艦隊 真・恋姫無双 外伝 前編
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【 日常 の件 】

 

? 〇〇鎮守府 執務室 にて ?

 

 

日本のどこかにあると言われる『〇〇鎮守府』は、今日も平和であった。

 

どれくらい平和だと言うと────

 

ーー

 

 

『∽∽∽∽♪∽∽∽♪♪ ∽∽∽∽♪♪♪∽∽∽∽♪♪∽∽∽∽∽♪♪∽∽』

 

 

 

「………加賀は熱心だな。 歌声が執務室まで聞こえてくるよ」

 

「提督、加賀さんは今日も……練習ですか?」

 

「ああ、歌も戦闘と同じで、毎日の積み重ねが大切だそうだよ」

 

「さすが一航戦です。 それに……あのコブシが利いた声、心打たれる歌詞。 やはり……日本の心を表していると……思います」

 

 

『∽∽∽♪♪∽∽∽∽♪♪♪∽∽∽∽∽』

 

 

「ああ………『加賀岬』………いい曲ですね、提督」

 

「……………そうだな。 おっと、冷めないうちに飲んでくれ。 こっちも加賀の練習量には負けるが、熱意だけは負けてない筈だからな」

 

「は、はい。 一刀提督が手ずからいれて下さった紅茶……いただきます」

 

ーー

 

隣より漏れ響く『加賀型 1番艦 正規空母 加賀』の美声を、執務室で耳を傾けながら優雅に御茶を楽しむ

 

────『〇〇鎮守府最高責任者 北郷一刀』

 

先の遠征で帰還報告の為に立ち寄り、その際に一刀から誘われ、頬を染めながら御茶の相手を務める

 

────『川内型 2番艦 軽巡洋艦 神通』

 

 

この二人の楽しげな姿があった。

 

 

ーー

 

「…………美味しい。 提督が入れて下さる紅茶……素晴らしいです。 水色も綺麗ですし、芳香な甘く……優しい香りも……」

 

「ははは……無理しなくてもいい。 葉は確かに高級品だけど、技術が半年前に始めた俺の手慰み程度。 こんな俺の拙い方法で入れた紅茶で、神通の疲れを癒してくれれば、幸いだと思ってね」

 

「い、いえ……紅茶の質や入れ方だけでは…………なくて………あの……その……」

 

ーー

 

神通から手放しの賞賛を受ける一刀は、ただ苦笑いするしかない。 

 

まだ、入れ方を勉強して半年。 

 

しかも、数少ない休日の空いてる時間に練習しているだけだ。 そう簡単に美味しい紅茶の入れ方など、会得できる訳がない。 

 

それに……賞賛したくれたのに関わらず、その後の神通の態度がおかしい。 

 

具体的には、指を絡めて上目使いでチラリチラリと此方を窺う。 若干ながら、目も潤んでいるように見える。 そして、少しばかり朱に染まる顔。

 

これは、どう見ても…………

 

 

『神通から垂直な紅茶の感想を貰いたいけど、やはり、上の役職相手じゃ言いづらいかな。 悪い所を指摘してもらえば、もう少し美味しい紅茶を用意できると思うんだが………』

 

 

一刀は、自分の顔色を窺っているように神通の様子を見て、率直な紅茶に対する意見を聞けない事を、内心で溜息を吐きながら諦めた。 

 

それに、鎮守府には神通以外の艦娘も居る。 他の誰かに聞いてみれば、素直に美味いか不味いかぐらい教えてくれるだろう、と気持ちを新たにする一刀だった。

 

ーー

 

「……………………」

 

「……………………」

 

ーー

 

ふと、思考を止めれば……いつの間にか静かな空間が広がる。 加賀もいつの間にか練習を止めて、執務室は二人の息遣いしか聞こえない。

 

神通の顔が先程よりも赤色が濃くなり、カップの中は既に空。

 

このまま神通を帰すのもありだが、日頃会わない艦娘達との会話してコミュニケーションを取るのも、一刀の仕事。 神通に時間がある事を確認すると新たに紅茶を注ぎ、話を始めた。

 

神通の報告は既に済んでいるので、任務の話など御法度。 ならばと選んだのが、先程の紅茶の事。 それならば、自分が紅茶に興味を持ち始めた切っ掛けを話した方が、話題に困らないだろうと考えたのだ。

 

ーー

 

「前は日本茶しか飲まなかったんだけどね。 金剛から何度も紅茶を勧められて……今では自分で銘柄を調べて買ってくるほど、好きになってしまったんだよ」

 

「そ、そうですか。 金剛さんなら紅茶と恋愛に関しては、深海棲艦より………いえ、仕事や商売と意気込む明石さん並みに熱心な方、ですから……」

 

「まあ、紅茶を好む艦娘達とは仲良くできたから、ある意味、金剛には感謝だな」

 

「──────えっ?」 

 

「たまに茶会を開いては、俺を誘ってくれるから……ついつい俺も────」 

 

「…………そ、外堀からなんて…………やっぱり…………霧島さんが……」ブツブツ

 

「……………どうかしたか? 何か気分が悪いのだったら───」

 

「い、いえっ! 神通は大丈夫ですっ!」

 

「………? どっかで聞いたような………おっと、紅茶がまだ余っているな。 どうだ? もう一杯、紅茶のお代わりは……と、これ以上神通に勧めるわけには─────」

 

「と、とんでもありません! 私も紅茶は……大好きなんです!! で、ですから……もう一杯………」

 

「そ、そうか? ははは、それじゃ────」 

 

ーー

 

神通の気持ちに気付く訳もない鈍感系主人公は、いそいそと代わりの紅茶を嬉しそうに淹れようと、透明なティーポットに手を伸ばす。

 

だが、そんな楽しい時間を過ごす一刀達を遮る者が現れた。

 

ーー

 

 

─────ガチャ、ドンッ!

 

 

「─────て、提督さんっ! 提督さぁあああんっっ!!」

 

「どうしたんだ? まずは、落ち着いて………」

 

ーー

 

彼女は、執務室の扉をノックするのも忘れ力一杯に開き、一刀を見付けると一目散に飛び込んで来たのだ。 その行動は、普段を知る神通さえも何時もと異なる彼女の様子に、思わず目を見開く程。

 

いつもは目立つ事を嫌う彼女なのだが、裏を返せば……それだけ急を要する事態が発生したと言える。

 

 

その艦娘────『長良型 3番艦 軽巡洋艦 名取』は、一刀の顔を見ると涙を溢し、その緊急の要件を告げたのだ。

 

 

 

◇◆◇

 

【 沈め の件 】

 

? 東〇本線 電車内 にて ?

 

 

《 名取の回想 》

 

私こと名取は、同じ鎮守府所属の『青葉型 1番艦 重巡洋艦 青葉』さんと共に、東北へ向かっていたんです。 

 

べ、別に……一人が寂しいから連れが出来て良かったとか、迷子になって恥ずかしい思いをしなくて済む……なんて考えていません。

 

私だって、一人前なんですから。 提督さんには私のお役に立つ姿、しっかりお見せしないと。

 

 

などと、つい数十分前まで考えていたのに……早くも挫折してしまったのが始りでした。 

 

 

ーー

 

『あ、青葉さ〜ん! ここは……何処なの!? 何時もの行き方と全然違うんじゃないですかぁ!』

 

『あ〜、大丈夫ですよ。 そのまま行っても日帰りで参拝して終わりじゃないですか〜? 折角ですので、近くにある盛岡の駅弁、買って帰りましょう。 結構美味しいって評判だそうですよ? とっても楽しみだな〜』 

 

『近くない! 近くないよっ!! だって、仙台から盛岡までって電車で三時間も掛かるのに、往復すれば六時間じゃないですか! 変です! 絶対おかしいですよ!!』

 

『だけど……既に赤城さんから頼まれてて、今更変更できないんですよ。 それに、もし約束を破って買って来なかったら……どうなると思います? 私達のオカズが、梅干しだけで数日間続いちゃうかもしれませんよ?』

 

『…………………ふ、ふぇぇ、何で私、こんな目に……』

 

ーー

 

 

私達が目指す本来の予定は、宮城県仙台市にある★☆神社へ行く事でした。 

目的は……わ、私達の艦内神社勧請元へ祈願をする為に。

 

 

私もよく知りませんが、〇〇鎮守府内の艦娘達は『自分達の艦内神社勧請元へ毎年必ず参拝する』と決めているそうなんですよ。 

 

聞くところによれば、提督さんが私達の轟沈を心配して、参拝を勧めたのが始りだとか。 最初は観光気分で行っていたそうですが、提督さんが日頃から私達の安全を真摯に考えてくれるので、今は真面目に参拝しているって。

 

中には遠く離れた九州の鹿児島まで行かなければならない、仙台さん……あっ……間違えちゃった! せ、川内さん! そう、川内さんも必ず年参りを九州行きの皆さんと……な、仲良く出張しているようです。

 

 

─────この情報の提供は、古参にあたる『赤城型 1番艦 正規空母 赤城』さんからです。 親切に色々と教えていただきました。   

 

赤城さんは、皆から『風林火山』と陰から呼ばれる……凄い先輩です。 

 

後輩には優しく、遠征等にも頼りになる武勲艦の先輩なんですが……食事に関しては貪欲で、お腹を何時も減らしているらしく、その……食事の取り方が印象的で……その様子が二つ名の由来だそうですよ。

 

 

 《お代りすること   風の如く》

 

 《盗み食いすること  林の如く》 

 

 《食い散らかすこと  火の如く》 

 

 《残った器は───   山の如し》

 

 

風林火山の意味……間違ってないけど、間違ってない……けど…………いえ、それは置いておきますか。

 

 

 

え、え〜と、何だっけ。 

 

…………あっ、そうそう。 

 

 

 

わ、私達は……鎮守府からの移動を全部、陸上交通機関を利用して向かっているんですよ。 だって……艤装付けて海を通過したら……目立つじゃないですか。 変に警戒とか……されたくないし………

 

 

えっ? 

 

私みたいに……ちょっと古いモデルじゃ……注目なんか……されない?

 

………………………………グスッ

 

………………そ、そんな事は………いいんですっ!! 

 

気にしたら負けですから、いいんですっ!!

 

提督さんも『危なくなったら任務を放棄してもいい。 必ず鎮守府へ無事に帰投し、いの一番に俺へ顔を見せろ。 絶対……だぞ!』と言ってくれたんです! 私───頑張るんですっ!!

 

 

 

…………ふぇ? 

 

あっ………そ、そうでした!

 

そ、そんな話よりも………もっと大変な事態が発生したんですっ!!

 

ーー

 

『…………名取さん、何か聞こえません〜?』

 

『…………な、何ですかっ?』

 

 

《 本日は御乗車下さり────》

 

 

『た、ただのアナウンスじゃないですかぁ?』

 

『もっとよく耳を傾けて下さい! …………ほらっ!』

 

『……………ん? ─────えっ!?』

 

ーー

 

わ、私達が電車でボオ〜と窓の景色を見ていたら、青葉さんより声を掛けられたんです。 その言葉により聞いてみれば、電車内のアナウンス。

 

私は青葉さんに文句を言って、現実逃避の為に景色を見続けようとしたのですが、青葉さんは私を引き止め、よく聞いてと催促してくるんです。

 

もう、何度聞いても同じ事だと思いながらも聞けば………声が……聞こえたんです! 

 

私達、艦娘を呪詛する言葉が────────!!

 

ーー

 

 

《………シズメェ………シズメェ…………》

 

 

 

『…………そ、そんなぁ!』

 

『聞こえました〜?』 

 

『こ、此処って……! 電車の中なのに………どうしてぇ!?』

 

 

ーー

 

私達、艦娘へ怨みや憎しみを向ける────深海棲艦の声がっ!! 

 

しかも、あの強大な力を持つ姫級が発する言葉を……重々しくもハッキリと………!!

 

これは私の聞き間違えじゃないです! 

車両内にも少なからずの乗客も居ましたが、全員反応していました! 

 

私と喋っていた青葉さんも、驚いたのか声がありません! 

何やら顔が歪んだように見えましたが、聞こえていたんです!

 

も、勿論、不知火さんが居た………なんて事じゃないんですっ!

 

ーー

 

《………ヒヅメェエエエ…………!!》

 

『ど、どこっ? 何処に────! ……………あっ』

 

ーー

 

現状を把握した私は、慌てて腕を上げれば艤装を展開しようと思いました! 私だって多少古いモデルでも艦娘! たとえ、艦隊で挑まなければ勝利を掴めない姫級相手でも、背を見せるわけにはいかない!

 

たとえ、勝てなくても……皆さんの逃げる時間を少しでも……って!

 

ーー

 

『あ…………あぁ………私……持っていなかったんだ………』

 

『………………………』

 

ーー

 

だけど………私が向けようとした艤装14cm単装砲は………手元に無いまま。 

 

それはそうですね……普通に電車に乗って移動しているのに、そんな危ない武器なんて携帯できません。 銃刀法違反で逮捕されてしまいますから。 

 

私の凡ミスに、何時も明るい青葉さんも………目を見開いて動きません。 やっぱり………呆れられたんですよね。 

 

これじゃ………ただの女の子と変わらない。 

 

鎮守府の皆との演習、私が頑張った訓練……全てが無駄。 

 

足手まといも……いいとこですよ。 

 

ほんとに…………

 

 

 

しかし、その事実は改めて私に恐怖を自覚させ……足がガクガクと震えて力が少しずつ抜けて来ました。 

 

私は………何も……何も───役に立たない!

 

怖い、恐い、こわい………!!

 

恐怖に支配された私には、震える両腕を下げた後、自分の身体を抱きしめるしか、他にやることが出来ませんでした。 

 

ーー

 

『あ、あぁ……………ああっ!!』

 

『────な、名取さんっ!!』 

 

ーー

 

私の近くに居る青葉さんが……慌てて手を伸ばしてくれる姿が映りましたが、既に私の膝は……床に付いてしまいました。 

 

本来ならば、私が乗客を守る為に、率先して動かなくてならない筈なのに……心が折れてしまい………青葉さんへ負担が被さってしまうのに。

 

だけど、どうすれば良かったのでしょう。

 

艤装を置いて来た艦娘二人で……いったい何が出来るのでしょう。 

 

私に……何が出来たのでしょう。 

 

 

 

提督さんは………私に轟沈しちゃ駄目だって……声を掛けてくれたのに。

 

 

─────────悔しい、悔しいよ。

 

 

 

私は泣きながら……不覚にも……その後、気絶してしまいました。

 

 

◇◆◇

 

【 思案 の件 】

 

? 〇〇鎮守府 執務室 にて ?

 

 

「ぐすっ、ぐすっ。 提督さん、提督さん………ごめんなさい! ごめんなさ〜い!!」

 

「話は判った。 それにしても、よく無事で戻ってきてくれたね。 名取が怪我ひとつ無く無事に帰投してくれて……良かったよ」

 

「……………ふぇ? ふえ、ふぇぇぇぇぇ────提督さん、提督さぁん!!」

 

ーー

 

一刀は名取より事情を聞いた後、頭に手を乗せて何回も何回も撫でる。

 

名取は一刀の行動に理解できないまま、呆然としていた。

 

 

☆★☆

 

 

名取が気絶してから数時間後────

 

明るい光の眩しさに目を開けた名取が飛び起きると、横で何か手帳にメモしていた青葉が、ホッとした顔で近づいて来た。

 

ーー

 

『急に倒れるから、ビックリしちゃいましたよ〜』

 

『────こ、此処は!?』

 

『貴女の次のセリフは……《私は誰っ?》って言うでしょう』

 

『私はだ……………って、何を言わすつもりですかぁ!?』

 

『いや〜本当に言うつもりでした〜? 名取さん、結構面白いですね〜』

 

『─────!!』

 

ーー

 

普段通りの笑顔を見て、一瞬だけ青葉の無事を喜ぶ名取だが、自分の立場を思い出し青葉に急いで問い掛けた。

 

名取が聞いた深海棲艦、しかも下級じゃない鬼級か姫級……もしくは、それ以上の実力がある未知の深海棲艦。 それが、現れて現状はどうなっているのか、どうしても聞いておきたかったのだ。 

 

ーー

 

『─────ふ、ふぇっ!? そ、そんな事よりっ! 深海棲艦は!? 深海棲艦はどうなっているんですかっ!?』

 

『もう、寝惚けちゃってぇ。 此処は陸地ですから、深海棲艦なんて居ませんよ。 それに、深海棲艦が本当に出たのなら、こうして青葉達が帰りの車両に乗れませんって。 外を見て貰えば判りますよ〜、ほらっ!』

 

『……………あっ!』

 

ーー

 

青葉に促され窓を覗けば、先まで覚えていた建物、周辺を黄金色に染める畑が、逆方向に飛んで行くのが見える。 

 

慌てて視線を外し、今度は座っている座席を見れば、名取の横に美味しそうな香りを漂わせる……駅弁の山。 

 

そこは────仙台へと向かう電車の座席だった。 

 

驚いた名取は、更にユックリと周りを見渡すと………車内は日常のまま。 

 

新聞を読む者やうたた寝をする者。 隣と何かを熱く語り合う者が居るが、逃げ惑う者や混乱する者など誰一人としていない。 

 

ーー

 

『何か怖い夢を見ていたんですね〜? よしよしっ』

 

『……………………』

 

『もし、本当に姫級の深海棲艦が出てきたら………この鉄道は動いていませんよ? それに、私達が対峙していれば、間違いなく轟沈してましたね』

 

『…………………』

 

ーー

 

青葉に頭を撫でられ慰められる名取。 

 

確かに青葉の言う話は正しい。 

 

鬼や姫級深海棲艦の強さは折り紙付きだ。 随伴艦を全滅させてから艦隊で総攻撃しても、轟沈させるどころか逆に壊滅させられる危機が何度もあった。 名取自身も、大破へと陥らせた事がある身だからこそ理解している。

 

それだからこそ、無手の艦娘が深海棲艦を相手に対峙して、見逃して貰ったなぞ前代未聞。 しかも、彼女達の攻撃は執拗。 動く者だったら攻撃を開始しないわけが無い。 今頃、辺り一面瓦礫の山になっているだろう。

 

 

では、夢かと言うと…………余りにもリアル過ぎる映像。 

 

今でも耳に残る『シズメェ』の声。 

 

あの────恐怖感と悔恨。

 

 

ーー

 

『じゃあ、ここで! お疲れ様でした〜!』

 

『……………は、はい……お疲れ様……』

 

ーー

 

 

名取は鎮守府に戻り青葉とも別れたが、その疑問を持ち続けた。

 

そして…………気が付けば執務室の前。

 

名取は、涙ぐみながら一刀との約束を思い出し………ドアを開けた!

 

 

★☆★

 

 

名取は今、一刀の前に坐り込み、双眸より涙を流し大泣きしている真最中。

 

普段は実に真面目で頑張り屋の名取だが……胸の奥に溜まっていた疑念と恐怖を一刀へ詳細に伝えたので、安心して気が緩んだらしい。

 

その様子を不安げに見ていた神通だったが、名取が呟く深海棲艦の言葉に顔を引き締めて覚悟を決めると、一刀に伝える。 

 

ーー

 

「提督、私でよろしければ……御命令下さい!」

 

「じ、神通……さん?」

 

「帰還したばかりの私なら次の任務は入っていません! 何時でも出撃いたします!」

 

「──────神通さんっ!!」

 

ーー

 

決死の表情を浮かばせ一刀に出撃を願う神通に、名取は一瞬考えが追い付かず呆けてしまった。 

 

だが、神通が本気だと知ると、絶叫に近い声で名を呼び掛ける。 名取なりに止めようとしたらしいが、神通は名取を一瞥しただけで終わってしまう。

 

ーー

 

「落ち着いてくれ、神通。 君は遠征で帰投したばかりじゃないか」

 

「ですが、提督! これが噂になれば、〇〇鎮守府の存在意義に関わりますよ! 艦娘が深海棲艦と接敵したのに敵前逃亡など、前代未聞! 必ず大本営より提督の責任問題を追及してくる筈です!」

 

「………………ならば、どうする気だい?」

 

「はいっ! 第二水戦筆頭の私なら、単独で深海棲艦に向かい、敵わないにしろ一矢報える自信があります! そうすれば、提督に対する批判など──」

 

「そんな……無茶です、危ないですっ! 絶対に止めてくださいっ!」

 

「名取さん! これは……貴女だけの問題じゃ……ないんですよ!」

 

「──────!?!?」

 

「────このままだと敵前逃亡の罪は、貴女を通り越して鎮守府や提督までに難が降りかかるのは確実。 誰かが深海棲艦と交戦し、勇猛果敢に散り汚名を雪がなければ! 提督、お願いします! 私に出撃の許可を!!」

 

ーー

 

日頃の大人しい神通と思えない激しい口振りに、名取は神通の腰に抱き付き必死に止めるが、一刀は両手を顔の前に組みつつ耳を傾ける。

 

一刀を激しく責めるように見える神通だが、要約すれば『深海棲艦と刺し違えて、一刀の名誉を守りたい』と言っているのだ。 

 

そんな健気な態度を見せる神通に、一刀は真っ向から名取と神通を睥睨し、口を開いて言葉を返した。

 

ーー

 

「──────だが、断るっ!」

 

 

「ど、どうして……ですかぁ!?」

 

「提督さんっ!!」

 

「この北郷一刀が最も好きな事の一つは、自分で強いと思ってる奴に『No』と断ってやる事だ!」

 

「……………………………えっ?」

 

「………そ、そうなんですか?」

 

ーー

 

神通は自分なりに最高の考えだと思い、覚悟を定めて献策した。 

 

だが、一刀の返答は『有名な漫画の某セリフ』を流用した断り。 

 

しかも、いつもは真面目な一刀だが、そんな言葉を珍しくドヤ顔で言い放つ為、神通の固まっていた決意が脆くも崩れてしまった。

 

唖然とする神通に、何時もの真面目な顔をした一刀が話し掛ける。

 

ーー

 

「まあ、それは冗談だ」

 

「……………は、はい……」

 

「だけどな、神通……お前の提案は却下させて貰う」

 

「な、納得なんか……できません! 理由を是非……聞かせて下さい!!」

 

「俺が普段から言っている事を覚えているか?」

 

「……………『任務を失敗しても、轟沈は絶対にするな』……ですか?」 

 

「そうだ。 だから、そんな命令も覚悟も許可しない! それが俺のやり方だからだ! 大本営が何を言ってきても、俺は自分の意思を曲げる気など無い! しっかり理路整然と返答して黙らせてやる!」

 

「────で、ですが、まだ深海棲艦の件が残っています! それを……どうすれされるのですかっ!?」

 

ーー

 

自分達艦娘を大切にして貰える嬉しさとは裏腹に、神通は最大の問題である『深海棲艦出現』の話を敢えて出し、早期解決を急かした。

 

自分は嫌われても、この鎮守府と一刀が残ればと───願いを込めて。

 

だが、そんな神通の想いを察する前に、一刀は自分の考えを述べる。 

 

二人の目を見ながら……ハッキリと。

 

ーー

 

「実は……………青葉に尋ねたいことがあるんだ。 どうも少し、引っ掛かる事があってな………」

 

「あ、青葉さんを………疑って居るんですか?」

 

「多分、十中八九まで青葉が原因だろう。 だが、今一つ確証が無いないから、証拠を集めたいんだ。 今から行えば、明日までには完了できるだろう。 無論、神通にも手伝いを頼みたい。 名取も………いいかな?」

 

ーー

 

そう一刀は言葉を締めくり、神通と名取に手助けを求めた。 

 

二人は少し驚いた後、嬉しそうに首を縦に振り快諾を示す。

 

ーー

 

「承知いたしました……提督」

 

「は、はいっ!! わ、私で良ければ!!」

 

「じゃあ、頼む! 俺が考えを纏めた後、再度連絡する!」

 

「「はいっ!!」」

 

ーー

 

一刀に敬礼をすると、神通は名取を労りながら揃って執務室より退出。 

 

その後、一刀は執務室内で少し考えた末………ある結論に達し、通信機を手に取り命令を下すのだった。 

 

 

 

◆◇◆

 

【 極秘 の件 】

 

? 〇〇鎮守府 執務室 にて ?

 

 

 

────コンコン、コンッ!

 

 

ガチャ!

 

 

 

 

「失礼しま〜す! しれぇ、お呼びですかぁ〜」

 

「失礼する。 些か待たせてしまったか? 司令の夕食を用意しようと秋刀魚を………いや、何でもない。 武人に言い訳など不要。 素直に謝罪させて───司令、そう難しい顔をされては反応に困る。 何が言いたいのだ?」

 

「お、お邪魔します………あの〜提督、あたしを呼びましたか?」

 

 

「ああ……来てくれたか! 三人とも!」

 

ーー

 

執務室のドアが開くと二人の艦娘が執務室に入り、その姿を見た一刀は喜んで迎えた。 開けられたドアの前に立つ三名………この者達が一刀の眼鏡に適った艦娘である。

 

幾ら平和な〇〇鎮守府と言えど、艦娘達は日頃の業務で日々を過ごしている。 通常業務は勿論、遠征やら周辺の警戒やら等々。 

 

そんな中で、一刀の眼鏡に適う艦娘は当然ながら限定されるわけだ。

 

 

その三人とは────

 

 

  『陽炎型駆逐艦八番艦  雪風』

 

  『陽炎型駆逐艦十二番艦 磯風』 

 

  『長良型軽巡洋艦 六番艦 阿武隈』

 

 

────である。

 

 

ーー

 

「急に呼び出して済まない。 どうしても君達に頼みたい事があるんだ」

 

「はいっ! 雪風は何時でも大丈夫ですよっ!」

 

「一刀司令、その様子だと……また騒動に巻き込まれた口だな。 まずは、どのような要件か聞いてから、雪風と考えて行動を起こすとしよう」

 

「………面目もない」

 

「いや、責めている訳ではないんだ。 弱き者に救いの手を伸ばさんとする姿勢は実に誇らしく思う。 だが、己を弁えず無理などされ、司令が万が一でも倒れれば、皆が哀しむのだぞ? 無論………この磯風も、な」

 

「もちろん、雪風もですっ!!」

 

ーー

 

二名の艦娘は同じ陽炎型である事、一刀の頼みに慣れていた事で、すんなりと協力を得た。 

 

たが、もう一名は鎮守府に着任して間もなく、また名取を姉とする艦娘でもあるので、おどおどしながら一刀の前に出る。

 

ーー

 

「提督からの頼み事? あたし的にはOKなんですけど………名取お姉えも気に掛かるので、話を聞いてからにします」

 

「………判った、頼むからには全部を話そう。 だが、ひとつだけ約束して欲しいんだ。 この内容、そして任務は極秘にして欲しい。 もちろん話を聞いた後、断ってくれて構わないよ。 それは、君達の自由だからね」

 

「「「 ……………… 」」」 

 

「ただ、受ける受けないに関わらず、他の皆、そして……この件の当事者達にさえも洩らさないで貰いたいんだ。 この話が広まると、後の対応が難しくなるかも知れない。 それだけ複雑で難しい問題なんだよ」 

 

ーー  

 

こうして、一刀は雪風達にも名取の話を伝え、青葉の事にも言及した。

 

年参りに行った名取と青葉

 

居る筈の無い場所で聞いた深海棲艦の声

 

そして────

 

ーー

 

「───神通の行動は……かの武勲艦らしく、流石に頼もしくて嬉かった。 思わず甘えたくなるほどに……な」 

 

「「「 ………………… 」」」

 

ーー

 

神通の立派な覚悟

 

そんな神通の行動を遮った………自分の不甲斐なさ

 

一刀は真正面に居る艦娘達へ正直に己の胸中を語った。

 

ーー

 

「だけど、俺は……ここの鎮守府の提督であり、司令官であり、皆を導き護る者だ。 なのに、神通の優しさに甘えてどうするんだ………って、心の中で自分に叱咤して、あの某漫画の絶対的な不定の言葉を口から出したんだ」

 

「………あっ、雪風も知っていますっ! えっと………『だが、断るぅ〜』だったでしょうか?」

 

「ははは……そうそう! 雪風は物真似が上手いな!」 

 

「えへへへ………しれぇに褒められちゃいました〜」

 

「……ゴホンッ!」

 

「ん、んんっ!!」

 

「ひゃあっ!」

 

「───っと、すまんすまん。 話が進まないな」 

 

ーー

 

一刀は謝罪と苦笑を交えながら話を進める。 そんな一刀と雪風は談笑し合い、阿武隈は呆れて一刀を見つめている。

 

だが、磯風の一刀を見る目は険しい。 一刀の様子が自分の弱き心を誤魔化すように見えて、余りにも痛々しかったからだ。

 

 

『(まったく……相変わらず自分の事を二の次にして、艦娘達の心配をするのか? 敵前逃亡など犯せした艦娘が居ると知れば、かの大本営が黙ってはいまい。 深海棲艦との交戦が激しい今の時期なら尚更だろうに……)』

 

 

ここ、〇〇鎮守府の磯風は、司令官『北郷一刀』をよく知る艦娘の一隻。 

 

今回のように一刀から度々の依頼を受け、解決してきた武勲艦。 または、それなりに一刀と付き合いが長かったから気付けた。

 

いや、その複雑な内面を理解できたとも言える。 

 

 

『(だがな……艦娘を兵器と見なす風潮が強い中、人として接してくれる司令、この磯風は好ましく思っているぞ。 悩むのならば悩めばいい、苦しいなら手を伸ばせ。 必ず磯風が推参し司令の力となろう)』 

 

 

そんな磯風は、一刀を見て力強く想う。 

 

一刀が命じれば、磯風も神通と同じように……死地でも笑いながら目指す事ができると。

 

 

『(そして、司令……もし磯風が轟沈しても哀しんでくれるなよ。 七度生まれ変わっても司令の傍に舞い戻り、如何なる難敵であろうと……必ず護り抜いて見せる。 司令の命ある限り─────)』

 

磯風が秘めたる想いは、一刀に届くのかは判らない。 

 

ただ、今は────

  

 

◆◇◆

 

【 任務 の件 】

 

? 〇〇鎮守府 執務室 にて ?

 

 

話を聞き終わった三名に、一刀が再び話の内容を秘密にする事を命じる。

 

そして、任務を受けるかどうかの最終確認を行った。

 

ーー

 

「いいだろう。 今の話は、陽炎型駆逐艦の名に懸けて固く守る事を誓う。 それと───司令からの任務、確かに受けさせて貰うぞ!」

 

「もちろん、雪風もですっ! しれぇ〜!!」

 

「磯風、雪風………今回は青葉が原因と思われるが、深海棲艦の関与も濃厚な事案だ。 それでも、この任務………やってくれるのか?」

 

「それなら尚更、雪風に任せて下さい! 雪風の身体は小さいので、大船………なんて言えませんけど、雪風は自他とも認める不沈艦です! だから、しれぇ! 絶対に沈まないので安心して下さいっ!!」

 

「何時もながら、司令官は不運(ハードラック)と踊るのが好きなようだな。 だが、いいだろう。 この磯風がディエットで付き合ってやる。 それに……秋刀魚を焼くのに比べたら、どんな任務も大したものではない」

 

ーー

 

雪風と磯風は、一刀の懸念を吹き飛ばすように快諾する。 

 

一刀としては、任務を無事に受けて貰い素直に喜ぶところなのだが、一抹の不安を感じて仕方がなかった。

 

ーー

 

「……………………んぅぅ〜」

 

「阿武隈は………どうする? 俺としては、阿武隈を信じて来てもらったが、正直お前の身内の事だ。 もし、嫌なら……この任務から外れても一向に構わないが………」

 

「あっ、ちょ、ちょっと! まだ、返事も聞いてないのに勝手に決めつけないでよ! 本当に……もうっ!」 

 

ーー

 

決めかねている阿武隈に、追い詰めないよう逃げ道を与えた一刀。 

 

阿武隈が受けてくれれば万全だと思うのだが、彼女の姉に関わる事。 かなり難しいと判断していたのだ。 

 

だから、本人の自主性に委ねたのだが………逆ギレされて叱られた。 

 

実に理不尽な有り様だが、その様子を他の二名は笑いながら見守っている。 

どうやら一刀の消極的な行動は、毎度騒ぎになるようだ。 

 

しかし、一度はキレた阿武隈ではあるが、相手を一刀だった事を思い出すと、急に神妙な態度になり申し出た。

 

ーー

 

「提督………阿武隈にも命じて下さい。 ご期待に応えますから」

 

「…………あ、阿武隈……?」

 

ーー

 

そんな阿武隈に少し、ほんの少し引いた一刀。

 

その態度に阿武隈は頬を膨らませて御冠になり、一刀に食って掛かった。

 

ーー

 

「もうっ! だいたい提督は心配し過ぎなのっ!!」 

 

「いや、それは………その………」

 

「提督、態度がウザいっ! あたしの力が必要なら、目の前でハッキリと言ってっ!!」

 

「………う、ウザい………?」

 

「あっ、ヤバッ!? あの人の口癖、また出ちゃった………!!」

 

ーー

 

つい怒りで我を忘れた阿武隈は、一刀に暴言?を吐いてしまった。 例の軽巡洋艦サマの口癖が移ったらしい。

 

だが、その一言は一刀のピュアな心を穿ち、身体が弛緩したと思えば床に膝から付き、傍に居た雪風に泣きついた。 

 

ーー 

 

「…………雪風ぇ〜、阿武隈にウザがられた〜」

 

「しれぇ、しっかりしてくださぁい! 雪風が付いてますぅ〜」

 

「────司令、受けた傷は浅いぞ! この磯風も傍に居てやる! 気をしっかり持つんだっ!!」

 

「ふえぇ!? あ、あたしだけ悪者扱い!? 何でよ、何でなのよっ!!」

 

ーー

 

一刀が雪風に慰められるのを見て、直ぐに参戦する磯風。 

 

自分だけハブられて怒る阿武隈。 

 

まさに混沌と化したが、一刀も冗談でやっていたので、落ち込む阿武隈の様子を見て直ぐに復帰し、皆を安心させるのであった。

 

ーー

 

「て、提督の馬鹿ぁ! 忘れられちゃったかと思ったじゃない!!」

 

「いや、ショックだったのは本当だよ。 普段の阿武隈とは思えない言葉だったからね。 だから、冗談かまして気分を和ませようと……」

 

「あたしの方が不安になるわよっ!!」

 

「でも、その代わりに何時もの阿武隈に戻ったみたいだね。 変に構えたりするから、言葉が荒くなったり怒りぽっくなるんだよ」

 

「……………そ、そうなの? よく、あたしじゃ判らないんだけど……」

 

ーー

 

阿武隈は少しだけ考えたが、自分を客観的に見る事など中々ないので、一応信じて一刀に説明をした。 

 

なぜ、阿武隈が一刀の任務に応えたのか───を。

 

ーー

 

「だって、今回の件……名取お姉えが関係してるから、あたしを呼んだって話だけど、それは名取お姉えを心配しているから、身内のあたしを呼んでくれた訳でしょ? なら、それに答えるのが長良型の筋ってものじゃない?」

 

「「「…………………」」」

 

「それに提督って……何気に阿武隈の漢字、キチンと覚えてくれてたり、他にも色んな良いとこ沢山知ってるし。 も、もちろん信頼だってして………ふ、ふえっ!? あ、あたし……な、なな……何言ってるんだろう!?!?」 

 

「〜〜〜〜〜〜〜」ブルブル

 

ーー

 

慌ててテンパる阿武隈の態度を見て、一刀は小刻みに身体を震わせた。

 

その様子を生暖かく見守る二名は────

 

ーー

 

「───ん? 司令、どうした? まさか、腹が痛むのか? 今日の昼は浦風の監修、谷風や浜風の指導の下で、この磯風が作った物だぞ。 しかも、三人の目を盗んでまで入れた、滋養が付くアレまで仕込んだというのに………」

 

「う〜んと、違うと思いますっ! しれぇの昼食をつまみ食いした赤城さんが、あれから直ぐに入渠しましたけど、数時間経過した今になっても未だに見ていませ〜ん。 だから、しれぇは食べてないと思いますっ!」

 

ーー

 

何やら………トンでもない事を小声で話していた。

 

しかし、そんな二名の密談は一刀の耳には届かず、それどころか阿武隈に近寄ると頭へと手を伸ばす。

 

ーー

 

「────阿武隈っ! お前は可愛いなぁ〜〜!!」

 

「だ、駄目、提督っ!! 頭を撫でちゃ駄目ぇ!! あたしの前髪が崩れちゃうからぁ! そ、そんなにワシャワシャしないでぇえええ──────」

 

ーー

 

最初はどうなる事やらと思われた一刀の頼みは、こうして献身的な三名のお蔭で実行された。 

 

 

 

だが─────

 

 

青葉の狙いは何なのか? 

 

 

突如現れた深海棲艦の理由とは?

 

 

入渠したままの赤城の運命は?

 

 

未だに謎のまま、一刀達の前に立ち塞がるのだった。

 

 

 

説明
〇〇鎮守府での一刀と艦娘達の話です。 あるネタを元に書きましたら、短編で納まらず、続編となってしまいました。 
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艦隊これくしょん

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