異能あふれるこの世界で 第十四話 |
【阿知賀女子学院・麻雀部部室】
≪東一局の新子憧≫
起親:小走 25,000
南家:戒能 25,000
西家:赤土 25,000
北家:末原 25,000
憧『始まったわね』
憧『起親は小走先輩。配牌は……普通かなあ。悪形でも良しとするなら三シャンテン。良形変化を求めるなら一手崩しの四シャンテン』
憧『まあ状況が無い親なら、うん。端牌処理から入るよね』
憧『南家は戒能プロ。配牌は……微妙かな。小走先輩よりも悪いから、さすがのプロでもちょっと厳しそう。手が整ったあたりで先手を取られそうなカンジ』
憧『とはいっても、まあ初手は効率的に打つでしょ。オタ風から切るか、端牌から切るかの違いだけで――――えっ?』
憧『はあ?なんでいきなりど真ん中の五ソウから切っちゃってんの?』
憧『いや、確かに端牌や字牌は多めだけど……端手と一色手の両天秤ってこと?でも面子なんて一つもないし、キツいよこれ』
……
…
憧『戒能プロ、どうしちゃったんだろ』
憧『上手く両天秤をかけた手順は丁寧にも見えるけど……やってること自体は自称手役派の中学生と変わんなくない?』
憧『これがオーラスで、逆転を狙うために高得点を目指すってんならわかる。けど、東一局からやる意味ある?わけわかんない』
憧『でも……うん。後ろにいるだけで伝わってくる。戒能プロは真剣に打ってるよ。私にはわからないけど、きっと何か意味があるんだろうなあ』
憧『あ、やっぱあがれなかったか。末原先輩のザンク炸裂。まあ小走先輩は親の好形イーシャンテンになっちゃってたもんね。安く見える仕掛けに降りるわけないし、この振り込みはやむなしでしょ』
憧『にしても、末原先輩。もしかして、私と打ち方が似てたりする?初手の両面チー、私ならやるのかな?うう、気になるなあ。あっちで見てたらよかったよ』
≪東二局の新子憧≫
北家:小走 21,100
東家:戒能 25,000
南家:赤土 25,000
西家:末原 28,900
憧『さて、ここで戒能プロの親番。ここはハルエとの間で見させてもらおうかな』
憧『戒能プロは親番だからあがりたいわけだけど、ハルエは警戒相手の戒能プロの親番を流したいと思っているはず』
憧『この局は二人の戦いが楽しくなるんじゃないの?ちょっと期待して……配牌わっる!』
憧『戒能プロもアレだけど、ハルエのは最悪レベルでしょ。これルール次第で十三不塔って役満になるやつだよ。驚きのバラバラさだわ……』
憧『これじゃ何もできない。戒能プロの抑えは末原先輩頼みかもなあ。まあ戒能プロの手も遅いから、きっと誰かが対処するよね』
……
…
憧『八巡終わっても動きなしかいっ!』
憧『いやいや。戒能プロの親を放置とか有り得ないでしょ』
憧『確かに手は遅いけど、もし出来ちゃったら8000オールまで見えるわよ』
憧『ハルエあたりがなんとかするのかと思ったんだけど……』
憧『マジで何やってんの、これ』
憧『捨て牌だけ見れば端手か一色手なんだけど、手の内ぐっちゃぐちゃじゃん』
憧『そもそも、なんで理牌してないの?いや、してないっていうか……ヘン?』
憧『色の違う牌。67ソウと八マンなんかを面子と見ているような並べ方って、どうなの?』
憧『あ〜なんかすっごいムズムズするっ!それ、違うからっ。面子じゃないからね!』
憧『そういえば、こども麻雀クラブでこういうことしちゃう子がいたなあ。ソウズとピンズの区別が苦手だったんだっけ。ハルエもちょっと困ってたんだよね』
憧『っていうか、そろそろダマも警戒したい局面じゃない?ずいぶん無頓着に打っているように見えるけど』
憧『ほら、下家の末原先輩に鳴かれちゃった。怖いなあ。リターン無しでリスクのある打牌って見てられないわ』
憧『まあこれで警戒レベルも上がるから、打牌選択も慎重に……なってなーい!』
憧『なになに、ハルエの本気ってブンブン丸なの?振り込みオッケーの高打点麻雀だったりする?』
憧『なわきゃない。どっちかっていうと固い麻雀だってことくらいは知ってるよ』
憧『どういうこと?この局でなにがしたいの?』
憧『なんでまだ三シャンテンなのにガンガン行っちゃうの?メンホンだから?違う。それはない』
憧『他の人もハルエを見てる。そりゃそうよね。明らかに異常だもん』
……
…
憧『流局。全員ノーテンってのは、ちょっと意外だったな』
憧『仕掛けた末原先輩は早そうに見えたけど、降りたっぽいね』
憧『戒能プロも、一色手っぽいハルエのソウズをいくつか止めて再構成に向かっちゃったし』
憧『結局ハルエは全くテンパらなかったし……』
憧『さっきの話でノーテンは親流れって決まったから、ハルエにとっては良い展開なんだけどさあ』
憧『どこからどこまで狙ってやってたの?まさか全部ってことはないでしょー』
憧『ああでも、確信できるわ。これ、今の私には絶対に真似できないやつだ』
憧『……ううん、違う。たぶん卒業する頃の私でも無理。私にはない考え方でやってるはず』
憧『わかんない。わかんないけど、なんだろ』
憧『すごく、知りたい』
憧『こういう麻雀もあるってことを』
憧『知っておかなきゃいけない、そんな気がする』
説明 | ||
対局の模様(新子憧視点) |
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