【サイバ】現実と悪夢 |
………現在地不明。
「ちょ、ここどこ?w」
笑ってごまかしながら怯えを隠すのは唯、ただ1人。
「え、誰かいないの?」
辺りを見回すが誰もいないし何もない、真っ暗な空間。
「あれ?私の胸が大きくなってる!ぜ、絶対おかしいわ!」
見慣れない出っ張りを不思議そうに見つめる唯。
「あ、夢か。夢だよね。だって私の胸がGカップクラスなわけないもん。
なーら気にしなくていっか。ちょっとだけの夢なんだし、しっかり堪能しないとね。」モミモミ
「………い…ゆーいーー。」
気味が悪いほどの低いぬるい声が名前を呼ぶ。この声は間違いない、和美だ。
「私ったら夢にまで和美を出しちゃうのね。そのうち雪歩もくるんじゃない?w
ねえ和美もせっかくだから胸大きくして出てきなさいよ。」
「フフフ。まだ、気づいてないの?唯ちゃん、あなたはね、もうこの夢から覚められないのよヨヨヨヨヨヨ」
「ちょっと、どうしたの!?」
「はは、唯、言った通りだよ。お前はここから出られないんだぜぜぜぜぜ」
突如聞こえた雪歩の声。2人ともまだ姿は見せていない。
「夢なんだから、覚めないとおかしいじゃない!」
「分かってないわねいなこの空間は夢じゃないのよだぜ」
2人が重なったかのような口調の何かは喋り続ける。
声はもはや和美でも雪歩でもなく、しかし2人の声そのもの。
「夢じゃなきゃなんなのよ!」
「少なくとも唯の夢じゃないのよぜゼゼゼゼ」
「うるさい!」
怖くなって走り出す唯。
すると目が開いた。
「やった、起きれた。はあ、なんなのよあの夢。」
「起きてなんかないわよだぞお前は一生出られやしない。」
片方は和美、片方は雪歩となった物体が姿をあらわす。
「いや、嫌!ここから出して!あんたなんなの?」
「わたれは和歩よぜ」
唯は走って外へ出る。
「ここは、どこなの!!」
そしてふと思い出したのはパラレルワールド。
並行世界を自分は行き来しているのだと直感が告げる。
「そんな、帰れないの?胸はこのままがいいけど帰りたいよ…!」
着いたのは風天小学校。
「(茶トラぬいですよろしく。って、唯じゃないか。)」
「茶、茶トラぬい先生!」
「(相変わらずかわいいな。うんうん。)」
「え!?(あ、そうか。ここはパラレルワールドだから、性格とかも違うんだ。)」
「茶トラぬい先生、助けて!」
唯はこれまでのことを話すと同時に自分の仮説であるパラレルワールドの話をした。
「(ふむふむなるほど。落ち着きのいい穏やか性格の唯がこんなにうるさいんだから間違いないだろうな。)」
「この世界の私はおとなしいの?」
「(ああ。)」
「ねえ、どうやって元の世界に帰ればいいのかしら。」
「(まあ、精神病院へいけばいいんじゃないか?)」
「そんな…信じてくれないの?」
「(冗談冗談。でもあいにくながら知らないな。すまん。)」
「う、ううん。ありがとう。」
「(おいおいどこへ行く?)」
「探すわよ。帰る方法を。」
「(そうか。じゃあ、魔法ちょうちんさんに会いに行ってみるといい。)」
「なんで?」
「(おいおい、魔法ちょうちんといえば魔法を知り尽くした恐るべきちょうちんじゃないか!
あ、知らないんだったな)」
「こっちの世界ではそんなことに…。」
魔法ちょうちんの元へ向かった唯。
「あれ、いない。魔法グッズショップにいると思ったのに。」
「唯イイ。なんで逃げるんだのよ。わたれから逃げられると思っているのか。」
「なんで別次元の人間にならなきゃいけないの!」
「逃がさねない!」
再び全力疾走の唯だが、今度は雪歩と和美の合体した"和?"が追ってくる
「う、胸が大きいと走るのが難しい!けどあるの実感できるからこれはこれでいいかも!!」
「唯ィィイイイ!」
しばらく逃げていると魔法ちょうちんと思しき人物を発見。
「魔法ちょうちんさん!!」
「くぁっ!魔法ちょうちん!にげろましょ!」
「は、はあ、和?が逃げてった。魔法ちょうちんさん、助けて!」
「(相変わらず恐ろしいほどにかわいいな、唯。俺になんか用か?)」
「実はカクカクシカジカで。」
「(なに!?とするとお前は俺の知っている唯ではないのか!)」
「違う!問題はそこじゃなくってどう帰るかなの!」
「(それは困ったなあ。確か戻る方法はあったと思うが…!
あったぞ!忘れたけど。はあ、魔法の家から本取ってくるか。)」
「お願い!早くしないと和?が来ちゃう!」
「(和??)」
「和美と雪歩の合体したやつ!」
「(!!和美と、雪歩?)」
「?そうよ。」
「(くっ、よし。今すぐに本を取りに行こう。
俺は今から本を取りに行くから、唯は先に俺の家へ…って知らないんだよな。じゃあこの地図持ってけ。)」
「わ、分かった。」
「(狼に気をつけろよ!って、行っちゃったか。)」
渡された地図に従って魔法ちょうちんの家へ向かう唯。
いくら運動神経が良くても体力の限界レベルが到達し、今は早歩きだ。
「ハア、ハア、私が何したっていうのよ。元の世界では健全に巫女やってたじゃない!」
「ガルルルルルルルゥゥ」
自画自賛をしている唯に、そっと黒い大きな影が歩み寄る。
「な、なに?」
「ガルルルル、ヴヴヴヴヴゥ。」
「!お、おおお、狼!」
狼との睨みっこをしているうち、あることに唯は気づいた。
「あのペンダント!狼女のリリィ!でもリリィは狼になっても意識があるはず…。」
「ワァォォォォォオーーーン」
「こ、こないでこないでこないデェ!」
「キャハハハハハ!諦めてこの世界で生きろなさいよ唯。」
和?の声は聞こえるものの姿はどこにもない。
今の唯にわかるのは1つだけ。今の自分は最高に危ない主人公だということ。
「誰か!誰か!!」
「(フォーゥワットゥアーッ!)」
唯の声に気づいたのか、何かがものすごい勢いで伸び、狼を追いやった。
「(危なかったな、唯。)」
「ま、魔法ちょうちんさん!!今のすごくかっこよかったわ!」
「(はは、違いない。さあ、早く家に!)」
「あ、うん。(この世界の魔法ちょうちんさん、なんかかっこいい。)」
魔法ちょうちんの家。
「(いいか、お前のいう和?は、この世界では神とも呼べる存在だ。俺でも倒せないほどの。)」
「え、魔法ちょうちんさんって最強じゃないの?茶トラぬい先生に聞いたんだけど。」
「(確かに俺は強いが、和?は無敵だと考えろ。そもそも和歩は生まれないはずの存在だったのに、
お前が夢でパラレルワールドに行ってしまったせいでこの世界に和?なる生き物が誕生したという歴史になったのだろう。)」
「日本語喋ってくれない?」
「(へいへい。いいか?唯は偶然夢から別の世界へ行くことができてしまった。
夢とパラレルワールドを結ぶ場所が唯のいう何もない真っ暗な場所だ。)」
「うんうん。」
「(そして唯がその真っ暗な場所に来てしまったせいで、時間や空間が歪んだんだ。
大方、和歩は唯の知り合いか何かだろう?)」
「………」コクリ
「(唯の記憶に一番残っている人間が映し出され、それがこの世界に伝わってしまった。
誤作動を起こしたんだ。まあぶっちゃけ、世界が故障してその埋め合わせに和歩っていう超強いのが生まれた。)」
「なるほど、私がこの世界を壊しちゃったのね。」
「(その通り。だから唯が帰ればこの世界は消えるか、あるいは和歩がいなかった世界になる。)」
「データの初期化か削除の二択か。」
「(そうそう。はあ。唯の割に理解力が微妙だな。説明するのに結構時間かかったぜ。)」
「こっちの世界では天才なんだ私。」
「(そりゃもう、可愛いし天才だし優しいし最高だぞ。)」
「ふーん。まあ、とりあえず早く帰して。」
「(おいおい随分他人事だな。俺の方の世界が削除されるかもしれないんだぞ?)」
「私が時空やらなんやらを壊しちゃったときから、この世界は元々存在してないものでしょ?」
「(そうだが、今まで生きてきた人生の何時間かは、紛れもなくこの世界なんだぞ?)」
「違う人生を歩んでたかもしれないのよ。削除されてもされるのは分岐した世界であって、根本的な過去は消えない。」
「(……世界の仕組みがそうだとは言い難い。)」
「掛けてみればいい。どの道、私がここにいても世界は壊れていくだけだし、新しい何かがまた追加されて、この世界はまた分岐していく。
だったら消えても構わないはずよ。」
「(………唯。分かった。じゃあ、送る。唯が元いた世界へ。)」
「うん。」
「(3.2.1………)」
唯は再び目を開けた。
「ふあああ。変な夢見た。」
「遅かったわね、起きるの。」
「うん。」
唯は目線を下げる。
「やっぱり、夢は夢か。普段と変わんないや。この胸。…あれ?」
唯のポケットに、何かクシャクシャの紙がある。
「あ!これは!!」
それは、魔法ちょうちんへの家を示した手書きの地図だった。
「夢じゃ、なかったんだ。魔法ちょうちんさんの世界、どうなってるかな……」
「唯がガガガガ」
____THA END___
説明 | ||
ちょっと怖い感じの話を見たいと思って作りましたw 登場人物 北城 唯 http://www.tinami.com/view/742179 今河 和美 http://www.tinami.com/view/743015 今河 雪歩 http://www.tinami.com/view/754577 茶トラぬい先生 http://www.tinami.com/view/758041 魔法ちょうちん http://www.tinami.com/view/738956 天塚 リリィ http://www.tinami.com/view/894871 追記:ここではある登場人物を和歩と呼んでいますが既存のキャラ、今河和歩ちゃんではありません。 |
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コメント | ||
古淵工機さん>しかしどなたかが面白く繋げれば…やっぱり怖いですね。読み直すとクレヨンしんちゃんのホラー回みたいでしたw(ヴェルン) Dr.Nさん>エラーするとそんな事になるんですか。まさに和歩状態!お胸シーンがなかったら本当にただのホラーですw(ヴェルン) これは怖すぎるw(古淵工機) なにこれ怖いw 画像を別のメディアにコピーしようとしたらエラーで画像が中途半端に壊れてしまったということがたまにありますが、和歩ちゃんはそんな存在かも? あと、お胸とおしとやかさはトレードオフ説w(Ν) |
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