マイ「艦これ」「みほ2ん」第27話<空母機動部隊> |
「……頼むから住宅密集地へは落とすなよ」
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マイ「艦これ」「みほ2ん」
第27話 <空母機動部隊>(改2)
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今日も快晴。
境水道を吹き抜ける潮風は心地良いが油断は出来ない。
恐らく戦いたくてムズムズしている日向。遮蔽物のない岸壁で必死に電探での索敵を続けている。
きっと何かをしていないと落ち着かないんだろう。平時はボーっとしている夕立とは違うよな。
その日向が言った。
「司令、先ほどの攻撃より敵機が多いです」
「なるほど」
私は頷きながら、そういう生真面目さが彼女らしいなと思った。
日向は矢継ぎ早に続ける。
「秘書艦より入電、美保関沖に敵空母2隻、駆逐艦数隻を確認」
「……あ」
聞いていなかった。
「ごめん日向、上(うわ)の空だった。なに、空母?」
呆けていた私に構わず彼女は真面目な顔で報告を続ける。
「こちらの撤収部隊とは別に迎撃艦隊を編成して宜しいでしょうか? ……と秘書艦より確認が着ています」
「すべてOKだ。以後、本日の作戦において君(秘書艦)の判断に任せると伝えてくれ」
私は応えた。半分手抜き……というか戦闘の指示に関しては彼女が判断しても問題ないだろう。
「了解」
日向は敬礼して、その旨を通信している。
境水道では比叡と島風が断続的に対空射撃を継続して砲撃音が続く。やはり既存の陸軍や空軍よりは遥かに威力がある。敵機が次々と撃墜されていく。
それは良いのだが。
「……頼むから住宅密集地へは落とすなよ」
そちらの方が心配だ。民間人への被害だけは最小限に……そう思いながら冷や汗が出そうだった。
時折、暇そうな夕立が岸壁から島風と話をしている。
「おい! お前らなぁ、一応、戦闘中だぞ?」
「でもぉ」
夕立が口を尖らせる。
「今のところ大丈夫そうだよ?」
時おり連装砲ちゃんたちに指示を出しながら島風は済まして言う。
結局、島風と比叡だけでも、十分戦線が維持出来ているということか。
「そういえば美保関沖に、敵の空母機動部隊が居るらしいが」
日向は坦々と言う。
「その部隊、そのまま動かなければ良いっぽい」
夕立は相変わらずだな。
「なぜ空母二隻?」
気になる……私は腕を組んだ。
ふと正面にある島根半島の高尾山にある空軍の電探施設も気になってきた。
「日向、あの高尾山の電探施設から直接、情報を受信することは出来ないのか?」
彼女は頭を振った。
「海軍と空軍ですから、そもそも処理経路が違います。やるとしても一度、面倒な変換が必要なはずです」
「そっか」
(難しい話だな)また半分、私は上(うわ)の空。
……そんな私に構わず日向は続ける。
「空軍側の暗号解除処理と同時に伝送時の盗聴防止など、その変換処理だけで私一人の能力を越えます」
「要するに無理ってことだな」
別に日向自身に単独で処理して欲しいわけではないが。
その間にも比叡は要撃を継続しながら少しずつ、こちらへ近づいている。
「司令ぇ!」
「おい手を振っている場合か?」
あいつも、夕立に負けずのん気だ。
比叡と島風が境水道で粘ってくれているので意外に敵の航空部隊は、ここへ近寄れないらしい。
既に第二波の敵は、いくつも撃墜したようだ。他の機体は警戒して、やや遠巻きに旋回を続けていた。
その時、夕立が美保湾側を指差して叫んだ。
「キタっぽい!」
比叡の向こう側に、かなり大きな艦隊が見えた。例の大淀さんを中心とした撤収部隊だ。旗艦は大淀さん。補佐が足柄さんで、その後ろに駆逐艦が大挙して航行している。
「けが人二人分の撤収か……大掛かりになるな」
やっぱり捕虜は余計だっただろうか。ちょっと考えてしまう。
一緒に居るのが艦娘でなく人間の部下だったら感情的な反応を示したかも知れない。ただ日向も夕立も私の指示には反発しない。
それが良いのか悪いのか……さすがに戦艦クラスの日向になると何か考えているような表情を見せることはある。
私情と言われても仕方がない。それでも、この深海棲艦は気になる。それに……。
その時、日向が報告する。
「美保関の敵空母機動部隊は、なおも動く気配はない模様」
「あの敵の機動部隊は気になるな」
「そうですね」
日向も同意する。
「敵機にしても、いつものように本格的に攻めて来ないのも逆に嫌な感じだが」
私は腕を組んだ。
「ぽいぽい?」
夕立は安心しきっている。いや、こういうときこそ警戒を怠ってはいけない。
どこかのセミが鳴き始めた。私は帽子の汗を拭った。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。
説明 | ||
撤収部隊が来るまでに島風と比叡は境水道で敵機を要撃する。だが司令は敵空母機動部隊が気になった。 |
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