マイ「艦これ」「みほ2ん」第14話<攻撃待機>
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丈の短いスカートがヒラヒラして

 

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マイ「艦これ」「みほ2ん」

:第14話<攻撃待機>(改2)

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 空襲警報が鳴り響く。遠くからは高射砲の発射音が断続的に聞こえ、美保空軍基地からも迎撃機が上がっているのが見えた。

 

 日向は大声で報告する。

「今回、敵の目標が司令官である可能性が高いですが現状は警戒しながら鎮守府へ向かって宜しいでしょうか?」

「そうだな、それしか有るまい」

 

 そのとき寛代が何か呟き、日向が頷いた。

「秘書艦より伝言。今のところ美保湾に敵の艦隊は見られず航空機のみです」

 

私は応える。

「そうか、それじゃ暫く広い場所を避けて慎重に戻れば大丈夫か?」

 

「あと……」

日向自身が何か通信を受けたようだ。暫くブツブツやり取りをしてから私に言う。

 

「鎮守府の艦娘たちも、まだ出撃は見合わせて居るようです」

「そうか、例の協定か……海軍は様子を見るだけか」

 美保鎮守府として敵が航空機のみの場合、空軍の要請がない限りは艦娘たちも迎撃出来ないという不文律がある。陸軍、空軍に続いて後から美保に設立された海軍の部隊としては国土防衛のために『先輩』基地の顔(メンツ)を立てないといけない。これは、じれったい。

 

 もちろん我々海軍が直接攻撃を受けた場合には無条件で反撃が出来る。やれやれ、こんな約束事は時間の無駄だと私たちは思っていた。

 

「偉そうなこと言っても、陸軍や空軍じゃ、効果的な反撃も出来まい」

もちろんそんなことは公に口が裂けても言えない。

 

夕立が銃座から呟く。

「えぇ? 反撃出来ないっぽい? ……んー残念っぽい」

 

「……って、何が残念だよ!」

狙われているのは私の可能性が高いんだぞ。

 

 思わず小言でも言ってやろうと思って振り返ろうとした……が、夕立の太ももが目に入った。慌てた私は首をすくめた。

 

 そうだ! 夕立は後部のスペアタイヤに腰掛ける形で銃座で構えの姿勢を取っている。うかつに振り返れば、彼女の丈の短いスカートがヒラヒラしているから……そこから先は禁止。

 

 日向も私の硬直具合を気にしたのか? バックミラー越しにチラチラとこちらを見ている。ごめんな日向、お前は、こういう感度低いよな?

 

 遠くからは敵機の攻撃音、そして高射砲が破壊される音や空軍機が落ちるような音が聞こえた。多少、時間稼ぎになっただろうが結局は、陸軍の高射砲も空軍の迎撃機も根本的に役に立たない。敵機は無傷のまま、どんどん弓ヶ浜上空に接近している。

 

 日向が言う。

「やはり、このまま鎮守府に戻るのは危険です。市街地から迂回して必要ならどこかに退避しましょう」

「ああ」

 

すると夕立の声。

「ねぇねぇ市街戦? コレ撃って良いっぽい?」

 

撃つな! ……と言いかけて、また硬直。眩しい太ももがチラッと見えた。やれやれ、私はいったい誰と戦っているのやら。

 

 日向が寛代から何かを聞いている。

「司令、このまま行くと鎮守府まで丸見えになります」

「だろうな」

 

記憶を手繰(たぐ)ると共同墓地から海沿いの幹線道路へ出る道は山も林もない。もちろん大きな建物もないから狙い撃ちだ。

 

 日向が続ける。

「この先は見通しの良い平地が続くので敵の地上部隊からも攻撃される危険性があります」

 

私は腕を組む。

「そうだな。下手したら敵の重戦車が来る可能性もあるわけだ」

 

「えぇ? 重戦車?」

夕立は嬉々としている。おいおい。

 

冷静な日向は続ける。

「鎮守府へ戻るのは一旦あきらめて港の旧市街地方面へ退避しましょう」

「分かった」

 

夕立が口を挟む。

「やっぱり市街戦っぽい?」

 

「夕立は、どうしても話をそっちへ持って行きたいようだな?」

私は前を向いたまま半分怒鳴った。

 

「えぇ? だってぇ」

恐らく夕立は後ろで口を尖らせているだろう。

 

私は呟いた。

「どうして艦娘って戦闘になると生き生きするんだろうな?」

 

 だが、そうは言いながらも、まてまて。私も頭に血が上ったかも知れないと思ったので、落ち着こうと深呼吸をした。

 

「はぁ……まあ、仕方ないか」

艦娘も兵士である以上、戦うことが使命だ。そこは咎めても始まらないよな。

 

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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PS:「みほ2ん」とは

「美保鎮守府:第二部」の略称です。

 

説明
空軍の要請がない限りは出撃できないという縛りの中で司令たちは市街地を逃げ続ける。
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美保鎮守府 ア艦これ みほちん 空軍 市街地 

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