【けもフレ】らぶ?フレンズ3【フェネック?アライさん】 |
らぶフレンズ3〜フェネックxアライさん
【フェネック】
「ふう…なかなか見つからないのだー!」
「まぁ、ゆっくりやろうよ、アライさん〜」
巨大セルリアンとの戦いの後、かばんさんのためにばすてきなモノに嵌めるための
丸いもの集め。博士たちの教えてくれた場所へ向かってあっちへこっちへ向かうが
変形しているのが多かった。
「少し休憩するのだ〜」
「はいよ〜」
私は涼しそうな木陰を見つけてアライさんの隣に座り涼しい風に当たりながら
目を瞑る。疲れが溜まっていたのか、いつの間にか私は眠っていた。
***
アライさんと出会う前、私はいつものようにマイペースに散歩をしていて何かないか
探していた。普段から他のフレンズより反応の薄い私だけど、別に何にも感じない
わけではない。それなりには感動はするし美味しいものを食べるのは好きだ。
だけど、大体は「こんなものだよね」という感覚で落ち着いてしまう。
みんなで賑やかしにするのも嫌いではないが少し苦手だった。
自分自身が盛り上がれなくて群れに気を使わせたくないというものあったから
基本は一人で行動していた。ただ…この日は別だった。
道の途中で行き倒れている一匹のフレンズがいた。周りには他のフレンズもボスも
いなかったから、私はうつ伏せになって潰れたカエルのようなポーズをしている
フレンズに声をかけた。
「おーい、大丈夫〜?」
「お、おなか…減ったのだ…」
「じゃぱりまんと水あるけど…いるかい?」
何かあった時のために最低限必要なものは常備してるのだけど、
今まで全く何もなかったのでまさか今役に立つとは思わなかった。
「もぐもぐごくごく!ぷはぁ、生き返ったのだあ!」
「おー…それはよかったねぇ〜」
日差しが暑かったから近くの木陰で倒れてたフレンズさんが美味しそうに
じゃぱりまんと水をあっという間にたいらげる姿を見て何だか面白かった。
私ならどんなことがあってもこういう反応はしないから。
「ありがとうなのだ!お前はアライさんの命の恩人なのだ!」
「うん」
さっきまでとは違って可愛らしい笑顔を浮かべながら倒れていたフレンズさんは
自分からアライさんと言っていた。
「お前は何て名前なのだ?」
「フェネックだよ〜」
名前を言うとアライさんは私の名前を連呼しながら嬉しそうに私の手を握って
ブンブンと縦に振るのだ。
「ところでアライさんはどうしてこんなところで倒れていたんだい?」
「…! な、なんでアライさんの名前を知っているのだ!?まだ自己紹介してないのに!」
「いや…自分で言ってるじゃない。アライさんって」
「す、すごいのだ!フェネックは頭が良いフレンズなのだな!」
「う、う〜ん…? まぁそういうことにしておくよ〜」
天然だらけのアライさんを見ていると不思議と口元が緩む気がした。
初めて会うフレンズにこれだけ話をするのは初めてのことだった。いつもは途中で話が
続かなくなって沈黙を作ってしまうのだけど、アライさんは私がどんなに黙っていても
話を勝手に続けている。変に気にされるよりよっぽど気が楽だ。
「もう一回聞くけど、アライさんはどうしてあそこで倒れていたんだい?」
「それなのだ!アライさんは風の便りに聞いてお宝を探していたところだったのだ!」
「お宝〜?」
「そうなのだ!それはじゃぱりまんが一年分くらいもらえるくらい
すごいものらしいのだ!」
「でもそれ噂なんでしょ〜?」
盛り上がってるとこについいつものように釘を刺すようなことを言ってしまうと。
一瞬アライさんが黙ってしまい「しまった」と口をつぐむとアライさんは目を輝かせて
私に熱く語った。
「それがいいのだ!みんな信じていないからこそ本当に見つけたら
みんなびっくりするのだ!」
「えっ…」
私はびっくりした。私の群れにはそんな考えのフレンズはいなかったから新鮮だ。
他にも私は問いかけた。
「セルリアンだって危ないし…」
「冒険に危険はつきものなのだ〜!」
どんなに自分にマイナスな要素があってもそれに負けないアライさんの勢いに
大きく手を広げて笑顔で語っていたアライさんの姿に見惚れていた。
気がつけば私にもうつったのか、ドキドキワクワクが少しずつ広がっていく。
「さてと、休憩も終わりにして旅の続きに出るのだ」
「あ、あの…アライさん…」
「なんなのだ?」
立ち上がろうとするアライさんの毛皮に私は思わず掴んでいた。
止めたところで何が言いたいのだろうか、私は。
こんなことしてもアライさんの迷惑にしかならないし手を離さないと。
そんな私の考えとは逆に本能はアライさんを離したがらない。
そこでアライさんは私に向けて手を伸ばしてきた。
「…?」
「フェネックもアライさんと一緒に一山当てに行くのだ!」
「え…?」
「嫌なのだ?」
私の反応に首を傾げるアライさん。私はゆっくり首を横に振る。
「嫌じゃないよ〜…。ただ私は何もできないから一緒にいても役に立てないかも〜…」
「それだったら問題ないのだ!フェネックはアライさんを助けてくれたし細かいことに
気付けるし…とにかく頭が良いのだ!」
「でも〜…」
「アライさんにはフェネックが必要なのだ!」
この一言に私の胸がドキンッと強く鳴った。真剣に私を見るアライさん。
今まで群れの中にいても一度も必要とはされなかったから。正直にいって嬉しかった。
いや…すごく嬉しかった。
「わかったよ〜。…アライさん」
アライさんの熱意に動かされた私は差し出された手を取った。その後、私は群れの
フレンズに一言告げて出ていってアライさんと合流した。
私が出て行くことに反対するフレンズは一人もいなかった。
寂しい気がしないでもないけど、でも旅に出るにはその方が都合が良かった。
「おまたせ〜」
「では出発なのだー!」
それから二人であちこち見て回って一人では何とも思わなかった景色も
アライさんと一緒だとどれも輝いて見えた。
無邪気に走り回るアライさん。転んでドロだらけになるアライさん。
水辺で足を滑らせて溺れかけるアライさん。
うっかりセルリアンに食べられそうになるアライさん。
そんな、思い込んだら一直線でドジっ子なアライさんを支えられるのが好きなんだと
一緒に旅をしている間に気付いた。最初は目が離せないと思っていたのが追っているのが
楽しくて嬉しくて。表面には出さないけどすごく楽しんでいて感謝してるんだよ。
ただその日その日生きることしかしなかった私にアライさんは光をくれたんだよ。
***
「フェネックー?」
「んー?、どうしたのさ〜、アライさん」
「そろそろ探しに行くのだ!」
そうして差し伸ばされる手を見て出会った頃を思い出しながら少し気だるそうに言う。
「まぁまぁ、そんな急がないでゆっくりやろうよ〜」
よいしょっと立ち上がってアライさんの手を取る。アライさんの輝きはあの時と
全く変わらずそこにある。
「パークの危機は去ったんだからね〜」
かばんさんと出会うまではよかったけど、その後色々と大変なことがありすぎて
ちょっと疲れたよ〜…。
「それもそうなのだ〜…。でもかばんさんのためにも少しでも早く見つけたいのだ」
「わかってるよ〜。ただ無茶はダメだからね〜」
そう言って歩き出すと再びアライさんが私の手をギュッと握ってくる。
「さすがフェネック。話がわかるのだ!」
私に笑顔を向けるアライさんを見てると胸がポカポカ温かくなる。
私はアライさんが好きだ…。でもこれが何の好きかなんて私でもわからない。
わからないけれど、悪くはない気持ちだ。相手に優しくなれる気持ちだ。
ただ、時々いじわるもしたくなってしまうけれど…。
「フェネック〜、早く行くのだ〜」
「はいよ〜」
アライさんの温もりを感じながら私達は歩きだす。このパークの中で――。
お終い。
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はっきりとしたラブ。ではなく曖昧だけど淡い気持ちを抱くフェネックのお話。 | ||
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