【F-ZERO】ジダイノヤミ【GX】
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ジダイノヤミ

 

フェニックス「…どんなに時が流れても、変わらない事ってあるんだな……」

 目の前に広がっている光景を見て、何となくそぅ思う。

 

 爆発音がして、何かと思って見に来ると……視野に入って来たのは、爆発炎上している1台の車と、巻き添えを食らって崩壊した建物……

 

 未来を分かっている俺自身でも、今自分がどの時代にいるか、感覚的に知る事は難しい。自分のいる時がどこなのか、正確な事が分からなければ、現在位置が読み取れない地図同様、未来を知っていても意味がない。

 そして、こういう大きな事件が起こって初めて、今、自分がどこにいるのかを感覚的に知る事になる。

 えーっと、26世紀でこの事件…あぁ、あれか…みたいにな。

 

タナカ「……はぁ……困っちゃったなぁ?……」

 ん??前の方から、汗を拭き拭きしながらタナカさんがやって来る。

フェニックス「あれ?何でメカニックさんが前線で働いてるんだ??」

タナカ「…仕方ないでしょ。たまたま現場に居合わせた上、現地部隊だけじゃ人手足りないんだから。私だって、現場整理くらい出来ますからね。

 それにしても何で、こんな場所が狙われたんだろぅねぇ?…」

 

 本当、何でこんな場所が狙われたのか……

 ここ、サンドオーシャンでは明後日にレースが行われる予定があり(タナカさんが言う、現場に居合わせたと言うのはこの事だ)どぅせ狙うなら、レース場近辺の方が良いと思うんだが(と、俺が言うのも何だが;;;)ここ、辺境と言っても過言では無い場所だった。

 崩壊した建築物だって、遺跡と言う類いで、中に人が常時いるような場所じゃない。

 

 幸い死者も無く、怪我人が30名程出ただけだったか……

 と言っても、この事はタナカさん達銀河連邦の連中は、現時点ではまだ把握出来ていない筈だ。

 未来の事が分かる俺だからこそ…分かる事なんだ。

 

タナカ「……って言うか、あなた何でここにいる訳??」

フェニックス「…は??だってあれだけ派手な爆発音すれば誰だって」

タナカ「いや、そぅじゃなくて;;;現場周り封鎖した筈なんだケド!?」

 

 偉い困った表情でタナカさんに言われて…返答に困る。

 何故なら…

 …封鎖…されてたか??

 みたいな感覚なんだよな…俺;;;

 入って来た時の周辺は…えーっとどぅだったろぅ……??詳しく覚えてなかったりする。

 でもまぁ確かに…よく見たら周りに銀河連邦の連中が数名いるだけだから、多分封鎖されてたんだろう;;;

 

フェニックス「済まなかった。分からなかったものだから」

 先手を打って謝ってしまおう。

タナカ「…;;;もぅいぃや。入っちゃったものは仕方ないから、現場だけ荒らさないでくれよ」

 彼はやっぱり困った顔でこぅ続け…って、普通は出て行けって言うと思うんだが;;;

 まぁ、相手にハッキリ物が言えないのはタナカさんらしぃが;;;

 俺だって馬鹿じゃないから、そんな事はしたりしない…

 俺は…な。

 

 あくまで俺は。

 あ、けれども……

 んー……

フェニックス「…まぁ、ファルコンもそんな事しないか」

 

タナカ「…え゛!?もぅ一人入って来てるの??」

フェニックス「あぁ、途中まで一緒だったからな」

 

 そぅそぅ、二人でここに向かったんだ。

 俺も急いでいたし、ファルコンが何か手際良くやってたから、便乗して付いて来たってだけの話であって。

 …だから無意識のうちに、封鎖区域に入っちまったんだろうな;;;(無意識だからこそ、周辺の事全然覚えてないんだな;;;)多分ファルコンが封鎖を破ったんだろぅ。

 

タナカ「困ったな?、ジョディが応援部隊要請してるんだケド、何か全然良い返事来てないみたいだし……こっちは対応限界だよもぅ?……」

 

 汗を吹きながら、何か色々とブツブツ文句を言っている。

 …この人、愚痴りたくて仕方ないんだろぅなぁ……

 その気持ち、分からないでも無いんだが……

 

フェニックス「……………だったらここで、世間話してる場合じゃないだろぅ……………;;;;」

 やる事物凄く、沢山あると思うんだが??

タナカ「あぁあぁ、本当だよ全く?。でねぇ………」

フェニックス「…………………;;;;;」

 …俺の話聞いてるのか!?と言いかけたが、雰囲気で相手は悟ってくれたらしぃ。スミマセン、スミマセンを連呼しながら仕事の方に戻って行く。

 

 

 やれやれ…

 何となくため息;;;危うく何しに来たか分からなくなる所だった;;;

 

 しかし…

 

 

 確かに「予兆」は察知したのだが、

 「気配」が全然しないな…

 

 何故だ??

 

 

 俺がここに来たのは、別に興味本位でも、タナカさんと世間話をする為でもない。

 俺の仕事である時空警察の役割を全うする為だ。

 

 俺達、時空警察の任務は「正しい歴史の流れを守る」事。

 主に「未来人が歴史に介入し、歴史を変えてしまう事」を防ぐ事にある。

 

 本来、その時代の中にいない者が表れる時(ここでは、26世紀にいない筈の者が表れる時)時空間に「歪み」が生じる。

 その「歪み」の予兆が、ここに現われた為にやって来たのだ。

 

 コンピュータの予想した時間よりも若干早かったのだが、爆発音がして、いてもたってもいられなくなった……

 まさか…とは思ったが、万が一って事もある。警戒しすぎるって事も無いだろぅ。それで調べに来たのだが……

 

 それにしては「気配」すら無い……

 俺のカンが鈍ったとも思えないんだが……

 一体、どぅしたと言うのだろぅ??

 

 そこで俺は、現場の外に止めてあるレインボーフェニックスのコンピューターにアクセスしてみる事に。

 末端を手に取って見てみたのだが……

 

 ん…??

 

 

 消え…た??

 

 

 確かにあった「歪み」の予兆が、今時点では確認出来なくなっていた。

 

 今感知している「歪み」は、これは俺がここにいる事で生じているものだ(当然俺も29世紀の未来人なので、俺がここに来ている時点で多少の時空の「歪み」は生ずる)

 

 まぁ楽天的な見方かも知れないが……

 相手は、俺がここにいる事を察知した事で、出て来るのを止めてくれたのかも知れない。

 

フェニックス「…まぁ、仕事は無いに超した事は無い…ケドな」

 毎回毎回こぅだと楽なのだが……まぁ、世の中そぅは上手く行かない…か。

 

 となると、ここにいてもする事が無く………;;;

 立ち去るとするか……タナカさん達の邪魔にもなるしな。

 

 と思い、歩き出した所で…後ろから何者かに呼び止められる。

 ん??と思い振り返ってみると、そこにはファルコンの姿があった。

 

ファルコン「何か収穫はあったか?」

フェニックス「ん…収穫が無かったのが一番の収穫だった…かな」

ファルコン「…そぅか」

 俺の言葉が分かっているのかそぅでないのか、そんな返事だけを残して立ち去ろうとしている。

フェニックス「…ファルコンは何をしに来たんだ?」

 お陰で俺は楽してここに来られたケドな。

ファルコン「私が何をやっているか知っているだろぅ?まぁ、お前と一緒で収穫は無かったがな」

 

 …そぅだな。

 賞金稼ぎでもあるファルコンは、犯人がこの辺にまだいるかも知れないと思って来たのだろぅ。

ファルコン「犯人逮捕を銀河連邦の者に任せるも…この人数じゃな……」

 確かに。はた目から見ても、気の毒になって来るくらいに人が足りていない…応援要請も無視されてるようだしな。

 

ファルコン「どこかで、もっと派手な事でもあったんだろぅ」

フェニックス「…………」

 

 うんざりとした雰囲気で言葉を吐くファルコンに、俺は、返事をしなかった。

 正確に言うと出来なかった。

 

ファルコン「物騒な事が続くな…先行き不透明な世の中だよ」

 

 殆ど一人事のように発せられたその言葉に、俺は……返事が、出来なかった。

 

★☆★

 

 俺は現場を立ち去り、一人歩いていた。

 日も暮れ始め、周囲が夕暮れに染まって行く。

 

 俺は……ファルコンの言葉に、何一つ返事が出来なかった。

 

 答えが見つからなかった訳でも、分からなかった訳でもない。

 …その逆なのだ。

 

 俺は全てを知っている。

 これから起こる事も含めて全て……

 

 だから俺は、返すべき言葉が見つからなかった。

 

 ファルコンが言うように……

 もっと派手な事……それは確かに起こっていた。

 ライトニングでも似たような事件が起こり…向こうでやられたのは発電所だ。当然、重要度から考えてもそちらの方に人員を裂かれてしまう。

 明らかなテロ行為だが、どこからも犯行声明は出ず…捜査は難航する。

 3ヶ月程経過してから犯人らしき人物を検挙するが、証拠不十分で釈放され、真相は分からぬまま、この事件は幕を閉じる。

 言うまでも無くそれは…初動調査のゴテゴテぶりが響いての事……

 

 俺はそれだけの事を、予め知っている。

 知った上で、事件直後の現場にいたんだ…別件で来たとは言え。

 

 だったらその初動調査の段階で、お前が手伝ってやればいい…

 そぅ、思われるかも知れない。

 

 だが……

 それは、

 決して、

 

 

 許される事ではない。

 

 

 俺達、時空警察の任務は「正しい歴史の流れを守る」事。

 主に「未来人が歴史に介入し、歴史を変えてしまう事」を防ぐ事。

 

 未来人のあらぬ介入は、歴史と言うシナリオを壊してしまう。

 それが例え、正しい事をしようとしても……だ。

 

 先行き不透明な世の中…か……

 未来の事が分からずに進んで行くのも、辛いのかも知れないが……

 あらゆる未来を知っていながら、ただ進むだけしか出来ないと言うのも、また、辛い。

 

 

 歩いて歩いて……愛機であるレインボーフェニックスの元に戻って来る。

 見た目では分からないが、タイムマシンでもある。のだが、ナビゲーションのQQQが記憶を失っていて、今はその役割を果たす事は出来ない。

 

 だが俺は、かと言って未来から救援を呼ぶ事も出来ない。

 

 本来、その時代の中にいない者が表れる時、時空間に「歪み」が生じる。

 「歪み」は最小限に抑えねば本末転倒もいい所…あまりに歪んだ時空間は、どぅ流れるか分からないからだ。

 ただえさえ不安定になっているここの時空間を、これ以上、歪ませる訳にはいかないのだ。

 何とかして、この時代から脱出する方法を模索して行かねばならない…捜査の合間を縫って。

 

フェニックス「…やれやれ……」

 

 参ったな……

 

 あらゆる歴史の流れに通じ、

 未来の出来事が分かっている俺にも……

 

 …これからどぅなるか……

 自分の未来の事は、全くもって分からないのだから。

 

 

 あらゆる未来を知っていながら、ただ進んで行くだけと言うのも辛い。

 

 そして、未来の事が分からないまま進んで行くと言うのも…

 また、辛い

 …な。

説明
2003年11月頃の作品です。
当時は台本形式で小説書いてたので修正せずにそのまま掲載します;;;

フェニックスメインで、タナカさんやファルコンとだべってるだけの話です(笑)

当時のメモによると、構想1時間制作3時間程度との事(笑)
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タグ
同人 任天堂 台本形式 エフゼロ フェニックス タナカさん キャプテンファルコン 

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