タロット・ゲーム 第一章『死神(デス)』
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かつき「あぁ〜、バイトだりぃ〜・・・」

 

あれから数日たった。けどアタシの日常に特にこれといった変化はない。

強いて言えば口うるさい板っきれがうろちょろしてるくらいかな。

どうやらコイツ、アタシ以外の人間には見えないらしい・・・

 

バイト先までの道中、普段は全然気にもしてなかったある場所でふと足が止まった。

このあたりでは珍しい、孤児を受け入れている教会だ。

 

教会って場所は元々静かなもんだって思い込みがあったんだけど、今日はなんか・・・

そう、人の気配を感じない。いつもは小さな子供たちの声がうっすら聞こえてた気がするんだけど。

 

かつき「まあ、そういう日もあるよなぁ・・・」

 

アルカナ「能力の残留を確認。プレーヤーが能力を行使した可能性あり。」

 

かつき「板は黙ってろ・・・今、なんて?」

 

アルカナ「プレーヤーが能力を行使した可能性あり。」

 

かつき「ホントにはじまってたのか・・・」

 

半信半疑、話半分で聞いていたことが現実味を帯びてきた。

 

かつき「じゃあ近くにプレーヤーってのがいるってのか?」

 

アルカナ「周囲の反応を探索する・・・周辺に他プレーヤーが2名。」

 

かつき「なんで今日に限って・・・」

 

今日のバイトはそれなりに時給もよくて業務内容も楽なやつだったのに。

 

かつき「ん?プレーヤーは他に2人って言ったな?」

 

アルカナ「距離的に交戦状態にあると推測される。」

 

かつき「じゃあ無視してバイトいくか。」

 

アルカナ「2名の現在位置を表示。」

 

板から映像が映し出された。ここ周辺の地図に赤い点が2つ・・・ってこいつらアタシのバイト先の近くにいるじゃねーか。

 

かつき「・・・避けらんねぇ。」

 

 

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大学の帰り道、僕は普段通りを装いつつも周囲を警戒していた。

「タロット・ゲーム」が始まり、いつどこから敵に狙われるかわからない状況。

呑気に過ごしていられるはずがない。こんな状況で平然としていられる人間がいたらそいつは異常だ。

 

啓一「ここ数日は何も起こらなかった。けど今日も同じようになんてことは・・・」

 

突如、アルカナが反応する。

 

アルカナ「周囲に他プレーヤーの反応あり。」

 

啓一「!?」

 

アルカナの発言を聞き、周辺への警戒を強める。

周囲の一般人からみればいったい何をやっているのかと思わるかもしれないが、これには僕の命がかかっている。

他人の視線なんて気にしてなんかいられない。

 

僕はポケットに入れていたタロットカードをそっと取り出す。

 

アルカナ「他プレーヤーの現在位置を表示。」

 

アルカナが周辺地図を映し出す。緑の点はおそらく僕の現在位置だ。他に地図上には・・・赤い点が2つ・・・!

 

啓一「そんな・・・2人も敵がいるのか・・・?!」

 

だが2つの点の距離はそこそこ離れている。同時に遭遇することはないはずだ。

すると当面の問題は僕の位置に近い敵プレーヤーへの対処になる。

 

僕の決めた対処方法は「戦わない」ということ。遭遇を避け逃げ切るのだ。

幸いなことにもう1人プレーヤーがいるのならそいつに対処を押し付けてしまえばいい。

 

すると、遠くにいた赤い点がこちらに向かってゆっくり移動しはじめた。

 

啓一「こっちに向かってくる?!」

 

近くの赤い点は徐々に速度を上げながら僕の点に向かってきていた。

戦闘は避けられない・・・最悪、2人相手に戦うことになりかねない。

 

近くの赤い点はもうすぐそこまで近づいていた。そろそろ目視できるのではなかろうか。

すると、やや遠くのほうから人の声が聞こえた。何かから逃げるような、そんな恐怖にかられた声だ。

 

「う、うわあぁぁぁぁっ!」

 

「きゃああぁぁぁっ!」

 

「だ、だれかぁぁぁっ!」

 

悲鳴が聞こえる。どんどん近づいてくる。そして・・・その根源が姿を現した。

修道服のような黒衣の少女。手には禍々しい形状の鎌・・・それが僕が遭遇した最初の「敵」だった。

 

おもむろに少女は周辺の人間にその鎌を振り下ろし斬りつけた。

鎌で切られた人間は悲鳴と断末魔をあげると、血も流さずに消滅した・・・

 

啓一「あれが・・・あいつの能力・・・っ!」

 

冗談じゃない。斬られれば死ぬ、というか消滅する。こんな奴を相手にどう戦えというんだ。

だが少女がこちらの存在に気付くのは時間の問題だった。いったいどうすれば・・・

 

そうこうしているうちに少女がゆっくりとこちらに視線を向けた。

僕を視認した瞬間、口元がにやりと歪んだように見えた。

 

一瞬で間合いをつめてくる。僕を標的に選んだのだ。

 

アルカナ「推奨・能力の使用。」

 

啓一「くっ!」

 

僕は手にしたカードの能力を発動する。ここから先は初めて・・・未来視の能力にすべてを賭ける。

 

 

モノクロのビジョンがスローモーションで再生される。

振り下ろされる鎌、斬られる自分、そして消滅していく。

 

これが未来視・・・?そうか、この未来を変えるために僕がとる行動は・・・

 

 

少女の振り下ろした鎌を僕はギリギリのところでかわす。

見えたのはせいぜい2、3秒先といったところか。

 

次の一撃も未来視で攻撃軌道を確認し回避する。今の僕にできる精いっぱいの抵抗だ。

「恩恵」で身体能力が向上していなければ僕はとっくに消滅していたところだ。

 

目の前の状況への対処に精いっぱいでもう1つの赤い点が近くまで接近していることに気づかなかった。

気にしている余裕すらなかったとも言える。

 

 

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かつき「そろそろバイト先なんだけど・・・なんか様子おかしくねぇか?」

 

何かから逃げるように走り去っていく人達。板の表示する地図の赤い点が2つ重なってる・・・

こいつら戦ってんのか?それで周りの連中が巻き込まれるのを避けるために逃げてんのか?

 

かつき「こりゃバイトどころじゃねぇや・・・」

 

恐怖とかそういうのはとくに感じない。ただなんとなくどんなことが起ってるのか見てみたくて足を前に進めた。

徐々に人気がなくなってきた。戦ってる2人の居場所は近い。

 

アルカナ「推奨・能力発動可能な状態での待機。」

 

かつき「あー、気が向いたらね。」

 

板っきれを軽くあしらうと視線の先に人影が見えた。

一人は・・・子供だな。物騒な鎌を振り回してる。

もう一人は・・・女だ。鎌をギリギリで避けてる。

 

かつき「へぇー、動き速いなぁ・・・」

 

おもわずスマホを取り出して動画を撮りたくなった。

そう思った瞬間、子供のほうがこっちに気づいたように見えた。

 

かつき「あ、やべ。気づかれた?」

 

子供が尋常じゃない速さでこっちに向かってくる。

気が付けば目の前で鎌を振りかぶっていた。

 

啓一「あぶないっ!!」

 

もう一人の女のほうがアタシに飛びついて鎌の軌道からアタシを逸らした。

 

かつき「うはぁ、あぶねぇ!」

 

啓一「大丈夫ですか?!怪我は?!」

 

かつき「いや後ろ後ろ・・・」

 

啓一「・・・しまっ!」

 

なんとなくだけど、このままじゃ女がヤバイなと思ったんで今度はアタシが飛びついて鎌の軌道から逃げる。

 

啓一「た、助かった・・・」

 

かつき「いやー、ホントにやってたんだなぁタロット・ゲーム・・・」

 

啓一「・・・まさか、あなたは・・・」

 

かつき「いちおうプレーヤー、かな?」

 

そう言ってなんとなく手放せなかったカードを取り出し女に見せる。

 

啓一「世界(ワールド)・・・?」

 

かつき「せっかくだからいろいろ話したいところなんだけど、当面はあの子供をどうにかするのが先かな?」

 

啓一「・・・あなたの能力は?」

 

かつき「・・・わかんねw」

 

啓一「なっ?!」

 

かつき「とりあえず能力を使えばいいんだろ板ぁ!」

 

アルカナ「推奨・能力の解放。」

 

カードが光るとアタシの身体に入ってきた。それ以外何かが変わったような実感はない。

 

かつき「で、何ができるん?」

 

子供が鎌を振りぬいてきた。けどさっきまで速く見えてた動きもそれなりに見えるようになってる。

 

啓一「右に避けて!」

 

女がアタシに向かって叫ぶ。アタシはとっさに身体を右に動かす。

子供の振りぬいた鎌が空を斬る。

 

かつき「へぇー、攻撃がどう来るのかわかるのかー。便利な能力だな♪」

 

啓一「次きますよ!」

 

女の指示で攻撃をかわし続ける。子供のほうは表情ひとつ変えずに一心不乱に鎌を振り回している。

表情を変えず・・・というよりあれは・・・

 

かつき「あの子供、正気じゃねぇよな?」

 

アルカナ「推測・能力の影響による自我の崩壊。それによる暴走状態。」

 

かつき「そういう能力もあるってことか・・・で、あいつの能力は?実際に見たら教えてくれるんだろ?」

 

アルカナ「使用カードは「死神(デス)」。能力は存在の消滅。」

 

かつき「物騒極まりないのを子供に与えてんじゃねーよ・・・ったく。」

 

啓一「存在の消滅・・・僕はその光景をみた。」

 

かつき「触れたら死ぬ鎌、かわすので精いっぱいで攻撃の隙がない。まいったなぁこりゃ。」

 

啓一「これは提案なんですが・・・僕たち2人であの子を止めませんか?このまま放っておけば被害が広がってしまう。」

 

かつき「その提案には賛成だな。問題はどうやって止めるか、だよな。」

 

啓一「・・・僕が囮になって攻撃を引きつけます。あなたは隙を見て攻撃してください。気絶でもさせれば暴走も止まるはずです。」

 

かつき「いいのかよ?アタシの能力が攻撃向きとは限らねぇぞ?」

 

啓一「この際バラしますが僕の能力は未来視、あなたより回避できる率は高いですよ。」

 

かつき「じゃあそれに賭けますか!」

 

女(僕っ娘?)が子供に向かっていく。それを攻撃する子供。女は攻撃を回避する。

アタシは攻撃に少しでも隙ができたと思ったら飛び込んで一撃食らわす担当だ。

 

かつき「たぶん全力でぶん殴ればなんとかなるだろ・・・」

 

女が神回避で攻撃を避け続ける。しかし一瞬、女が回避後に態勢を崩した。

まずい。そう思った瞬間アタシは飛び出していた。

 

啓一「くっ、ここから回避は・・・っ!」

 

かつき「しゃおらぁぁぁぁぁっ!」

 

アタシが全力の拳を打ち出した瞬間、子供の視線がこちらに変わった。

 

 

ヒュンッ

 

 

斬られた。

 

死神(デス)に斬られたものは消滅する・・・アタシは、消えるのか・・・?

 

 

ところが、痛くもかゆくもなく身体が消滅する気配も感じない。

 

かつき「あれ?」

 

啓一「そんな・・・今、たしかに斬られて・・・」

 

子供も不思議そうにしていた。なぜ消滅しないのか?とでも思ってるのだろうか。そりゃこっちが知りたいくらいだ。

そう思ってたときに板っきれがアタシの能力について発言した。

 

アルカナ「世界(ワールド)の能力の1つ、命の共有。世界中でもっとも縁遠いものの命を引き換えに死に関するあらゆる事象を回避する。」

 

かつき「えっ、なにそれ?」

 

アルカナ「世界人口約70億人分の命を自分の変わりに消費する。」

 

つまりアタシの能力は他人の命を残機として消耗できる能力ってことか・・・

なんにせよ死なないってことは、あいつ相手には最高に相性がいいってことかな?

 

子供が斬りかかってきた。アタシは避けずにそのまま受ける。

やはり死なない。今のでどこかの誰かが死んだのだろうが、アタシにその実感はない。

 

かつき「なるほどね・・・どうやらアタシを殺したかったら70億回以上アタシを殺す必要があるらしい。」

 

かつき「それでも・・・やるか?」

 

・・・子供には声は届いていない。殺気満々でこちらを見ている。

 

かつき「板、他に能力は?」

 

アルカナ「世界(ワールド)の能力の1つ、世界の質量の統合。『世界の重さ』を一点に集中し攻撃する能力。」

 

かつき「わぁ、攻撃用の能力もあるんだぁ。」

 

啓一「来ます!」

 

子供が斬りかかってきた。アタシは拳に力を溜める。

なんだか自分の力以外のものがどんどん集まってる感覚があった。これが重さを一点に集中するってことか。

 

何度も斬られる。だがアタシはおかまいなしに拳を振りかぶる。

 

かつき「とりあえず・・・正気にもどれやっ!」

 

ガッゴォオオオン!

 

振り下ろした拳が子供の脳天を直撃する。地面が陥没するほどの重い一撃。これ、死んでねぇよな?

子供の動きが止まる。どうやら攻撃は充分効いたようだ。すると子供の身体からカードが出てきた。

 

カードはそのままアタシのほうに向かってきた。そのカードをアタシは手に取る。

 

アルカナ「能力使用者を倒したことで死神(デス)の所有権は主に移った。」

 

かつき「あー、言ってましたねそんなこと。」

 

啓一「その子は・・・どうなりました?」

 

かつき「あっ、死んでねぇだろうな・・・」

 

脈を確認する。かすかだが反応がある。どうやら生きてるようだ。

これも「恩恵」のおかげだったりするのかな?

 

かつき「さて、と。とりあえず物騒なのは止められたけど・・・」

 

啓一「僕にあなたと戦う意志はありません。死なない相手と戦う方法なんて思いつきませんしね・・・」

 

かつき「だな。で、貴重な他プレーヤーの話を聞いてみたいってのがアタシの本音なんだけど。」

 

啓一「話だけなら、まあ・・・あなたには助けられたようなものですしね。」

 

かつき「それなら最初にアタシのほうが助けられてるよ。」

 

 

そしてアタシ達はその場所を離れることにした。

 

 

かつき「とりあえずアタシんちでいいかな?んしょっと。」

 

啓一「かまいませんが・・・って、その子も連れていくんですか?!」

 

かつき「能力が使えないんなら危険もないしほったらかしってわけもいかねぇだろ?」

 

啓一「そりゃそうですけど・・・」

 

かつき「さて、えーっと能力使うの止めるのはっと・・・」

 

 

そう考えたら勝手にカードが身体から出てきた。

 

 

啓一「能力を解除するんですか?!」

 

かつき「他のプレーヤーはあんただけだし、あんたとは戦わないんだから別にいいじゃん。」

 

啓一「・・・」

 

 

そしてアタシたちは移動した。

 

 

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かつき「ついた。」

 

 

なんの変哲の無い安アパートの一室。それがアタシの家だ。

 

 

啓一「おじゃましま・・・汚っ!!」

 

かつき「いきなり失礼だなお前。」

 

啓一「失礼って・・・なんですかこの部屋!ゴミとかいろんなもので足の踏み場もないし!とても女性の一人暮らしの部屋とは思えませんよ!」

 

かつき「そんなことよりタロット・ゲームの話しようぜー」

 

啓一「・・・少々時間をください。」

 

 

すると女がアタシの部屋を勝手に片づけはじめた。こいつ潔癖症か何かか?

片づけはじめてから小1時間程度経って、女が諦めたように言う。

 

 

啓一「もう、これくらいでいいです・・・」

 

かつき「お疲れさん。はい、これ飲んで?」

 

 

冷蔵庫から取り出したノンアルコールビールを差し出す。

 

 

啓一「もっと普通の飲み物なかったんですかね・・・」

 

かつき「いいじゃんノンアルだし。」

 

 

担いできた子供はソファーで寝させておいた。

それから女と話をした。女は4年前にカードの所有者になったこと。

そして能力・・・女教皇(ハイプリエステス)のことを。

 

 

啓一「これ以上警戒しても仕方ないので僕も能力を解除します。」

 

 

そういうと女の身体が変化した。男になったのだ。

 

 

かつき「え、どういうこと?新手の手品か何か?」

 

啓一「僕の能力の影響の1つで・・・女教皇って男性が使うと身体が女性になるらしいんです・・・」

 

かつき「マジかーアタシあんたこと完全に僕っ娘かなんかだと思ってたわー。」

 

啓一「不本意ですが死なないようにするためにやむを得ず使ったんです!」

 

かつき「まー、たしかに未来視だっけ?おかげさんで助かったけどなー。」

 

啓一「そちらの能力のほうが脅威ですよ・・・死なない能力なんて無敵じゃないんですか?」

 

かつき「あー、なんか世界のどっかの知らない奴が代わりに死んでるらしいんだあの能力。」

 

啓一「じゃあいきなり身近な人間が死ぬ可能性もあるんじゃないですか?!」

 

かつき「いちばん縁遠い人間から死んでくって言ってた。」

 

啓一「あとは最後の一撃・・・明らかに恩恵で得られる以上の力でしたよね。あれも世界の能力なんですね。」

 

かつき「世界の重さを一点に集中させるんだってさ。まだ溜められる感じあったけどあれくらいでいいかなって。」

 

かつき「そうだな、名付けて・・・『世界の重さパンチ』!」

 

啓一「・・・台無しですね。」

 

 

女だった男、緒方啓一とそんなこんなでいろいろ会話した。

日も沈んで薄暗くなってきたころ、ソファーで寝ていた子供が不意に目を覚ます。

 

 

エクリア「・・・ぅぁ・・・」

 

かつき「あ、起きた。」

 

啓一「あの威力の攻撃をうけて当日中に目を覚ますんですね・・・」

 

エクリア「ここ・・・どこ・・・?あたし・・・なにしてたんだろ・・・?」

 

かつき「・・・(これ、どうすればいいと思う?)」

 

啓一「(連れてきたのかつきさんでしょ?なんとかしてくださいよ。)」

 

エクリア「あれ・・・?カード・・・ない・・・」

 

かつき「・・・」

 

 

アタシは無言で死神のカードを見せた。

 

 

エクリア「あっ、あたしのカード!」

 

かつき「悪いな、今はアタシのなんだ。」

 

エクリア「え?どうして?あたしが寝てる間に盗ったの?」

 

かつき「やっぱり覚えてないか・・・」

 

啓一「そうみたいですね・・・」

 

アルカナ「エクリア、君はカードの所有権を失った。能力を解放した君は暴走し多くの人間を手にかけた。」

 

アルカナ「教会の人間すべてに街中に偶然居合わせた者たち見境なく。」

 

アルカナ「そしてそこにいるプレーヤー三村かつきによって倒された。」

 

エクリア「教会の・・・みんな・・・」

 

 

子供が何かを思い出しているようだった。どんどん顔が青ざめていく。

 

 

かつき「おい板公!言うにしてももっとマシな言い方あるだろうが!」

 

アルカナ「私は事実を告げただけだ。」

 

啓一「アルカナの対応はあくまで事務的です。人間的な気遣いなんてできませんよ・・・」

 

エクリア「うあああぁぁぁぁぁぁあっ!」

 

 

どうやら自分のやったことを思い出したらしい。大声で泣き叫び始めた。近所迷惑になってしまう。

 

 

かつき「・・・なんとかなる方法が1つだけないこともないぞ。」

 

啓一「えっ?」

 

エクリア「ぅえ?」

 

かつき「願うんだよ。カード全部集めて。元通りに戻してくださいってな。」

 

啓一「彼女のカードは今かつきさんが持ってるんですよ?!」

 

かつき「だからさ?『譲渡』すんの。これでお前もプレーヤーに復帰できる。」

 

啓一「いいえ、それは反対です!この子に死神のカードは危険すぎる!また暴走でもしたら!」

 

かつき「板ぁ、死神の『逆位置』の能力ってなに?」

 

啓一「逆位置・・・っ?!」

 

アルカナ「死神(デス)の逆位置の能力、致死性のある事象・攻撃の無効化。」

 

かつき「これなら安全じゃねーの?ちなみに即死属性攻撃はどうなるの?」

 

アルカナ「逆位置では発動しない。」

 

かつき「だからこのカードはお前に返す。ただし使うときは必ず『逆位置』で。これが絶対の約束だ。」

 

エクリア「ぎゃくいち・・・よくわかんないけど、わかった。」

 

啓一「どうなっても知りませんよ・・・」

 

かつき「そんなに心配ならこいつを仲間にしちまえばいいじゃん。」

 

啓一「仲間ぁっ?!」

 

かつき「そ。アタシら3人でチーム組むの。啓一が未来視で予測してアタシとこの子で敵を倒す!2人より3人ってな。」

 

エクリア「チーム?」

 

かつき「そう、チームだ。」

 

啓一「ぐぅ・・・不本意ですが、僕が生き残るためには仕方ない選択なのか・・・他に話の通じるプレーヤーがいる保証はないし・・・」

 

かつき「アタシは三村かつき。かつきでいいよ。あんたの名前は?」

 

エクリア「あたし?あたしの名前は、エクリアーナ・ルビーヒ・メクマーム・アロンクロフト。」

 

かつき「長ぇ。んーと・・・死神だからデス子で。」

 

エクリア「デス子?」

 

かつき「あだ名みたいなもんだ。」

 

デス子「あだ名!じゃああたしデス子!」

 

啓一「残念なセンスを受けいれちゃったよ・・・」

 

 

 

啓一「かつきさんに1つ聞きたいことがあります。」

 

かつき「何?彼氏ならいないよ?」

 

啓一「かつきさんの『願い』は何ですか?」

 

かつき「スルーしないで・・・願いね。そういえば考えてなかったわ。啓一は?」

 

啓一「僕も・・・これといった願いってないんですよね。」

 

かつき「じゃあ、あたしらの願いは「全部元通りに戻してほしい」で統一でいいんじゃねぇかな?」

 

デス子「とういつー。」

 

啓一「僕たち3人の誰かが残れば・・・それを願うんですね?」

 

かつき「そういうこったな。」

 

 

初めての能力者同士の戦い。そして今、3人は同じ願いを持ったチームになった。

世界、死神、女教皇・・・この3人のプレーヤーははたして生き残っていけるのだろうか。

 

まだ見ぬ能力者は、19人・・・

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小説とは言い難い稚拙文章
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