タロット・ゲーム 第三章『節制(テンパランス)』 |
にいちゃがいればなにもこわくない。
にいちゃがいればだいじょうぶ。
にいちゃはわたしになんでもしてくれる。
でも、このまっしろなばしょはどこ?にいちゃ?どこにいるの?
「・・・・・!・・・・・・・!・・・・・・・・・!!」
なにかがきこえるけど、よくわかんない・・・にいちゃ、こわいよぅ・・・
気が付くとわたしはにいちゃのそばにいた。
男「よかった・・・戻ってきた・・・心配したんだぞ・・・っ」
にいちゃが涙目でわたしにそう言った。
少女「ねぇ、にいちゃ?なにがあったの?」
男「こっちが聞きてぇよ・・・」
そういえばなにか手に持ってる・・・カード?なんだろうこれ?
少女「ねぇ、にいちゃ?これなに?」
男「カード・・・だな?でもなんだこれ?お前どこでこんなもの・・・」
アルカナ「それはタロットカード『節制(テンパランス)』」
男「な、なんだぁお前はっ!!」
アルカナ「む、汝はプレーヤーではないのに私が見えるのか?」
男「プレーヤー?なんだよそりゃあ!!」
アルカナ「そうか、プレーヤーとの親密性の高さゆえにか。」
少女「にいちゃ・・・こわいよぅ・・・」
男「てめぇ・・・陽子に手出ししやがったらただじゃおかねぇぞ・・・っ!」
アルカナ「まあいい、君たちにすべてを説明しよう。」
板の人がなにを言ってたのかわたしにはよくわからなかった。
でもにいちゃがいればだいじょうぶ。なんとかしてくれる。
わたしたちはいつも二人いっしょだから・・・
かつき「暇でごぜーます。」
啓一「左様でございますか。」
デス子「zzzzzz」
力(ストレングス)との戦い以来、私たちの日常はこんな感じだった。
殺し合いをしたあの公園も何事もなかったかのように元通りになっていた。
板っきれいわく「能力を使った痕跡は我々が対処する」とのこと。
デス子が暴れまわってた街並みも普段通りだったし、人さえ巻き込まなければ元に戻るんだろう。
かつき「で、啓一くんや。他のプレーヤーの反応はないのかね?」
啓一「超広域だと感度が低くなるんですよ・・・他県まで検索範囲にいれてますけど反応なしです・・・」
かつき「もう日本にはいないんじゃね?」
啓一「それは困る・・・」
そんな会話をしてるときだった。
不意にプレーヤー反応が現れる。
かつき「きた!」
啓一「この街に向かってきてる・・・?」
かつき「でも相手は1人だろ?余裕余裕!」
啓一「こないだ大苦戦したの忘れましたか?」
かつき「うっ・・・」
啓一「デス子ちゃん起きて。戦いになるかもしれない。」
デス子「ぁーぃ」
反応があるのは建築途中のビルだった。建築費用がなかなか集まらず思うように建設が進んでないらしい。
アタシら3人は警戒しつつ中を探索する。
少し広いフロアに出ると、男が一人立っていた。
男「へぇ、ホントに3人いやがる。」
かつき「そっちは1人みたいだな。3対1だけど悪く思うなよ?」
男「おいおい待ってくれよ?こっちはわざわざ来てやったんだぜ?せめて1対1でやろうじゃねぇか。」
啓一「そちらの能力がわからない以上、その提案には賛同しかねますね。」
能力がわからない相手、か・・・それなら・・・
かつき「わかった。アタシが相手してやる。」
啓一「かつきさん?!」
男「話がわかるやつがいて助かるよ。」
啓一「正気ですか?!相手の能力もわからないのに1対1なんて!」
かつき「だからだよ。能力がわからない以上、死ねないお前らが戦うのはリスクが大きい。アタシなら何回も死ねるからな。」
啓一「それは・・・まあ・・・」
かつき「じゃあ、お相手いたしましょうか・・・アタシは三村かつき。アンタは?」
一平「一平。桜山一平だ。能力は・・・そのうちわかるさ。」
一平と名乗った男が構えをとりつつ間合いをつめてくる。
先に仕掛けてきたのは向こうだった。
ガッ!
強烈な右ストレート。しかし、これは・・・
かつき(能力じゃない・・・恩恵か!)
一平「オラオラァッ!」
一平の怒涛のラッシュ攻撃。かつきは防御に回る。
一平の能力が分からない以上、下手に仕掛けられないからだ。
かつき(でもどういうことだ?能力を使わず仕掛けてくるなんて・・・こいつも啓一みたいな便利系能力なのか?)
一平「どうしたよ?そっちからは何もしてこねぇのか?」
かつき「・・・じゃあ誘いに乗ってやるよ!」
こちらも攻撃を返していく。消耗戦のようなラッシュが続く。
お互い恩恵の力だけで戦ってるため実力は拮抗していた。
かつき「しゃーねぇ、ちょっと使うか!」
アタシは少しだけ重さを溜めて撃ちこむ。
一平「ぐっ!」
今の一撃で一平は間合いをとった。
一平「なるほど、重い一撃だ。それで『力(ストレングス)』ともやりあえたってわけだ。」
かつき「なんでお前がそのことを知ってる・・・っ!?」
一平「アルカナが教えてくれたぜ?ま、細かい内容までは教えてくれなかったけどな。」
かつき「おい板公、そんな話聞いてないぞ・・・」
アルカナ「聞かれていないからな。」
かつき「ざけんな!」
板っ切れにチョップをかます。
啓一「妙だな・・・」
デス子「どしたの啓一?」
啓一「あの男とプレーヤー反応の位置が一致しない・・・」
デス子「どゆこと?」
啓一「彼はたしかに恩恵を使って戦ってる。だが彼自身がプレーヤーじゃないかもしれないんだ・・・」
デス子「もっとわかりやすく。」
啓一「プレーヤーが他にいる可能性だよ。」
デス子「あたしたちみたいに?」
啓一「いや、あくまで可能性だけど・・・1枚のカードを2人で使っている。1人に恩恵、1人に能力としたら・・・」
デス子「啓一探せないの?」
啓一「たぶん探せないこともないけど・・・」
僕が陰ながら特訓して身に着けた新しい能力「不可視眼」。普段目に見えないものを見ることができる力を使えば
もう1人が能力を使った瞬間にその場所を割り出せるはずなんだが・・・
啓一「デス子ちゃん、能力解放して待機してて。僕も相手がどこにいるか探るから、見つけ次第指示する。」
デス子「りょーかい!」
かつき「いい加減殴り合いにもあきてきたな・・・」
一平「はは、そうかい。」
かつき「悪いが次で決めさせてもらう・・・!」
恩恵だけでは受けきれない重さを乗せた一撃、これで決める!
一平「今だ!」
一平が叫ぶ。すると・・・
ガクンッ
かつき(身体が・・・重い・・・っ?!)
一平「いっただきぃーっ!!」
かつき「やばっ!?」
ガゴォッ!
一平の強烈なキックがかつきにクリーンヒットする。ともすれば死んでしまうかもしれない一撃。
だが、それが幸いした。かつきは今の一撃で「死んだ」のだ。
かつき「あー、くそ。残機減った。」
一平「んな、生きてんじゃねーか!」
デス子「啓一、見えた?」
啓一「一瞬だけどね・・・だいたいの位置は捕らえた。」
かつき「くっそ、体に力が入らねぇ・・・これがお前の能力か・・・」
一平「まぁな。今のお前には子供くらいの身体能力しかねぇよ。」
かつき「まじかよきっついなぁ・・・」
啓一「その「子供」ってこの子のことかな?」
一平「?!」
陽子「ごめん・・・にいちゃ・・・」
デス子「こっちの子がプレーヤーだったんだねぇ。」
一平「陽子!てめぇどうやって陽子を見つけやがった!?」
啓一「あいにくと僕は「視る」ことに特化した能力なんでね。」
かつき「あっちの子供がプレーヤー?じゃあお前は・・・何なんだ?」
一平「・・・陽子を」
かつき「ん?」
一平「陽子を放せ!殺すぞ!!」
かつき「あーこれ会話になんねぇわ・・・啓一、デス子。その子を解放してやれ。」
啓一「はいはい・・・」
一平「お前ら・・・」
かつき「代償はお前らの能力を教えることで勘弁してやるよ。」
一平「俺達兄妹は特殊なプレーヤーらしくてな。俺は恩恵が使えて、陽子は能力が使える。」
陽子「わたしの能力は『相手の身体能力を自分と同じにする』ことなの。」
かつき「だから子供なみの体力になったってわけか・・・」
一平「だからさっきみたいにここぞってタイミングで相手の身体能力を落として一気に決める作戦だったんだが・・・」
かつき「相手が悪かったな。あいにくとアタシは不死身なんだ。」
一平「なんだよそれずりぃなぁ。」
啓一「で、どうするんですかこれから。」
一平「どうもこうもねぇよっと!」
そういうと一平は陽子を抱きかかえて大きくジャンプした。
一平「悪いが今回はここまでだ。お互い能力を見知ったことだし縁があったらまた会おうや!」
かつき「えー逃げんのかよぉー。」
一平「戦術的撤退だよ。じゃあな!」
そういって桜山兄弟はビルから姿を消した。
啓一「反応、遠ざかってますね。本当に帰ったみたいです。」
かつき「ま、こういう戦いもあるってことか・・・桜山兄弟、ねぇ。」
デス子「ちっちゃい子かわいかったね!」
陽子「にいちゃ、ごめんね・・・わたしがみつかっちゃったから・・・」
一平「なぁに、陽子が無事ならそれでいいんだよ。」
陽子「にいちゃ・・・」
一平「次やるときは負けねぇだけよ。」
二人一組の特殊なプレーヤー、桜山兄弟。
彼らの能力が後に3人を救うことになるのはまだ先の話。
まだ見ぬ能力者は、残り17人・・・
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