インフィニット・ストラトス―絶望の海より生まれしモノ―#132
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洋上に炎が上がった。

 

 

幾人もの生徒たちが学んできた校舎が。

 

 

 

幾人もの生徒たちが技量を争ってきたアリーナが。

 

 

 

幾人もの生徒たちを技術者として育ててきた整備棟が。

 

 

 

幾人もの生徒たちが日常をすごした寮が。

 

 

 

幾人もの生徒たちの憩いの場となった中庭が。

 

 

 

幾人もの生徒たちをしごき鍛え上げた校庭が。

 

 

 

教員たちの戦場にして憩いの場であった職員室が。

 

 

 

 

 

立ち上る爆炎が、瓦礫の山に姿を変えてゆく。

 

 

 

心情的な衝撃は、生徒よりも教師たちの方が遥かに大きいだろう。

脱出を果たした面々はその光景を洋上から呆然と眺めるしかできなかった。

 

 

かみ殺された声にならない声や、嗚咽の声。

高速艇の甲板でうずくまり泣き崩れる姿もある。

 

 

 

そんな教員たちを背中に鈴音たちはただ二つの姿が飛び出してくるのを待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、その期待は裏切られ、((本校舎|メイン・タワー))に火の手が上がる。

 

 

「っ、一夏っ!」

「だめだよ、ちーちゃん!」

 

飛び出そうとした千冬を、あわてた束が後ろから抱きつき押さえ留めた。

 

「だが、まだあの中に!」

「でも、だからって、っ!」

 

再びの爆発で、校舎上のタワーが大きく傾ぐ。

 

「ッ!?」

 

千冬の悲鳴のような声、束の悲痛な声。

 

 

 

 

 

それに混ざって、ぐしゃりという((破壊音|何かがひしゃげる音))。

 

 

 

 

音につられて視線を向ければ、揃って目を丸くする。

 

「り、鈴さん?」

「お前…」

 

握りつぶされた、転落防止柵。

ぽたりぽたりと滴る赤いしずくは、握りつぶされた金属柵が手を傷つけからだろう。

 

「鈴、手が!」

慌てたシャルロットが救急パックを引っつかんで鈴の元へ。

 

「ホント、自分が情けなくて泣けてくるわ。」

 

ぽつり、とこぼされたつぶやきはまるで染み渡るように周囲に広がっていく。

それに合わせて時が止まったかのように動きを止める。

 

 

 

 

 

「親友の危機だってのに、何もできないなんて…何が専用機もちよ。何が国家代表候補生よ。」

 

 

ぐっ、と握り締められた拳は、震えていた。

 

 

 

「一夏ぁ!箒ぃ!こんなつまんないとこで死ぬんじゃないわよ!」

 

ぐい、と目元をぬぐいった鈴音の大声は唸りを上げた船のエンジン音にかき消される。

 

 

 

 

見る見るうちに遠ざかってゆき、学園の姿が水平線の彼方へと隠れてゆく。

 

 

 

 

 

そして、火柱があがった。

説明
#132
とりあえずかけた分はここまで。
のこり、たぶん1話+afterになるはず。
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インフィニット・ストラトス 絶海 

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