英雄伝説〜光と闇の軌跡〜エレボニアカオスルート
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〜同時刻・カレイジャス〜

 

同じ頃オリヴァルト皇子達は作戦に失敗したアリサ達を回収し、経緯を聞いた。

「……そうか。ユーシス君の救出は失敗し、アルバレア公爵夫妻も殺害され、更には”アルゼイド家”の家宝である”宝剣ガランシャール”まで奪われてしまったのか……」

「何はともあれ、みんなが無事に帰って来て本当によかったよ……」

「ああ……しかしまさか今回の戦争の発端となったユミルの領主の子息達がアルバレア公爵夫妻を殺害し、ユーシス君を救出しようとした君達と戦い、子爵閣下達もいるのに圧倒的な勝利をするとはね……」

経緯を聞き終えたオリヴァルト皇子は重々しい様子を纏い、安堵の表情をしているトワの言葉に頷いたジョルジュは複雑そうな表情をした。

「ハハ……まさかリィン君がエステル君のように多くの異種族と契約していたとはね……しかもそのうちの一人は単独で子爵閣下を剣術のみで圧倒するとは……ちなみに子爵閣下を圧倒したその異種族は一体どんな人だったんだい?」

「ど、どんな人って言われても……」

「見た感じは私達と同じ”人間”の女性にしか見えなかったわよね………?」

「―――あくまで”見た目”はね。あの女が異空間から取り出した”剣”といい、あの女に秘められている膨大な霊力(マナ)といい、どう考えても人の身では決してかなわない類の”化物”よ。」

「そうね………一体どうやって彼―――リィンさんは私達が戦った女性を含めて”人”でありながらあんな高次元の存在を使い魔にしたのかしら……?」

オリヴァルト皇子の問いかけにエリオットとアリサは戸惑いの表情で答え、目を細めたセリーヌの言葉に頷いたエマは不安そうな表情をした。

 

「フム………実際に剣を交えた子爵閣下はその人物について何かわかったかい?」

「……いえ、私も彼女の事について把握しているのは彼らと大して変わりません。唯一わかった事と言えば彼女が扱う剣技―――”飛燕剣”とやらは高速で振るわれる剣技である事くらいです。」

「―――”飛燕剣”だって?」

アルゼイド子爵の話を聞いたオリヴァルト皇子は目を見開いた。

「その様子ですと殿下は父上と剣を交えた女性が扱っている剣技について何かご存知なのですか?」

「……ああ。―――”飛燕剣”。”飛燕剣”は異世界の東方の剣技だそうなのだが、使い手は様々な理由により非常に少なく、”伝説にして最強の剣技”とも呼ばれている事があるとの事だ。」

「で、”伝説にして最強の剣技”………」

「エレボニア最高の剣士と謳われている子爵閣下を圧倒したのですから、少なくても子爵閣下と剣を交えた女性は”結社最強”と謳われている人物と同等の実力はお持ちなのでしょうね。」

ラウラの質問に答えたオリヴァルト皇子の話を聞いたマキアスは信じられない表情をし、シャロンは真剣な表情で呟いた。

 

「ちなみにその女性の名前は?」

「アイドス・セイルーンと名乗っておりました。」

「!?バカな……まさか……いや、名前も違うし、そもそもサティアさんは…………」

「その様子だともしかしてラウラのお父さんを圧倒した女性と知り合いなの?」

アルゼイド子爵の答えを聞いて血相を変えた後複雑そうな表情で独り言を呟いているオリヴァルト皇子の様子が気になったフィーはオリヴァルト皇子に訊ねた。

「あ、ああ。ただ、確かに私の知り合いで”セイルーン”性の人物はいるがその人物である事は”絶対にありえないんだ。”」

「何でそんなハッキリと断言できるんですか?」

「……もしかして、その人物は既にこの世を去っているのですか?」

オリヴァルト皇子の答えを聞いて不思議に思ったトヴァルはオリヴァルト皇子に訊ね、ある程度察しがついたサラは複雑そうな表情でオリヴァルト皇子に質問した。

「ハハ、申し訳ないが色々と複雑な事情があって、その人物については話す訳にはいかないんだ。第一そもそもその人物は剣術を嗜んではいるが”飛燕剣”は扱えなかったし、名前も違うから恐らく私が知る人物と関係がなく、偶然ファミリーネームが一致しているだけだと思うよ。―――それよりも問題はユーシス君を助けられなかった件と”ガランシャール”を奪われてしまった件だね………」

「―――申し訳ございません、子爵閣下、ラウラさん。私達をあの場から逃がしてもらう為とはいえ、アルゼイド家を長年受け継いで来た家宝を敵に渡す事を御二方に確認をする事もなく、答えてしまったのですから……」

「クレア大尉が謝罪する必要はないかと。冷静になって考えてみればあの場から脱する為には彼――――リィン殿が出してきた条件を呑むしかなかったと今では私はそう思っております。」

「ラウラの言う通りだ。確かに”ガランシャール”は”アルゼイド家”にとって非常に重要な剣ではあるが、そなた達の命と比べれば、どちらが大切なのか答えは明白だ。」

クレア大尉に謝罪されたラウラとアルゼイド子爵はそれぞれ落ち着いた様子で答え

「ラウラ……子爵閣下……」

「ま〜、そんなに気にしなくていいんじゃない〜?ボクはその時気絶していたから聞いていないけど、エリオット達の話だとそのリィンって人は”ガランシャール”は必ず返すし、ユーシスの身の安全の保証もするって約束したんだよね〜?」

二人の様子をガイウスは辛そうな表情で見つめ、ミリアムは呑気な様子で答えた。

 

「ミリアムちゃん!例え一時的とはいえ、先祖代々受け継いで来た家宝を奪われた子爵閣下達の気持ちを考えて発言してください!」

「君な……いい加減空気を読んだ言い方か、もう少しオブラートに包む言い方を学ぶべきだぞ……」

ミリアムの呑気な答えを聞いたクレア大尉は声を上げてミリアムに注意し、マキアスは疲れた表情でミリアムに指摘した。

「ユーシス……本当に大丈夫なのかな……?」

「あのリィンという人物や彼の妹はユーシスの身の安全の保証はすると約束してくれたが……」

「ま、それはそれとして、アタシとエマにとっても大問題よ。よりにもよってアタシ達が導くべき”起動者(ライザー)”が敵だなんて………本当にあらゆる意味で愚かな事をしてくれたわね、アルバレア公は……」

「………………」

エリオットとガイウスが心配そうな表情でユーシスの身を案じている中セリーヌは疲れた表情で溜息を吐き、エマは辛そうな表情で黙り込んでいた。

 

「ラ、”起動者(ライザー)”……?」

「そう言えばエマ君達はあのリィンと言う人物を見て驚いていたようだったが……」

「教官も彼を見て驚いていたようだが、彼の事を知っているのだろうか?」

セリーヌの言葉が気になったエリオットは戸惑い、マキアスとガイウスは不思議そうな表情でエマとサラを見つめ

「そ、それは………」

「………エマ達の事情は知らないけど、あたしもリィン・シュバルツァーの事について知ってはいるわ。―――最も今となっては関係のない話だから、あんた達は気にしなくていいわ。」

「………………」

エマが答えを濁している中サラは静かな表情で答え、サラの答えにアリサ達が不思議そうな表情で首を傾げている中唯一人サラが答えを濁している事情を知っているオリヴァルト皇子は重々しい様子を纏って黙り込んでいた。

 

「そういやユミルで結社の”蛇の使徒”―――”蒼の深淵”が結社の”幻焔計画”の成就の為にリィンにエレボニアの内戦に関わってもらう事が必要で、リィンにエマを探せみたいな事を言っていたな。」

「え……ね、姉さんがですか?」

「一体何を考えているのよ、ヴィータ―――いえ、結社は。」

ある事を思い出したトヴァルの話を聞いたエマは戸惑い、セリーヌは目を細め

「”幻焔計画”……恐らく”リベールの異変”の”福音計画”のような結社の新たなる大掛かりな計画でしょうね。」

「その……シャロンは何か知らないの?」

「申し訳ございませんが、私は”幻焔計画”の内容について全く把握しておりませんわ。」

「フン、ヨシュアと違って結社から完全に抜けた訳じゃない癖にそんなシラが通ると本気で思っているのかしら?」

「サ、サラ教官。」

クレア大尉は真剣な表情で考え込み、複雑そうな表情のアリサに見つめられて答えたシャロンの答えを聞いたサラは鼻を鳴らして厳しい表情でシャロンを見つめ、サラの様子にエリオットは冷や汗をかいた。

「ちなみにトヴァルさんはユミルでその”蛇の使徒”から一体どんな話を聞いたんですか?」

「ああ、それは――――」

そしてジョルジュの質問にトヴァルはユミルで知りえた情報――――結社の新たなる計画である”幻焔計画”での”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダの役目が現代の”騎神”という存在同士の戦いの舞台を導き、戦いを見守る事で、”蒼の騎神”の”起動者”がアリサ達”Z組”のクラスメイトであり、エレボニア全土でテロ活動を行っていたテロリストのリーダーでもあるクロウ・アームブラストである事、そして”灰の騎神”を駆る”起動者”がリィンである事を説明した。

 

「クロウ君がその”騎神”っていう存在の”起動者”………」

「……そう言えば学院が襲撃されたあの日、帝国解放戦線が駆る”機甲兵”をわたし達が無力化した後、他の”機甲兵”とは全く別物に見える人形に乗ったクロウが現れてわたし達を無力化して降伏しろって言っていたね。」

「うむ……まさに”格が違う”とはあの事を言うのだろう。幾ら機甲兵との戦いで疲弊していたとはいえ、私達は瞬く間に無力化されてしまったからな。」

事情を聞き終えたトワは呆けた表情で呟き、フィーの話に頷いたラウラは複雑そうな表情をした。

「えっと……今更だけど委員長とセリーヌって何者なの?」

「……ノルドでの”特別実習”やレグラムでの”特別実習”の時も不可思議な現象について知っていたようだが………」

「それは……セリーヌ、もう隠さなくてもいいわよね……?」

「”手遅れ”どころか”最悪”の状況なのだから、今更隠す必要なんてないわよ。」

エリオットとガイウスの疑問を聞いたエマは辛そうな表情で黙り込んだがすぐに決意の表情になってセリーヌに問いかけ、問いかけられたセリーヌは疲れた表情で答えた。その後エマとセリーヌは自分達の正体はエレボニア帝国に伝わり続けている伝承の一つである”魔女”がエマで、セリーヌはエマをサポートする使い魔という存在である事を説明した。

 

「エマがエレボニアに伝わっている伝承の”魔女”……」

「えっと……エマ君は”蒼の歌姫(ディーバ)”であったクロチルダさんと知り合いのようだけど、クロチルダさんもそうなのか……?」

「はい。ヴィータ姉さんも私と同じ”魔女”で、”姉弟子”にあたります。魔女としては凄まじく優秀で、沢山の人に響く歌声も持っていて……私にとっては憧れの存在でした。禁を犯して故郷を出て行った今も………とても追いつける気はしません。そして……私が士官学院に入ったのは、”使命”のためでした。古より続く一族の末裔……”魔女の眷属(ヘクセンブリード)”としての。」

「……”魔女”の使命……」

事情を聞き終えたアリサは驚いた表情でエマを見つめ、マキアスの疑問にエマは頷いて答え、ガイウスは呆けた表情でエマを見つめた。

「……それは、遥か昔から受け継がれてきたものでね。地下深くに封印された”巨いなる力”を見守り、その行く末を見届けること……それがエマにとっての”果たすべき使命”だったってワケ。」

「”巨いなる力”……それって、まさかみんなの話にあったクロウが駆っている”騎神”という存在の事かい?」

セリーヌの話を聞いてある事が気になったジョルジュはセリーヌに訊ねた。

「ええ。で、その”巨いなる力”はあの学院の旧校舎の地下の奥深くに眠っているのよ。」

「ええっ!?きゅ、旧校舎の地下にクロウが駆っていたような人形が!?」

「旧校舎の件は報告で聞いていたがまさかそのような存在が眠っていたとは……」

セリーヌの説明を聞いたエリオットは驚き、オリヴァルト皇子は信じられない表情で呟いた。

 

「なるほどね〜。それで委員長とセリーヌは”これからどうするの?”」

「え…………」

「……………」

「これからどうするって……一体どういう意味で訊ねているんだ?」

ミリアムの疑問を聞いたエマは呆け、ミリアムの疑問の意味を理解していたセリーヌは複雑そうな表情で黙り込み、マキアスは戸惑いの表情でミリアムに訊ねた。

「だって、委員長達の”シメイ”ってあのリィンって人と一緒に旧校舎の地下にある”騎神”を手に入れるって事で、エレボニアの内戦やメンフィルとエレボニアの戦争には関係ないって意味にもなるって事だよ?と言う事は、委員長達はその”シメイ”を果たす為にあのリィンって人の仲間にならないと果たせないんだよ〜?」

「ミリアムちゃん!」

「そ、それって………」

「……委員長達が”魔女の使命”を果たす為にあのリィンという人物と共に行動する為にオレ達と別れてメンフィル帝国側に付かなければならないという事か……」

「エマ………」

ミリアムの説明を聞いたクレア大尉は声を上げ、エリオットとガイウス、アリサは辛そうな表情でエマを見つめ

「……それができたらこっちもそんなに悩んだりしないわよ。バリアハートの件で”起動者”にアタシ達が”敵”として認識されてしまったから、普通に考えてみれば向こうの仲間になるなんて無理な話よ。」

「それに幾ら”使命”の為とはいえ、皆さんを裏切るような事はこれ以上できません。今までも皆さんに私達の事を話さず、何一つ警告する事ができなかったのですから……”魔女”として……”Z組”の仲間として失格な私ですが、せめてもの償いに、どんな結果になろうと最後まで皆さんの力になるつもりです。」

「……………」

「……本当にいいんちょはそれでいいの?」

セリーヌは疲れた表情で溜息を吐き、エマの決意を知ったサラは重々しい様子を纏って黙り込み、フィーは複雑そうな表情でエマに訊ねた。

「ええ……それにどの道リィンさんと接触できたとしても、今のリィンさんはメンフィル軍に所属している人だから、”魔女の使命”の為に私達と行動を共にする事を頼んでも絶対に断られるのはわかりきっているもの。」

「エマちゃん………」

エマの答えを聞いたトワは心配そうな表情でエマを見つめた。

 

「……―――いずれにせよ、今後の方針を決める為にも今は情報収集が必須だ。」

「そうだね。まずはユーシス君の安否を確かめる為に再びバリアハートに潜入して情報を集めるべきだと思われるが………」

アルゼイド子爵の言葉に頷いたオリヴァルト皇子は重々しい様子を纏って呟き

「問題はバリアハートを占領しているメンフィル帝国軍だね。普通に考えたら警戒体制は領邦軍の時よりも厳しいと思うし。」

「しかも俺達の顔も割れちまっているしな………」

フィーは真剣な表情で答え、トヴァルは疲れた表情で溜息を吐いた。

「―――いえ、バリアハートでの情報収集についてはそれ程厳しくありません。」

「へ……それってどういう事なんですか?」

その時クレア大尉が静かな表情で答え、クレア大尉の言葉が気になったエリオットは不思議そうな表情で訊ねた。

 

「実は貴族連合軍の動きを探らせる為にオーロックス地方に潜んでいた部下達を先の戦いによって生じる混乱を利用してのバリアハートへの潜入を命じていたのですが……先程連絡があり、無事にバリアハートに潜入できたとの事です。」

「ふええっ!?」

「ったく、相変わらず油断も隙もないわね……」

「アハハ、さすがクレアだね〜。」

クレア大尉の説明を聞いたアリサ達がそれぞれ血相を変えている中トワは驚きの声を上げ、サラは呆れた表情でクレア大尉を見つめ、ミリアムは無邪気な笑顔を浮かべた。

「と言う事はその人達にユーシスの安否を頼めば……!」

「ええ。既にユーシスさんの安否の件も含めてバリアハートでの情報収集を命じてあります。」

明るい表情をしているマキアスの言葉にクレア大尉は静かな表情で頷いて答え

「そうか……と言う事は今はバリアハートに潜入している彼らからの情報を待つ為に下手に動かない方がよさそうだね。」

「ならばバリアハートに潜入している者達からの連絡があるまでカレイジャスをレグラムに停泊させて待機するべきかと。燃料も限られていますから、節約できる時は節約をするべきです。」

「ああ、頼むよ。」

アルゼイド子爵の提案にオリヴァルト皇子は頷いて答えた。

 

こうして……アリサ達はバリアハートに潜入している鉄道憲兵隊からの連絡を待つ為にレグラムで待機する事になり……カレイジャスはラウラとアルゼイド子爵の故郷であるレグラムへと向かった―――――

 

 

 

説明
第18話
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コメント
暁のガチャはホント負ける確率が高いギャンブルですよね……まあ、最悪推薦状という手がありますけど(sorano)
まぁ自分も暁の軌跡はなかなかガチャ当たらないですよね。まぁそれでも単発でエステル☆5とジグムント☆5あたったけど^^¥(ジン)
↓暁の軌跡に関しては分かります、自分もガチャ当たらない…原作閃は製作会社様次第ですし閃3を待つしかない…エステルとロイドは本編での能力上昇ですがリィンは子供の頃からのメンフィルの影響、あとは作者様の気持ちですね…改めましてお騒がせしました(本郷 刃)
正直すまんかった。なんだろう、原作の閃が他の2作に比べてすっきりしないしエステル、ロイドに比べてリィンに同じ世界の同時間上の人物なのに能力付加しすぎだろとか、暁ガチャ当たりが出ねえ、日替わり大乱闘敵の強さ違いすぎなどなどイライラが溜まっていた。(d-sword)
d-swordさんはどんだけアンチをしたいんですか?カオスルートって言ってもエロゲのエウシュリーと違うと言うことを理解すべきですよ。次回のZ組サイドで宝剣が返還されたことの確認かな(ジン)
↓だからそれはメンフィルがカオスルートの場合の所業であってこれはエレボニアという国のカオスルートだと作者様の方針を理解すべき、ちなみにユーシスの安全を一番に知るには正式な手順で面会を求める方法ですねw(本郷 刃)
ガランシャールは返還を約束しただけだから刀身をへし折っていても問題ないね。そして潜入している鉄道憲兵隊の末路も確定か。(d-sword)
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