本編補足
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政略結婚

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C1 見合い

C2 見初め

C3 挙式

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C1 見合い

 

ツァ王国。王都ツァラツァラ。ツァ王国文武官でツァ王国王族傍系ツァカの屋敷。階段を降りるツァ王国重臣で王族傍系のツァカの娘ツァウニャ。階下で掃除するツァカの使用人の女性のイリ。イリはツァウニャの方を向く。

 

イリ『あら、お嬢様。』

ツァウニャ『イリ、お父様とお母様は…誰か来ているみたいだけど。』

 

ツァウニャを見つめるイリ。

 

イリ『は?』

ツァウニャ『はって何よ。』

 

イリはツァウニャの顔を見つめる。

 

イリ『何を言っているのですか。お嬢様。今日はお見合いの日ではございませんか。』

 

眼を見開くツァウニャ。

 

ツァウニャ『お見合い…。』

 

階段を降りるツァウニャ。

 

ツァウニャ『そんな話、聞いてないわよ!』

 

イリに詰め寄るツァウニャ。

 

イリ『や、でも…。前々から決まっていたことですよ。』

 

両腕を回転させるツァウニャ。

 

ツァウニャ『そんなの知らないもん!』

 

後退りするイリ。

 

イリ『私に聞かれたって困ります!』

 

床を勢いよく踏むツァウニャ。

 

ツァウニャ『もういい。お母様とお父様に聞いてくる!』

 

駆け去って行くツァウニャ。ツァウニャの背中を見た後、掃除を続けるイリ。戻ってくるツァウニャ。

 

ツァウニャ『イリ。』

 

一瞬、身を震わせてツァウニャの方を向く。

 

イリ『はひっ。』

ツァウニャ『お父様とお母様何処?』

イリ『は、はあ、応接間に。』

 

イリに背中を向けて去るツァウニャ。

 

イリ『あ、お嬢様、ミゼ国の…。』

 

 

ツァカの屋敷。応接間に座るツァ王国重臣で王族傍系のツァカとその妻でシンノ一族のツァニアン。向かいに座るミゼ王国の文武官でシンノ一族のシンノパクマン。

 

シンノパクマンの声『…殿はダンヅー王を討った責任を取り、各国の要求に応える形で自害しました…。しかし、首はユ王国が受け取り、その首を強く要求していたパノパス王国とクド王国はその首には目もくれずバカイの領土の譲渡で手を打つと…。』

ツァニアンの声『まあ…。』

ツァカの声『・・なるほど、それでユミル、ユラル兄弟らしくなく期日に遅れるのでわざわざ貴公が来られたと…。』

シンノパクマンの声『はい。まあ、その通りでございますが、ツァニアンの顔が見たくなりましてな。』

ツァニアンの声『まあ。でも、叔父様達も大変ね。』

 

扉が勢いよく開き、応接間に現れるツァウニャ。ツァウニャの方を向く一同。

 

ツァニアン『あら、ツァウニャ。』

 

ツァカとツァニアンの方によるツァウニャ。

 

ツァウニャ『…お見合いってどういうことよ!』

 

ツァウニャの方を向く一同。

 

ツァウニャ『聞いてないわよ!』

ツァニアン『あら、もうだいぶ前から言っていたわよ。』

ツァウニャ『そんなの知らないもん。』

 

ツァウニャを見て顔をしかめるツァカ。

 

ツァカ『これ、お客様の前だぞ。』

 

ツァウニャを見て微笑むシンノパクマン。

 

シンノパクマン『これは、久しぶりですな。』

ツァウニャ『…あ、マンの叔父さん。』

 

ツァウニャはシンノパクマンに近寄る。

 

ツァウニャ『マンの叔父さんも何とか言ってください。お父様と、お母様は…。」

 

ツァウニャの方を向くシンノパクマン。

 

シンノパクマン『ええ、ユラル殿のことですよね。』

 

後退りするツァウニャ。

 

ツァウニャ『そんな。叔父様まで。』

ツァニアン『そんな悪い話ではないのよ。あなたとお見合いするユラル様はミゼ王国のユヅル女王様の兄上でございますから…。』

 

首を横に振るツァウニャ。

 

ツァウニャ『そんな。顔も見たことも無い人と結婚するなんて嫌だもん!』

 

笑うツァニアン。

 

ツァニアン『あらあら、そこに写真はあるのよ。とても…。』

ツァニアン『いやよ。いや、もういいわ。』

 

応接間から飛び出ていくツァニアン。額に手を当て、首を左右に振るツァカ。

 

ツァカ『やれやれ、甘やかしすぎましたかね…。』

 

ため息をつくツァカ。

 

C1 見合い END

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C2 見初め

 

ツァカの屋敷。庭で洗濯物を干取り寄せるイリ。ツァウニャが現れイリの手を握り、引っ張る。

 

イリ『ちょ、ちょっとお嬢様!』

 

イリの方を向くツァウニャ。

 

ツァウニャ『ちょっと来て。』

 

引っ張られていくイリ。

 

イリ『痛たたた、ちょっと、お嬢様!』

 

イリの手をはなすツァウニャ。自身の手を押さえてツァウニャを見るイリ。

 

イリ『いったい何ですか?』

 

頬を膨らませるツァウニャ。

 

ツァウニャ『ちょっと手伝ってほしいの。』

 

首を傾げるイリ。

 

イリ『手伝うって…いったい何を?…です。』

 

イリから顔を背けるツァウニャ。

 

ツァウニャ『…か、彼氏探し…。』

イリ『ええ!?彼氏??いえ、お嬢様、お見合いがあるじゃございませんか。』

 

イリを睨むツァウニャ。

 

イリ『…えっと。好みではなかったのですか?相手の方…。』

ツァウニャ『知らない。兎に角、嫌なの!顔を見たことも無い人と結婚なんて絶対!それに、彼氏だって、一時しのぎなんだから!そうすればお父様もお母様もきっと諦めるもん。』

 

苦笑いするイリ。

 

イリ『それは…その彼氏になるかたに失礼では…。』

ツァウニャ『いいから行くの!』

 

都へ駆けて行くツァウニャ。ツァウニャに腕を引っ張られるイリ。

 

 

王都ツァラツァラ。旧王都ローウータンの街の市場。ツァンタンの千年大陸連邦風オープンカフェのツァンタンのテラス席に座り、少し離れた市場の方を向くイリとツァウニャ。

 

イリ『あ、あの方よさそうですよ。ほらあの脇から腕にかけてのラインが…。』

 

イリの方を向くツァウニャ。

 

ツァウニャ『さっきから毛むくじゃらの獣人ばっかりさしてるんですけど。』

イリ『だって。モチモチしていてモフモフしていて、お腹をさわるとプニュっとなりそうじゃないですか。

ほら、あの御仁見てくださいよ。ジャッカロープみたいでかわいい。』

 

イリの顔を見つめるツァウニャ。

 

ツァウニャ『…ジャッカロープ見たことあんの?』

イリ『嫌だな〜。角の生えたうさぎじゃないですか〜。』

 

イリから目をそらし、仏頂面になるツァウニャ。市場を通り過ぎるミゼ王国文武官でミゼ王国女王ユヅルの兄のユラル。ツァウニャは眼を見開いてユラルを見、イリの腕を叩く。ツァウニャの方を向くイリ。

 

イリ『…どうしました?』

 

ツァウニャはイリに隠れて、ユラルの方を指さす。ユラルの方を見るイリ。

 

イリ『まあ。凄い美男…。』

 

ユラルに見とれるイリ。

 

ツァウニャ『ちょっと、イリ。呼んできて。』

 

ツァウニャの方を向くイリ。

 

イリ『え?』

ツァウニャ『だから、呼んできてって。』

イリ『は…はぁ。』

ツァウニャ『は・や・く。』

 

イリはユラルの方へ駆けて行く。ユラルに近づくイリ。ユラルはイリの方を向く。彼らの方を見つめるツァウニャ。イリの後ろに続くユラル。ユラルの顔を暫く見つめるツァウニャ。

 

イリ『あ、ははい。ここ、この方が、ツァカ様のお嬢様のツァウニャ様です。』

 

ツァウニャの顔を見た後、一礼するユラル。

 

ユラル『ツァカ様の…。こんなところで挨拶を頂けるとは光栄です。』

 

立ち上がるツァウニャ。

 

ツァウニャ『あ…あっ。』

 

ツァウニャを見て、微笑むユラル。

 

ユラル「どうかしましたか?』

 

顔を赤らめ、下を向くツァウニャ。

 

ツァウニャ『あ…あの。そ、その…。』

 

ツァウニャは顔を上げる。

 

ツァウニャ『と、ともかく来てほしいの。その、い、一日だけでいいからその、か、彼氏になって下さい。』

 

ツァウニャを見つめるユラル。

 

ツァウニャ『えっと…。と、ともかく助けて欲しいの。このままじゃ私、見ず知らずの…。』

 

ツァウニャの手を取るユラル。

 

ユラル『構いませんよ。』

 

ユラルの顔を見つめるツァウニャ。

 

 

ツァカの屋敷。門を開けるイリ。ユラルと一緒に入ってくるツァウニャ。

 

ツァウニャ『ただいま。』

 

ツァウニャ達の前に駆け寄ってくるツァカ。

 

ツァカ『これ、ツァウニャ!今まで何処に行っていたのか?』

 

後退りするツァウニャ。

 

ツァウニャ『それは…そ、。』

 

一歩前に出るツァウニャ。

 

ツァウニャ『…聞いてよ。お父様。私には彼氏が…。』

 

ユラルの方を向くツァカ。

 

ツァカ『おお、これはユラル殿。娘を迎えに行ってくれたのか。』

 

口を大きく開けて、眼を大きく見開き、ユラルを見つめるツァウニャ。ツァカに一礼するユラル。

 

ユラル『いえ、お嬢様に案内していただきました。』

 

中庭に出て来るツァニアンとシンノパクマン。

 

シンノパクマン『おお、これはユラル殿。随分と遅かったな。』

 

ツァウニャは周りを見回した後、ユラルの方を向く。

 

ツァウニャ『ええーーーーーーーっ!』

 

C2 見初め END

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C3 挙式

 

ミゼ王国。ヂョルガロンの地。カミジュナの街。カミジュナ大陸横断鉄道駅に止まる弾丸列車。駅には赤絨毯が引かれ、等間隔に並んだテープカットポールに結ばれた紅白テープ。駅の前方の席に座るツァカとツァニアン及びツァ王国の重臣達とミゼ王国の文武官でユヅルとユラルの兄のユミルにシンノパクマン。

 

群衆が集い、弾丸列車を見て歓声を上げる。太鼓が叩かれ、爆竹が鳴り、沢山の踊り子が躍る。紅白テープの前に出て来る、ツァ王国国王ツァグトラにミゼ王国の女王ユヅル、ヂョルガロンの地を、元ヂョルガロン王国国王ギュウジュウを介抱しながら統治するシンタクにリンパクと、シャクノジジョー。その次に現れるパシフィック鉄道株式会社の代表取締役ハンス・ハーネス。ハンス・ハーネスはマイクを持ち、群衆を見つめる。

 

ハンス・ハーネス『レディースアンドジェントルメン!これより、弾丸列車の開通式を行います!』

 

弾丸列車の汽笛が鳴る。歓声を上げる群衆。

 

ハンス・ハーネス『このカミジュナの地において我が社の弾丸列車が開通したことは、ひとえにこの国の皆さんのご協力と我が社の従業員の働きによるものです。感謝します!ありがとう!』

 

深々と頭を下げるハンス・ハーネス。歓声が上がる。ハンス・ハーネスは顔を上げ、群衆を見つめた後、弾丸列車の方を向く。

 

ハンス・ハーネス『これを使えば、切符一つでユランシアを横断できる…。自由気ままに遠くまで旅ができるのです。』

 

弾丸列車の汽笛が鳴る。歓声が上がる。群衆の方を向くハンス・ハーネス。

 

ハンス・ハーネス『今日は、この開通式に相応しい方に是非ともテープカットをして頂きたいと思いまして。』

 

弾丸列車の方を向くハンス・ハーネス。弾丸列車から少し顔を背けるユヅル。

 

ハンス・ハーネス『どうぞ。お越しください。』

 

片手を大きく上げるハンス・ハーネス。弾丸列車から出て来るツァウニャとユラル。ユヅルはユラルの顔を見つめる。歓声が上がり、拍手が巻き起こる。

 

ハンス・ハーネス『ミゼ王国とツァ王国の末永い友好の象徴として、今より婚姻するこの二人に!』

 

パシフィック鉄道株式会社の職員達が、シンタク、リンパク、シャクノジジョーにテープカット用の金鋏を渡す。ユヅルにテープカット用の金鋏を差し出すパシフィック鉄道株式会社の職員A。ユラルの方を向くユヅル。

 

パシフィック鉄道株式会社の職員A『…女王様。』

 

パシフィック鉄道株式会社の職員Aを向くユヅル。

 

ユヅル『…あっ、すみません。』

 

ユヅルはパシフィック鉄道株式会社の職員Aからテープカット用の金鋏を受け取る。ハンス・ハーネスがテープカット用の金鋏をパシフィック鉄道株式会社の職員Bから二つ受け取り、一つをツァウニャとユラルに差し出す。

 

ハンス・ハーネス『さ、主役たちに。』

 

頷いて、テープカット用の金鋏を受け取るユラル。ハンス・ハーネスはツァグトラにユヅル、リンパク、ソンタク、シャクノジジョーを見る。ユラルを見つめるユヅル。ハンス・ハーネスはユヅルの方を向く。

 

ハンス・ハーネス『どうかしましたか?女王様?』

 

首を横に振るユヅル。

 

ユヅル『いえ…。』

 

ハンス・ハーネスを見て、微笑むユヅル。

 

ユヅル『なんでもありませんわ。』

ハンス・ハーネス『そうですか…。しかし、折角の式典ですから楽しんでいってください。』

ユヅル『それは…もちろん。お心遣いありがとうございます。』

 

群衆の方を向くハンス・ハーネス。

 

ハンス・ハーネス『それでは!皆さん。鋏を持って一斉に。』

 

テープに鋏を構える一同。

 

ハンス・ハーネス『開通!』

 

テープを切る一同。ツァウニャはユラルに接吻をする。大歓声が上がる。ユラルを目に映すユヅル。ユラルを見つめて笑みを浮かべるユミル。ユミルの眼を見て頷くユラル。

 

C3 挙式 END

 

END

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悪魔騎兵伝(仮) ライトグロ 

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