マイ「艦これ」「みほ2ん」第32話<瑞雲> |
「今までにない感情が……」
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マイ「艦これ」「みほ2ん」
第32話 <瑞雲>(改2)
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ここは境港市の、お台場公園。その萌えるような青緑の木立に囲まれた白いベンチは、意外に涼しくて居心地が良かった。
「取りあえず、食べよう」
「はい」
日向はサンドイッチの包みを差し出した。「ハッ」じゃないんだ。
ちょっと新鮮……かな? いや、さっきから何度か繰り返していたか。
彼女は独り言のように言った。
「司令、申し訳ない。今日の私はチョッとおかしい。疲れてるのかも知れない」
「……」
そうだな、と言いかけて黙った。適切な言葉が見つからなかった。
おかしいといえば、さっきから私も変なんだが。
日向は続ける。
「艦娘同士での作戦行動は問題ないのですが、司令と二人で作戦というのは本当に初めてなので」
敢えて視線を合わせない彼女に私も答えた。
「いや別に謝ることはない。初めての体験では勝手が違うこともある」
すると日向は急に真顔になった。
「軍人は常に平常心であるべきで、いかなる状況でも感情に動かされてはならない……そう思ってきたが岸壁で司令と二人で作戦を遂行する決意した途端、今までにない妙な感情が湧いた」
「その当たりは分からないが」
私が応えると彼女は始めてこちらを向いた。その表情はいつもの日向だった。
「いえ反省します。こうして調整の時間まで割いて頂いたから、次の作戦では必ず成果を出します」
「頼む」
ようやく平常運転の彼女に戻ったようだ。やれやれイロイロ遭った。
(え? ちょっと、惜しかった?)
それから簡単に昼食を終えた私たちは、その後、特に問題も無く高台から降りた。
一旦、軍用車へ戻った日向は早速、簡易型の飛行甲板を持って芝生の広場に出た。
彼女は瑞雲そのものは使い慣れている。とはいえ今日は初めて使う簡易甲板だ。
やはり最初は調整が必要らしい。
「調整が終わり次第、逃亡者の索敵に入ります」
「ああ、了解だ」
頷きながら飛行甲板を片腕にはめた日向。さすが航空戦艦、さまになる。
「ハル、居るか?」
彼女の問い掛けに簡易型の飛行甲板のエレベーターが開いて妖精が顔を出した。
「狭い!」
「済まない、今回は簡易甲板を使う。まずは瑞雲で飛んでくれ」
「……」
生意気そうな妖精は、しばらく日向を見上げていた。
「何か良いことあったか?」
「いや別に……どうした? 急にそんなことを」
ゴーグルを着けながら妖精は応えた。
「今日のお前、綺麗だからさ」
「な……」
ああ、また日向が赤くなっている。
「いいから、行けっ!」
「了解」
妖精は敬礼をして、いったん引っ込んだ。
簡易飛行甲板とはいえ瑞雲は最大で3機、搭載出来るようだ。
今日は試用なので2機だけ。
日向は何度か構えの角度を変えつつカタパルトの具合を見ている。やがて瑞雲の位置と、射出角度が決まったらしく公園の芝生の上で飛行甲板を構えた。
「瑞雲、射出します」
「ラジャー」
パシュッという音と共にハルともう一人の妖精は相次いでカタパルトから射出された。夏の青い空に向けて2機の瑞雲が綺麗に飛び立った。
「よし、良いぞ」
日向は呟く。そういう彼女も良い表情に戻っている。やはり航空機を運用してこその航空戦艦だな。
一時は、どうなるか? と思った。だが、これこそ、いつものお前なんだ。
私もホッとした。
しばらく公園の上空を旋回して緩急を付けながら飛び交っていた瑞雲たち。やがて安定したエンジン音が響くようになり、ハルが言った。
「特に問題はない、このまま索敵に入る」
「了解、頼んだぞ」
『ラジャー』
日向の命令で、2機は旧市街上空へと散って行った。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。
説明 | ||
自分のふがいなさを嘆く日向に司令は、いつもの日向に戻ったなと思うのだった。 | ||
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