命一家11話 |
命一家11話
【儚】
今日はみきちゃんの家へお泊りする日。それを前々から約束していてその日を
迎えた私の胸はドキドキしていた。
そういえば泊まるのって今回が初めてじゃないだろうか。
みきちゃんの顔を浮かべて思いながら夜の窓を見る。いつも寒がりの私なのに
顔が熱くなっていくのがわかる。
「ふつうにきんちょうもあるけど…みきちゃん…好き…」
窓に向かって呟くだけでも顔がどんどん熱くなってくる。もう寝なくちゃいけない
時間だけど眠れる気がしない。でもおふとんの中に入るには入らないと。
マフラーを解いてちょっと厚めのパジャマを着る。もうそろそろ暑くなってくる
時期だというのに私は一年中寒いままだ。でもみきちゃんのことを考えてる時だけ
ぽかぽか暖かい。体も心も。
「おやすみなさい…」
目を瞑ってどれくらい経ったかわからないけど、私は知らない内に眠りに就いていた。
***
園が休みの日で今日はママもパパもお出かけするから私はみきちゃんの所で
泊まることに。嬉しい、最初に思ったのはこの言葉だった。
ママたちと一緒に家を出て近くにある、みきちゃんの家に行く。少しおしゃべりを
した後、私はみきちゃんと一緒にみきちゃんのお部屋に向かった。
部屋の中に入るとおもちゃが少し散らかっていてびっくりした。
みきちゃんしっかりしてると思っていたけどこういう一面もあるんだって少しホッとする。
「なにしてあそぶー?」
普通のおもちゃ以外にもゲーム機とか置いてある。ちょっと古いタイプのやつ。
いい天気だから外でもいいかなと思っていると。
「いい天気だし、お外でも行く?」
「う、うん…!」
まるでエスパーみたいに私の気持ちと同じことを言ってきた。…偶然?
みきちゃんのママに外に行ってきますと言ってから二人手を繋ぎながら外に出る。
すごく澄んだ青空が広がっていてぽかぽか暖かくて気持ちいい。
「ちょっと暑いね!」
「そう、私ちょうどいい」
「それならよかった〜。じゃあ行こ〜」
「みきちゃんは暑くても大丈夫なの?」
「うん!儚ちゃんがいるから平気〜」
いつもの笑顔でそんなこと言ってくるからドキッとした。こういう風にみきちゃんの
一つ一つの言動で意識してるの私だけなんだろうか。…ちょっと不公平。
でもいつも私のことを気にかけてくれてやさしくて暖かい言葉をくれるみきちゃんが
好きだ。暖かな陽気の中、公園のベンチに座っておしゃべりをしたり、
おもちゃはないけどおままごとみたいなことをしたりして遊んだ。
みきちゃんは何をしても全力でおままごとでの演技はすごかった。
そして遊んでるうちに私はうとうとしてきて体に力が抜けた時、みきちゃんの肩に
頭を乗せてびっくりした私は慌てて体を起こした。すると…。
「いいよ、寝てて。わたしに寄りかかって」
「ん、ありがとう…」
みきちゃんの言葉に甘えて私はみきちゃんの肩に頭を乗せて目を瞑った。
すると目を開けてる時よりも周りの音がはっきりと聞こえてそれがちょっとした
音楽みたいになってより早く眠りに落ちていた。
***
どのくらい眠っていたのか。外だからそんなに経ってはいないと思うけど。
「おはよう」
「ん、おはよう」
みきちゃんが私の顔を覗き込みながら言う。いつの間にか私はみきちゃんの膝に
頭を乗せていたみたいだった。私はゆっくり起きて目軽く手でこすった。
「帰ろうか」
「うん」
別に特別なことをしていたわけではないけど、満足した気持ちで二人で公園を出る。
帰るときもずっと私はみきちゃんと手を繋げていた。帰る途中二人の男女が同じように
手を繋いでるのを見て私達も同じなのかなって考えると声が漏れそうになるほど
嬉しい気持ちでいっぱいだった。
「どうかした?」
「ううん、なんでも」
そんな嬉しそうにしている私の様子を笑顔で見て聞いてくるみきちゃん。
こんな時間がずっと続けばいいのにって思っていた。
***
みきちゃんのお家に戻るとお昼ご飯が用意されていて二人で手を洗いにいってから
いただきますと言って食事を始めた。あたりまえだけど家で食べるのと味は違ったけれど
みきちゃんのお家の味も私は好きでいつもよりも多く食べられた。
…それでもみきちゃんよりは食べれなかったけど。あの体でどこに食べたものが
入っているのか不思議だった。それからみきちゃんのママを加えて園からもらった宿題を
見てもらいながらお勉強。
「儚ちゃん、お茶とジュースどっちが好きですか?」
「あ、紅茶で」
「わかりました」
みきちゃんのママは驚くほど綺麗でお茶を出したり勉強を教えてもらうときに
近づいてくるといつも少しドキッとする。
何かいい匂いもするし…。友達の優くんが片想いするのもわかる気がした。
それにいつも私たち子供の目線で見てくれるから安心できるんだ。
勉強も一区切りついたらみきちゃんのお部屋で遊んでいる内に外は暗くなっていた。
本当に今日は泊まるんだなぁと実感する。
それと同時に初めてだからか少し不安になっていた。
そんな私を見たみきちゃんは私の手を掴んできた。
「ねえ、一緒にお風呂入らない?」
「え、みきちゃんと?」
「いや?」
「いやじゃないけど…恥ずかしい…」
本当は入りたい気持ちもあるけど、それは言葉にできなかったけどそんな私を見て
少し残念そうな寂しそうな顔をしていたみきちゃん。そんな顔を見せられると断れない
じゃない。
「わ、わかったから。そんな顔しないで…」
「いいの!?やったあ!」
「もう…」
何かあったら呼んでねとみきちゃんのママに一つ言われて私たちは頷くと一緒に
お風呂場に向かった。親の前以外で脱いだことないからすごくきんちょうする…。
それでもなんとか厚着していた服を脱いでみきちゃんの前で裸姿を見せることになった。
すると目を輝かせてみきちゃんは私の体を見つめる。
「きれー…」
「さ、寒いから早く入らない!?」
「あ、そうだね。ごめん」
寒がりだし寒いというのももちろんあったけどジッと見られるのが恥ずかしいから
という方が大きかった。それはもう心臓がどうにかなっちゃうんじゃないかってくらい
鳴っていたから…。
そうして小さい私たち二人はお風呂の中で浸かる。大きさもお湯の温度もちょうどいい
くらいだった。その中で普段何してるかとか、家で何をしてるの?っていう普通の
話を繰り返しながら頭洗ったり体洗ったりしながら十分に体が温まったところで
お風呂から出る。
出る頃には最初に感じていたきんちょうはだいぶほぐれていた。
しばらくして寝る時にみきちゃんがみきちゃんのママに隣で寝たいと言って
ベッドの隣に敷布団を二つ引いてくれた。
それから二人きりになった時あまりに嬉しそうにしているみきちゃんが
布団の周りを走りまわるから危ないよって私が注意しようとした瞬間。
みきちゃんの足が布団の上でズルッと滑らせ体勢を崩して私の方に
倒れこんできた。
ドサッ
「ご、ごめん。大丈夫!?」
「う、うん…」
どこも痛くないけど、どこにもぶつかってないけれど。今みきちゃんが
私の上に被さってるというか押し倒したような形になってお互いの顔がすごく
近くてドキドキしていた。
「い、今どくね」
「あ、待って…!」
どこうとするみきちゃんに自分でも驚くような声で言った直後…。
チュッ!
その時何が起こったのだろうとみきちゃんも私も思っただろう。
気がついたら私はみきちゃんの唇に自分のを重ねていた。
一瞬時間が止まったような気がした。それほど静かな時間が流れたのだ。
頭の中は真っ白で自然にそう動いていたんだ。
みきちゃんは気持ち悪がるどころかどこか嬉しそうに笑っていた。
「えへへ、びっくりしちゃった…」
「私も…」
「えー、儚ちゃんがしたんでしょ〜」
「そうだけど…」
どうしてこんなことしたんだろう。だって私は…。やっぱり私はみきちゃんのこと
好きなんだという気持ちの強さがそうさせたのかもしれないと思った。
それから寝る時間になってみきちゃんはすぐに寝息を立てていたけど私の方はというと。
さっきチュウしたことが頭の中に残っていてなかなか眠れずにいた。
昨日に続いて今日もかぁ。
体の調子悪くならなければいいけど、決して丈夫な方じゃないし。
そう思いながら隣で寝ているみきちゃんの可愛い寝顔を見ていられるから
眠れないのもそう悪くはないのだと思った。
もう一回…最後に一回だから。自分に言い聞かせてみきちゃんのほっぺに
軽くチュウをするとみきちゃんは寝ながらくすぐったそうに笑っていた。
「はかなちゃん…好き」
「…! わ、私も…好き…」
夢の中に私が出てるのだろうか。どういう意味の好きかはわからないけど
私もつい反応して好きと返していた。好き…好き…どうにかなっちゃうほど。
私のこの気持ちいけないことなのかな…それとも許されるのかな…。
もやもやとドキドキを小さな胸の中に閉じ込めて改めて私は布団に潜って目を瞑った。
そしていつしか私は眠りに就いていた。何かの夢は見た、暖かい幸せな夢。
みきちゃんと一緒にいる夢なのだろうか…。そうだったら嬉しい。
この先どうなるかわからないけれどこの嬉しさは一生忘れないと思うんだ。
そう、今は何があってもみきちゃんが一番だから。
だって夢の中の私は多分これまでに一度も見せたことないくらい
笑顔になっていたのだろうから…。
お終い。
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ロリがロリに恋するお話。 | ||
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