ている。雰囲気も瞳に宿した正義の炎も・・・・」

 

その台詞を聞いた一姫は驚いた。彼女も兄である一刀を知っている人なんだと。

一姫は条件反射の様に風鈴の時と同様に写真を見せる。

写真を見た少女は一姫が言おうとした事を把握して先に言いだす。

 

「やはり北郷殿だ。容姿はその写し絵の人物そのものだ。と言う事は貴女が北郷殿の・・・・」

 

「妹です。姓は北郷、名は一姫。風習上、字と真名はありません。貴女は兄を知っているんですね!!」

 

「ええ、ここに来る前に友と徐州に滞在していた時期に出会いましてな。ある一件で共闘したのです。」

 

「徐州で共闘って星、ひょっとして徐州太守交代の一件に絡んでいたのか?」

 

「左様、最も活躍したのは北郷殿でしたが・・・・」

 

公孫賛の質問に笑顔で答える少女、状況的に他の面子は置いてきぼりの状態なのだが

一姫は一刀が無事だったと言う事実を知るだけで十分だった。

愛紗は徐州の事を思い出したのかこんな発言をする。

 

「太守交代と言えば現太守である陶謙殿になる時期にちょっとした事件があったと噂されていたが・・・・」

 

「そうだな。確か陶謙殿へ交代する筈が前任者が拒否してしまった一件だ。交渉の使者が人質にされたとか・・・・」

 

「本当ですぞ、私は現場に居合わせておりましたので知っております。」

 

愛紗と公孫賛の言葉に肯定の言葉を出す少女。しかし、自己紹介を忘れていたのか少女は話を切り上げて自己紹介しだす。

 

「おっと、申し遅れた。我が名は趙雲、字は子龍。現在は伯圭殿の客将を務めている。」

 

「貴女が趙雲さんですか・・・・兄はどちらへ行ったのでしょう?」

 

「詳しくはわかりませんが、旅立った方角を考えると楊州方向へ向かった可能性が高いですな。」

 

一姫は趙雲が言った事を聞いて一刀の旅路と史実での状態と比べていた。

一刀は幽州からスタートして冀州を通り、?州か青洲を経由して徐州に着き、楊州へ向かった事になる。

楊州の有名なものと言えば孫堅を含む呉の武将たちと袁術が真っ先に思い浮かんだ。

そのままどちらかの所へ仕えているか、あるいはまだ放浪の旅を続けているかそれは本人のみが知る。

しかし、兄が心配な一姫にとっては気が気じゃなかったのだ。

一姫が思考の海に居る事に気づいたのか桃香が一姫に一言声をかける。

 

「一姫様、今は・・・・」

 

「ハッ!? ゴメンなさい。」

 

桃香の言葉で恥ずかしがる一姫。その様子はその場の空気がほのぼのとした状態になっていた。

現状を戻すと公孫賛は一姫が天の御使いかどうか疑っているのだが、趙雲がある事を言う。

 

「伯圭殿、彼女が天の御使いかどうか証明する術があります。」

 

「あるのか、その方法は?」

 

「私は黒龍の御使いと出会いました。その者は首の装飾品を用いて戦闘衣装に変わります。それが出来れば・・・・」

 

「『龍装形態』の事ですね。わかりました。すぐになりましょう。3人はちょっと離れていてね。」

 

趙雲の言葉に一姫は3人は離れさせて呼吸を整え、公孫賛と趙雲はじっと一姫を見守っている。

準備が出来た途端、一姫はすぐにアクションを起こした。

 

「『白龍、装甲!!』」

 

「これはっ!?」

 

一姫から眩しい光を発すると『龍装形態』に変わり光が治まる。

変化した一姫の姿に公孫賛は驚きの声を隠せない。一方趙雲は一姫の姿を見て頷いていた。

 

「白龍の御使い殿の戦闘衣装は北郷殿の色違いであったか・・・・」

 

「そうですね。私は白ですけど兄は黒で、それ以外は瓜二つです。」

 

「伯圭殿、彼女は本物です。彼女の兄も同じ方法で衣装を変えておりました。」

 

「ああ、この目で見た以上は認めざるを得ないな。」

 

公孫賛は落ち着きを取り戻したのか冷静になって一姫を見る。

趙雲も一刀を思い出しているのか、期待感を持って見ている様で義妹たちもこのやり取りで安堵していた。

再び公孫賛は考えていたが、すぐに決心した様に発言する。

 

「わかった。桃香の願いを聞き入れよう。当家には他に人物が居ないから藁にも縋りたいよ。」

 

「ありがとう!! 白蓮ちゃん!!」

 

公孫賛の決定に大袈裟なくらいに喜びだす桃香。それに対して一姫は公孫賛にある事を言う。

 

「あ〜、公孫賛さん。」

 

「何だ?」

 

「もしもだけど、私たちが“使えない”と判断したらすぐに捨てたって構わないよ。」

 

「一姫様!?」

 

一姫の発言に驚く桃香、それに対して一姫は桃香の驚きを無視して発言を続ける。

 

「流石に驚くでしょうね。でもそれ位の覚悟が無いとこの先、生きていけないと思うの。」

 

「ふむ、そうでしょうな。優しさだけで生きて行けるほど甘くはないのだからな。」

 

一姫の考えに対して趙雲は同調していた。

桃香と鈴々は一姫の考えに頭では納得できても心は認めたくないと思っている様子だ。

逆に愛紗はそうならない様に気合を入れ直した感じの表情をしていた。

一姫は桃香を安心させるためにこう言った。

 

「大丈夫よ桃香。今出来ない事があっても出来る様になれば良いわ。幸い公孫賛さんは時間を与えてもらえるみたいだしね。」

 

「そうだな、桃香には先生の下で学んだ頃の借りがあるからな。それ位なら許すさ。」

 

そう言った公孫賛は桃香を見ながら苦笑いをしている。桃香も公孫賛を見て真剣な表情に変わる。

これによって一姫は桃香に『公孫賛からの恩を必ず返さなければならない。』と言う決心をつけさせたのだ。

こうして桃香たちは愛紗と鈴々の事を紹介して共に公孫賛の下で過ごす事になる。

ここでどれだけ力を付ける事が出来るか、それが今後自分たちの進退に関わると言う事を一同は考えたのだった。

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あとがきの様なもの

真・恋姫†無双、蜀ルート通りの展開になりましたがどうでしょうか?

本編と比べると色々端折ってましたが大体こんな流れになっていたと思います。

私個人の悩みと言えば萌将伝の『兵士たちの日常』であった袁家兵弟が「台車に乗ってガラガラ運ばれた。」と言う場面がありまして

ア○ルーを登場させようか悩んでました。

本作品に登場する北郷兄妹は『((天狗之隠蓑|テングノカクレミノ))』を装備しているので、その中限定なら良いのかダメなのか悩んでいたりします。

どうなるかは気分次第ではありますが・・・・

では次回を待て!!

説明
この作品は、真・恋姫†無双の二次創作です。
キャラの殆どは恋姫†英雄譚から登場します。
オリキャラ等はインスパイア等を利用して出すつもりです。
ハッキリ言って北郷一刀が大幅強化されている物なので受け入れられない方はブラウザバック推奨です。
色々ぶち込み過ぎてカオスな物語になっていますが暖かい目で読んで頂ければ幸いです。
萌将伝での『兵士たちの日常』が個人的に好きなシナリオだと思っています。
何故なら登場するネタが私にとってストライク過ぎるからです。
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2008 1871 8
コメント
いや、大分違いがありますよ。大まかには確かに√通りになっていますが、桃香に「恩を必ず返さなければならない」という意識を持たせたことは大きな変化と言える筈です。何を以て恩返しとするかにもよりますが……原作だと甘えに甘えてそれっきり、後に徐州に落ち延びた白蓮を保護したのみですから。まあ、平原に居た頃は両者の中間に袁紹も居たし、勢力も小さいしで何か出来るような状況でもなかったのですが。(Jack Tlam)
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