大きくなったFAガール? |
ある日、うちにFAガールの轟雷がやってきた。他にも色んな所に轟雷が贈られたらしいけど、起動したのは私の所に来た轟雷だけらしい。
そしてその轟雷のデータが欲しいだとかで、同じくFAガールのスティ子(スティレット)とバーゼ(バーゼラルド)まで送られてきて、バトルする事になった。
初めは戸惑ったけど、バトルをするとバイト代が出るらしいし、今は何だかんだこの三人と一緒にいるのが楽しかったりする。
「あお、あお」
そんな最近できた可愛い同居人(?)の一人、轟雷の声に私は振り返る。
すると目の前に、轟雷が立っていた。
――私と同じ目線、同じ大きさで。
「……ご、轟雷……だよね?」
「はい、私は轟雷です。忘れてしまったのですか?」
首を((傾|かし))げる轟雷は可愛いなぁ……ってそうじゃない!
「えっと、轟雷、何かおっきくなってない?」
轟雷――いやFAガールはそもそも、サイズは15cm程度だったはずだよね……。それが何故?一体何が?って言うかこの状況が分かんないっ!
「何を言ってるのですか、あお。私はいつも通りですよ?」
混乱している私を余所に、轟雷は当然のように答える。
いつも通り!?轟雷、昨日まで小っちゃかったよ!?
と、そこに――
「ちょっと!まだなの!?」
「早く行こうよ〜!」
「……え?」
青いツインテールの女の子と、金髪サラサラの女の子が現れた!
この子達は誰!?
「……って、スティ子にバーゼ?」
「何、アンタ寝惚けてんの?」
「おっはよー!あおは寝坊助だね〜」
「バーゼ、アンタが言うな」
びしっとバゼ子の頭にチョップをするスティ子。そしてバーゼがそれに対して「痛いよぉ〜」と返す。
間違いなく、この二人はスティ子とバーゼらしい。
……んだけど、
「二人もおっきくなってるのね……」
轟雷だけじゃなく、スティ子とバーゼも手のひらサイズじゃなくなっていた。
「変な事言ってないでさっさと行くわよ!」
「……行くって、どこに?」
「あほっ子、アンタ自分でした約束も忘れたの?」
身に覚えのない約束の話されてる上にディスられたっ!?
「今日はバーゼ達と一緒に、遊びに行くって約束してたよ〜?」
「あお、忘れてたのですか?」
待って轟雷、そんなに真っ直ぐ見詰めながら悲しそうに言わないで……!
「わ、忘れてないよ……?」
自分でも分かるぐらい声震えてるよぉ……。スティ子はそのジト目止めてっ!
「はぁ、まぁいいわ。さっさと行くわよ」
「あ、待ってよ〜」
そう言ってスティ子とバーゼは外に行っちゃった。
「あお、私達も行きますよ」
「え、あ、うん」
……これ大丈夫なのかな?
◇
「わぁ〜、ウドラだぁ〜」
「…………」
「こんなののどこが可愛いのよ……」
上からバーゼ、轟雷、スティ子。
バーゼはウドラに抱き付いてはしゃいでる。轟雷も無言だけど、その表情はどこか嬉しそう。
それとスティ子ちゃん、こんなのとかどこが可愛いとか言ってるけど、触りたそうにしてるのはバレバレだからね?
「あお〜、写真撮って〜」
「あー、はいはい。ちょっと待って」
私も触りたいし、一緒に写りたいんだけど。
……っていやいや、そうじゃないっ!
結局みんなと遊びに行くとかで付いて来ちゃったけど、これからどうすれば良いの?とりあえず武希子に聞きに行けばいい?
「あお、次は私と一緒に撮りましょう!」
轟雷、何かキラキラしてるし随分テンション高いね……。
結局バーゼと轟雷にせがまれる形で、幾つか写真を撮った。もちろんスティ子もね。
最初は少し嫌そうにしてたのに、最後はノリノリな所とか可愛いんだよね。本人に言ったら顔真っ赤にしそうだけど。
「で、これからどうするの?」
「そうですね……二人はどうします?」
「バーゼお腹空いた!」
「そうね。そろそろいい時間だし、どこかでお昼ご飯にしましょ」
え?お昼ご飯?
あれ、FAガールはご飯食べないんじゃなかったっけ……?
「ではそうしましょう。あお、それでいいですか?」
「えっ?あ、うん、そうしよっか」
って同意しちゃったけど大丈夫!?
「じゃあ早く行こう!バーゼ、お腹ぺこぺこだよぉ〜」
「分かったから騒がないの。ほんとアンタはいっつもそうやって――」
「今そう言うのバーゼ聞きたくなーい!」
「逃げるなぁっ!」
スティ子のお説教が始まった途端、バーゼが走って逃げた。
「あお、私達も追いかけますよ」
迷子になられても困るし、走りたくないとか言ってられそうにもないかぁ。
「しょうがない……二人とも待ってぇー!!」
何とか二人に追いついた私達は、近くのファミレスで昼食を済ませて、駅前までやってきた。
みんな普通に食べてたけど、良いのかな?
「はぁ〜、まんぞくまんぞく〜」
バーゼ、すっごい幸せそうな顔してるね。
「さ、エネルギーも補充できたことだし、腹ごなしするわよ」
「そうですね」
「よぉーし、負けないからね!」
え?腹ごなし?何すんの?
「行くわよっ!」
スティ子がそう叫んだ瞬間、三人の身体が光った。
「な、何なの!?」
光が収まって目を開けると、そこには完全武装した三人の姿があった。
ちょ、ちょっと待って!?腹ごなしってまさか、ここでバトルする気!?
「準備できた?」
「問題ありません」
「おっけー!」
ま、待って――
「セッション!!見てなさい!」
「GO!!」
「にゃははっ!」
――――――――――…………
「あお、あお」
「んん……あれ?」
ここは……私の部屋?
「あお、おはようございます」
轟雷の声がする方に目を向けると、机の上に立つ“いつもの”轟雷がいた。
「あれ、轟雷が小さくなってる……」
「小さく?いえ、いつも通りですが」
いつも通り……?あれ……?
「あお、どうかしたのですか?」
もしかして……と思い、自分の頬を((抓|つね))ってみる。痛い。
「あー、やっぱりあれって夢だったんだ……」
「夢……?どんな夢を見ていたのですか?」
「えっと、三人が私と同じくらいに大きくなって一緒に遊びに行くんだけど、急に((装甲|アーマー))付けてバトルするとか言い出しちゃう夢」
「あおと同じ……」
あ、これ言わない方が良かったかな……?大きくなるのは無理だし、まだ一緒に外に行った事もないし……。
「バーゼも遊びに行きたーい!」
「ダメよ、外は危ないんだから」
やってきたバーゼとスティ子も小さい。当たり前だけど。
「バーゼラルド、スティレット。おはようございます」
「おっはよ〜!」
「おはよ」
バーゼも遊びに行きたいけど、外は危ないかぁ……。
「私の目の届く所でなら、良いんじゃない?」
確かに三人だけだと危ないかもしれないけど、私が近くにいれば大丈夫でしょ。
「確かにそうかもしれないけど……」
「じゃあ今週末、土曜日にでもみんなで遊びに行こっか」
「良いの!?やったー!」
「し、仕方ないわね」
仕方ないとか言っても、嬉しそうにしてるの分かるからね?
「あおと、皆と外に……」
「轟雷も楽しみ?」
「……はい。楽しみです」
「へへ、良かった」
轟雷も初めて会った時より笑顔が増えてきたね。いい感じいい感じ。
「あお、時間は良いのですか?」
時間?一体何の……あっ!
「ヤバい!早くしないとまた遅刻する!!」
「締まらないわね」
「あはは〜、あおいっそげ〜!」
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源内 あおの元に送られてきた三人のFAガールが大きくなった!? | ||
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