マイ「艦これ」「みほちん」第44話<鎮守府の沿革> |
「……どこかで聞いたことがあるな」
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マイ「艦これ」「みほちん」
:44話<鎮守府の沿革>(改)
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準備のために退出した祥高さんが出た直後に呉が言う。
「さっきの空母さんもそうですが今の彼女……いわゆる秘書艦ですか?」
「そうですね。秘書艦兼、副司令というところです。実は副司令という辞令はまだ出ていませんので」
すると神戸が割り込む。
「他所では艦娘ってあまり目立たないから分かり難かったのですが、ここの艦娘たちは皆、存在感があるというか、とっても自然ですね」
今度は今まで黙っていた舞鶴が口を開く。
「彼女は……何?」
「は?」
……一瞬、彼の質問の意図を計りかねた私だったが直ぐに悟った。あぁ彼女の艦種のことか?
「彼女は重巡ですよ」
舞鶴のこの質問はどうやら他の参謀たちも気になっていたようだ。
急に納得したような雰囲気が執務室に漂い、呉や神戸が口を開く。
「ほぉ」
「なるほど」
「重巡……祥高型か」
私が意外だったのは舞鶴だ。彼は艦娘をよく注視しているらしい。
呉は言う。
「そういえば彼女もまた存在感がありますな」
「大淀と雰囲気は似ていますが、さらに迫力があるといか」
これは神戸。
「祥高……どこかで聞いたことがあるな」
そして最後の舞鶴の言葉に私も少しピクッと来た。彼も私と同じ印象か。
噂をすれば影、ちょうどその時、ドアをノックをして祥高さんが入ってきた。
「お待たせしました、では早速、鎮守府のご案内を致しましょう」
軽く敬礼をした後、彼女は続けた。
「まずは簡単に鎮守府の位置と担当範囲、所属艦の概要をボードにて説明します」
腕を組む呉。舞鶴はコーヒーをすすり、メモを取り出したのは神戸のみ。私も念のためにメモを出した。
そんな私たちの挙動は気にも留めずに祥高さんはボードの前に移動する。
「ご存知かと思いますが当鎮守府は海軍の第三次鎮守府配置計画に基づき設置されました」
「うん、うん」
「数年前に海軍で、そんな計画がありましたね」
「……」
私は内心『そんな計画あったっけ?』と思っていた。まぁ、そんな計画は無数に立ち上がる。オマケに途中で名前を変えたり二つの計画を合体させたり結局は『何でもあり』になる。上の決めることなんて、いつもそんなものだ。
祥高さんは続ける。
「私たちの守備範囲は日本海西方、特に舞鶴鎮守府の艦娘だけでは航続距離の関係でカバーしきれない鳥取県西部から島根県の沿岸部が中心です」
「うん、それも聞いたことがあるぞ」
「えっと……確かそうですね」
「……」
三者三様の反応。
ここ山陰は私の「出身地」だからな。その計画の主旨の部分は何となく印象に残っていた。
彼女はボードに資料を提示しながら続ける。
「この鎮守府は山陰特有の入り組んだ地形が多いこと考慮しています。ですから戦艦や正規空母よりは運用面で軽巡や小回りの利く駆逐艦が重点的に編成されています」
「なるほど」
「それで大型艦よりも駆逐艦が多いんですね」
「ふむ」
反応が良い参謀たち。
私は挙手をして彼女に突っ込んでみた。
「質問良いかな?」
「どうぞ」
「美保には潜水艦が居ないよな……確か今は陸軍の「まるゆ」が仮停泊しているけど」
「はい」
「さっきの将校に直訴すべきだったけど……美保に潜水艦を、もう少し増やす計画は無かったのかなぁ?」
「……」
彼女に聞くべき内容でもないし、困らせる意図も無いんだが。さすがに祥高さんは黙ってしまった。
呉が言う。
「そういえば今朝の戦闘でも敵は水深の浅い中海(なかうみ)に出たな」
「ああ、そうでしたね」
「……」
舞鶴は黙っているが祥高さんも黙ってしまった。これはまずいかも。
私は少し慌てたように言った。
「いや君を困らせるつもりは無い……ただ美保の守りを考えたら今後は潜水艦も必須だろうと思ってね」
呉が言う。
「まぁ司令殿も着任間もないですから。何事も『徐々に』でしょ?」
「はぁ」
まさか呉に諭されるとは思わなかった。ちょっと恥ずかしくなった。
私は祥高さんに言った。
「いや済まない。この件は改めて君と相談した上で軍令部に直訴するなら、また私から手続きするよ」
すると彼女は応えた。
「いえ私なら大丈夫です。それに軍令部も将校も、きちんと美保の将来は考えて下さっていますから……装備補充についても心配なさらなくても大丈夫だと思います」
「え? ……そうなの?」
ちょっと驚いた。
「はい」
確信を持って応える彼女。
え? えぇ? 彼女のこの応対ぶり……美保の将来について妙に確信を持っている。
「……」
いかん、いかん。私は慌てて頭を振った。独りで驚いて時間を浪費してはいけない。
パンパンと頬を軽く叩いた私は改めて彼女に言った。
「すまない、続けてくれるかな?」
「はい……では続けます」
彼女は軽く微笑むと再びボードへ向き直った。相変わらず沈着冷静と言うか度胸があるというか……切り替えの早い彼女だった。
「当地は埋立地を開削したため、かなり規模の小さな鎮守府となっています」
ようやく舞鶴もメモを出して書き始めた。
「ここは元々、弓ヶ浜半島による遠浅の地形で水深が深く出来ない事情があります。従って一般の艦船は配備せず艦娘だけの鎮守府となりました」
「なるほど」
……と、神戸。気のせいか、どことなく羨ましそうにしている。
彼女は少し資料を手繰った。
「美保には既に三柳陸軍と美保空軍という既存の防衛施設が存在していますから、ここは艦娘の基地だけでも十分、地域防衛が可能だとする政府の判断もあったようです」
「難し……」
ふと呟いた。次第に彼女が青年将校に見えてきた。
だが引いているのは私だけではなかった。呉や舞鶴はもう完全にアップアップしている。神戸も同様か? そんな雰囲気を察した祥高さんは急に慌てたように声の調子を変えた。
「すみません、難しい話は、このくらいにしましょう」
なぜか一同、安堵のため息。いや難しいというか……海軍の作戦参謀たちだろ? この程度の理論に弱くて良いのか? この体たらくじゃ理論面でも敵に負けるぞ。私は自分のことは棚に上げて苦笑するのだった。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中〜(^_^;)
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PS:「みほちん」とは「美保鎮守府」の略称です。
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秘書艦の祥高さんから美保鎮守府の沿革を聞く参謀たちと司令。しかし小難しい話で脱落者が相次ぐ事態に ……これでイイのか? オイ! | ||
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