多賀城鎮守府物語
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 深海棲艦が出現し、人類は制海権を悉く奪われた。

 そして、対を成す様に艦娘と呼ばれる存在が出現、人類と共に制海権を取り戻すべく戦った。

 深海棲艦との闘いは熾烈を極め、幾人もの提督、艦娘達が海に散って行った。

 数多の犠牲の元、日本は太平洋、東南アジア海域の制海権を奪い返すことに成功。

 束の間の平和を享受していた。

 だが、深海棲艦の反撃は水面下に進んでいた。

 

 

 ラバウル基地は各地に作られた鎮守府/基地/泊地の中でも激戦区に近い部分に存在する。

 また、所属する艦娘達の練度も高く、制海権奪取に少なくない貢献をした。

 基地にも基地防空隊などの設置を進めており、油断も慢心もしていなかった。

 

 

 そう、あの化け物が現れるまでは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一か月、たった一か月で、太平洋・東南アジア側に作られた鎮守府・基地・泊地が壊滅。

 提督・艦娘の戦死者・行方不明者は数知れず。

 一度手に入れた制海権を失ったのだった。

 

 

 

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 −キヒヒヒヒヒヒ−

 

 暗闇に浮かぶ歪な笑み。

 たった一人で航空戦・砲戦・雷撃戦を行う化け物。

 のちに大本営によって『レ級』と名付けられた深海棲艦は横須賀鎮守府・呉鎮守府・舞鶴鎮守府・佐世保鎮守府の精鋭艦隊によって討伐されることになる。

 

 −ツマラナイナァ!キミノカンタイツヨイッテキイタケド、ツマラナイネェ!−

 

 長門が、赤城が、加賀が、共に戦ってきた仲間たちが…

 全員、倒れていた。

 

 −ジャアネ。マタアソボウネ−

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「ちっ、嫌な夢を見た」

 

 布団を跳ね除けると薄明るい光がカーテンの隙間から差し込む。

 

 「んぅ、………またあの時の夢を見たの?」

 

 布団が無くなったことで目が覚めたのか、全裸の叢雲がシーツを自分の前に持っていきながら起き上がる。

 それを横目にカーテンを開けると、目の前に広がる太平洋に心が落ち着く。

 

 

 

 

 ここは多賀城鎮守府。

 多くの艦娘と艦娘との接触を避ける提督が暮らす場所…。

 

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おうえんしてます!(田坂熙八)
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