幽霊の蒸し料理
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 お盆だから仕事が休みで朝からだらだらしていると昼になって、それからまただらだらしていると夜になった。

 食べるものが何にもなく、近所のスーパーまで行って買わないと米もないけれどもお盆だからお店も閉まっていて仮に開いていたとしてもそこまで行くのが億劫で部屋の中にじっとしていたいと思う。

 けれどもお腹が空くことは空くから、どうしようかなと思っていると、そういえば部屋の中が霊道になっていることに目を付けて去年のお盆の時に霊の通る天井付近に樋を付けて霊が自動で集まる桶を作っておいたことを思い出し、さっそく開けてみるとお盆で帰って来た他人のご先祖様であるとかおこぼれにあずかろうとしている餓鬼だとかがゴミ箱ほどの大きさの桶の中にたくさん採れていたので、これを食べようと思う。

 昔から人魂はてんぷらにするものであると決まっているけれども我が家には鍋もないしてんぷら油もない。あるのはシリコンスチーマーぐらいなもので仕方がないのでこれに水で大まかに洗った霊を一掴み入れてオリーブオイルと呼び水と塩を入れてあと鰹節を掛けてレンジでオートで「2」でチンすると、3〜4分経つと大体霊も蒸されて息絶えているので食べても大丈夫なようになる。

 蓋を開けるととても熱いのでやけどをしないように蓋を取ると蒸された霊が出てきて、霊はチンすると白く濁るので見た目は昔のCGで雑に作ったような綿あめだが触り心地はちょっとぬるっとするお餅というようなもので、味は酸味のみある脂身みたいな味なので醤油をつけてやると多少食いでがある。

 残った汁は霊の出汁が出てるので捨てないで別の茶碗に入れてワカメスープの素を入れてやると霊の出汁の出ているワカメスープが多少飲めるのでおすすめです。

 手のひらサイズぐらいの霊をチンすると水を吸って少し膨らむけれども、箸で容易に切れるので一口大ぐらいに切って醤油皿に醤油を入れてちょっとつけて(あんまりつけなくてもよい)食べると、腹ごなしにはなるかなと言う塩梅で正直おそらくカロリーはあるまい。

 夜中に眠れない時に胃に優しい食べ物を食べたいというような欲望の出た時にヨーグルトが一個もないと言うときに霊の桶から霊を取り出してチンして食べるというのがもっぱらの霊の使い道。正直ほかにはない。

 不味くはないが毎日食べたいと言うわけでもない、と言う意味では私の毎日の食事と似たようなものだが、霊を食べているという気味の悪さが加算されているので毎日の食事よりも分が悪い。今日はお腹が減っているのに白米が食べられないからというので仕方なしに食べているけれども、明日はきちんと白米を買いに行こうと思います。

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オリジナル小説です
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