SAO〜帰還者の回想録〜 第8想 存在
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SAO〜帰還者の回想録〜 第8想 存在

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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和人Side

 

かなりの時間が経過したことが容易に理解できるくらいに、このVR空間で自分の過去を見てきた。

古流武術『神霆流』の現在に至るまでの身近な面々との出会いや入門、稽古や修行の様子とそれぞれの成長を見た。

こうやって第三者の視点で自分の過去の行動や発言を見るのは中々恥ずかしかったりもしたけどな。

 

だが、俺“桐ヶ谷和人”という存在を形作る上でこの道だけは避けて通ることのできないものだったと思う。

仮にその時は避けることができても、また違う時にそれが訪れただけに過ぎない。

避けて通れない道、それは俺が俺自身の生まれを知るということだ。

 

 

 

時井八雲一派の神霆流が揃い、俺達の間柄はさらに賑やかとなった。

公輝が加入し、九葉が正式に稽古に参加したのが先程まで見ていた俺が小学四年生の時。

学校での生活や友人達との遊び、仲間と共に稽古や修行を送っていき、再び春の季節が訪れた。

進級により当時の俺と景一は小学五年生に、志郎は六年生に、烈弥と刻と直葉は四年生に、学校こそ別だが九葉と燐は三年生になった。

公輝は小学校を卒業して中学校に入学、中学一年生となったわけである。

とはいえ特に何かが大きく変わったわけではなく、

これまで通りに学校から帰宅したら全員で一緒に宿題を終わらせ、稽古・修行に入るというだけだ。

まぁ、公輝が中学生になって到着が遅れ、それを彼が弱冠嘆いているくらいだろうか(笑)

 

仲間同士で切磋琢磨し合い、着実に力を付けていき、

これまで通り何も変わらないのだと、当時の俺達は子供らしく不変を信じ切っていた。

 

この夏が訪れるまでは。

 

 

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春が過ぎ、五月に入って立夏となり、六月にもなると梅雨の時期が訪れ、梅雨が続く七月のこと。

学校でパソコンを使った授業が行われており、

再び同じクラスになった当時の俺と景一が名前の順番で隣に座りながらパソコンを使用している時だった。

 

「桐ヶ谷君、本当にパソコンを使うのが上手いわね。

 キーボードを打つのも特に早いし、先生もそれなりだと思っていたけど何度見ても驚いちゃうわ」

「ありがと、先生」

 

俺が五年生の時の担任は情報系が一番得意な先生であり、

家庭訪問の際にはパソコン雑誌の編集者である母さんと意気投合して長く語り合っていたのは今でも覚えている。

そんな先生をして、やはり当時から俺は機械系が好きだったんだなと思う。

 

「ねぇ桐ヶ谷君。先生の方で何度か考えたりしたんだけど、パソコン系の検定試験を受けてみたらどうかしら?

 勿論、ご家族の方と相談してみてだけどね」

「検定試験? そういえば、お母さんもそんなこと言ってたような…」

「そう。家庭訪問の時にもお母様にお話しさせてもらったんだけど、桐ヶ谷君の上手さだったら小学生でもやれるものは当然だけど、

 中学生向けのものも十分合格を狙えると思うの。

 試験を合格すればその資格を貰えて、近い将来だと高校やその先の大学受験、仕事につく時にも有利になる時もあるわよ」

「う〜ん、検定試験か〜」

 

先生から検定試験を受けてみないかと聞かれ、考える様子を受けている俺。

その隣に座る景一は面白そうな話だと先生に声を掛けた。

 

「先生。検定試験ってなんですか?」

「そうね、折角だからみんなにも教えておこうかしら。検定試験っていうのはね……」

 

景一の問いかけに先生はパソコン室前方の教卓の所へ行き、みんなに検定試験についての説明を始めた。

検定試験そのもののこと、小学生向けのものもあること、様々な試験があることを話した。

その話が終わる頃には授業時間が終わりを迎えようとしていた。

 

その日の夜、食後をリビングで過ごしていたところで当時の俺が両親に話しかけた。

今日、学校で先生から検定試験を受けてみたらと言われたことを話している。

 

「私はいいと思うわ。

 和人くらいの子でも検定試験をクリアして資格を持っている子はいるし、貴方なら余程のことがないと落ちないと思うし」

「父さんもいいと思うぞ。和人は機械に強いし、パソコンも上手いからな。やってみたい試験くらい受けさせてやるぞ」

「うん、ありがとう。なにかやってみたいのがあるか調べてみるよ」

 

親父も母さんも快諾し、そうして俺は自室に行き母さんのおさがりであるパソコンで検定試験について調べ始めた。

これがきっかけであり、始まりだったんだ。

 

 

 

数日後、未だに梅雨が明けない七月の土曜日のことだった。

この日は珍しく晴れ間が差し、快晴の天気となっていた。

検定試験について調べている当時の俺に対し、直葉は外で元気良く竹刀を振り剣道の練習をしている。

神霆流の修行は午後からなので午前中は調べ物に時間を費やしたわけだ。

 

「検定試験ってやっぱ一杯あるなぁ。小学生向けで確実に合格しにいくか、それとも思い切って中学生向けに挑戦してみようかな?」

 

独り言が出たのは調べ過ぎて疲れが少し出たからだったか?

まぁ検定試験と言ってもその数は多いからな、詳しい内容まで調べて受けたいものを選別していたら疲れもするか。

 

「そういえば、検定試験ってどうやって受けるんだろう?

 お父さんとかお母さん、先生が知ってるかな?一応、調べてみよっと……」

〈調べる、のか…〉

 

検定試験の受け方について調べようとする当時の俺に思わず息が詰まってしまう。

このあとのことを考えれば、気分がいいわけがないからな…。

 

「資格の種類によっては面倒なんだなぁ。

 住民票ってやつの写しが必要だったりするのか……あ、でも住民票の写しじゃなくてもいいんだ。

 “住基ネット”?正式名は『住民基本台帳ネットワークシステム』か、えっとこれは……」

 

住基ネットについて調べていく当時の俺はその概要を知った。

 

「なるほどな、これに記録されていたら使えるってわけか。ウチは記録してあるのかな?」

〈っ、やめろ!〉

 

思わず声が出て、手が伸びて幼い手の上に覆いかぶせようとする。

けれど、それは触れることなくまるで空を切るようだった。

 

マウスを動かして住基ネットにおける本人確認情報を調べ、結果的に桐ヶ谷家は記録されており、

当時の俺は“桐ヶ谷和人”本人の情報を確認することは出来た、出来てしまったんだ。

 

「え…?」

〈ホント、俺って馬鹿だよなぁ…〉

 

画面を食い入る様に見て固まってしまった当時の俺を自嘲気味に笑ってしまい、けれど俺自身も画面を見つめてしまう。

 

「うそ……じゃ、ないん、だ…」

 

住民票コードの他、四つの情報(氏名・生年月日・性別・住所)、

変更情報と呼ばれる前述の四つの情報の変更履歴、変更情報には変更年月日と変更理由も含まれている。

 

入力されている俺の四つの情報には変更履歴があり、当然ながら変更年月日と理由も書かれている。

氏名の内の姓と住所が現在の桐ヶ谷姓と桐ヶ谷家のものに変更されており、

変更理由は実の両親の死亡による保護者の変更に伴う事、変更年月日は両親の死亡より数日後になっている。

 

〈SAOとALOが終わった後、親父と母さんと一緒に改めてこれを見たんだよな…〉

 

横の桐ヶ谷少年を見ると凍りついた表情のままで、けれど力が抜けたように椅子に深く座り込んだ。

少しして彼は外の直葉を見た、その表情は様々な色が渦巻いている。

呆然、戸惑い、驚き、それに寂しげなものと悲しげなもの、事情を理解して納得もしてしまったことが窺える。

 

〈俺はこんな表情をしていたわけか…〉

 

外を見るのをやめ、パソコンのブラウザを閉じると検索履歴を消去し、電源まで落とした。

ふらつきながらベッドに向かいそのまま倒れ込み、色々と考え込むように目を閉じている。

そのまま眠りについたのかこの時の情景はここで途切れてしまったが、

景色の消え際に目尻から雫が流れたということは、そういうことだったんだろうな…。

 

そのあと、当時の俺は昼食前に目が覚めたが気分が優れないということで修行は休み、部屋に篭ったままだった。

夕食も早々に済ませると部屋に戻り、考え込むようにしてまた眠りについた。

 

 

 

翌日の日曜日の午後。

外出した祖父母と友達と遊びに行った直葉、

両親はリビングでレンタルしてきた映画を鑑賞しているというタイミングを狙い、当時の俺は動いた。

 

「((父さん|・・・))、((母さん|・・・))」

「うん?」

「どうしたの、和人?」

「俺、二人の直接の子供じゃないんだよな」

「「え…」」

 

二人が休日の映画鑑賞をする完全リラックスモードである時を狙った、意識の外からの渾身の一撃の言葉だ。

気が抜けていた親父と母さんはその変化した呼び方にも気付かなかったんだからな。

 

「検定のことで調べてる時に受け方とか申し込みのことで住基ネットを知って、それの個人確認情報を見たよ。

 俺が父さんと母さんの甥っ子、直葉の従兄で、俺の産みの両親が事故で死んでるのも、全部知ってる」

「か、和人…」

「あ、あのね…」

「大丈夫。俺は、大丈夫だから…」

「「あ…」」

 

畳みかけるように知った理由と経緯を話して、だけど隠させようとも誤魔化せないようにもしている。

俺の様子を本当に心配している両親すらも無視して、自分は大丈夫だと言い張る姿に、二人は今度こそ何も言えなくなった。

 

「急にゴメン……でも、確認しておきたかったから。((直葉|・・・))には、黙っておけばいいんだよね?」

「……あぁ、頼む」

 

いままでスグと呼んでいた妹のことも直葉と呼んだことで親父も母さんもようやく自分達が呼ばれた時のことに思い至った様子だ。

そんな二人から逃げるようにリビングから出ていく当時の俺。

 

「それじゃあ、俺は部屋に戻るよ………俺のこと育ててくれて、ありがとう…」

「っ、和人…」

 

出る瞬間の言葉に母さんが名前を呼んだけど、俺はそのまま部屋に戻っていった。

部屋に戻るとまたもベッドに倒れ込んだ。

 

〈ショックだっただろうな、親父も母さんも。ま、俺もこの時はきつかったからな…〉

 

いまでもこの時のことは確りと覚えている。

周りを気に掛ける余裕もなく、突然知り得てしまった事実に混乱が治まりきっていなかった。

どうしたらいいのか分からないまま、子供ながらに一日考え抜いた結果がこれであった。

 

「師匠が見た俺の資質、それに本当じゃない俺の生まれ……俺は、一体なんなんだ…?」

 

改めて思うと随分と哲学的な悩みにまで発展してしまっているが、こればかりは仕方が無い。

小学五年生とはいえまだ幼い時分と言っていい、

あまりにも衝撃的な出来事に混乱も困惑も驚愕もしたし、乗り越えるのにも随分と時間が掛かったからな。

 

これは家族との距離感が狂い出した始まりに過ぎず、同時に内に秘めた資質と狂い出した距離感から、

俺自身の存在と立ち位置が揺らぎだした始まりでもあった。

 

 

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それ以降、当時の俺と家族との距離感は加速度的に増していった。

傍から見れば変わった様子は分かり辛いが、家族間で見ればだいぶ変わったと見れる。

 

あの日から俺の家族への呼び方はお父さんから父さんへ、お母さんから母さんへ、

スグから直葉へ、祖父ちゃんから祖父さんに変わった。

 

元々両親は共働きでただでさえ家族で居る時間は多いとはいえ無かったがさらに時間は減り、

一人で居る時間が増えて自室で趣味のパソコンやゲーム、あるいは機械弄りで自作のマシンを作るか、

本を読んだり勉強をしたり、外か道場でただひたすらに修行をするという状態だ。

とにかく余計な思考を紛らわせようと我武者羅だったんだ。

 

祖父母も当時の俺が知ったことを両親から聞き、

直葉だけが知らない状況になったことが緊張感を作ってしまい距離感を広げてしまった要因の一つだといまでは思う。

 

また、少しとはいえ距離感が出たのは仲間達に対してもだった。

ただ、こっちに関しては悩んでいることを相談するべきかどうか、事情を隠していることに対する後ろめたさ、

それに事情を知られた時の反応が主な要因だったな。

みんなも心配してくれていて、どうしたらいいのか解らないという感じだったのを覚えている。

 

ただ、祖母ちゃん……祖母だけは違った。

両親は仕事のこともあってどうしても時間を作ることが難しくなり、直葉と祖父は剣道試合の一件から相変わらずであった。

でも、祖母は何も変わらず、いままで通りに接してくれていた。

 

とはいえ、転機が訪れるのもまた突然だ。夏休み開始直後の土曜日、その人がやってきた。

 

「久しぶりですね、和人」

「師匠…」

「みんなから聞いてはいましたが、かなり抱え込んでいるみたいですね」

「師匠……俺、どうしたら、いいのか…」

 

本来なら夏休みの奈良修行まで会うことはないはずだったが、この時だけは違った。

仲間達が師匠に相談し、態々家まで来てくれたわけである。

当時の俺も師匠の存在に安心したのか、この人なら大丈夫だという安心感もあったからか事情を話すことを決めた。

 

話を聞き終えた師匠はその内容に瞑目し、すぐに開くと優しい表情を浮かべた。

 

「和人。ご両親のことは好きですか?」

「はい」

「妹さんもお祖父さんもお祖母さんも好きですか?」

「はい」

「仲間達も好きですか?」

「はい」

〈昔の俺が純粋で辛い…〉

 

師匠の問いかけに少しばかり力が抜けつつもちゃんと応える当時の俺。

いまの俺には結構眩し過ぎる、今の俺は大人に汚れてしまった……まぁふざけるのはこれくらいにして…。

いやだって、恥ずかしいし…。

 

「和人が家族を、仲間を、友達を好きでいるのなら、貴方が愛情を向けている人達もきっと同じ想いでいてくれます。

 そう思うのが難しいのなら、せめて貴方が好きだと思う人達への想いは信じなさい」

「みんなを好きなことを、信じる…」

「私が一人の愛弟子である和人のことを好きだということは信じられませんか?」

「そんなことないです! あ…」

「そうです。その気持ちがあるのなら、貴方は大丈夫ですよ。家族への、友への、仲間への想いを、信じればいい。

 相手からの想いが不安ならば、そのままでもいいんです。私を含めて、誰かに話せる時に話せばいいのですから」

「……はい! 俺、みんなへの想いを信じます! 受ける方は自信ないけど、頑張ってみます!」

 

そうだ、この時に師匠からこの言葉を貰えたからこそ、とにかく進んでみようと思えた。

吹っ切れたわけではない、全てを受け入れられたわけでもない。

それでも、これまで愛情を注いで育ててきてくれた両親と祖父母、兄と慕ってくれている直葉、

見返りのない友情を持ってくれる仲間達の想いに応えるために、当時の俺は止めていた歩みを再開させた。

 

 

 

当時の俺はその日の夜、直葉が眠ったあとで両親と祖父母と話しをした。

独断でだが師匠に俺の事情を話した上で相談してアドバイスを貰ったことを。

 

「俺。まだ全部受け入れるには、時間が掛かると思う。でも、みんなのこと、直葉のことも、ちゃんと家族だって思ってるから。

 これからもたくさん、心配させちゃうと思うし、迷惑もかけると思うけど、それでも家族だって信じてるから」

 

小学生の俺が話せる精一杯の言葉で自分の気持ちを告げた。

 

「和人っ、ごめんね…! あの時、何も言えなくて、ごめんね…!」

「そんなことない。あれは、俺のせいだから…」

 

感極まったように泣きながら母さんは当時の俺を抱き締めている。

言葉にすることをしなかった、出来なかったことを何度も謝りながら。

 

「和人のせいじゃないさ。父さん達には親としての責任があった。

 それを先延ばしにしていたから、父さん達のせいだ。ごめんな、和人」

「……ありがとう、父さん…」

 

母さんに抱き締められている俺の頭を優しく撫でている親父。

話す時間をここまで先延ばしにしてしまったことをかなり申し訳なさそうにしている。

 

「すまなかった、和人。剣道のこと、それに直葉のことでも辛い思いをさせてしまった…」

「でも俺、祖父さんが剣道を教えてくれたから剣を好きになれた。祖父さんのお陰だよ」

 

直葉が俺に発してしまった言葉のことや剣道でのことをすまなさそうにしている祖父さん。

けどそれはすんでしまったことで、そうじゃなくてもきっと違う形で何かが起きていたかもしれない。

ある程度の溝はあっても直葉は俺から離れようとはしなかったしな。

 

「ね、お祖母ちゃんが言った通りだったでしょう? 和君なら答えを出せるって」

「うん。言った通り、ちゃんと考えられたよ…」

 

祖母だけは変わらずに俺に接し、何度も話しかけては大丈夫だと、自分で決めて答えを出せると言ってくれていた。

師匠のアドバイスがあったとはいえ、結果その通りになった。

 

両親と祖父母と話しを終えて、当時の俺は自室に戻る前に直葉の部屋に寄った。

ベッドで眠る彼女に布団をちゃんと首元まで着せて、声を掛ける。

 

「明日からはちゃんと前みたいに話すからな。血は繋がってなくても、俺達はちゃんと兄妹で、直葉は俺の妹だからな…」

「……んっ、おにいちゃん…」

 

言葉を掛け終わって部屋を出る時に直葉が寝言で俺のことを呼んだ。

当時の俺はそれに微笑むと直葉の部屋を後にして、自分の部屋に戻っていった。

 

こうして当時の俺は家族との絆を再認識したんだったな。

 

 

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後日、当時の俺は師匠を交えて仲間達にも自身の出生を話した。

悩みがそれであったと理解した面々はさすがの内容に自分達では相談相手になれなかったと納得していたが、

信頼して話してくれたのは少し喜んでいた。

 

そこからの俺はとにかく色々なことを率先して学んでいった。

勉強をするだけじゃなくて志郎や公輝といった年上の授業や勉強内容にも手を出し、様々な本を読み漁ってとにかく知識を付けた。

学校の体育などの運動にも全力で取り組み、神霆流の稽古と修行に関しては鬼気迫る勢いであるくらいだ。

苦手分野は克服し、得意分野はさらに伸ばし、家事なども手伝って簡単な料理くらいは覚え、

身に付けられる技術をとにかく覚えたわけだ。

それに触発されて、神霆流の仲間達も可能な限りの実力を俺と共に伸ばしていった。

 

一方、実力を以て一人で大体のことができるようになったことが、両親と祖父母と師匠には変化が大きく見えたようだ。

この時の俺は当然知る由もないが、現在の俺から見ても解るほどに“孤高”になっていく。

あくまで孤独ではなく孤高、ただ一人その高みに至ろうとしている。

 

その隣に立つ存在の((彼女|・・・))については今後でというところか…。

 

 

 

だが、七月から二ヶ月後の九月後半の折に志郎もまた自身が十六夜家の実子ではないことを知る一件が起きた。

 

さらに一ヶ月後の十月。俺の祖母が倒れて病院に入院することになり、もう一ヶ月後の十一月の後半に亡くなった。

実の両親以来、二度目の身内の死に触れた事になる。

 

この翌年、進級により当時の俺と景一が小学五年生から六年生に、烈弥と刻と直葉が五年生に、

志郎は小学校を卒業して中学一年生に、公輝は中学二年生になった。

 

この年の九月の二学期最初の土曜日、景一と幼馴染である詩乃が銀行強盗に巻き込まれて犯人を射殺してしまう事件も起きた。

 

加えて五ヶ月後の二月、祖父もまた倒れてしまい、そのまま帰らぬ人となってしまった。

三度目の身近な人の死に触れたことになる。

 

 

 

これらの出来事は俺を含めて志郎と景一に影を落とすことになった。

 

和人Side Out

 

 

To be continued……

 

 

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あとがき

 

 

今回もなんとか完成、結構厳しい状況ですがそれでも頑張っていきます・・・!

 

さて、今回の話しは原作にて僅かに触れた事がある程度の和人の家族についての事実でした、勿論本作の捏造設定も含まれます。

 

まず原作で和人がこれを知ったのが10歳の時のことらしいですが、

アニメにて幼少の和人が知った時に着ていた服は夏物で外にいた直葉にいたってはタンクトップ系のもの。

これを踏まえると晴れの日で季節は夏場になり関東ともなると6月後半から7月ほどの気温でないとそういう服装にならないと判断。

しかし、そうなると和人が四年生の場合はまだ9歳なので年齢と時期を合わせるために本作では五年生時のこの時期にしました。

 

次に和人が知るために利用したという住基ネットですが自分が調べた上で原作同様に本人ならば個人確認情報を利用できたという点。

これに関しては細かく調べるわけにもいかなかったですし、本編内での時間軸は2019年になります。

法改正、あるいは現実におけるマイナンバー制度のようなものになっているという設定を用いらせていただきます。

よって、和人は自宅からでも確認できた、というわけで二次創作なので大目に見てください。

 

そして和人が知る為の経緯として検定試験系を捏造設定として利用しました。

住基ネットの特徴の一つに住民票の変わりになるものがあり、

あとは本編でも書いたようにそれについて興味が湧いた和人が調べてしまい知ってしまったということです。

まぁ、好奇心は猫を殺すというような感じの結果、偶然という形でこうしました。

 

これならなんとか矛盾をあまり出さずに出来ていると思います。

 

あとは原作とは違い、親友ともいえる仲間達と師匠の存在もあり家族との距離感は少し狂っていますが概ね修正されてます。

原作は孤独でしたが本編では孤高という形です。

和人はこれを機に家族に応えようとパワーアップしていきます、これが本作のチート和人の要因2です。ちなみに要員1は神霆流ですねw

 

最後の部分の端折った暗い流れの内、祖父母に関しては正直書ける気がしませんのでパスします。

書くのは志郎と景一の部分です、次回はこの二人による過去とその部分になります。

そのあとで烈弥達も書いていきますが纏める形になると思います、暗い過去が無い面子は特に短いはず。

 

とにかく次回の執筆も頑張りますよ〜!

 

 

 

説明
和人は己の存在に悩む出来事に遭遇する
果たして彼が決めたその思いは…
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コメント
グルメ96様へ 事実、世の中様々ですからね…(本郷 刃)
ゼ「まぁ、小学生からしたら血が繋がってない関係を知ったらさぞかしショックだよな・・・でも、まだマシなほうだせ。世の中、家族、家庭を知らずに施設で育った奴とかいるからな・・家庭を失った奴もいたな。」主「あぁ、"彼ら"のことね。その事もいずれこちらの小説で書けるようにしたいな。」(グルメ96)
lightcloss様へ はい、戦闘能力面でも意識面でも結局は師匠の存在のお陰です(本郷 刃)
ディーン様へ 和人自身が己の過去をどう思っているのかは総じて本編の最後の方で、志郎と景一に関してはまた次回でw(本郷 刃)
師匠様様だね。今後も楽しみにしてます。(lightcloss)
キリトは自分の過去をどう思っているのかな?次回は景一と志郎にいったい何が起こるのか、期待して待っています(ディーン)
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