本編補足
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暗君

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C1 過労

C2 喧騒

C3 失望

C4 姑息で卑劣な卑怯者

C5 干渉

C6 馬鹿な選択

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C1 過労

 

ユランシア大陸。リテトヒト大公国。夕方。離宮のヘテト宮殿。公妃の間。ソファに座るリヒテヒト大公国君主、ゼルー大公。扉が開き、現れる公妃のサルタニャと王子のリュゼル。

 

リュゼル『お久しぶりです。父上。』

 

サルタニャとリュゼルの方を見て立ち上がるゼルー。

 

ゼルー『おお、リュゼルか。』

 

ハグをするゼルーとリュゼル。

 

ゼルー『最近は忙しく、ここに寄れずに昔の様に遊べずにすまんな。』

 

ゼルーを見て苦笑いするリュゼル。

 

リュゼル『父上。もうそのような年ではございませんよ。』

 

笑う一同。ノックの音。口を閉ざし、眉を顰めて扉の方を向くゼルー。

 

伝令Aの声『陛下!急報でございます!』

 

扉の方を向くゼルー。

 

ゼルー『入れ。』

 

扉が開き、現れる伝令A。

 

伝令A『失礼します。』

 

伝令Aの方を見る一同。

 

ゼルー『何事だ?』

伝令A『ポロワロ広場にて、外国人の集団が抗争を来る広げ、犠牲者が大多数…。外国人だけでなく、我が国の国民も。』

 

舌打ちするゼルー。

 

ゼルー『何だと…。』

 

首を横に振った後、伝令Aの方を向くゼルー。

 

ゼルー『イリキとタオクか。』

 

頷く伝令A。

 

ゼルー『至急、政庁に人を集めよ。』

 

一礼する伝令A。

 

伝令A『はっ!』

 

拳を握りしめるゼルー。

 

ゼルー『今日こそ結論を出さねばならぬ。』

 

ゼルーの方を向くサルタニャ。一礼して部屋から出ていく伝令A。

 

サルタニャ『もう、行ってしまわれるのですか?』

 

ゼルーの方を見るリュゼル。ゼルーはサルタニャとリュゼルの方を向き、微笑む。

 

ゼルー『何、すぐに戻る。』

 

一歩足を踏見出し、ふらつくゼルー。ゼルーの体を支えるリュゼル。

 

リュゼル『父上!』

 

ゼルーは体を支えるリュゼルの方を見る。

 

リュゼル『父上、あまり、無理はしないでください。別に今日でなくとも…。』

 

駆け寄るサルタニャ。

 

サルタニャ『あまりごむりはなさらずに…。』

 

リュゼルを見つめるゼルー。

 

ゼルー『この国に住む人々の為だ。それがこの国を預かる身として生を受けた、君主となった私の責務だ。それを果たさなければならない。』

 

リュゼルはゼルーの眼を見る。頷くゼルー。手をはなすリュゼル。ゼルーはサルタニャとリュゼルの方を向く。

 

ゼルー『では、行ってくるよ。』

 

ゼルーの背を見つめるリュゼルとサルタニャ。

 

 

夜。離宮のヘテト宮殿。公妃の間。ソファに座るリュゼルとサルタニャ。

 

サルタニャ『…て陛下に言ったんだから、あなたは…。』

 

口に手を当てて笑うサルタニャ。

 

リュゼル『母上、その話はもう…。』

 

苦笑いするリュゼル。ノックの音。

 

伝令B『急報です!』

 

顔を見合わせるサルタニャとリュゼル。

 

リュゼル『入れ。』

 

扉が開き、現れる伝令B。彼はサルタニャとリュゼルを見つめる。

 

サルタニャ『何か…?』

 

俯く伝令B。

 

伝令B『陛下が倒れられました!!』

 

眼を見開くリュゼル。唖然とするサルタニャ。

 

C1 過労 END

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C2 喧騒

 

ユランシア大陸。リテトヒト大公国。リヒテヒトの都の大通り。黒馬に乗り、黒い甲冑を付けたリュゼル、隣には黒馬に乗り、黒い甲冑を付けた重臣のグナイゼとシュエルテ。彼らの後ろに続く黒馬に乗り、黒い甲冑を付けた身分の高い重臣達と徒歩の家臣達。

 

最後尾にはリヒテヒト王国大公専用ロードヴェルクーク級人型機構の開かれたコックピットの操縦席に座り、鎧兜を付け、正面に剣を置き、その柄を両手で握るゼルーの遺体。中央の道を進む一行。リュゼルはグナイゼとシュエルテの方を向く。

 

リュゼル『…人っ子一人いないようだが。この国を愛した君主との最後の別れになるというのに…。』

 

顔を見合わせるグナイゼとシュエルテ。暫くして正面から駆けて来る、黒い馬に乗り、黒い甲冑を付けたリヒテヒト王国兵士A。眉を顰めるリュゼル。彼は手綱を引き、リヒテヒト王国兵士Aの下へ駆ける。

 

リュゼル『無礼者!父上の……大公陛下の葬儀であるぞ!』

 

馬から降り、跪くリヒテヒト王国兵士A。

 

リヒテヒト王国兵士A『…申し訳ございません!しかし、ここから先は行けません!』

 

リヒテヒト王国兵士Aを見下ろすリュゼル。

 

リュゼル『行けない…だと!この国の君主の葬儀であるぞ!行けないことなどあるものか!』

 

顔を上げるリヒテヒト王国兵士A。

 

リヒテヒト王国兵士A『それは…。』

 

銃撃音と爆破音が鳴り響く。

 

周りを見回す一同。歯ぎしりするリュゼル。

 

リュゼル『父の葬儀だぞ!この国の君主の葬儀に!!こんな時まで争うか!イリキとタオクめ!!』

 

リュゼルは剣を抜き振り上げる。

 

リュゼル『イリキとタオクなぞに臆するか!』

 

リュゼルは臣下達の方を向く。

 

リュゼル『続け!』

 

グナイゼとシュエルテがリュゼルの前に駆け出て、道を塞ぐ。グナイゼとシュエルテを見つめるリュゼル。

 

グナイゼ『なりません!』

シュエルテ『なりませんぞ!』

リュゼル『なぜ止める!』

グナイゼ『もう公世子ではないのですよ。』

シュエルテ『これから大公となる方に万が一のことがあれば…この国の事も考えてください。』

 

口を開くリュゼル。

 

グナイゼ『亡き王が残したこの国を。』

 

俯くリュゼル。

 

響き渡る声『は〜ははははは!ざまあみやがれ!トロメイアや他所の外人ばかり優遇しやがった、クソったれの王がくたばりやがった!』

声『おいやめろ!でけえこえ出すな!響いてるぞ!』

 

顔を上げるリュゼル。リュゼルは馬から降り、右の建物の方へ進む。

 

リュゼル『誰だ!今のは聞き捨てならん!出て来い!』

 

馬から降り。リュゼルを止めるグナイゼとシュエルテ。

 

リュゼル『なぜ止める!君主を馬鹿にした不敬だぞ!!』

 

グナイゼ『落ち着いてください!』

シュエルテ『彼らに手を出せば、亡き父上が築き上げたものに泥を塗ることになります!』

 

眉を顰め、舌打ちし、歯を食いしばるリュゼル。

 

C2 喧騒 END

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C3 失望

 

ユランシア大陸。リテトヒト大公国。リヒテヒト城。玉座の間。玉座に座るリュゼルと左にはグナイゼを筆頭とする重臣たちが並び、左にはシュエルテを筆頭とする重臣たちが並ぶ。彼らを見るリュゼル。

 

リュゼル『…例の件はどうなっている。』

 

リュゼルを見つめる一同。

 

リュゼル『一向に動きが無いが。』

 

一歩前に出るシュエルテ。

 

シュエルテ『…それは難しい問題でして。』

 

椅子の肘置きを叩くリュゼル。

 

リュゼル『…難しい?』

 

上体を前に出すリュゼル。

 

リュゼル『難しいことなどあるものか!イリキとタオクを処刑すればいいだけの話だろう!何をモタモタしているのだ!』

 

一歩前に出るグナイゼ。

 

グナイゼ『イリキはともかく鮮血戦争から受け入れたタオクを処刑すれば、この国が受け入れたトロメイアからの戦争難民が今以上に不満を持ちます。』

 

グナイゼの方を向くリュゼル。

 

シュエルテ『それではイリキの及び、新しく受け入れた戦争難民の人権を無視することになります。イリキを殺せば、新しく受け入れた戦争難民は弱い立場に立たされます。』

重臣A『戦争難民受け入れはプロスデン王国が主体となった条約です。イリキを含めた難民をないがしろにすることは条約違反となり、プロスデンに条約違反と言う大義名分を与えることになります!』

重臣B『今はそのような事ができる状況ではありません。』

重臣C『懐柔策を見出すべきです。』

シュエルテ『それがいいでしょう。新しい難民に庇護を…。』

グナイゼ『そんなことをすれば、古い難民が不満を持つ…。新しい難民は今まで好き勝手に暴れているではないか。現にプロスデンは優秀な難民を確保し、我々の所に来るのはそこから毀れた半端者達だ。不平等条約もいいところだ!だから、条約締結には反対したのだ!プロスデンはもともとそれを狙っていたのではないか!?』

シュエルテ『グナイゼ殿。それはプロスデン王国に対して失礼です。』

グナイゼ『失礼…だと。この国の現状を言ったまでだ。シュエルテ殿はやけに人さらい国家の肩を持つが…。』

シュエルテ『いえ、そういう訳ではありません。しかし、現状というならこの国とプロスデンの国力の差を冷静に考えてください。』

グナイゼ『だが…。』

 

シュエルテを見つめるグナイゼ。額に手を当て、首を左右に振るリュゼル。

 

リュゼル『リュゼル。同じ事を何度も何度も言って…。人権もプロスデンもどうでもいい。この国を無茶苦茶にした罪人をなぜ殺すことができん!』

 

リュゼルの方を向く一同。一歩前に出る重臣B。

 

重臣B『ですから、イリキとタオクを処刑すればこの国は大変なリスクを背負うことになります。』

重臣C『プロスデンを含め条約締結国と引き離されればこの国の国益を大きく損なうことになります。』

重臣D『ですから、ここは懐柔策で…。』

重臣E『そそ、それがよろしいでしょう。』

重臣F『それで具体的な懐柔策は…。』

 

頭を掻きむしるリュゼル。

 

リュゼル『ああっ!!』

 

リュゼルはため息をついた後、立ち上がる。

 

リュゼル『…もういい。』

 

重臣達を睨んだ後、眼をそらして出ていくリュゼル。

 

家臣A『陛下!』

家臣B『陛下!お待ちを!!』

 

玉座の間から出ていくリュゼル。

 

C3 失望 END

-6ページ-

C4 姑息で卑劣な卑怯者

 

リヒテヒト城。玉座の間。玉座に座るリュゼルと左にはグナイゼを筆頭とする重臣たちが並び、左にはシュエルテを筆頭とする重臣たちが並ぶ。

 

シュエルテ『プロスデンからの…。』

リュゼル『任せた。』

 

眉を顰めるグナイゼ。

 

リュゼル『…そんなことより、俺が遊ぶ金は集まってんの?最近、金回りが悪いけど。』

シュエルテ『陛下!政務に…。』

 

玉座の肘置きを殴りつけるリュゼル。

 

リュゼル『増税でもなんでもしろ!俺が遊ぶための金をさっさと稼げ!』

 

リュゼルは口笛を吹きながら玉座に熊のぬいぐるみを置いて、去って行く。

 

リュゼルの後を追いかけるシュエルテ。

 

 

リヒテヒト城。大広間。沢山の半裸や全裸の女性が躍り、酒を飲む。両脇に美女を侍らせ、酒を飲むリュゼル。扉が開き、現れるシュエルテ。彼はリュゼルを睨む。酒を一口飲み、シュエルテの方を向くリュゼル。リュゼルの前に立つシュエルテ。

 

シュエルテ『陛下!いい加減にしてください!』

 

眉を顰めるリュゼル。

 

シュエルテ『国民の為に尽力し、後世に名を残す立派な御仁でした。それを貴方は…。恥ずかしくはないのですか!』

 

グラスを置き、シュエルテの方を向くリュゼル。

 

リュゼル『他人の為、国の為、後世に名を残す…、それが父上に残したものは何だ。』

 

眉を顰めるシュエルテ。

 

リュゼル『…苦労して我慢して、他人に尽くして自分は何の楽しみもしない上で死ぬことよりも美女を侍らせ、酒に溺れ、快楽にまみれて楽しんだ方が充実してるに決まっている。後世に名君と名を残すのも、暗愚と名を残すのも、晒されて後世の人間に酒の肴に使われることは同じだ。それで儲けた奴らは、その時死んでいる俺には何の利益も与えない。それだったら今の目先の快楽を楽しむ。今の栄華を楽しむんだ。人生は楽しんだもん勝ちだぜ。あんたもどうだい。少し遊んできなよ。はは。』

 

リュゼルを暫く見つめるシュエルテ。彼は眼を閉じ、拳を握りしめた後、リュゼルから目を背ける。

 

シュエルテ『失礼する!』

 

去って行くシュエルテ。彼の背中を見つめ、酒を一口飲むリュゼル。

 

リュゼル『・・・ょうものめ・・・。』

 

左の美女Aの胸を揉むリュゼル。扉が開き、リュゼルを見るサルタニャ。サルタニャと眼があうリュゼル。サルタニャは口を押えて駆け去って行く。扉から目をそらすリュゼル。美女Aがリュゼルの方を向く。

 

美女A『陛下〜。どうしたの〜?』

リュゼル『…別に。』

 

C4 姑息で卑劣な卑怯者 END

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C5 干渉

 

リヒテヒト城。玉座の間。扉が開き、現れるリュゼルと数名のリヒテヒト王国の兵士達。リュゼルの方を向く重臣達。

 

リュゼル『何だ。急用とは。要件も言わずにむりやり連れてこられたが…。』

 

重臣達の方を見回すリュゼル。

 

リュゼル『お前達の顔を見たら帰りたくなった。』

 

重臣達に背を向けるリュゼル。

 

グナイゼ『…プロスデン軍が我が国の国境付近に大規模な軍を展開しております。』

 

重臣達の方を向くリュゼル。

 

リュゼル『…それで。』

 

立ち上がる重臣A。

 

重臣A『それでではありません。この国の存亡にかかわる…。』

リュゼル『興味ない。対処せよ。』

 

重臣達に背を向けるリュゼル。立ち上がるシュエルテ。

 

シュエルテ『プロスデンは陛下の身柄を要求しております。』

 

シュエルテの方を向くリュゼル。

 

リュゼル『何!!』

シュエルテ『今や国民の多くはプロスデンを支持しております。陛下が放蕩の限りを尽くし、国政を顧みないからです!』

 

歯ぎしりして、握り拳を震わすリュゼル。

 

リュゼル『ふざけるな!この国は俺のものだぞ!それを他人がズカズカと…。俺がどうしようと俺の自由だ!領土も国民も金も全て俺の為にある!』

 

リュゼルを睨む重臣C。

 

重臣C『そんな考えだから、国民に愛想をつかされるのです!』

 

重臣Cを睨むリュゼル。

 

リュゼル『何だと!この国の国民の為に尽くした父が死んだ時、国民は文句しか言わなかった。イリキとタオクが抗争を続けた時、誰もイリキとタオクを即刻処刑しなかった。もとと言えば誰のせいだ!重要な事はウダウダとして、肝心な時に役に立たない、それでもこの国の臣下か!』

 

眼を見開いた後、下を向く重臣C。重臣達の方を向くリュゼル。

 

リュゼル『…よし、決めた。』

 

リュゼルの方を向く一同。

 

重臣F『は?』

 

リュゼル『徹底抗戦をする。』

 

リュゼルを見つめる重臣達。一歩前に出るグナイゼ。

 

グナイゼ『それでは、戦の…。』

リュゼル『それは臣下であるお前達が考えることだ。』

 

眉を顰め、顔を見合わせる重臣達。

 

リュゼル『よ〜し…。ありったけの酒と女を用意しろ!』

グナイゼ『陛下、何をおっしゃっる?』

 

グナイゼの方を向くリュゼル。

 

リュゼル『はっ、誰が、俺が戦うと?』

グナイゼ『は?』

リュゼル『プロスデンとの国力の差は明確。どうせ負けるなら、俺は死の直前まで遊ぶ。』

 

立ち上がる重臣G。

 

重臣G『なっ!』

 

重臣達を見つめるリュゼル。

 

リュゼル『お前達は俺が遊ぶための時間を稼げ!それが、臣下の役目だろう!』

 

リュゼルを睨む一同。リュゼルは高笑いしながら去る。

 

 

リヒテヒト公国の練兵場から出陣するリヒテヒト公国のデュッケ級機動城塞数機。傍らに美女を侍らせてリヒテヒト城のテラスからそれを見つめるリュゼル。

 

C5 干渉 END

-8ページ-

C6 馬鹿な選択

 

夜。リヒテヒト城。大広間。酒の入ったグラスの把手を握り机につっぷするリュゼル。軍靴の音が鳴り響く。眼を開くリュゼル。

 

リュゼル『…何だ?』

 

大きくなる軍靴の音。リュゼルは大広間の扉を見つめた後、飛び上がり、隣の部屋に隠れる。大広間の扉が蹴破られ、現れるプロスデン王国軍上級兵士とリヒテヒト王国兵士の混成軍。部屋を探し回る兵士達。

 

プロスデン王国軍上級兵士Aの声『大公は何処へ行った!』

リヒテヒト王国軍兵士Bの声『ここにいる筈なのですが…。』

 

鍵穴から大広間を除くリュゼル。

 

プロスデン王国軍上級兵士は右手のガントレットを外し、机に置かれたグラスの把手を軽く触る。プロスデン王国軍上級兵士Aを見つめるリュゼル。ガントレットを付けながら兵士達の方を向くプロスデン王国軍上級兵士A。

 

プロスデン王国軍上級兵士A『まだ、遠くまではいってない。各部屋をしらみつぶしに探せ!見つけ次第、殺しても構わん。』

 

リュゼルは顔をしかめ、体を震わす。

 

プロスデン王国軍上級兵士Aの声『ためらう必要は無い。貴族連合からの許可は得ている。』

リヒテヒト王国兵士Cの声『それは本当なのか?』

プロスデン王国軍上級兵士Aの声『ああ。主殺しと気を病む必要は無い。大義はこちらにある!』

リヒテヒト王国兵士D『…な、なら安心だ。』

リヒテヒト王国兵士E『さっさと大公モドキを見つけて、手柄にしちまおうぜ。』

リヒテヒト王国兵士B『そうだな。へへっ。』

 

リヒテヒト王国兵士達の鬨の声が響く。大広間に続く扉を睨み付け、その場から去るリュゼル。

 

 

プロスデン王国軍上級兵士リヒテヒト王国兵士達の見張りを抜けリヒテヒト城を出、練兵場を見つめるリュゼル。

 

プロスデン王国軍上級兵士Bの声『…後方の部隊が遅れているようだが。』

プロスデン王国軍上級兵士Cの声『陛下のみならず、貴族連合盟主もこちらに来るそうで。』

プロスデン王国軍上級兵士Bの声『体裁の為か。しかし、それ程軍勢はいらない筈だが。大公はまだ見つからんのか?』

プロスデン王国軍上級兵士Cの声『は、くまなく探しておりますが。』

プロスデン王国軍上級兵士Bの声『早くしろ。…動ける人員は限られている。まだ、この城の包囲すら完成しておらんのだぞ。』

 

リュゼルは忍び足で歩き、リヒテヒト公国の練兵場に入る。彼は格納庫に駆け込み、リヒテヒト王国のロードヴェルクーク級人型機構に乗り込み、動かす。

 

練兵場に駆け込むプロスデン王国軍の上級兵士達。リュゼル機のブースターから勢いよく炎が吐きだされ練兵場の門を突き破る。リュゼル機に向かい、銃を撃つプロスデン王国軍上級兵士B。

 

リヒテヒトの都を突っ切るリュゼル機。リュゼルの眼に映るヘテト宮殿。彼は操縦桿から一瞬手を離す。

ヴィンセン級人型機構に乗り込むプロスデン王国兵士達。リュゼルは後ろを振り向いた後、正面を向いて操縦桿を前方に押し倒す。後を追うが次第に引き離されるヴィンセン級人型機構。リュゼル機はリヒテヒト城を背に逃げていく。

 

 

リヒテヒト公国。ポメラニア王国よりのタルトヒトンの森に隠れるリュゼル機。椅子の背もたれに深くもたれかかり、体中から汗を吹きだし、息を切らすリュゼル。彼はゆっくりとリヒテヒト城の方を向く。木々の間から見えるプロスデン王国のマンレート級戦闘機のライト。

 

リュゼルはリヒテヒト城から目を背け、操縦桿を握るが、暫くして、操縦桿から手を離し、ヘテト宮殿の方を見つめる。その動作を数かい繰り返した後、操縦席の肘あてを殴りつけ、操縦桿を握りしめて押し倒す。リュゼル機はリヒテヒトの都の方を向く。操縦桿を握りしめて押し倒すリュゼル。ヘテト宮殿へ向かうリュゼル機。

 

 

リヒテヒト公国の都を突っ切り、ヘテト宮殿の前に立つリュゼル機。リュゼルはヘテト宮殿の壁を見つめる。リュゼル機をヴィンセン級人型機構数機が剣を構え、取り囲む。リュゼルは周りを見る。剣を抜くリュゼル機。ヘテト宮殿のテラスに現れるサルタニャ。ヴィンセン級人型機構数機と切り結ぶリュゼル機。

 

テラスの方を向くリュゼル。彼の眼にサルタニャが映る。ヴィンセン級人型機構がリュゼル機の剣を払い、その後ろのヴィンセン級人型機構の剣がリュゼル機のコックピットに向かう。リュゼルの眼前に迫るヴィンセン級人型機構の剣。立ち上がるリュゼルの腹部をヴィンセン級人型機構の剣が貫く。リュゼルの体からは血しぶきが吹きあがり、コックピット内が赤に染まって行く。腹部を見つめるリュゼル。

 

リュゼル『あぁ…畜生…まだ、…まだ、遊び……足りねえ…………。』

 

剣を押し込むヴィンセン級人型機構。リュゼル機コックピットの隙間から流れる血。剣を引き抜くヴィンセン級人型機構。倒れるリュゼル機。その場に崩れ落ちるサルタニャ。

 

C6 馬鹿な選択 END

 

END

 

説明
・必要事項のみ記載。
・グロテスクな描写がございますので18歳未満の方、もしくはそういったものが苦手な方は絶対に読まないで下さい。
・心理的嫌悪感を現す描写が多々含まれておりますのでそれういったものが苦手な方は絶対に読まないで下さい。
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タグ
R-18グロテスク 悪魔騎兵伝(仮) 

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