真・恋姫†無双〜黒の御使いと鬼子の少女〜 43 |
だが、物事とは万事うまくいくものではない。
「せいっ!」
「……っ!」
一番近くまで迫っていた追手を斬り伏せ、再び走り始めるのだが、すぐに追いつかれ、再び切り伏せる。普段ならばこんな短い期間で追いつかれることはないのだが……。
「はぁっ! はぁっ!」
救出対象の少女が如何せん体力がないということと。
「あぁ!」
前からも何人か迫ってくるからだ。
「ちぃ!」
懐の暗器を投げつけて前の敵を排除するが、それで暗器は投げつくしてしまった。こうなると前方の敵の対処は難しくなる。
(こうなったら)
片手が塞がるからあまりしたくはなかったのだが、そんなことは言ってられん!
「犬を手放すなよ!」
「はぇ? ひゃ、ひゃあ!」
少女を小脇に抱え全力で門を目指す。
「す、すみま……」
「後でいくらでも聞いてやるから黙ってろ!」
そう怒鳴りながら行く手を阻む敵を斬り伏せる。しかし、その後ろからさらに増援が湧いてくる。
「くそがっ!」
その増援も切り伏せるが、敵の流れは止まらない。
「くっ!」
このままでは後ろの敵に、と思って後ろをちらと見れば、
(いない!?)
そう、さっきまで迫っていた白装束が一人もいないのだ。
(先回りされた? いや、いくら城に詳しいからって、そんなことが!?)
しかし、先回りをされるとしたら、屋根でも超えない限りは……!
(ちっ! ならあえて!)
一度そこで前進を止め、あえて別方向へと走り出す。
「え!? どちらに!?」
「とにかく壁へ向かう! 脱出はそこで考える!」
端的にそう伝えると、俺は門からの脱出ではなく、とにかく外に出ることへ考えを切り替える。
(……いるな)
俺は後ろを警戒しつつ外壁へ向かって走り続ける。今のところ数が変わったようには見えない。
そんなことを考えていると、前から一人、白装束が襲い掛かる。
「邪魔!」
その一言と共に体を両断して、後ろを見ると。
(ちっ、今の一瞬で10人は減ったぞ!)
そう、後ろにいた追手の数が明らかに減ったのだ。
(そうなると)
俺の考えが正しければ、前から!
「ドンピシャ!」
前から10人の白装束が襲ってきたのだ。俺はさっきと同じように別方向へ向きを変え走る。
そして、前から来た白装束は後ろの一団と合流して再び俺を追い始める。
(大体予想ができるようになった。こいつら、一定数以上の追手を差し向けねぇんだ)
今いる数をざっと見ると、80人前後。それ以上の追手はいない。
(そして、何かしらの方法でその中から何人かを前に送り出している)
まぁ、こっちが斬っている以上、永遠に保てるはずはないだろうが、追手の数が決まっているというのであれば、逃げ切ることはできる。
(にしても、どうしてわざわざ数を?)
そこまで大切な人質ではないということなのか? あるいは他の場所に人員を……っ!
「……まさか!?」
いや、十分にあり得る。ここではなく、別の場所に人員を割いていたとしたら!
「くそっ!」
なんでその可能性を最初に考えなかった! ここじゃなく、連合軍の方に行ったとしたなら!
(時間がねぇ!)
このままでは外に出るまで時間がかかりすぎる。もし仮に連合軍へ襲い掛かっているとしたなら、これは致命的だ。
(……雪華っ!)
あいつは本陣の奥にいるはずだが、どうなっているかは今の俺に知る術はない。それが俺に焦りを覚えさせる。
(……ここからは、最短距離で突き抜ける!)
追手がいようが、前に誰がいようが駆け抜ける。そう思って足に力を込めた時だった。
「大丈夫よぉん。白装束は連合軍と戦っているわけじゃないわよぉ」
「!?」
いつぞや、聞いた声がした。
はいどうも、おはこんばんにちわ。作者の風猫です。
昨日の土曜日と今日の日曜日、こちらは非常に暑いのですが、皆さんいかかがお過ごしでしょうか?
作者は昨日外に出て体力をがっつり削られました。インドア人間にはあの日差しはきつかったです……
普段外に出ている人でも、水分補給、そして適度な休憩を心がけましょう。
では、また次回お会いしましょう!
あ、何か間違いがありましたらコメントで指摘していただけるとありがたいです。
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真・恋姫†無双の蜀√のお話です。 オリジナルキャラクターが蜀√に関わる話なので、大筋の話は本編とほぼ同じですが、そういったのがお嫌いな方はブラウザのバックボタンをお願いします。 大筋は同じですけど、オリジナルの話もありますよ?(´・ω・) |
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